皆さんこんにちは。
前回より自家発電設備の点検要領についてお話させていただいています。
今回は点検票のその2の部分をお話していこうと思います。
点検票その2
制御装置
周囲の状況
周囲に使用上及び点検上支障となるものがないか確認します。
発電機盤
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- 盤本体及び内部配線(母線、制御、操作、表示及びその他の配線)に、変形、破損、端子部の緩み、著しい腐食等がないか確認します。
- 励磁装置、自動電圧調整装置(AVR)等に変形、破損、著しい腐食、じんあいの付着、接触不良、端子部の緩み等がないか確認します。
自動始動盤
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- 盤本体及び内部配線(母線、制御、操作、表示及びその他の配線)に、変形、破損、端子部の緩み、著しい腐食等がないか確認します。
- 制御回路部、制御電源スイッチ、自動・手動の切替スイッチ、自動始動制御機器等に、変形、破損、端子の緩み、著しい腐食、汚損、過熱等がないか確認します。
補機盤
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- 盤本体及び内部配線(母線、制御、操作、表示及びその他の配線)に、変形、損傷、端子部の緩み、著しい腐食等がないか確認します
- 制御回路部、計器、継電器、電磁接触器、切替スイッチ、電源スイッチ、コンデンサ等に、変形、破損、端子の緩み、著しい腐食、汚損、過熱等がないか確認します。
- 補機の運転が正常で、かつ、運転時の電流値が適正であるか確認します。
電源表示灯
変形、破損、球切れ等がなく、正常に点灯しているか確認します。
表示灯
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- 表示灯に破損、球切れ等がなく、取付け、接触状態等が良好であるか確認します。
- 各状態、作動時における点灯の状態が正常であるか確認します。
開閉器及び遮断器
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- 変形、破損、脱落、端子の緩み等がなく、開閉位置が自動運転待機状態として正常であるか確認します。
- 開閉機能が正常であるか確認します。
- 容量は負荷に対して適正であるか確認します。
ヒューズ類
破損、溶断等がなく、所定の種類及び容量のものが使用されているか確認します。
継電器
破損、端子の緩み、接点の接触不良、ほこりの付着等がないことを確認します。
保護装置
保護装置の各検出部を作動又は短絡させ、保護装置の作動、表示及び警報が下記の表のとおりで、かつ、正常であることを確認します。
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- 保護装置の作動で、小容量、低圧のもので、配線用遮断器(MCCB)を使用しているものは、遮断器が「断」とならない場合もあるが、差し支えない
- 保護装置の作動値の確認は、過回転試験のように実作動でしか試験できないものは実作動で実施してよい。
- 電力を常時供給するもので、運用上点検ができない項目にあっては点検を省略することができる。
計器類
変形、破損、指針の狂い、著しい腐食等がなく、指示のゼロ点に異常がないことを確認します。
燃料容器等
外形
変形、破損、漏油等がなく、所定の燃料が使用されていることを確認します。
燃料貯蔵量
定格出力における連続運転可能時間以上の運転に十分な貯蔵量があるか確認します。
※ ガスを燃料とするもので、燃料が安定して供給される場合を除く。
冷却水タンク
外形
変形、破損、漏水、内部のさび等がないことを確認します。
水量
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- 専用の冷却水タンクにあっては、定格出力で連続運転可能時間以上運転するに十分な水量が確保されているか確認します。
- 自動給水装置が確実に作動するか確認します。
排気筒
周囲の状況
周囲に可燃物が置かれていないこと
外形
排気伸縮管、排気管、断熱覆等に変形、破損、脱落、き裂等がなく、支持金具の緩み等がないことを確認します。
貫通部
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- 貫通部の遮熱保護部の断熱材等に変形、破損、脱落、き裂等がないことを確認します。
- 排気管の貫通部の支持部材の取付状態が適正であることを確認します。
配管
次の配管に変形、破損、漏れ等がなく、支持金具の緩み等がないことを確認します。
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- 燃料系統配管
- 冷却水系統配管
- 潤滑油系統配管
- 始動空気系統配管
結線接続
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- ケーブル等の変形、破損、ひび割れ、切断、端末処理部等に異常がないことを確認します。
- 温度検出用テープ、塗料等の変色、取付状態等に異常がないことを確認します。(該当する場合のみ)
- 主回路、制御回路、補機回路等の配線に、端子の緩み、端子部保護覆いの損傷、テープ巻き保護部の損傷、断線、異常な温度上昇がないことを確認します。
接地
接地線の断線、接続部の端子の緩み、損傷、著しい腐食等がないことを確認します。
始動性能
(電力を常時供給するものを除く)
次の操作等により下記を確認する。
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- 試験スイッチ等を手動操作し、停電発生と同じ状態で自動始動させる。
- 試験スイッチ「入」から、電圧確立及び切替信号送出するまでの時間(始動時間)をストップウォッチにより測定する
確認事項
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- 停電確認、電圧確立及び切替信号送出までの自動始動動作がタイムスケジュール及びシーケンスどおりに完了すること。
