消火器標識の代わりになるピクトグラムの設置について

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皆さんこんにちわ。

先日また勉強会がありまして、その議題の中にちょうど良い案件があったので皆さまに紹介したいと思います。今回の記事は(一財)日本消防設備安全センターが発行している「月刊フェスク」の2018年2月号に掲載されていたものを参考にお伝えしようと思います。

 

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なぜピクトグラムと多言語表示なのか?

皆さんもご存知かと思いますが、2020年に東京オリンピックが開催される予定です2021年に開催され、それに伴い外国人観光客が今より増えると予想されています。

その為東京消防庁では多数の外国人観光客が利用すると思われる空港、駅、ホテル、競技会場や商業施設等に設置されている消防用設備等に案内図記号(ピクトグラム)の設置と多言語表示を推奨しているそうです。

 

推奨の経緯

東京都知事の諮問機関である火災予防審議会において「今後外国人観光客の増加が見込まれることから、2020年東京オリンピック、パラリンピック競技会場関連施設では、災害の情報提供や避難誘導指示について多言語表示及び案内図記号(ピクトグラム)を活用するべきである」と提言されました。これをふまえて東京消防庁は平成29年4月に消火器のピクトグラムの設置等を指導するための通知を出しました。

 

ピクトグラムとは?

消火器のピクトグラムの例

消火器のピクトグラムの例

「文字や言葉に代えて図記号を表示し、国や言語を超えて視覚による理解を可能にするもの」で、駅や空港などの公共施設を中心に広く普及しており、トイレ・喫煙場所・車いすが利用出来るスペースなど、様々な場所で利用されています。消防用設備等だと避難口誘導灯のピクトグラムが代表的なものになります。

ちなみにこの避難口誘導灯のピクトグラムは日本人が考案したそうで、昭和57年1月20日に告示化された「誘導灯及び誘導標識の基準」として法令に定められ、昭和62年にはISO(国際標準化機構)にも採用されているとのことです。

 

ピクトグラムの設置推奨対象物

上記で紹介したピクトグラムの設置推奨の通知は、消火器が設置されている全ての防火対象物又はその部分としているが、東京オリンピックに向けて多数の外国人観光客が利用するであろう施設(下記参照)を優先しています。

  • 東京オリンピック・パラリンピック競技大会関連施設
  • 火災予防条例第55条の2の2の規定に基づく防災センター適用の大規模商業施設
  • 火災予防条例第55条の2の2の規定に基づく防災センター適用の旅館・ホテル
  • 空港・鉄道ターミナル駅
  • その他、規模・形態等により設置することが望ましい防火対象物

 

消火器のピクトグラムの設置要領

  1. 消火器のピクトグラムはJIS(日本工業規格)Z8210に適合するもので、地を赤色、シンボルを白色で表すものである。またピクトグラムの大きさは9cm角以上とし、設置場所の視認性を考慮した大きさとする。
  2. 床置き・壁掛け等で、消火器を直接視認できる場合は消火器のピクトグラムを設置すれば基準の特例を適用して「消火器」の標識を設けないことができる
  3. 消火器のピクトグラムは、床面から概ね0.8〜1.5m以下の高さに設ける。また消火器を屋内消火栓等と近接設置する場合には、消火器のピクトグラムの床面からの高さと屋内消火栓等の表示灯の高さを合わせる。
  4. 消火器を格納箱等に収納し、直接視認出来ない状態で設置する場合は、消火器のピクトグラムを設け、格納箱等に「消火器」と表示する。この「消火器」と表示する文字の大きさや色等についての指定はない。
  5. 消火器のピクトグラムは、多数の者が立ち入り又は通行する場所に設ける消火器に優先的に設置を行う。
  6. 消火器のピクトグラムの大きさ及び設置位置は、大規模空間などの設置場所の環境に応じて視認性を考慮すること。

ピクトグラムの設置例

 

ピクトグラム設置例

 

 多言語表示の併記

格納箱等に「消火器」・「消火栓」等と表示する場合は、消火栓の表示にも英語などの言語を併記する。以下表示例

  • 消火器→「Fire Hydrant」
  • 消火栓→「Fire Extinguisher」

 

ピクトグラムを全国へ

総務省消防庁から「消防用設備等に係る執務資料の送付について」(平成29年11月20日付、消防予第355号)が通知されました。

上記で紹介した消火器のピクトグラム(9cm角以上)を設けることにより、消防法施行令第32条の規定を適用し、消防法施行規則第9条第4号に規定する標識を設けないことができるとされ、近年外国人観光客が増加傾向にあることから、ホテル・駅舎・空港などの防火対象物や、外国人観光客の利用が想定される施設に対しこのピクトグラムを設置するよう指導することが望ましいとなりました。

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

最近はこのピクトグラムによる表示が多くなってきています。今回紹介した消火器のピクトグラムの他にも、電気自動車の急速充電装置や駐車場や温泉など、身近なところで増えてきています。

今後このようなピクトグラムは増えていき人種や言語に関係なく、みんなが容易に理解できる便利な日本ができていくのだろうと思います。私もピクトグラムならパッと見で何なのかがわかりますので助かります。みなさんもこの消火器のピクトグラムの導入をご検討されてはいかがでしょうか?