法令改正の伴う消防用ホース等の交換について調べてみた

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皆さんこんにちわ

今回の記事はツイッターでフォローしている方のツイートで「令和9年までに平成24年3月までの検定ホースは易操作ホース(保形のもの)を含めて交換です」というのがあり、筆者が「そんなのあったっけ?」となり調べてみたので皆さんにも共有したいと思います。

※この記事の内容は今後変更になる可能性を含んでいます(一般社団法人日本消防ホース工業会の令和4年度事業計画書で消防庁予防課と調整中とあります)。

※令和6年3月15日追記しました!

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交換が必要なの?

結論から言うと2024年3月1日の消防予第108号通知により旧規格機械器具等において現行の規格(22号省令、23号省令、24号省令)に適合していると取り扱っても良いという通知がでましたので交換の必要はありません

この通知はインターネットでだれでも閲覧することができます。

消防用設備等に用いる消防用ホース等(検定品ホース(いわゆる国家検定品時代の[ホ第○-○号]というホース))や検定品の漏電火災警報器の受信機(漏受第○-○号)や変流器(漏変第○-○))は令和9年4月1日までには現行の規格省令品(自主表示対象機械器具等[いわゆる自主表示品])へ全数交換が必要です(一部の現行規格適合品を除く)
ただし消防法第17条の2の5第1項の適用を受けるものを除く(いわゆる適用除外[既存不遡及規定])

なぜ令和9年までに交換が必要なのかを以下に解説していきます。

 

法令改正のおさらい

まずはこのツイートの発端となった法令改正について解説していきます。

それは「平成25年3月27日、消防法施行令の一部を改正する政令(平成25年政令第88号。以下「改正令」という。)」を含め他に10の法令についても一部改正がありました(以下、法令改正等という)。

この法令改正等の内容として

  • 検定対象機械器具等及び自主表示対象機械器具等の品目の見直し
  • それに伴う各品目の技術上の規格を定める省令等の改正又は制定
  • 屋内消火栓設備の技術上の基準の見直し
  • 防火対象物の用途区分の見直し等

これらについて改正や制定をしていますがこれらの中で今回の話題に係る部分が「検定対象機械器具等及び自主表示対象機械器具等の品目の見直し」になり、この法令改正等の施工日から消防ホースや結合金具、漏電火災警報器(以下、消防ホース等という)はいわゆる国家検定品から除外され自主表示品に変わった所はみなさんご存じかと思いますが、問題はこの消防ホース等についての旧規格品はいつまで基準に適合できるか?という部分になりますが、令和6年3月1日の消防予第108号通知においてこれらの旧規格機械器具等の交換は不要とする指針が出されました。

いつまで適合できる?

これについては「消防予第120号・消防危第46号 消防法施行令の一部を改正する政令等の公布について(平成25年3月27日)」(以下、120号通知という)に記載があるので解説します。

この120号通知のなかの「第八 特例省令に関する事項」という部分がありその中で適合できる期間について謳っていて

令第30条第2項及び危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号。以下「危険物政令」という。)第22条第2項の規定に基づき、次に掲げる消防用ホース、結合金具若しくは漏電火災警報器(以下「消防用ホース等」という。)のうち、ホース規格省令、結合金具規格省令及び漏電火災警報器規格省令(以下「ホース規格省令等」という。)の規定による技術上の規格に適合しないもので平成26年4月1日前のそれぞれの技術上の規格に係る型式承認を受けているものについて、平成26年4月1日から起算して13年間は消防用設備等の基準に適合しているものとしたこと。

上記の内容になっていますが、要約すると

平成26年4月1日以前に技術上の規格に係る型式承認をうけているもの(いわゆる国家検定品の消防ホース等)は平成26年4月1日から13年間は消防用設備等の基準に適合するという猶予期間を設けるから、令和9年4月1日までには消防用設備等に用いられているすべての消防用ホース等を改正後の規格省令に適合しているもの(いわゆる自主表示品)に交換することが必要ということになります(一部に現行規格に適合する旧規格品もある)(ただし適用除外規定あり)。

 

交換が必要な器具等

この改正で自主表示品となった

  • 消防用ホース(平ホースや保形ホースや大容量泡放水砲用ホースなど)
  • 結合金具(消防ホースや消防用吸管に使用するもの)
  • 漏電火災警報器の受信機と変流器

消防用設備等に係る器具は上記のものになりますので今既存で旧検定品が設置されている場合は令和9年までに全て自主表示品に交換が必要になります(一部の現行規格適合品を除く)。

ただし消防法施行令第30条第2項の条文内に「消防法第17条の2の5第1項の適用を受けるものを除く」(いわゆる既存不遡及規定)とされているので消防用ホースは特定防火対象物や従前の規定に違反していたり一定以上の改修工事を行った場合には遡及対象(現行の法令に合わせなければならない)になるので注意が必要になります。

この消防法第17条の2の5第1項の適用(既存不遡及規定)の部分に関して某消防本部に確認した所、全ての防火対象物で消防ホースに関しても全数交換が必要との見解でしたので従前から不良があったり一定以上の改修工事を行っていなくても消防ホースの交換が全てにおいて必要になります。

また漏電火災警報器においても既存不遡及対象器具から除外されている(常に最新の法令に合致させる必要がある器具や設備)ので全ての防火対象物で交換が必要になります。(消防法施行令第34条)

上記の品目において平成25年3月27日消防予第121号通知において旧規格機械器具等(各規格に適合していないホースや金具や漏電火災警報器の機器)は令和9年までに全数交換をしてくださいということでしたが、今回の108号通知においてこれら旧規格機械器具等が各規格に適合していると取り扱って良いという通知がでましたので、晴れてこれらの器具を交換しなくても良いということが明確になりました(ただし現に型式失効しているものを除く)

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回はツイッターのとあるツイートが発端となったのですが、筆者を含めて失念されている方もいると思いましたので記事にしました。

まとめると現在消防用設備等として設置されている旧規格品の消防用ホースや漏電火災警報器の受信機・変流器は令和9年4月1日までに現行の自主表示品に全数交換しなければなりません(一部の現行規格適合品を除く)ので、大規模の防火対象物では交換する本数も多いのでこれから改修計画をたてて関係者の方に改修提案が必要になります。

ただし消防用ホースに関しては適用除外対象で全ての防火対象物が対象ではないので注意が必要になります。

消防ホースに関しても全ての防火対象物において交換が必要になるという消防の見解なのでこちらも所轄消防本部等に確認を行ってみるのも良いと思います。

今回の108号通知において旧規格機械器具等も現行規格に適合していると取り扱って良いという指針がでましたので令和9年4月1日までに全数交換しなくても良くなりましたが、点検において不良となっているものに関してはこの通知は関係なくすみやかに交換等の対応をしなければなりません