避難器具の点検要領 機器点検編

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皆さんこんにちは。

なんか今季は例年より寒い気がするのですが私だけでしょうか?さて、今回は避難器具の点検要領を点検票に沿ってやっていきます。

 

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周囲の状況

設置場所

避難器具が設置されている場所が

  • 設置場所の模様替え等により、個室、倉庫等に変更され、接近しにくくなっていないか。
  • 避難器具が設置されている室の出入口は、施錠されていないか。
  • 接近を妨げるもの物品等が置かれていないか。
  • 避難器具格納場所の周りに物品等が置かれており、当該器具の所在が分かりにくくなっていないこと。
  • 避難器具の位置が移動されて、所定の設置場所(避難器具の標識がある場所等)から著しく離れていないか。
  • 使用方法の確認、操作等が安全にかつ円滑に行うことができる明るさが確保されていること。

上記を目視等で確認します。

 

操作面積等

  • 器具に応じた操作面積が確保されているか。
  • 操作面積内に軽量で移動容易なものを除き、操作上支障となる障害物が置かれていないか。
  • 格納箱の上に操作に支障となるような物品等が置かれていないか。

以上を目視若しくは実測して確認します。

操作面積の表

 

開口部

避難器具を窓枠などに取り付けて使用するものに限る。

  • 開口部に避難の障害となるものが取り付け、又は置かれていないか。
  • ストッパー、戸車等が錆ついてなく、開口部が容易に開閉できるか。
  • 扉、蓋等を開けた場合のストッパーは確実にかかり、振動、衝撃等ではずれないか。
  • 床から開口部下端までの高さは120 ㎝以下であるか。
  • 避難上支障のおそれのある高さの開口部には、適正な固定式又は半固定式の踏台等があるか。
  • 踏台等は使用不能の状態となっていないか。
  • 開口部は器具に応じた大きさであるか。

以上を目視・操作・実測で確認します。

開口部の大きさの表

 

降下空間

器具を展開して降下させた空間が

  • 降下空間は、器具に応じた大きさであるか。
  • 看板等の新設や樹木の成長等で障害となっていないか。
  • 電線がある場合は、降下空間から120 ㎝以上の間隔を有しているか。ただし、当該架空電線部分に絶縁措置が構じられていて安全と認められる場合は、この限りではない

以上を目視・実測で確認します。

 

避難空地

器具を降ろして降下した地面(避難空地)が

  • 器具に応じた大きさであるか
  • 障害物がないか
  • 器具に応じた幅員以上の避難に有効な通路で広場・道路等につうじているか

標識

「避難器具の位置を示す標識」と「使用方法を表示する標識」が変形・破損・不鮮明・脱落がなく、物品等により見えにくくなっていないかを確認します。また大きさと色が決まっています。

避難空地の表

 

避難器具の位置を示す標識

貼る場所

避難器具直近の見やすい箇所避難器具の設置箇所に至る廊下、通路等

大きさ等

縦12cm以上、横36cm以上で、「避難器具」又は「避難」若しくは「救助」の文字を有すること。

ただし、容易にわかるシンボルマークを表示した場合はこの限りでない。

地色と文字の色は相互対比色とする
※避難器具の設置場所が容易にわかる場合はこの限りではない。

 

避難器具の使用方法の表示

貼る場所

避難器具直近の見やすい箇所。

大きさ等

図及び文字を用いてわかりやすく表示する。

特に指定なし。
※使用方法が簡単なものにあっては設置しないことができる。

 

器具本体

避難はしご

目視及び操作により確認する。

金属製避難はしごの例

縦棒

  • 変形、破損、腐食がないか確認する。
  • チェーン、溶接箇所に割れ、損傷がなく、ワイヤロープ、繊維製ロープにほつれ、糸切れがないか確認する。

横さん

  • 変形、損傷、腐食がないか確認する。
  • 踏み面の滑り止めは、磨耗、はがれ等がなく、適正であるか確認する。

突子

  • 変形、損傷、腐食がなく、所定の長さ(10cm以上)であるか確認する。

結合部等

  • 接合部のかしめや割りピンに、変形、破損、割れ、腐食がないか確認する。
  • ボルト・ナットに緩み止めの措置が施されており、繊維製ロープと横さん結合部は堅固で緩みがないか確認する。
  • 本体との接合部は、堅固で緩みがないか確認する。

可動部

  • 外形変形、損傷、腐食がないか確認する。
  • 機能回転部、折りたたみ部、伸縮部の作動が円滑であるか、固定収納式にあっては、止め金の作動が円滑であるか確認する。

つり下げ金具

  • 各部に変形、破損、錆、著しい腐食等がなく、チェーンはねじれ、接合部の損傷等がないか確認する。
  • 固定部材に確実に取り付けられているか、又は容易に取り付けられる状態にあるか確認する。

ナスカンフックの例

自在金具の例

 

