消防設備士4類の試験対策 警戒区域と感知区域と感知面積

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皆さんこんにちわ。

前回の消防機関へ通報する火災報知設備編に続きまして今回は自動火災報知設備の設置基準について

  • 警戒区域の設定
  • 感知区域と感知面積
  • 感知器の設置個数の算出

これらについて解説していきますが今回も重要な所や覚えたい所はアンダーラインを引いていますので参考にしてください。

 

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警戒区域の設定

自動火災報知設備には火災が発生した際に火災を感知した場所とそうではない場所を区別するために「警戒区域」という区域を設けて運用を行いますが、定義は

火災の発生した区域を他の区域と区別することができる最小単位の区域

となっており一定規模で建物を区分けして受信機でどの区域で火災が発生したかがわかるようになっています。

この警戒区域には

  • 平面方向における警戒区域
  • 垂直方向(たて穴区画)における警戒区域

がありそれぞれで設置基準が異なりますので解説していきます。

 

平面区域の警戒区域設定の原則と例外

まずは平面方向における警戒区域の設定方法について主に3つあり非常に重要な部分になるのでしっかり覚えましょう。

  1. 1つの警戒区域の面積は600㎡以下とすること(屋根裏含む)
    例外:主要な出入口から内部を見渡せる場合は1000㎡以下とすることができる

  2. ②警戒区域の一辺の長さは50m以下とすること
    例外:光電式分離型感知器を設置する場合は100m以下

  3. ③2以上の階(上下の階)にわたらない
    例外:上下階の床面積の合計が500㎡以下の場合は1つの警戒区域とすることができる

警戒区域の設定例

警戒区域の設定例

上図を見ていただくとまず左上に警戒区域設定の原則があるのでこれは最低限覚えましょう。

次に一辺の長さが50mを超える場合は、光電式分離型感知器を用いない場合は警戒区域は2つになりますのでここもポイントになります。

最後に上下の階にわたる場合に「1階と2階」だけではなく「1階と天井裏」といった場合もこの2以上の階に該当しますので、上図右下の条件では1階部分が300㎡、屋根裏も300㎡で合計600㎡になってしまうのでこの場合は1つの警戒区域にはできないので気を付けましょう。

 

たて穴区画の警戒区域設定の原則

次に垂直方向(たて穴区画)の警戒区域の設定ですが、平面区域の原則と混同しやすいので注意が必要で、かつ少しややこしいので解説していきます。

  • 平面上の設定

    1つの警戒区域は50mの範囲内であること
    エレベーター昇降路やパイプシャフトや階段などが平面上での相互距離が50m以内であればそれらのたて穴区画を1つの警戒区域としてまとめる事ができる
    ただし頂上に3階以上の差があるたて穴区画は別の警戒区域とする

  • 垂直上の設定

    1つの警戒区域の高さは45m以下ごとに区切ること
    (エレベーター昇降路やシャフトは区切らなくて良い)
    例外:地階が2以上の場合は地上階と地階を分けて警戒区域を設定する

たて穴区画の警戒区域の設定例

たて穴区画の警戒区域の設定例

たて穴区画の警戒区域は平面部分と垂直部分の2つを組み合わせて作るので少しややこしいですが、平面部分は50m以下の範囲内であって頂上に3階以上の差がなければ警戒区域を1つにまとめることができるということだけ覚えておけばOKなので、上図でいうとC階段はA階段やB階段などと頂上に3階以上の差があるのでこの場合は警戒区域を別にしないといけません。

垂直方向については高層建物等で警戒区域の垂直長さが45mを超える場合には45m以下で区切るということと、たて穴区画の地階が2以上の階の場合は地上階と地階を分けて警戒区域を設定するということを覚えておけばOKですので、A階段みたいに地階が1の場合は地上階と同じ警戒区域を設定しても良いことになり、B階段の地階部分とC階段の地階部分は地上階部分とは警戒区域を別にしますが、地階部分は水平部分で50m以内なのでこれらをまとめて1つの警戒区域としても良いのです。

 

