消火器具の点検要領 その2

皆さんこんにちは。

今回は前回の続きで、消火器の内部及び機能編をやっていきます。

一般の人向けに消火器の点検方法を具体的に説明した記事もあるのでそちらもご覧下さい↓。

消火器の具体的な点検方法(一般の人向け)

消火器のロット作成について詳しくはこちら↓

消火器の機能点検の手順、ロットの作成方法

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消火器の内部等・機能

これまでは主に外観で確認できる点検でしたが、ここからは消火器内部の点検と各部品の機能点検になります。この内部及び機能点検を行わなければならない消火器は

製造年から3年を経過(化学泡消火器は設置後1年、蓄圧式消火器は製造年から5年)したもの

※3年を経過するとは・・・2010年製造消火器は2014年の点検から3年を経過していると判断する。

外観点検で安全栓・安全栓の封・緊結部に異常があったもの(使用済み表示装置が設けられている消火器で、表示装置が脱落・作動していないものは大丈夫。)

二酸化炭素消火器・ハロゲン化物消火器は消火薬剤量以外の点検を除外(消火器が高圧ガス法の適用をうけているので内部の点検ができないため)

になります。

化学泡消火器はここ最近見かけませんので、製造年を3年経過したら行うと覚えておきましょう。

泡消火器の断面図 引用“財団法人日本消防設備安全センター 消防設備点検資格者再講習テキスト”より

粉末消火器の断面図 出典“財団法人日本消防設備安全センター 消防設備点検資格者再講習テキスト”より

また機能点検を行う代わりに当該消火器を新品消火器に入れ替えを行うことで機能点検の対象消火器をなくすといったこともできます。

(例→蓄圧式消火器が製造年から5年経過し機能点検の対象になったのでその消火器を破棄して新品消火器に入れ替えた。)

消火器内部の点検を行うには本体容器のキャップを開けなければなりませんが、その際専用のキャップスパナを使用し、タガネ・マイナスドライバーなどで開けないようにしましょう。

キャップの外形やねじ部がダメになってしまう可能性があるので専用品を使いましょう。

本体容器・内筒等

本体容器

本体容器内部に腐食・塗膜はく離がないか確認します。

内部の確認に際し照明器具・反射鏡などがあると良い

内筒等

本体容器内に内筒が入っている機種(泡消火器など)で、内筒・内筒ふた・内筒封板に変形・破損・腐食・薬剤の漏れがないか確認します。

液面表示

水系の消火器(強化液・泡・水消火器など)は容器内部に液面を表示する部分があるのでその表示が明確か確認します。

消火薬剤

 性状

薬剤の変色・腐敗・沈殿物・固化がないか確認します。(液体の薬剤はポリバケツなどに移して確認し、粉末の薬剤はビニール袋などに移して確認します。)

消火薬剤量

薬剤量を質量で表示しているものは質量を測る、液面表示のあるものは液面表示と同じ量が入っているか確認する。

また質量で表示しているものは量の許容範囲があるのでその範囲内か確認する。↓

薬剤量1kg未満・・・+100g~-80g

薬剤量1kg以上2kg未満・・・+200g~-80g

薬剤量2kg以上5kg未満・・・+300g~-100g

薬剤量5kg以上8kg未満・・・+400g~-200g

薬剤量8kg以上10kg未満・・・+500g~-300g

薬剤量10kg以上20kg未満・・・+700g~-400g

薬剤量20kg以上40kg未満・・・+1000g~-600g

加圧用ガスの重量表 出典“財団法人日本消防設備安全センター 消防設備点検資格者再講習テキスト”より

加圧用ガス容器

ボンベの外観を目視で確認し、変形・損傷・腐食がなく、封板に損傷がないか確認します。

また、ボンベがCO2・N2混合ガス封板ボンベ、二酸化炭素ボンベのものは質量を測って質量が許容範囲内にあるか確認します。

また、ボンベが容器弁付窒素ガスボンベの場合は内圧を測定し許容範囲内か確認します。

取付・取外の際はボンベのねじが右ねじと左ねじがあるので注意しましょう。

カッター・押し金具

カッターとは上記加圧用ガスボンベの封板に穴を開ける針(カッター)です。

押し金具は大型消火器等の加圧用ボンベの封板を開ける針(カッター)のついた金具です。

どちらも加圧用ガスボンベを取り外した後にレバー・ハンドル等を動かしてみて円滑に動くか確認し、かつ変形・破損がないか確認します。

ホース

ホースを取り外し、ホース接続部、ホース内部に詰まりがないか確認します。

開閉式ノズル・切替式ノズル

開閉式ノズルの例

ホースの先端に開閉式・切替式のノズルが付いている機種があります。

開閉式は文字通り開け閉めができるノズルで、切替式は水系消火器で薬剤放射を棒状放射と噴霧放射の切替ができるノズルです。

共に開閉・切替が円滑に行え、確実の作動するか確認します。

指示圧力計

蓄圧式消火器を機能点検する際に内圧を排圧しますが、そのときに指示圧力計の指針が円滑に作動するか確認します。

または機能点検終了後に内圧を規定値まで加圧しますがその際に指針が円滑に上昇するか確認します。

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使用済みの表示装置

これは外観点検で出てきた表示装置ではなく、加圧式消火器を使用し、容器内圧力が上昇した際に作動する表示装置を言います。

日本ドライケミカル㈱というメーカーの消火器のキャップ部にその表示装置が付いていて(プレッシャーアイと言う)、その表示装置の作動軸が円滑に作動するか確認します。下記写真の表示装置は赤い棒が出てきているので使用済みということになります。