緩降機

目視及び操作により確認する。

緩降機の例

調速器

外形

  • ビス、ナット、リベット等に変形、破損、腐食、緩み、脱落等がなく、封印部に異常がないか確認する。
  • 著しい打痕その他の損傷、著しい錆等がないか確認する。
  • 注油を禁じているものにあっては、注油の痕跡がないか確認する。
  • 油圧式のものには、油漏れがないか確認する。

機能

調速器を固定し、ロープを手動で往復走行させ、作動状況に異常がないか確認する。

  • ロープが円滑に走行するか。
  • 適度の抵抗感があり、不安定な抵抗感でないか確認する。
  • ※目視により異常のあるものは、作動事項で必ずしも異常を感じなくとも、内部に異常を発生させる原因を有しているものとすること。
  • ※不安定な抵抗感のあるものは、性能及び強度上欠陥があるものとすること。

調速器の連結部

  • 変形、破損、腐食、錆等がないか確認する。
  • 作動部は円滑に作動するか確認する。
  • 安全環、止め金具に異常がないか確認する。

ロープ

  • 破損、腐食、著しい糸切れや磨耗、吸湿等による老化、錆等がないか確認する。
  • ロープの長さは、使用状態において設置場所に応じた長さであるか確認する。
  • ※ 所定の長さに適合していないものは、当該器具が所定の階数(位置)から移動されていないかを確認すること。

着用具

  • 変形、破損、腐食、著しい磨耗及び老化の原因となる薬品、油、錆、かび、その他強度を減少させるものが付着していないか確認する。
  • 各部品の作動が円滑であること。
  • 最大使用者数に応じた着用具の数がロープの末端に緊結されていること。

ロープと着用具の緊結部

  • 緊結金具は、破損、腐食、緩み、錆等により強度上に異常のないか確認する。
  • 堅固に結合されているか確認する。
  • 分解した痕跡がないか確認する。

すべり台

目視及び操作により確認する。

底板及び側板

底板及び側板の表面は、平滑で段差、隙間等がなく、変形、破損、錆、腐食等がないか確認する。ただし、ローラー式の滑降面は、滑降に支障のない隙間を有しているか確認する。

半固定式のもので下端を持ち上げておく部分の止め金等は、簡単な操作ではずすことができ、振動、衝撃等によって容易にはずれず、変形、破損、錆、腐食等がないか確認する。

すべり面の勾配

滑り面の勾配(らせん状のものは滑り面の幅の中心線の勾配)は、おおよそ25~35 度であること。

手すり

表面が平滑であり、変形、破損、錆、腐食等がないか確認する。

 

すべり棒

目視により確認する。

  • すべり棒の器具本体は均一な円柱で表面が平滑であり、変形、破損、錆、腐食等がないか確認する。
  • 上部及び下部は棒が離脱及び回転しないよう堅固に固定されており、変形、破損、錆、腐食等がないか確認する。

 

避難ロープ

目視及び操作により確認する。

ロープ本体

  • 変形、破損、ほつれ、腐食、著しい磨耗、著しい吸湿等がないか確認する。

結合部

  • 結合部及び結び目が緊結されているか確認する。

つり下げ金具

  • 変形、破損、錆、腐食等がなく、取付具に確実に取り付けられているか確認する。

 

避難橋

目視及び操作により確認する。

出典“(財)日本消防設備安全センター 消防用設備等点検実務必携”より 避難橋の例

床板、手すり等

  • 各部に変形、破損、錆、腐食等がないか確認する。
  • 安全上十分なかかり長さを有しているか確認する。
  • 床板に隙間がなく、滑り止めの措置を講じてあるか確認する。また、勾配を有する床面の滑り止めに著しい磨耗等がないか確認する。
  • 床板と手すりの中間部に転落防止の措置を講じてあるか確認する。

接合部

  • 接合部に亀裂、変形、破損等がないか確認する。
  • 支持部は堅固で緩みがないか確認する。

可動部

  • 外形…変形、破損、著しい腐食、錆等がないか確認する。
  • 機能…回転部、折りたたみ部、伸縮部の作動が円滑であるか確認する。

 

避難用タラップ

目視及び操作により確認する。

出典“(財)日本消防設備安全センター 消防用設備等点検実務必携”より 避難用タラップの例

踏み板、手すり等

  • 各部に変形、破損、錆、腐食等がないか確認する。
  • タラップの踏み板の滑り止めに著しい磨耗等がないか確認する。
  • 半固定式のものの止め金等は簡単な操作ではずすことができ、なおかつ振動、衝撃等ではずれるおそれがないか確認する。

接合部

  • 固定される部分は堅固で、亀裂、変形、損傷、錆、腐食、緩みがないこと。

可動部

  • 外形…変形、破損、腐食、錆等がないか確認する。
  • 機能…回転部、折りたたみ部、伸縮部の作動が円滑であるか確認する。

 

