ハロゲン化物消火設備の点検要領 その3

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皆さんこんにちは。

前回より点検票にそって説明させていただいていますが、今回は点検票のその3の部分で

  • 配管と安全装置
  • 消火剤排出措置
  • 圧力上昇防止装置
  • 放出表示灯
  • 噴射ヘッド
  • 非常電源
  • ホース等
  • 表示灯・標識(移動式)
  • 耐震措置

の説明になります。

前回の記事は下記のリンクからご覧いただけます。

ハロゲン化物消火設備の点検要領 その1
この記事ではハロゲン化物消火設備の点検要領を解説しています。解説の範囲は点検票のその1(1枚目)で「点検にあたっての注意事項」「蓄圧式ハロゲン化物消火剤貯蔵容器等」「加圧式ハロゲン化物消火剤貯蔵容器等」の部分です。お手元に点検要領が無い場合などにぜひご活用ください。
ハロゲン化物消火設備の点検要領 その2
この記事ではハロゲン化物消火設備の点検要領を解説しています。解説の範囲は点検票のその2(2枚目)で「起動用ガス容器等」「選択弁」「操作管・逆止弁」「起動装置」「警報装置」「制御盤」の部分です。お手元に点検要領が無い場合などにぜひご活用ください。

 

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配管等

管及び管継手

著しい腐食や破損などがなく、他の物の支えや吊りに利用されていないか目視で確認します。

支持金具及びつり金具

脱落、曲がり、緩みなどがないか目視や手でさわったりして確認します。

 

配管の安全装置等

安全装置(安全弁)の例(写真は二酸化炭素方式のもの)

安全装置

変形、破損、緩み、放出口のつまりなどがないか目視により確認します。

破壊板

変形、破損、脱落、腐食などがないか目視により確認します。

 

消火剤等排出措置

  1. 変形、破損などがなく、適正な位置に設けてあるか目視で確認します。
  2. 自然排気以外のものは、排気装置等が確実に作動し機能が正常であるか目視若しくは所定の操作により確認します。

 

圧力上昇防止装置

(HFC-23、HFC-227ea、FK-5-1-12を放出するものに限る)

機器に破損や変形などがないか目視などで確認します。

また、機器の機能が正常か所定の操作により確認します。

 

放出表示灯

放出表示灯の例

設置場所が適正であり、変形、損傷、脱落、著しい腐食、不鮮明な文字部分などがないか、また正常に点灯又は点滅することを目視や圧力スイッチ等を手動で作動させる、又は制御盤内の表示回路の端子を短絡させるなどの操作により確認します。

 

噴射ヘッド

噴射ヘッドの例

外形

目視などで、変形、損傷、著しい腐食、つまり等がないか、また、防護区画の全域に拡散又は防護対象物を覆うように取り付けられており、取り付け角度の著しい偏向等がないことを確認します。

放射障害

周囲に放射の障害となるものがないか目視などで確認します。

 

防護区画

区画変更等

目視や設計図書と照合して以下を確認します。

    1. HFC-23、HFC-227ea、FK-5-1-12以外を放出する設備を設置した区画で、階高の3分の2以下の位置にある開口部で、消火効果を減ずるおそれのあるもの又は保安上の危険のあるものは自動閉鎖装置付となっているか確認します。
    2. HFC-23、HFC-227ea、FK-5-1-12以外を放出する設備を設置した区画で、自動閉鎖装置を設けない開口部(換気ダクト等を含む。)にあっては、防護容積と階高面積の比率を算出し、法に定められた範囲内であって、消火剤の量が十分であるか確認します。
    3. 増・改築、模様替え等による防護区画の容積、開口部等の増減がないか確認します。
    4. 局所放出方式にあっては、防護対象物の形状、数量、位置等の変更がないか確認します。
    5. 防護区画内の圧力上昇を防止するための措置及び過度な温度低下を防止するための措置を講じているものにあっては、それらの措置に変更がないか確認します。

 

開口部の自動閉鎖装置

自動閉鎖装置(ガス圧ダンパー)の例

外形

目視や手動操作により以下を確認します。

    1. 変形、破損、著しい腐食等がないか確認します。
    2. 取付けが完全で、扉等の開閉が円滑かつ確実に行えるか確認します。
    3. 扉等はストッパー、障害物等がなく、電気式又はガス圧式の自動閉鎖装置付のものを除き常時閉鎖の状態にあるか確認します。

電気で作動するもの

手動式起動装置などを操作して以下を確認します。

    1. 変形、破損、著しい腐食、端子の緩みなどがないか確認します。
    2. 確実に作動し、遅延装置の作動時限の範囲内で閉鎖状態となった後に消火剤が放出されるようになっているか確認します。
    3. 出入口に設けてあるシャッターなどで、他に退避できる別の出入口等がないものにあっては、放出用スイッチ操作後設定値(ハロン2402又はハロン1211を消火剤とするものにあっては20秒以上とする)の範囲内で閉鎖完了する遅延装置等が設けられ、かつ、シャッター閉鎖後に消火剤が放出される構造となっているか確認します。
    4. ※手動式起動装置を操作するときは、必ず容器弁開放装置を取り外してから行う。

