皆さんこんにちわ。
今回は非常電源(蓄電池設備)の点検要領を点検票のその2(2枚目)の部分である「充電装置」、「逆変換装置」、「直交変換装置」および「結線接続」を解説していこうと思います。
蓄電池の中にはに「ナトリウム・硫黄電池」というものがあるのですが、名前が長いので「NAS電池」と表記、また「レドックスフロー電池」は「RF電池」と表記させていただきます。
また蓄電池設備の充電装置の出力電流と負荷電流の違いについては下記の記事を参照してください。
点検票その2
充電装置(NAS電池及びRF電池を除く。)
以下の項目について目視等にて確認を行います。
-
- 各部品等に著しい異臭、異音、変色、汚損、破損、過熱、腐食等がないことを確認します。
- 外箱、扉、換気口、計器、表示灯、スイッチ等に変形、破損、著しい腐食、汚損等がないことを確認します。
蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)に示されている表示が見やすい位置に行われていることを目視等にて確認します。
以下の項目について目視等及び操作してにて確認を行います。
-
- 変形、破損、脱落、端子の緩み等がないことを確認します。
- 容量が負荷に対して適正なものであることを確認します。
- 開閉位置(「入」、「切」、「ON」、「OFF」)及び開閉機能が正常であることを確認します。
盤面の電圧計を目視等により適正であるこを確認します。また表示灯のあるものは点灯していることを確認します。
- 蓄電池総電圧値と差異がないことを盤面電圧計にて確認します。
- 測定値は、トリクル充電電圧、浮動充電電圧及び定電流定電圧充電電圧の値の1%の範囲内であることを目視等にて確認します。
- 表示灯が正常に点灯していることを目視等にて確認します。
- 鉛蓄電池又はアルカリ蓄電池のトリクル充電電圧又は浮動充電電圧値は、1セルあたりのトリクル充電電圧値又は浮動充電電圧値とセル数の積とする。
- リチウムイオン蓄電池の浮動充電電圧又は定電流定電圧充電電圧値は、セル又はモジュールあたりの浮動充電又は定電流定電圧充電電圧値と、直列接続されたセル数又はモジュール数との積とする。
- 表示灯が正常に点灯していることを目視等にて確認します。
- 製造者指定の電圧値の範囲内にあることを目視等及び直流電圧計にて確認します。
出力電流値が正常であることを盤面の電流計により確認します。
負荷電圧値が正常であることを直流電圧計にて確認します。
負荷電流値が正常であることを盤面の直流電流計により確認して下記により判定する。
- 充電装置が正常に作動しているかどうかは充電電圧により判定する。常時、鉛蓄電池及びアルカリ蓄電池は最適のトリクル充電電圧又は浮動充電電圧値に保たれており、電流は蓄電池の自己放電を補う程度のごくわずかの電流が流れていればよい。
また、リチウムイオン蓄電池は最適の浮動充電又は定電流定電圧充電電圧値に保たれていることを確認します。 - 点検時において停電後常用電源が回復して間もないときは、充電装置は自動的に回復充電を行っているので電圧計・電流計とも高い値を指示することがある。
この場合は、製造者が発行する取扱説明書を参照して、指示値に異常がないかを確認します。 - 下図のように、消防用設備等以外に常時充電する負荷が接続されている場合は、その負荷電流値(Ⅰ)が、ほぼ浮動充電時の電流計の指示値となる
充電装置の入力開閉器を開放してから再び投入したとき鉛蓄電池、アルカリ蓄電池及びリチウムイオン蓄電池(浮動充電のものに限る。)は自動的に充電に入ること。また、24時間以内に充電が完了し、自動的にトリクル充電又は浮動充電に切り替わることを確認します。
リチウムイオン蓄電池(定電流定電圧充電のものに限る。)は、定電流定電圧充電に入り、かつ24時間以内に充電が完了することを確認します。
接地線及び接続部に端子の緩み、断線、著しい腐食等がないことを目視やドライバー等を用いて確認します。
逆変換装置(NAS電池及びRF電池を除く。)
以下の項目について目視等にて確認を行います。
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- 各部品等に著しい異臭、異音、変色、汚損、破損、過熱、腐食等がないことを確認します。
- 外箱、扉、換気口、計器、表示灯、スイッチ等に変形、破損、著しい腐食、汚損等がないことを確認します。
蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)に示されている表示が見やすい位置に行われていることを目視にて確認します。
