ハロゲン化物消火設備の点検要領 その4(総合点検)

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皆さんこんにちは。

これまでやってきたハロゲン化物消火設備点検要領シリーズも今回のその4(総合点検)で最後になります。

総合点検では、試験用ガス(窒素ガス又は空気)を使って主管(集合管)にガスを通しての放出試験等を行います。

ではどのように行うのか確認していきましょう。

前回の記事は下記のリンクからご覧いただけます。

ハロゲン化物消火設備の点検要領 その3
この記事ではハロゲン化物消火設備の点検要領を解説しています。解説の範囲は点検票のその3(3枚目)で配管と安全装置、消火剤排出措置、圧力上昇防止装置、放出表示灯、噴射ヘッド、非常電源、ホース等、表示灯・標識、耐震措置の部分です。お手元に点検要領が無い場合などにぜひご活用ください。

 

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全域放出方式及び局所放出方式

確認方法

非常電源に切り替えた状態で以下の操作等により確認する。

また、放射区域が2以上あるものにあっては、点検の都度、同一区域への繰返しではなく、放射区域を順次変えて確認します。


蓄圧式

(1)放射に用いる試験用ガスは、窒素ガス又は空気を使用して、放射量は点検を行う放射区画の消火剤必要貯蔵量の10%相当の量(下記一覧の消火剤に対する放射区画の消火剤必要貯蔵量1kgあたりの体積で算定した量の窒素ガス又は圧縮空気)を用います。

ただし、設置消火剤貯蔵容器と同容量の貯蔵容器を使用し、5本を超えないこととします。

  • 設置消火剤→1kg辺りの体積(㍑)
  • ハロン1211→15㍑
  • ハロン1301→16㍑
  • ハロン2402→9㍑
  • HFC-23→34㍑
  • HFC-227ea→14㍑
  • FK-5-1-12→8㍑

例えば、とある放射区画で、ハロン1301ボンベ(容量60kg)が20本あった時、その消火剤の合計は1200kgになりますが、試験用ガスはこの10%なので、算定重量は120kgになります。

消火剤1kgあたり16㍑の試験用ガスが必要なので、120kg✕16㍑で1920㍑の試験用ガスを放射すれば良いことになります。

ちなみに試験用ガスに窒素ガスボンベ(47㍑型)を使用した場合、このボンベ1本で約7000㍑の窒素ガスが充填されていますので、この47㍑型窒素ガスボンベを1本全て放射すれば十分足りる計算になります。

(2)点検時には次のものを用意します。

    1. 試験用ガス容器は、設置貯蔵容器と同一機構の容器弁を使用したものを用意します。
    2. 起動用ガス容器を用いる設備にあっては、使用する起動用ガス容器と同一仕様のものを同一本数、点検後の再充てん期間の代替設置用として用意します。
    3. 集合管部又は容器弁部及び操作管部の密栓に用いるキャップ又はプラグを必要数用意します。

(3) 点検に先立ち貯蔵容器部を次により準備します。

    1. 制御盤等の設備電源を一時的に遮断します。
    2. 放射に使用する試験用ガス容器に容器弁開放装置及び操作管を接続します。
    3. 放射に使用する試験用ガス容器以外のものは、連結管を取り外し集合管部をキャップ等で密栓するか、又は容器弁から連結管を取り外し、連結管部をプラグ止めします。
    4. 操作管にあっては放射用以外の部分を密栓します。
    5. 上記以外は通常の設備状況であるかを確認します。
    6. 制御盤等の設備電源を「入」にします。

(4)点検時の起動操作は、次のいずれかにより行います。

手動式のものにあっては手動式起動装置を操作することにより起動させて確認します。

自動式のものにあっては自動・手動切替装置を「自動」側に切り替えて、感知器の作動により又は受信機若しくは制御盤の感知器回路の端子を短絡させることにより起動させて確認します。


加圧式

(1)放射に用いる試験用ガスは、窒素ガス又は圧縮空気とし、放射量は点検を行う放射区画に必要な薬剤量の10%以上を放射する。

(2)点検時は以下のものを用意する。

    1. 点検後、加圧用ガスの再充てん期間の代替設置に用いる加圧用ガス容器を、放射加圧用ガス容器と同一仕様のものを必要本数用意する。
    2. 起動用ガス容器を用いる設備にあっては、aと同様に必要数用意する。
    3. 集合管部、容器弁部及び操作管部の密栓に用いるキャップ又はプラグを必要数用意する。

