消防設備士4類の試験対策 煙感知器の規格編

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皆さんこんにちわ。

前回の消防設備士4類試験対策 定温式・熱その他感知器の規格編に続いて今回は

  • イオン化式スポット型感知器
  • 光電式スポット型感知器
  • 光電式分離型感知器
  • 煙複合式感知器
  • 煙アナログ式スポット型感知器

これらについて解説していきます。

今回も重要な所や覚えたい所は重要度赤文字アンダーラインを引いていますので参考にしてください。

 

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煙感知器とは

文字通り火災時に発生する煙に反応して作動するもので、煙が一定の濃度になったら感知器が火災信号を送出することにより火災を報知するもの

  • イオン化式スポット型感知器
  • 光電式スポット型感知器
  • 光電式分離型感知器
  • 煙複合式感知器
  • 煙アナログ式感知器

上記のものがありますが、これらに加えて蓄積式と非蓄積式の感知器があり

  • 蓄積式は火災による煙が一定の濃度になってもすぐに火災信号を送出せず、濃度がある一定時間継続した場合に火災信号を送出するタイマーみたいな機能を備えているのが蓄積式
  • 非蓄積式は火災による煙が一定の濃度に達したらすぐに火災信号を送出するものが非蓄積式

というふうに覚えていただければ良いです。

 

イオン化式スポット型感知器

イオン化式スポット型感知器は、煙によるイオン電流の変化を監視して火災信号を送出する感知器のことで定義は

周囲の空気が一定の濃度以上の煙に含むに至ったときに火災信号を発信するもので、一局所の煙によるイオン電流の変化により作動するもの

となっています。

イオン化式スポット型感知器の例

イオン化式スポット型感知器の例

この感知器には写真にも記載があるように放射線物質である「アメリシウム(Am241)」を「イオン室」という部分に封入していて、このアメリシウムに電圧を加えるとイオン室内の空気がイオン化(電気を帯びた状態)され空気に微弱なイオン電流が流れます。

火災が発生した場合の煙は内部イオン室には入らず外部イオン室にしか入らないような構造になっており、外部イオン室に入った煙の粒子がイオン電流と結合することにより外部イオン室内のイオン電流が減少するに伴い外部イオン室内の電圧も変化し、その電圧の変化量が一定以上になった場合にスイッチング回路を作動させて火災信号を送出する仕組みになっています(下図参照)

イオン化式スポット型感知器の作動原理

イオン化式スポット型感知器では

  • 放射性物質の名前
  • 感知器の作動原理
  • 感知器の各部品の名前(内部イオン室等)

上記の要件と、下記の感知器の規格である

  • 感知器が作動したことがわかるように「作動表示装置」を設けなければならない
  • 煙を感知する部分(外部イオン室や暗箱)に虫の侵入防止の為に「目開き1mm以下の網・円孔板等」を用いて虫が入らないような措置を講じらなければならない

作動表示装置と網・円孔板等の例(写真は光電式スポット型感知器)

これらが良く出題される傾向にありますので赤文字アンダーラインの部分を良く覚えておきましょう。

 

光電式スポット型感知器

上記イオン化式は放射性物質を利用してイオン電流の変化を監視していましたが、光電式は文字通り光を利用して火災による煙が発生した時の光の変化量を監視して作動するもので定義は

周囲の空気が一定の濃度以上の煙を含むに至ったときに火災信号を発信するもので、一局所の煙による光電素子の受光量の変化により作動するものをいう

となっており、光電式にはスポット型と分離型の2つがあります。

光電式スポット型感知器の例(2種と3種)

光電式スポット型感知器の構造例

光電式スポット型感知器の作動イメージ

上図の様に暗箱と呼ばれる部品の中に火災による煙が侵入してきた時に

  1. 発光素子(発光ダイオードなどの半導体ランプ)から常時発光されている光が煙に当たる
  2. 煙に当たった光が乱反射して広がる(散乱光ともいう)
  3. 散乱光が受光素子(光電素子ともいう)に当たり受光素子が反応する
  4. 受光素子が受光量の変化を監視して受光量がある一定以上になるとスイッチング回路が働き火災信号を送出する

このような動作原理で受信機へ火災信号を送出する「散乱光方式」の感知器になります。

ちなみに発光素子は常時光を発していますが、「遮光板(セパレータともいう)」と呼ばれる部品がその光が直接受光素子へ入らないように遮っているので煙が無い時は作動しません。

光電式スポット型感知器の出題傾向として

  • 感知器の部品の名前と役割
  • 感知器の作動原理と散乱光方式

上記の要件と、下記の感知器の規格である

  • 感知器が作動したことがわかるように「作動表示装置」を設けなければならない
  • 煙を感知する部分(外部イオン室や暗箱)に虫の侵入防止の為に「目開き1mm以下の網・円孔板等」を用いて虫が入らないような措置を講じらなければならない
  • 光源は半導体素子とすること

これらが良く出題される傾向にありますので赤文字アンダーラインの部分を良く覚えておきましょう。

 

