古い誘導灯は本当に燃えます!

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皆さんこんにちは。

先日点検にお伺いした物件で大型誘導灯(40w2灯式)の蛍光灯が点灯しないのでおかしいなーと思って良く見てみたら安定器が焼損していて真っ黒でした。

この誘導灯は蛍光灯を使う古いタイプの誘導灯で製造から30年以上経過しており、下記の写真の状態から見ていつ火事になってもおかしくない状態でした。

ですので今回は誘導灯器具の耐用年数の目安のお話をさせて頂きます。

 

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なぜ古い器具は危ないのか?

 

安定器が焼損した誘導灯

上記でもお話させて頂きましたが、なぜ古い器具は危ない(火災の危険性が高い)のでしょうか?

  1. 安定器などの電気部品が経年劣化して熱を持つようになり蓄熱による発火の可能性
  2. 安定器などの電気部品内部の絶縁性が劣化して短絡(ショート)し発火の可能性
  3. 電気配線の被覆が劣化して絶縁性がなくなり配線同士が短絡(ショート)して発火の可能性
  4. 蛍光灯のソケットが経年劣化により破損して絶縁性がなくなり発火の可能性

などの内容により電気火災の可能性が高くなります。

ちなみに絶縁性とは、電気をどれだけ通さないか(電気を絶縁できるか)という目安で、この絶縁性を測定する機械(絶縁抵抗計・メガーともいう)を使用して測定することができます。

例えば電気の通っている電線をさわっても感電しない(ビリっとしない)ですが、これは電線に被覆が被さっていて電気を絶縁しているからです。

この絶縁性が悪い場合に電線を触ると感電します(ビリっとする)。電線の被覆に電気を遮る力がない(絶縁性がない)ので被覆にも電気が流れて感電またはショートします。

この絶縁性が悪くなる要因としては

  1. 水に濡れている
  2. 湿気が高い
  3. 配線が押しつぶされている
  4. 被覆が傷ついている
  5. 経年劣化

などがあげられます。

これらのことから有識者が古い誘導灯器具の分析等を行い、器具の使用限度年数を算出していますのでそちらも確認していきましょう。

 

誘導灯器具の耐用年数の目安について

誘導灯器具をリニューアルする際にはもちろんお金のかかる話ですから施主さんも良い顔はしないと思います。しかも誘導灯器具をリニューアルしても節電にはなりますが生産性はなにも変わりません。

そこで、誘導灯や非常照明の交換時期の目安を一般社団法人日本照明工業会のホームページで公開していて、このホームページでは器具の製造年を基準にした器具の適正交換年数と耐用の限度年数を記載していますので紹介したいと思います。

 

誘導灯器具の寿命(耐用限度)

この日本照明工業会では以下の様に適正交換年数と耐用限度年数を以下の様に定めています。

・蓄電池内蔵型

適正交換時期 8〜10年

耐用限度年数 12年

・電源別置型

適正交換時期 8〜10年

耐用限度年数 15年

・専用型(常時消灯で非常時点灯)

適正交換時期 8〜10年

耐用限度年数 15年

例えばよくある蓄電池内蔵型の誘導灯や非常照明器具は、今2020年(当記事執筆当時)ですので、2010年製造の器具は交換の推奨時期ということになり、2008年製造以前の器具については耐用限度年数として交換が必要になるということになります。

この年数はあくまでも指標であり、消防法などの法令により強制されている年数ではありませんのでそこはご了承ください。

 

光源(ランプ)の交換時期

上記では誘導灯器具や非常照明器具の交換時期を確認しましたが、では光源の交換時期はどうなのでしょうか?

交換時期は光源の種類により以下の様になっています。

・蛍光灯の場合

蛍光灯の大きさ(10wや20w)にもよりますが、概ね6000~12000時間(約0.7~1.4年)

・冷陰極ランプの場合

冷陰極ランプを使用する誘導灯の型番により変わりますが概ね20000~60000時間(約2.3~6.9年)

・LEDランプの場合

概ね60000時間(約6.9年)

上記のようになっています。

誘導灯によっては器具がランプの交換時期をモニターランプで知らせてくれる機能を持っていて、誘導灯を設置して通電開始(又はランプ交換を行いリセットした時)からの点灯時間を器具が測っていて、規定時間になるとモニターランプの赤色が点滅してランプの交換時期を教えてくれます。

基本的には球が切れた(点灯しなくなった)ら交換されていると思いますが、この交換時期もあくまで指標(メーカーが交換時期としている目安)であり消防法などの法令で強制されているものではありませんのでご了承下さい。

 

蓄電池の交換時期

誘導灯本体やランプの交換時期を見てきましたが、蓄電池はどうなのでしょうか?蓄電池も交換推奨時期があるので確認していきましょう。

・ニッカド蓄電池の場合

製造年から概ね4年

・ニッケル水素蓄電池の場合

製造年から概ね5〜7年

・リチウムイオン蓄電池の場合

製造年から概ね6〜10年

もちろん蓄電池の状態(高温・高湿・負荷が多いなど)により変動すると思いますが基本的には上記年数で交換推奨時期になります。

基本的には停電状態で点灯したり、電源試験により容量があるかないかの試験を行って不良かどうかの確認を行っていると思いますが、これも蓄電池の故障が出始める期間を調査・集計など行って試算された期間になり、あくまでこの期間も指標で法令などにより強制されているものではありませんのでご了承下さい。

あと、交換する蓄電池は必ずメーカー指定品を使いましょう。

一般社団法人電池工業会のホームページでは、メーカー指定の蓄電池(JIL適合表示のあるもの)を使ってくださいとなっています。

JIL適合表示のある蓄電池の例

最近はインターネット等で誘導灯などの蓄電池を購入することができますが、これらのショップの中には上記の指定品ではない蓄電池を販売している所もあるみたいなので、購入する際には気をつけて購入していただくのが良いかと思います。

 

まとめ

最後までご覧頂きありがとうございます。

今回は電気火災が起きるかもしれない危険な誘導灯器具がありましたので、みなさんへの注意喚起も含めて記事にしてみました。

誘導灯器具だけに限らず、非常用照明器具やご家庭の蛍光灯なども長い期間つかっていれば上記のような現象により電気火災が起こる可能性が高くなりますので、「まだ使えるから」と使うのではなく見切りをつけて器具ごと交換していただくのが火災予防と節電になると思います。

最近ではご家庭の照明器具(LED照明)や非常用照明器具(こちらもLED)もかなりお手頃になってきましたので、ぜひ器具交換も視野にいれてみてはいかがでしょうか?