感知器の設置基準と個数の算定

警戒区域に続き今度は感知器を設置するにあたって重要な部分になりますが、この先

  • 警戒区域
  • 感知区域
  • 感知面積

といった用語が出てきて混同しやすくなるのでそれぞれのワードの意味を良く理解しておかないといけません。

 

感知区域と感知面積

まずは感知区域について解説していきますが、定義として

感知区域とは、壁又は取付面から 0.4m(差動式分布型感知器又は煙感知器を設ける場合にあっては 0.6m)以上突き出したはり等によって区画された部分をいう。

となっており、つまり感知区域とは感知器により火災の発生を有効に感知できる区域を指し、壁又は取付面から一定以上突き出したはりなどによって区画された部分のことで、複数の感知区域から警戒区域が構成されています。

天井面から張り出ているはりが一定以上の大きさでは火災の発生を有効に感知できないのでそうしたはりを壁とみなして感知区域を設定しますが、はりを壁とみなす基準として
  • 熱スポット型感知器 … はりの突き出し0.4m以上
  • 差動式分布型感知器 … はりの突き出し0.6m以上
  • 煙スポット型感知器 … はりの突き出し0.6m以上

となっていますので、上記に満たない大きさのはりはないものとして感知区域を設定します。

感知区域の例

感知区域のイメージ

上図のように壁で囲まれた空間やある一定以上突き出しているはりがある場合にはそのはりを壁とみなして感知区域を設定しなくてはなりません。
次に感知面積についてですがこれは
1個の感知器が有効に火災を感知できる面積をいう
なので各感知器ごと、種別ごとに感知面積が決められています(下表参照)

感知面積の一覧

上表の赤字部分は良く出題される&重要な部分であり以下に注意していただきたい。
  • 感知器の取付高さ(~未満に注意!
  • 感知器の感知面積(赤字数字は製図問題で良く使われる)
  • 熱スポット型感知器は感知器取付高さ8m未満の部分にしか設置できない
  • 定温式2種や煙3種は主に消火設備や防火設備の連動用として使われる
  • 定温式特種と差動式2種の感知面積は同じなので差動式2種を覚えれば2種類覚えられる

 

感知器の設置個数算出

これら感知区域と感知面積を組み合わせると、設置するべき感知器の個数が以下の計算式で算出できるようになります。

設置個数 = 感知区域(㎡)÷ 感知面積(㎡)(小数点以下切上げ)

例えば「耐火構造建築物」で「感知器取付高さ(天井高さ)が3.0m」の「感知区域が125㎡」に「差動式スポット型感知器2種」を最小設置個数で設置するには何個設置すれば良いか?

という問題があった場合にそれぞれを当てはめれば計算ができます。

まず条件として「耐火構造」「感知器取付高さ3.0m(4m未満)」「感知器は差動スポット2種を使用」があるのでこれらを感知面積の一覧の表に当てはめると70という数字がでてきます、これがこの条件に当てはまる感知面積になりますのであとは計算式に組み込むだけ!

設置個数は「感知区域125㎡」÷「感知面積70㎡」なので、
125÷70=1.78(小数点以下切上げ)≒2 という計算式になるので設置個数は2個という解答になります。

このように感知器の設置個数を答えさせる問題の場合は必ず条件がでてきますので慌てずに条件を当てはめていけば計算が出来る様になっています。

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回は自動火災報知設備の設置基準について

  • 警戒区域
  • 感知区域と感知面積
  • 感知器の設置個数の算出

これらについて解説してきましたが、重要な部分はアンダーラインをしてありますのでよく覚えておきましょう。

今回も似たようなワード(警戒区域、感知区域、感知面積)があり混同しやすい部分があるので違いをしっかり理解しておかないと問題に答えるのが難しくなりますので大変ではありますが理解していきましょう。

この記事の中でも特に

  • 警戒区域の水平区画とたて穴区画の設定条件の違い
  • 感知区域のはりの取扱い(設置する感知器によってはりの基準が変わる)
  • 感知面積の基準(建物構造、取付高さ~m未満、感知器の感度○種)

これらは試験に出題されやすい部分なのでアンダーラインの部分を中心に重要部分を理解学習していきましょう。