救助袋

目視及び感触により確認する。

出典“(財)日本消防設備安全センター 消防用設備等点検実務必携”より 救助袋の例

本体布及び展張部材

  • 袋本体の長さは使用状態において、垂直式、斜降式共に「表示の長さ」であり、袋本体の下部出口と降着面との間隔が無荷重の状態で50cm以下であるか確認する。
  • 袋の用布及び展張部材(ロープ、ベルト等をいう、以下同じ。)に穴、切り傷、裂け傷、破れ等の破損、ほつれ、腐食、著しい磨耗(摩擦によりケバ立ちが生じその部分が弱くなっていることをいう、以下同じ。)がないか確認する。
  • 袋本体は著しい吸湿、むれ及び著しい変色がないか確認する。
  • 袋本体は薬品、油脂、錆、かび、その他強度を減少させるものが付着していないか確認する。

縫い合せ部

  • 袋本体と入り口金具との結合のため、鳩目を使用しているものにあっては、鳩目が損傷及び脱落していないか確認する。また、縫糸等を使用しているものにあっては、糸切れ及び著しい磨耗がなく、かつ、用布の針目に切れ等がないか確認する。
  • 袋の用布と展張部材との結合が緊結されているか確認する。

保護装置(斜降式の救助袋に限る。)

  • 転落防止用ネット及び用布は、破損、腐食、著しい磨耗等がないこと。

結合部

  • 展張部材と入口金具の結び目に緩み、破損等がないか確認する。
  • 取手に破損及び著しい摩耗がないか確認する。
  • 下部出口と保護マットの結合が強固で、縫い糸切れがないか確認する。

可動部

  • 外形…変形、破損、腐食等がないか確認する。
  • 機能…回転部、折りたたみ部、伸縮部の作動が円滑であるか確認する。

 

取付具及び支持部

取付具

目視、操作及びトルクレンチ等により確認する。

  • 著しい変形、破損、錆、腐食、ねじれ、曲がり等がないか確認する。
  • 固定部材等に堅固に取り付けられ、ボルト、ナットの緩み又は脱落等がないか確認する。
  • ナットの締め付けトルクは、下記に適合する締め付けトルク値であること。
    M10×1.5・・・1500~2500N・cm
    M12×1.75・・・3000~4500N・cm
    M16×2・・・6000~8500N・cm
    ※トルクレンチを用いて測定したときのゲージの目盛りを読んで、それぞれ使用しているアンカーと上記強度と対照すること。

可動部

目視及び操作により確認する。

  • 取付具等の回転部分が円滑であるか確認する。
  • 取付具の結合部に著しいガタつき及び過大な横方向の遊びがないか確認する。
  • 入口金具を電動等により作動させるものにあっては、作動が正常であるか確認する。

支持部

目視、操作及びトルクレンチ等により確認する。

  • 支持部は堅固で緩みがなく、著しい変形、破損、錆、腐食等がないか確認する。
  • ボルト・ナットの緩み又は脱落がないか確認する。
    ※ ナットの締め付けトルク値は、上記強度に適合する締め付けトルク値であるか確認する。
  • 固定ベースは、き裂等の破損が生じていないか確認する。
  • 斜降式救助袋下部支持装置の滑車の巻締めロープ等に、破損、腐食等がなく、滑車の回転が円滑であるか確認する。

固定環(斜降式の救助袋に限る。)


目視及び操作にて確認する。

  • 保護蓋の上に土砂のたい積等がないか確認する。
  • 保護蓋は、著しい腐食、破損及び変形がなく、容易に開放できるか確認する。
  • 保護蓋は紛失しないような措置が講じられているか確認する。
  • 保護蓋の階数標示は汚れ、摩耗等により判別しにくい状態になっていないか確認する。

 

ハッチ

ハッチの例

目視及び操作により確認する。

上蓋

  • 変形、破損、著しい腐食、錆等がなく、雨水等の浸入防止及び漏らない処置が適正であるか確認する。
  • 開閉操作が容易にできるか確認する。

下蓋

  • 変形、破損、著しい腐食、錆等がなく、排水措置が適正であるか確認する。
  • 開閉操作が容易にできるか確認する。

使用方法の表示

  • 使用方法及び警告ラベルが適正にされていること。

 

格納状況

目視により確認する。

格納箱

  • 変形、破損、著しい腐食、錆、雨水の浸入等がなく、蓋等が容易に開閉できるか確認する。
  • 所定の位置に置いてあるか確認する。
  • 器具本体の腐食等を防止する措置が適正に講じられているか確認する。

格納状況

  • 器具本体に適合した格納箱等に、使用に支障のないよう整理されて格納してあるか確認する。
  • 取付具は、使用時に支障のないように収納してあるか確認する。

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

避難器具は種類があって覚えるの大変ですよね。それぞれ降下空間や避難空地の数値も違いますし、点検要領もちがうのでややこしいです。

今回は機器点検の部分を説明させていただいたので次回は総合点検の部分を説明していきたいと思います。