(3)点検に先立ち貯蔵タンク等及び加圧用ガス容器を次により準備する。

    1. 制御盤等の設備電源を一時的に遮断する。
    2. 放射加圧用ガス容器以外のものは、連結管を取り外し集合管部をキャップ等で密栓するか、又は容器弁開放装置を取り外し容器弁部を密栓する。
    3. 操作管にあっては放射用以外の部分を密栓する。
    4. 貯蔵タンク及び加圧用ガス容器部以外は通常の設備状況であるかどうかを確認する。
    5. 制御盤等の設備電源を「入」にする。

(4)点検時の起動操作は、次のいずれかにより行う。

    1. 手動式のものにあっては手動式起動装置を操作することにより起動させる。
    2. 自動式のものにあっては自動・手動切替装置を「自動」側に切り替えて、感知器の作動により又は受信機若しくは制御盤の感知器回路の端子を短絡させることにより起動させる。

 

判定方法

全域放出方式

警報装置

警報装置が確実に鳴動するか確認します。

遅延装置

遅延装置が確実に作動するか確認します。

開口部の自動閉鎖装置等

開口部等の自動閉鎖装置が確実に作動し、換気装置が確実に停止することを確認します。

起動装置及び選択弁

起動装置及び選択弁が確実に作動し、試験用ガスが放射されることを確認します。

配管及び配管接続部

通気状態で、配管からの試験用ガスの漏れがないことを確認します。

放出表示灯

放出表示灯が確実に点灯することを確認します。

※放射区画は完全に換気するまでは中に入らないこと。

※点検終了後は、すべて確実に復元しておくこと。

 


局所放出方式

警報装置

警報装置が確実に鳴動するか確認します。

起動装置及び選択弁

起動装置及び選択弁が確実に作動し、試験用ガスが放射されることを確認します。

配管及び配管接続部

通気状態で、配管からの試験用ガスの漏れがないことを確認します。

※放射区画は完全に換気するまでは中に入らないこと。

※点検終了後、点検時使用した試験用ガス容器は再充てんを行うこと。この場合、試験用ガス容器が高圧ガス保安法に基づく容器検査又は容器再検査を受けて、これに合格したものを使用すること。

※点検終了後は、すべて確実に復元しておくこと。

 

移動式

確認方法

手動式起動操作部を起動させて以下の操作等により確認する。

  1. 試験用ガス(窒素又は空気)による放射は、ユニット5個以内ごとに任意のユニットで、貯蔵容器と同一仕様の試験用ガス容器1本を用いて行います。
  2. 貯蔵容器の容器弁と連結管の接続部を外します。(2本共)
  3. 貯蔵容器1本を試験用ガス容器と取り換えます。。
  4. 試験用ガス容器と連結管を接続します。
  5. 他の貯蔵容器の容器弁より外した連結管の接続部は密栓等の処置をします。
  6. 貯蔵容器の容器弁に取り付けられている容器弁開放装置を取り外して、試験用ガス容器の容器弁に取り付けます。
  7. 手でホースを全部引き出し、容器弁開放装置を手動操作します。
  8. ノズル開閉弁を開放操作します。

 

判定方法

ノズル開放弁

指定の容器弁開放装置の作動、ホース引出し及びノズル開閉弁等に異常がなく、試験用ガスが正常に放射されることを確認します。

ホース及びホース接続部

ホース及びホース接続部からの試験用ガスの漏れがないことを確認します。

※点検終了後、点検時使用した試験用ガス容器は再充てんを行うこと。この場合、試験用ガス容器が高圧ガス保安法に基づく容器検査又は容器再検査を受けて、これに合格したものを使用すること。

※点検終了後は、すべて確実に復元しておくこと。

 

まとめ

最後までご覧頂きありがとうございます。

今回の記事でハロゲン化物消火設備の点検要領は終了になります。

総合点検では実際に試験用ガスを放射して確認しますが、簡単な流れとして

  • 設置されている容器弁と同一の試験用ガスボンベ(窒素or圧縮空気)(放出用と起動用)を使用。
  • 使用する放出試験用ガスボンベは最大で5本まで。
  • 設置されている消火剤貯蔵容器(起動用ガスボンベも)を外して試験用ガスボンベ(放出用と起動用)を取り付ける。
  • 容器弁開放装置も取り付けて、扉開から起動まで行い実際に放射する。
  • 確認要領に従い確認する。

上記の流れになります。

試験用ガス(窒素or圧縮空気)の量の算定では、当該区画で放射される消火剤の量になり、設置されている消火剤全部の量ではありません。

例えばハロンボンベが全部で100本設置があり、A区画は25本、B区画は40本、C区画は100本の使用なら、それぞれの区画で使用する消火剤の量で算定すれば大丈夫です。

A区画で放出試験をする場合には、ハロンボンベ25本の消火剤量で算定した量の試験用ガスを放射すればOKです。