- 始動時間が、40秒以内であること。 ただし、自家発電設備の電圧確立及び投入までの間、蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)に準ずる蓄電池設備により電力が供給されるものは、この限りでない。
- 始動補助装置のあるものにあっては、始動補助装置が作動している状態で始動試験を実施してよい。
- 始動時の動作時間測定例 前回点検時の時間と比較して大差がないこと。
始動前の確認事項
始動前に、設備全般にわたり次の事項を確認すること。
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- 所定の始動タイムスケジュール及びシーケンス(自動動作状況)の確認。
- 自動始動盤のスイッチが「自動始動」側になっているか。
- 原動機の運転ハンドルが、「始動」又は「運転」の位置にあるか。
- 下記の機器の電源スイッチが「閉」になっているか。
- 制御電源スイッチ
- 補機電源スイッチ
・セルモータ電源スイッチ
・充電装置の入出力電源スイッチ
・空気圧縮機用電動機電源スイッチ
・冷却水ポンプ用電動機電源スイッチ
・室内換気装置用電源スイッチ - 燃料容器出口弁が「開」になっているか。
- 冷却水タンク出入口弁が「開」になっているか。
- 始動空気だめ(空気タンク)の常用側の主弁及び充気弁が「開」になっているか。
- 機械換気装置の操作回路が「自動運転」側になっているか。
- 始動補助装置のあるものは、始動補助装置が作動しているか。
- 接地線が確実に接続されていること。
運転性能
運転状況
無負荷で、5~10分運転し、運転状態等を測定し下記を確認します。
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- 漏油、異臭、不規則音、異常な振動等がないこと。
- 発電機軸受にオイルリングがあるものは、その作動が円滑で十分潤滑が行われていること。
- 発電機にブラシがあるものは、ブラシ部に著しい火花が発生していないこと。
- 回転速度は、定格回転速度(0~+5%の範囲内)で、製造者の指定する値であること。
- 無負荷時の電圧は定格電圧(±2.5%以内)であること。
- 周波数は電圧確立までに安定すること。
- 電圧計、周波数計の計器の指示値が適正で指針の作動が円滑であること。
- 各部の温度、潤滑油圧力、冷却水圧、給気圧力等が、製造者の指定する値と大差ないこと。
※電力を常時供給するもので、運用上運転が停止できないものにあっては実負荷で点検を行うことができ、運用上点検ができない項目にあっては点検を省略することができる。
換気
自家発電設備を始動させ、下記の換気装置等の作動状況を確認する
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- 機械換気設備が自家発電設備と連動して作動する場合は、自家発電設備の始動により、機械換気設備が適正に作動すること。
- 換気口が自家発電設備と連動して作動する場合は、自家発電設備の始動により適正に作動すること。
停止性能
手動停止
自動停止(自動停止できる自家発電設備に限る)
次の操作等により下記の事項を確認します。
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- 「試験スイッチ」等により、復電と同じ状態で自動停止させる。自動停止ができない構造のものは「手動停止装置」を操作して停止させる。
- 動作時間をストップウォッチにより確認する。
確認事項
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- タイムスケジュール及びシーケンスどおりに、自動停止作動が完了すること。
- ストップウォッチ等により確認したシーケンス並びに切替動作、機関停止及び運転待機への動作が正常であること。
- 手動停止装置による手動停止動作が確実に行われ、再始動しないこと。
- 非常時の手動停止装置は赤色で、操作方法が明示されていること。
- 自動停止動作が確実に行われること。
- ガスタービンの場合は、回転低下中の回転変化が滑らかで、ガスタービン内部にこすれ音等の異常音が発生しないこと。
- 停止性能の確認後は、スイッチ、ハンドル、弁等の位置が自動始動運転待機状態になっていることを確認すること。
※電力を常時供給するもので、運用上運転が停止できないものにあっては点検を省略することができる。
耐震措置
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- 防振ゴム又はばねにひび割れ、変形、損傷、個々のたわみの差がないこと。
- ストッパー等の偏荷重、溶接部のはずれ等がないこと。
- 防振装置及びアンカーボルトに、変形、損傷、ナットの緩み等がないこと。
- 可とう式管継手等には、変形、損傷、著しい腐食、漏れ、ゴム状のもののひび割れ等がなく、取付け状態が正常で、その寸法が適正であること。寸法の目安は、下記の表のとおりとする。
※防振装置やアンカーボルトは点検時に全て増し締めを行うこと。
予備品等
ヒューズ、電球等の予備品及び回路図、取扱説明書等が備えてあるか確認します。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回は自家発電設備の点検票のその2についてお話させていただきました。
これまで機器点検の部分のお話でしたが、点検項目に実際に自家発電設備を無負荷運転させて確認する事項(自動運転や自動的停止、換気など)がありますので、自家発電設備を外観だけ確認(運転を伴わない点検)して終了するのは上記確認事項に反しています。
電気保安協会などにおいてこれらの点検(停電を伴う自家発電設備の運転確認)を行っている場合もありますが、これらの点検はあくまでも電気事業法による点検で消防法における点検とは異なる場合がありますので、消防設備士としては自分で確認できる項目については自分で確認を行いたいところです。
自家発電設備は原動機と発電機という機械系の知識と電気系の知識の両方がないと理解しずらいところですが、いづれも消防用設備には必要な知識なのでがんばって会得していきたいところです。