以下の項目について目視等及び操作してにて確認を行います。
-
- 変形、破損、脱落、端子の緩み等がないことを確認します。
- 容量が負荷に対して適正なものであることを確認します。
- 開閉位置(「入」、「切」、「ON」、「OFF」)及び開閉機能が正常であることを確認します。
定格電圧値の±10%以内であることを盤面の交流電圧計で確認します。
定格電流値以内であることを盤面の交流電流計で確認します。
定格周波数値の±5%以内であることを盤面の周波数計で確認します。
接地線及び接続部に断線、端子の緩み、著しい腐食等がないことを目視やドライバー等を用いて確認します。
直交変換装置(NAS電池及びRF電池に限る。)
以下の項目について目視等にて確認を行います。
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- 各部品等に著しい異臭、異音、変色、汚損、破損、過熱、腐食等がないことを確認します。
- 外箱、扉、換気口、計器、表示灯、スイッチ等に変形、破損、著しい腐食、汚損等がないことを確認します。
蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)に示されている表示が見やすい位置に行われていることを目視にて確認します。
以下の項目について目視等及び操作してにて確認を行います。
-
- 変形、破損、脱落、端子の緩み等がないことを確認します。
- 容量が負荷に対して適正なものであることを確認します。
- 開閉位置(「入」、「切」、「ON」、「OFF」)及び開閉機能が正常であることを確認します。
盤面の電圧計により数値を確認して適正であることを確認し、また表示灯のあるものは点灯していることを目視にて確認します。(直交変換装置に供給する盤で確認を行うこと。)
充電電圧値が適正であるか盤面の直流電圧計にて確認します。
充電電流値が適正であるか盤面の直流電流計にて確認します。
定格電圧値の±10%以内であることを盤面の交流電圧計にて確認します。
(非常電源として自立運転する回路で確認を行うこと)
定格電流値以内であることを盤面の交流電流計にて確認します。
(非常電源として自立運転する回路で確認を行うこと)
接地線及び接続部に断線、端子の緩み、著しい腐食等がないことを目視やドライバー等により確認します。
結線接続
充電装置、逆変換装置、直交変換装置、蓄電池端子と配線、蓄電池間の接続部の全セル及びNAS電池のモジュール電池間のケーブルについて目視、触手又はトルクレンチ等を用いて下記の事項について確認します。
- 充電装置、逆変換装置、直交変換装置は、機器の端子と配線との接続部に断線、端子の緩み、発熱、損傷、腐食等がないことを確認します。
- 鉛蓄電池は、蓄電池間の接続部に断線、端子の緩み、発熱、焼損、腐食等がないことを確認します。
- アルカリ蓄電池及びリチウムイオン蓄電池は、製造者の指定する方法により緩みがないことを確認します。
- ナトリウム・硫黄モジュール電池は、電池間のケーブル支持の緩み、コネクター部の外れ、絶縁キャップの損傷、発熱、損傷、腐食等がないことを確認します。
- 電解液の付着や浸透により接続部に腐食を生じることがあり、これが不導通や焼損、場合によっては誘爆の原因となることがあるので十分注意して点検すること。
- 触手により点検するときは、手袋等を用い、感電及び電解液が手に付着しないように注意をすること。
- 接続部に緩みを認めたときは関係者に連絡する等適切な処置をとること。増締めを行うときは、短絡及び締め過ぎに注意すること。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回は非常電源(蓄電池設備)の点検要領を点検票のその2の部分についてお話させていただきましたが、NAS電池やRF電池はあまりみかけないと思いますので、メインとしては鉛蓄電池やアルカリ蓄電池になるかと思います(筆者はアルカリ蓄電池やNAS電池・RF電池は見たことありません。)
また上記に記載のあった充電方式(浮動、トリクル、均等など)ですが、これは別の記事にまとめてありますので、興味あるかたは参考にしてみてください。
あと、各点検項目で「直流電流計にて確認する」とか「交流電流計にて確認する」という項目がありましたが、電圧に関しては大体の機器に電圧計が付いていますし、付いていなくても皆さんお持ちであろうテスターにて計測することができますが、電流については電流計がない場合はテスターで計測できません。
点検する機器によってはこれらの計器が設置されていない場合がありますので予めクランプメーターなどを準備しておくのが良いかと思います。