スプレー缶と危険物の関係性について

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皆さんこんにちは。

先日某取引先の担当者さんから「この間消防署が立ち入りにきて、倉庫の棚においてある塗料のスプレー缶(エアゾール缶)について専用の保管場所を作る方が良いですよと言われたのですが、何か基準があるのですか?」と質問を受けましたので、今回はこの基準について解説していきます。

所轄する消防本部等や火災予防条例によっては下記に紹介する基準が異なる場合がありますので、あらかじめ所轄消防へ確認される事をお勧めします。

 

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そもそもエアゾール缶って何?

市販されているエアゾール缶の例

皆様も見たことや使ったことあるかと思いますが簡単に言うと

容器に充填された液化ガス、又は圧縮ガスの圧力により当該容器または他の容器に封入されているガス以外の目的物質(香料、殺虫剤など)を霧状や練物状に噴射する機構のある製品

になり、身近なエアゾール缶(スプレー缶)として

  • 潤滑剤
  • 殺虫剤
  • 整髪製品
  • 香料製品

などがあり上記画像のような形をしていて、頂上の噴射ボタンを押すと中身が噴射される仕組みになっています。

ではこのようなエアゾール缶を保管する場合の基準について解説していきます。

 

基準について

この基準はずばり「危険物に該当するかしないか」になります。

どういうことかというと、エアゾール缶の中には危険物に指定されている物質を封入している製品があり、冒頭にお話しした「塗料のエアゾール缶」も中身に危険物に指定されている物質が封入されている為、消防署の方も「専用の保管場所を~」とおっしゃったのだと思います。

例えば上記画像左側に写っているパーツクリーナーですが、これは「危険物第四類、第一石油類」という危険物が封入されています(下記画像参照)

また上記画像中央の超有名潤滑剤は「危険物第四類、第三石油類」に該当する危険物が封入されています。(下記画像参照)

これらの製品の中身は危険物に該当し、ある一定以上の量を保管(正式には貯蔵・取扱う場合)する場合には火災予防条例や危険物の規制に関する政令に該当しますので、どういった場合に該当するかを解説していきます。

 

保管する量について

では危険物に該当するエアゾール缶を保管する場合にどのくらいの量までなら法令による規制の対象範囲外で保管できるかを解説していきます。

まず危険物に関する法令には

  1. 火災予防条例
  2. 危険物の規制に関する政令

の2種類があり、保管する量によりどちらかの法令を基準とします。

例えば危険物第四類の第一石油類であるガソリンを保管したい場合に、各危険物には「指定数量」という数量があるので、この量を基準に算定していきます(下記表参照)

危険物第四類の物質の例とその指定数量の表

この表から第一石油類のガソリンの指定数量は200ℓなので、200ℓ以上を保管する場合には「危険物の規制に関する政令」という法令の管轄下で「危険物」として規制を受けます

そしてこの指定数量未満で保管する場合には「火災予防条例」という法令の管轄下になり、「少量危険物」として規制を受けることになります。

ではこの少量危険物ですがどのくらいの数量を保管すると該当になるのかというと、「指定数量の5分の1以上の量」となっていますので、ガソリンであれば指定数量200ℓの5分の1なので40ℓ以上200ℓ未満の数量を保管する場合にこの「少量危険物」の規制を受けることになります。

ちなみに指定数量の5分の1未満(ガソリンなら40ℓ未満)の数量を保管する場合であれば法令の規制を受けずに保管ができます。

危険物貯蔵所の使用、保安距離や保安空地、建築物の構造などに関わる規制等を受けないという意味であり、火気厳禁であることや換気を行うなどの一般的な措置は必要です。

ではこれらを踏まえて、エアゾール缶をどのくらい保管すると少量危険物に該当するのかを解説していきます。

 

保管する量の計算について

ではエアゾール缶を保管する場合にどのような計算をすれば少量危険物に該当するかしないかを解説します。

例題として「第一石油類」に該当するエアゾール缶(500mℓ)を保管しようとした場合に、第一石油類の指定数量は200ℓで少量危険物に該当するのは40ℓですから、当該エアゾール缶を80本以上保管する場合には「少量危険物」に該当となります。

