皆さんこんにちわ。
以前当ブログに「蓄電池設備の充電装置の出力電流と負荷電流の違いを教えてください」というお問い合わせがありましたので今回はこの電流の違いについてお話したいと思います。
蓄電池設備の充電方式の違いについては下記の記事を参照してください。
電流の違いについて
蓄電池設備の点検要領(その2)に上記の電流(出力電流と負荷電流)について詳細が書かれていますが、何の事について確認すれば良いのかイマイチわかりずらいのでそれぞれについて解説していきます。
蓄電池設備の点検要領のその2を確認したい方は下記の記事を参照してください。
出力電流とは
これは蓄電池設備の充電装置が蓄電池へ出力可能な電流値(定格電流)になります。
電流値は各メーカーや整流器により異なるので事前にメーカーに確認するか、充電装置の取扱説明書を確認しましょう。
ちなみに上記の写真の充電装置であれば
- 浮動充電時のおける定格電流値は3A
- 均等充電時における定格電流値は5A
になります。
蓄電池は常時充電を行っていますので、蓄電池が満タンに近ければこの出力電流は限りなくゼロに近い値になりますが、常時使用する負荷が接続されていればその負荷が使用する電流が流れますので、電流値が上がります。
また、蓄電池を使用した後は充電できる容量ができます(回復充電)ので電流値は大きくなります。
これらを加味して出力(定格)電流=常時負荷電流+充電電流となります。
この時の出力電流が充電装置のメーカーが指定する定格電流値の範囲内(整流器の設定値)になっていれば良いということです。
例えば、とある充電装置の定格電流が10Aとして、蓄電池の容量が無くなって回復充電を行った際の充電電流値が7A、常時負荷への電流値が3Aなら、和は10Aなので良いといことになります。
負荷電流とは
こちらは、実際に充電装置から蓄電池(負荷機器)に流れている電流値を測定して良否を判定します。
ここでは自家発電設備の蓄電池設備を例にお話します。
自家発電設備起動前の蓄電池が満タン状態なら、電流値は限りなくゼロに近い値になりますが、これも負荷電流になります。
ちなみにキュービクルの自家発電設備専用回路(ブレーカー)を落とすと自家発電設備が停電を検知して自動起動しますが、この起動時(停電検知からセルモーターが回る時)に蓄電池から出力している電流は「充電装置」の負荷電流には入りません、それはこの場合の電流値が「蓄電池が自家発電設備」に送っている負荷電流であり、「充電装置」の負荷ではないからです。
そして自家発電設備が停止して、充電装置が蓄電池を充電するときの電流(回復充電電流)は負荷電流になります。
上記の状態の時を点検要領と照らし合わせて
- 充電装置が蓄電池満タン状態で出力している電圧値(電流値)から充電装置が正常であるか。
- 充電装置から蓄電池等の負荷機器へ常時出力している時の電流値が指定の範囲内であるか。
- 充電装置が回復充電を行っている時の電流値(電圧値)が指定の範囲内であるか。
上記を確認します。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回は以前当ブログにお問い合わせのあった出力電流と負荷電流の違いについてお話させていただきました。
要約すると
- 出力電流(定格電流)は充電装置(整流器)が蓄電池へ出力可能な電流値(整流器の設定値)で取説や銘板を見たりメーカーに確認する。
- 負荷電流は充電装置が常時充電している電圧値(電流値)や、負荷機器に流れている電流値、回復充電を行っている時の電流値を測定して指定の範囲内かを確認する。
上記のようになります。
ただ「出力電流」や「負荷電流」という言葉からでは分かりずらい部分ですが、点検要領を確認すればこんな感じになっています。
当初筆者はこの文言に惑わされていた部分があり、良く点検要領を確認しないで「出力電流」だから充電装置が実際に出力している電流値だとか思っていました。
ですが良く点検要領を確認すると違っていたのでやはり確認は必要だということを実感しました。
最後に点検要領には「盤面の電流計にて確認」とありますが、電流計がついていないものもありますので、交流直流の電流を測定できるクランプメーターがあると仕事がはかどると思います。