使用済み表示装置の例

圧力調整器

加圧用ボンベに付いている圧力調整器にガスを通して指針が円滑に動くか確認します。

  1. 圧力調整器二次側(圧力調整器から本体容器の間)にコック(バルブ)が付いているものはコック(バルブ)を閉め、付いていないものは二次側配管を圧力調整器の接続部で外してメクラキャップをつけて、消火器本体容器に圧力がかからないようにする
  2. 加圧用ガスボンベのバルブ(容器弁)をゆっくり開けてガスを導入し圧力調整器の指針が円滑に作動するか確認する。このときに接続部からガス漏れがある場合はすぐにガスボンベのバルブを閉めて漏れの箇所を確認して増し締めなどの処置を行う
  3. 加圧用ガスボンベのバルブを閉めて圧力調整器の指針が下がらない事を確認する。このとき指針が下がる場合は再度接続部を確認し、接続部からガス漏れを確認できない場合は圧力調整器内部で漏れている可能性があるので圧力調整器を交換するなどの処置をする。
  4. 圧力調整器内の圧力を排圧弁があるものは排圧弁を操作して排圧し、排圧弁などがない機種は配管やキャップの接続部をゆっくり緩めてガスを排圧する。完全に排圧できたら配管、コックなどを定位置に復旧する。

安全弁及び減圧孔(排圧栓を含む)

安全弁はガス系消火器や化学泡消火器についています。ガス系消火器は消火薬剤量以外の機能点検はしなくて良いので該当するのは化学泡消火器です。

減圧孔は各消火器のキャップのネジ部にある溝(穴)です。排圧する際にキャップを緩めると、この減圧孔から内圧が抜ける機構になっています。

排圧栓が付いている機種は排圧栓を操作して排圧します。これらの安全弁・減圧孔などが破損、変形していなくてちゃんと作動するか確認します。詰まりがある場合は清掃します。

減圧孔の例

粉上がり防止用封板

加圧式粉末消火器についています。消火薬剤の粉末がサイホン管内に侵入して固化し、使用に際して粉末消火薬剤が放射できなくならないように取り付ける封板です。

この封板は各消火器メーカーで形状・材質が違うので、交換する際はメーカー指定の封板を使って下さい。

この封板が変形、破損していなくて確実に装着されているか確認します。

パッキン

消火器のキャップ・内筒・カッター取付部などについているパッキンに変形・破損・老化等がないか確認します。

サイホン管・ガス導入管

サイホン管及びガス導入管内に詰まりがないか、変形・破損等がないか確認します。

詰まりがある場合はエアブローなどで清掃します。

また接続部に緩みがある場合は増し締めします。

ろ過網

化学泡消火器に付いています。本体容器内で薬剤が混合し、泡消火薬剤となって放出する際にホース根元に付いていて薬剤をろ過します。

その網に変形・腐食・詰まりがないのを確認します。

放射能力

実際に消火器を操作して消火薬剤を放射する点検です(車載式の消火器は除く)。

この点検は抜き取り方式といわれるやり方で消火器を抽出(ロットを作成)し行います。正常に放射されればOKです。

消火器の耐圧性能

消火器の製造年を10年経過したもの、又は外観点検で本体容器に腐食等が認められたものについて実施します。

この耐圧性能は通称水圧試験とも言われ、本体容器内の薬剤を全て抜き取り本体容器内を充水してキャップを締めて容器内を加圧して本体容器が圧力に耐えられるかの点検になります。

ですが一般的な点検業者ではまずこの点検は行っていないと思います。仮に行うとしても消火器メーカーに水圧試験を委託することになると思います(自前で水圧試験用設備を所有している点検業者さんは少ないと思います)。

そのため水圧試験にはかなりの費用がかかります。それなら

①この点検を行う消火器は10年を経過していて古くなってきています。

②この水圧試験をおこなってもまた三年後に同じ試験をしなければなりません。

③それなら新しい消火器を購入し10年経過消火器を廃棄したほうが安上がりです。

わたしも某消火器メーカーに水圧試験の工賃を確認したら1本15000~20000円かかるそうです。

今はホームセンター等でも消火器を安く購入、ついでにリサイクルできるので、10年経過した消火器は買い替えをおすすめします。

簡易消火器具

消火器ではなく簡易的な消火用具です。

乾燥砂、膨張ひる石、水バケツなどがあり規定量以上あるか・乾燥砂は乾燥しているか・スコップ等は置いてあるか、対応した標識が設置されているかなどを確認します。

まとめ

最後までお付き合いいただきありがとうございます。

どうだったでしょうか?一通り外観点検・機能点検を説明させていただきましたがなんとなく御理解いただけたでしょうか?。

使用済み表示装置の欄で、日本ドライケミカル㈱というメーカーの消火器に付いているプレッシャーアイというものが出てきましたが、このプレッシャーアイが付いていなければ、点検票その2の内部及び機能欄の「使用済みの表示装置」の欄は斜線になりますのでよろしくおねがいします。