ただこの計算ですと「第一石油類のエアゾール缶」だけを対象にしていますので、複数の種類のエアゾール缶を保管する場合には以下の計算になります。

また例題として「第一石油類」に該当するエアゾール缶(500mℓ)を50本(計25ℓ)、「第二石油類」に該当するエアゾール缶(500mℓ)を150本(計75ℓ)保管しようとする場合に少量危険物に該当するかという場合には以下の計算方法にて確認を行います。

危険物の倍数の計算方法

計算方法の下部にある例題にて計算を行うと、第一石油類を25ℓ、第二石油類を75ℓ保管すると倍数が0.2になるので少量危険物としての規制を受けるということがわかりました。

ではこれらの危険物を保管する場所について解説していきます。

 

危険物を保管する場所について

では危険物を保管しようとする場所について解説します。

よくある事例として「事務所兼倉庫と使用している建築物において複数の危険物を保管する場合」について、この事例では下記図の様になります。

危険物を保管する場合の例 その1

この例その1の様に保管すると建物全体において少量危険物の貯蔵所としての規制を受けるので、「壁・柱・天井・床は不燃材料で造られ又は覆われ、窓及び出入口には防火戸を設ける」などの要件が発生してしまいます。

ですのでエアゾール缶以外にも危険物を保管する場合には注意が必要になります。

では複数の危険物を保管する場合にどのように保管するのが良いかという問いには下記の回答を参考にしてください。

危険物を保管する場合の例 その2

この例その2のように危険物を分散して保管すれば少量危険物に該当しなくなるので、1つの建築物で多くの危険物を保管しない様にしましょう。

もちろんプレハブ物置に多くの危険物を保管すれば、プレハブ物置は少量危険物としての規制対象になってしまいます。(下図参照)

危険物を保管する場合の例 その3

この例その3の様にプレハブ物置に危険物を保管しすぎるとプレハブ物置は少量危険物の規制を受けますので気を付けましょう。

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回はエアゾール缶を保管する場合に気を付けるべき点を色々紹介させていただきましたがまとめると

  1. 保管しようとするエアゾール缶が危険物に該当するか
  2. 危険物であれば該当する類から指定数量の確認と倍数を計算する
  3. 複数の危険物を保管する場合には倍数を合算する
  4. 倍数が0.2以上であれば「少量危険物」、1以上なら「危険物」
  5. 危険物は建築物単位で算定するので1つの建築物に多くの危険物を保管しないこと

このような感じになりますのでみなさんも気を付けましょう。

それで記事冒頭で紹介した相談ですが、保管してある塗料のエアゾール缶が「第二石油類」で保管数量が41.4ℓ(230mℓの缶が6缶1箱で30箱)でしたので少量危険物には該当しませんでしたけど、消防署の方も「専用の保管場所を~」とおっしゃっていましたので屋外にプレハブ物置を設置してそこへ保管することを助言しました。

筆者が消防点検などで色々な防火対象物へお伺いするときに、倉庫にエンジン式の草刈り機とその燃料であるガソリン(携行缶入り)が置いてあるのをよく見かけますが、20ℓ入る携行缶を2つ置いておくだけで少量危険物に該当しますので、草刈りをする方は気をつけましょう。

ちなみにガソリンの携行缶の中身が空っぽだとしても消防署の方は「今はたまたま空ですけど、満タンにすれば40ℓになりますよね?草刈りシーズンになれば満タンにしますよね?たとえ今は空っぽでも補充して最大量になりえる量で考えます」と言われますので、例え空っぽでも指摘される可能性があることは知っておくと良いと思います。

上記理由と同じで、20ℓ入る灯油のポリタンクを10個置いておくのも指摘の対象になりえます。

この記事をここまで読んだそこのあなた、早速事業所内に危険物が複数保管されていないか確認しましょう!