ガス圧で作動するもの

試験用ガスを使用して、自動閉鎖装置に通ずる操作管に接続して確認する。なお、試験用ガスに窒素ガス又は空気を用いるときは噴射ヘッドの規定圧力以上に加圧して以下を確認します。

    1. 変形、破損、著しい腐食などがないか確認します。
    2. 確実に作動することを確認します。
    3. 操作及び自動開閉装置等からのガス漏れがないことを確認します。
    4. 自動開閉装置の復帰が、加圧時の圧力を抜くことにより自動的に行われるものは、復帰が確実に行われることを確認します。

 

非常電源(内蔵型のものに限る。)

外形

以下を目視にて確認します。

    1. 変形、破損、著しい腐食、き裂などがないことを確認します。
    2. 設置位置は換気、通風がよく、塵埃、腐食性ガスの滞留、著しい温度変化等がないことを確認します。
    3. 電槽支持が堅ろうであることを確認します。
    4. 電解液の漏れがなく、リード線の接続部等に腐食がないことを確認します。

表示

以下を目視にて確認します。

    1. 所定の電圧値及び容量の表示が適正であることを確認します。
    2. 消防庁長官が定める基準に適合するもの又は、総務大臣若しくは消防庁長官が登録する登録認定機関の認定合格証が貼付されていることを確認します。

端子電圧

    1. 充電回路の蓄電池への端子電圧を充電状態において電圧計により充電装置の指示範囲内にあるか確認します。
    2. 電池試験用スイッチを約3秒間操作して電圧計が安定したときの容量が、規定指示値の範囲内であることを電圧計により確認します。

切替装置

常用電源を遮断し、停電状態にしたときに自動的に非常電源に切り替わり、常用電源を復旧したときに自動的に常用電源に切り替わることを、電圧計又は電源監視用表示灯により確認します。

充電装置

    1. 変圧器、整流器等の機能を回路計等により確認します。
    2. 専用回路になっているかを開閉器の開閉操作により確認します。

上記の操作等により以下を確認します。

    1. 変形、破損、著しい腐食、変圧器、整流器等からの異常音、異臭、異常な発熱などがないことを目視などで確認します。
    2. 電流計又は電圧計が規定値を指示していることを目視などで確認します。
    3. 充電電源監視灯のあるものは、点灯していることを目視などで確認します。
    4. 開閉器の操作により、他の負荷が点灯等されないことを確認します。
    5. 過電流遮断器は、操作装置等に適応する容量のものであることを目視などで確認します。

結線接続

目視やドライバーなどにより変形、破損、著しい腐食、焼損、断線、端子の緩みなどがないことを確認します。

 

ホース、ホースリール、ノズル及びノズル開閉弁

周囲の状況

周囲に使用や点検上の障害となるものがないことを目視にて確認します。

格納箱

    1. 変形、破損、著しい腐食などがないことを目視にて確認します。
    2. 扉の開閉が容易にできることを扉を開閉して確認します。
    3. 貯蔵容器は、取付枠などに確実に固定されていることを目視にて確認します。

ホース

    1. 変形、破損、老化、接続部の緩みなどがないことを目視などで確認します。
    2. ホースリールの根元からホーン(ノズル)先端までの長さは、設置時の状態となっていることをホースを引き出して目視や巻き尺などで確認します。

ホースリール

    1. 変形、破損、著しい腐食などがないことを目視にて確認します。
    2. ホースの引出し、格納(巻戻し)等が円滑に行えることを手で操作して確認します。

ノズル

    1. 著しい腐食、つまりなどがないことを目視などで確認します。
    2. 握り部分は凍傷等の危害防止のために木製、合成樹脂製であるか又は把手(とっての意味)等が設けてあり、破損、脱落等がないことを目視や手で操作して確認します。

ノズル開閉弁

    1. 変形、破損、著しい腐食などがないことを目視にて確認します。
    2. 開閉操作は容易に行えることを目視や手で操作して確認します。
    3. ※開閉弁は常時「閉」の状態であることを確認します。

 

表示灯及び標識(移動式に限る。)

    1. 設置位置が適正であることを目視にて確認します。
    2. 表示灯(赤色)は、変形、破損、脱落、球切れなどがなく、点灯していることを目視にて確認します。
    3. 移動式のハロゲン化物消火設備である旨の標識に破損、脱落、汚損などがなく、適正に取り付けられていることを目視にて確認します。

 

耐震措置

    1. 可とう式管継手などに漏れ、変形、破損、著しい腐食などがないことを目視にて確認します。
    2. アンカーボルト、ナット等に、変形、破損、緩み、脱落、著しい腐食などがないことを目視やスパナなどで確認します。
    3. 壁又は床部分の貫通部分の間隙、充てん部については、施工時の状態が維持されていることを目視にて確認します。

 

まとめ

最後までご覧頂きありがとうございます。

前にお話した不活性ガス消火設備にも避圧口というもの(圧力上昇防止措置)がありましたが、それは二酸化炭素方式以外の放出方式(窒素やアルゴナイト、イナージェン)に限られていました。

今回のハロゲン化物でも、HFC-23、HFC-227ea、FK-5-1-12を放出するものの場合にはこの圧力上昇防止措置が必要になりますので、不活性ガス消火設備の時と同じで覚えておきましょう。

また遅延時間もハロン1211と2402については遅延時間が20秒以上必要になりますのでこれも併せて覚えておきましょう。