パッケージ型消火設備とは(概要と設置基準)

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皆さんこんにちは。

この記事ではパッケージ型消火設備についてお話していて、パッケージ型消火設備の概要、構成部品と種類(Ⅰ型とⅡ型)、設置できる防火対象物、設置基準(水平距離・防護距離・必要な免状の種類など)について詳しく解説しています。

 

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パッケージ型消火設備とは?

パッケージ型消火設備の例

パッケージ型消火設備は屋内消火栓の代替設備(屋内消火栓に代えて用いることができる設備)として、必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備(通常用いられる消防用設備等に代えて使うことができる設備)(以下、消防の用に供する設備)として登場しました。

この消防の用に供する設備には、他には、スプリンクラー設備の代替設備としてパッケージ型自動消火設備、共同住宅用スプリンクラー設備、特定駐車場用泡消火設備などがあります。

 

パッケージ型消火設備の構成と種類

パッケージ型消火設備の構成部品の例

パッケージ型消火設備は人間の操作によりホースを延ばしてノズルから消火薬剤を放射して消火をする消火設備です。

  • ノズル
  • ホース
  • リール又はホース架け
  • 消火薬剤貯蔵容器
  • 加圧用ガス容器

などにより構成され、それらが一つの箱に収納されています。

放射性能、消火薬剤の種類、薬剤貯蔵量などによりⅠ型とⅡ型に分類されます。

パッケージ型消火設備の性能等

 

設置できる防火対象物

消防法施行令第11条第1項第1号〜第3号と第6号に掲げる防火対象物またはその部分のうち、政令別表第1の1項〜12項までと、15項の防火対象物と、16項の防火対象物のうち1項〜12項までと15項の用に使用される部分に用いることができ、かつパッケージ型消火設備の種類(Ⅰ型・Ⅱ型)でも制約があります

要するに13項・イ(自動車車庫、駐車場)、13項・ロ(飛行機などの格納庫)、14項(倉庫)、16項の2と3(地下街)には設置することができません。また、指定可燃物(可燃性液体類に係るものを除く。)を指定数量750倍以上貯蔵、取り扱う部分にも設置できません。

パッケージ型消火設備の設置基準

 

Ⅰ型を設置できる場合

  1. 耐火建築物にあっては地階を除く階数が6以下であり、かつ、延べ面積が3000㎡以下もの(地階・無窓階、火災時に煙が著しく充満するおそれのある場所を除く)
  2. 耐火建築物以外にあっては、地階を除く階数が3以下であり、かつ延べ面積が2000㎡以下のもの(地階・無窓階、火災時に煙が著しく充満するおそれのある場所を除く)
  3. パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準の規定によりパッケージ型自動消火設備を設置している防火対象物またはその部分のうち、規則第13条第3項各号に掲げる部分

要約すると、耐火建築物なら6階以下で3000㎡以下、耐火建築物以外なら4階以下で2000㎡以下に設置できるが、地下階と無窓階と煙が充満するおそれがある場所には設置できません。

無窓階ってどんなの?って方は下記の記事を参照してください。

 

Ⅱ型を設置できる場合

  1. 耐火建築物にあっては地階を除く階数が4以下であり、かつ、延べ面積が1500㎡以下もの(地階・無窓階、火災時に煙が著しく充満するおそれのある場所を除く)
  2. 耐火建築物以外にあっては、地階を除く階数が2以下であり、かつ延べ面積が1000㎡以下のもの(地階・無窓階、火災時に煙が著しく充満するおそれのある場所を除く)
  3. パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準の規定によりパッケージ型自動消火設備を設置している防火対象物またはその部分のうち、規則第13条第3項各号に掲げる部分

要約すると、耐火建築物なら4階以下で1500㎡以下、耐火建築物以外なら2階以下で1000㎡以下に設置できるが、地下階と無窓階と煙が充満するおそれがある場所には設置できません。

 

設置基準

パッケージ型消火設備は、防火対象物の用途・規模・構造によりⅠ型又はⅡ型が設置できるが、防火対象物の階ごとにその階の部分から1のパッケージ型消火設備までの水平距離が、Ⅰ型は20m以下、Ⅱ型は15m以下となるように設けます。

また、防護面積という決まりがあり、Ⅰ型は850㎡以下、Ⅱ型は500㎡以下となるように設置する。

水平距離

Ⅰ型の場合

防火対象物の階ごとに、その階の部分から1のパッケージ型消火設備までの水平距離が20m以下となるように設置する。

Ⅱ型の場合

防火対象物の階ごとに、その階の部分から1のパッケージ型消火設備までの水平距離が15m以下となるように設置する。

防護面積

Ⅰ型の場合…850㎡以下

Ⅱ型の場合…500㎡以下

この防護面積とは、1のパッケージ型消火設備が防護(警戒)できる面積をいいます。通常、1号屋内消火栓なら半径25mを包含(防護)でき、その包含した面積(防護面積))はおよそ1963㎡になりますが、パッケージ型消火設備では防護面積が決まっていますので「目一杯包含してやるぜー」はできません。

半径20mを目一杯包含すると約1256㎡なのでこの6割でしか包含(防護)できません。代替設備なのでこのへんはしょうがないと思います。

パッケージ型消火設備の防護面積の例

 

設置場所等

※Ⅰ型・Ⅱ型共通

  1. 40℃以下で温度差変化の少ない場所に設置する。
  2. 直射日光や雨水のかかるおそれの少ない場所に設置する。

標識

※Ⅰ型・Ⅱ型共通

消火薬剤貯蔵容器の直近の見やすい箇所に赤色の表示灯とパッケージ型消火設備である旨の表示をした標識を設ける。

表示

※Ⅰ型・Ⅱ型共通

パッケージ型消火設備は、必要な事項を見やすい場所に容易に消えないように表示していすることとされている。

工事や整備・点検に係る資格区分

工事

第1種・第2種・第3種の甲種消防設備士

整備

第1種・第2種・第3種の甲種又は乙種消防設備士

点検

上記消防設備士の他、第1種消防設備点検資格者

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

屋内消火栓の代替設備のパッケージ型消火設備は設置できる規模や面積に制約がありますが、比較的小規模な防火対象物にはもってこいの設置かと思います。

もともと屋内消火栓の設置義務のなかった防火対象物が、増築などで延べ面積が増えて設置要になってしまった場合などに用いられる設備です。

防護面積などの要素があり、着工届や設置届は難があるかとは思いますが、設置工事はパッケージを指定場所へ設置して表示灯の電源(100vや24v)を持ってくるだけの比較的簡単な部類かと思います。ただ、パッケージと消火薬剤の箱が意外に重いので運搬時には注意しましょう。

 

※規則第13条第3項各号に掲げる部分

スプリンクラー設備を設置することを要しない階の部分のこと。(スプリンクラー設備を設置しなくても良い部分)

 

※消防法施行令第11条第1項第1号〜第3号と第6号に掲げる部分

屋内消火栓設備に関する基準のこと(屋内消火栓設備を設置することができる防火対象物又はその部分)