配線の点検要領と点検票記入例

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皆さんこんにちは。

今回の記事は消防用設備には欠かせない配線の点検要領と点検票記入例を解説していきながら、耐熱配線や耐火配線の使用範囲についてもイラストで解説しています。

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配線の点検要領

専用回路

  1. 消防用設備等専用である旨の表示(自火報専用や誘導灯専用など)があり、その表示に汚損、不鮮明な部分がないか目視にて確認する。
  2. 消防用設備等への配線の途中で他の負荷のための配線を分岐されていないか目視や開閉器の操作により確認する。
    ただし、消防法施行規則第25条第3項第4号イのただし書に規定する火災通報装置又は火災通報装置の基準(平成8年消防庁告示第1号)第3第16号の規定によりIP電話回線を使用する火災通報装置に係る回線終端装置等(ONU等)であって、その電源が分電盤との間に開閉器が設けられていない配線からとられており、かつ、当該配線の接続部に火災通報装置用のものである旨又は火災通報装置に係る回線終端装置専用等のものである旨の表示があり、振動又は衝撃により容易に緩まないように措置されている場合はこの限りではない。(IP回線を使用する火災通報装置の回線終端器(ONU)の専用回路に用いる電源についての規定

開閉器及び遮断器

  1. 破損、溶断、過熱、変色等がないか目視にて確認する。
  2. 接続部が確実に接続されているか目視やドライバー等で確認する。(充電部を確認する場合は電源を遮断してから行う)

ヒューズ類

  1. 損傷、溶断等がなく、回路図等に示された所定の種類及び容量のものが使用されているか目視にて確認する。
  2. ヒューズ容量は電気設備に関する技術基準の解釈第37条に基づいて取り付けられているか目視及び関係図書等により確認する。

絶縁抵抗

以下の手順により確認する。

  1. 測定電路の電源をブレーカーや断路器等により遮断し、検電器等で更に充電が無いことを確認してから測定箇所の絶縁抵抗を確認する。
  2. 測定時の結線は、下図を例に行う。(図中のMCCBは全て遮断してあります)
  3. 低圧電路(交流600V以下)にあっては、開閉器又は遮断器の分岐回路ごとに大地間及び配線相互間の絶縁抵抗値を100V、125V、250V又は500Vの絶縁抵抗計を用いて測定する。
    ただし、配線相互間で測定困難な場合は測定を省略してもよい。
  4. 高圧電路(交流600Vを超え7000V以下)にあっては、電源回路相互間及び電源回路と大地との間の絶縁抵抗を1,000V、2,000V又は5,000Vの絶縁抵抗計を用いて測定する。

 

大地間における絶縁測定の例

配線相互間における絶縁測定の例

以下により良否を判定する。

1、電源回路、操作回路、表示灯回路、警報回路、感知器回路、附属装置回路、その他の回路の絶縁抵抗値は下記の表の上側に掲げる使用電圧の区分に応じ、それぞれ下欄の数値以上であること。

300V以下で対地電圧150V以下 300V以下で対地電圧151~300V以下 300Vを超えるもの 3000V高圧電路 6000V高圧電路
0.1MΩ以上 0.2MΩ以上 0.4MΩ以上 3MΩ以上 6MΩ以上
  1. ※静電容量の大きいコンデンサやケーブルなどでは電源を切っても、しばらくの間電気が残留することがあるので電源を切ったからといって、すぐ電気回路に触れることは危険であるので感電に留意し必ず回路を接地する必要がある。
  2. ※静電容量の大きい機器やケーブルなどの場合は、充電電流が流れるので、指針が落ち着いた時点で読みとること。
  3. ※測定開始時で回路を遮断する場合は負荷側から行い、終了時の開閉器の投入は電源側から行うこと。
  4. ※測定器は水平にして測定すること。
  5. ※他の法令により点検が実施されている場合は、その測定値をもってあてることができる。

耐熱保護

  1. 電源回路にあっては耐火配線であり、露出配線の場合は耐火電線又はMIケーブルに損傷等がなく、金属管等を用いて埋設(耐火電線又はMIケーブル以外の電線を用いる場合)されている場合は、その埋設部分のコンクリート等が脱落して露出していないか目視にて確認する。
  2. 電源回路以外(操作回路、警報回路、表示灯回路等)にあっては、耐火配線又は耐熱配線であってその保護部分に損傷等がないか目視にて確認する。
  3. 各設備の詳細は下図を参照のこと。







耐火・耐熱保護配線の電線の種類と工事方法

耐火配線及び耐熱配線は以下によること

配線の点検票 記入例

一般的な事項

表題の右にある設備名には配電盤や分電盤から非常電源の供給を受けている消防用設備等の名称を全て記入し、( )内に記入できない場合には備考欄に記入します。
防火対象物の棟を単位として作成するので全ての配線について点検を行って、判定が×であった場合の配線については、当該判定欄を×印記入するとともに、備考欄に対象となる設備名(屋内消火栓設備など)並びにその配線名(消防用設備等への回路)と不良内容(絶縁不良や断線など)を記入します。

また、複数の配線に不良があった場合は、備考欄に配線名、測定結果を記入します。

種別・容量等の内容欄

専用回路

特記事項があれば記入する。

開閉器・遮断器

種別(NFBやCBなど)及び定格容量(20Aなど)を記入する。

ヒューズ類

種別(爪付きヒューズなど)及び定格容量(20Aなど)を記入する。

絶縁抵抗

回路を測定した実測値を記入する。

耐熱保護

耐熱保護の措置方法(RC埋設や金属管工事など)を記入し、耐火電線・MIケーブル・耐熱電線を使用したものについては、その旨を記入する。

記入例

今回の記入例では、政令別表第一の15項(事務所等)に屋内消火栓設備、自動火災報知設備、誘導灯を設置してある設定です。

屋内消火栓設備は屋外の変電設備(キュービクル式)から非常電源専用受電で受電し、電源回路に耐火電線を使用して、表示灯回路に耐熱電線を使用しています。

自動火災報知設備は常用電源を1階分電盤から供給し、警報回路に耐熱電線を使用しています。

誘導灯は電気室に常用電源と別置型の非常電源の蓄電池設備があり、そこから各誘導灯へ「常用電源は一般電線(VVF等)」で、「非常電源は耐火電線(FP)」で配線してあります。

ちなみに絶縁抵抗の欄に「常用」と「非常」の欄がありますが、今回の例で言うと、

  • 屋内消火栓設備は非常電源専用受電で常用電源と非常電源を同じ耐火電線で供給されているので、絶縁値記入は「常用」になります。
  • 自動火災報知設備は常用電源のみを供給されているので「常用」になります。(非常電源は受信機内部の予備電源である。)
  • 誘導灯は常用電源は一般電線で供給され、非常電源は耐火電線で供給されていますので、常用電源(一般電線)部分は「常用」になり、非常電源(耐火電線)部分は「非常」になります。

わかりやすく言うと、常用電源も非常電源も一つの配線で一緒に供給される配線の絶縁抵抗値は「常用」に記入し、非常電源しか供給されない耐火配線の絶縁抵抗値は「非常」に記入になります。

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回は配線の点検要領と点検票記入例について解説してきましたが、配線の点検票については所轄消防により記入の仕方が変わる可能性がありますので注意してください。

ある消防署では配線点検票は電源を使用する設備ごとに記入して提出しています(屋内消火栓・自火報・誘導灯なら配線点検票が3枚)。

これについては点検実務必携などの本に配線点検票は防火対象物の棟単位での記入となっており、対象設備が何個あっても配線点検票は1枚になりますので所轄消防あるあるといった感じでしょうか。