光電式分離型感知器

この分離型感知器はスポット型感知器の「一局所の煙」ではなく「広範囲の煙」を監視できるタイプのもので、定義は

周囲の空気が一定の濃度以上の煙を含むに至った時に火災信号を発信するもので、広範囲の煙の累積による光電素子の受光量の変化により作動するもの

となっています。

光電式分離型感知器の例

光電式分離型感知器の構成例と作動イメージ

上図の様に感知器が「送光部」と「受光部」に分かれおり2つで1セットの感知器になり、送光部より発せられる光を「光軸」、送光部と受光部の間の距離を「公称監視距離」といいます。

通常では送光部の発光素子より光が直接受光部に照射されていて、受光部が受ける光の量に変化が無ければ作動しませんが、作動原理として送光部から発せられる光(光軸)に火災による煙が当たった場合に受光部で受ける光の量が減少することにより火災と判断して火災信号を送出する仕組みになっていますので、光の量が減ることにより作動するので「減光方式」の感知器になります。

光電式分離型感知器の出題傾向として

  • 感知器の部品の名前と役割
  • 感知器の作動原理と減光方式

上記の要件と、下記の感知器の規格である

  • 感知器が作動したことがわかるように「作動表示装置」を設けなければならない
  • 光源は半導体素子とすること

これらと、光電式スポット型感知器の「光散乱方式」と、分離型の「減光方式」は多く出題される傾向にありますので赤文字アンダーラインの部分を良く覚えておきましょう。

 

煙複合式スポット型感知器

この複合式については熱複合式感知器の時のも説明しましたが、「2種類の感知器の機能を併せ持つもの」というもので、以前「熱複合式」「補償式」「熱煙複合式」の3つを解説しましたが今回は「煙複合式」と「2以上も火災信号を発信する多信号感知器」の2つを解説していきます。

煙複合式スポット型感知器

この感知器はイオン化式と光電式の2つの機能を併せ持った感知器で、定義は

イオン化式スポット型感知器の性能及び光電式スポット型感知器の性能を併せ持つものをいう

となっていて、この感知器から発せられる火災信号は2つで、イオン化式又は光電式いづれか早く感知したほうが火災信号を送出します。

 

多信号感知器

この感知器は感度の良い感知器と感度の悪い感知器の両方の性能を併せ持った感知器で、熱感知器で例えると「熱複合式」みたいな感じになり、定義は

異なる2以上の火災信号を発信するものをいう

となっていて、良く使われる煙多信号感知器には光電式の2種感度と3種感度の性能を併せ持った感知器「通称 2種3種」があります(下写真参照)

煙多信号感知器(2種と3種)の例

この感知器は1つの感知器から2種感度の火災信号3種感度の火災信号を送出できるので、2種感度を火災の報知に用いて3種感度を主に防火設備の連動用信号に用います。

この感知器を用いることにより通常であれば1つの場所に「火災感知用の感知器」で1つ、「防火設備起動用の感知器」で1つ、合計2つ設置しなければなりませんが、この他信号感知器を用いることにより1つの感知器で火災の感知及び防火設備の起動と2つの機能を働かせることができる優れものです。

 

煙アナログ式感知器

アナログ式については以前に解説した通りですが改めて、アナログ式感知器はアナログ式受信機というものと組み合わせて用いる感知器で、上記で解説した従来からある感知器はそれぞれの感知器に設定された一定の煙濃度に達した時に作動して火災信号を送出する一種の「スイッチ」みたいなものであるのに対して、アナログ式感知器は煙濃度がある一定の範囲内(各感知器ごとに公称感知濃度範囲の範囲内で上限値と下限値を設定できる)になった時に火災情報信号という感知器周囲の濃度が今○%といった細かな情報を感知・送出することができる一歩進んだ感知器の事で、煙アナログ式感知器には

  • イオン化アナログ式スポット型感知器
  • 光電アナログ式スポット型感知器
  • 光電アナログ式分離型感知器

の3つがありそれぞれ定義が異なり、イオン化アナログ式スポット型感知器は

周囲の空気が一定の範囲内の濃度の煙を含むに至つたときに当該濃度に対応する火災情報信号を発信するもので、一局所の煙によるイオン電流の変化を利用するものをいう

となっており、光電アナログ式スポット型感知器は

周囲の空気が一定の範囲内の濃度の煙を含むに至つたときに当該濃度に対応する火災情報信号を発信するもので、一局所の煙による光電素子の受光量の変化を利用するものをいう

となっており、光電アナログ式分離型感知器は

周囲の空気が一定の範囲内の濃度の煙を含むに至つたときに当該濃度に対応する火災情報信号を発信するもので、広範囲の煙の累積による光電素子の受光量の変化を利用するものをいう

となっていてそれぞれ定義が異なり、特に普通の感知器の「火災信号を送出し」の部分がアナログ式では「当該濃度に対応する火災情報信号を送出し」になっていますので注意が必要ですが、赤文字の部分は通常の感知器の定義と同じなので安心してください。

最後に公称感知濃度範囲について(1m当たりの減光率に換算した値で)

  • 上限値は15%~25%
  • 下限値は1.2%以上、かつ上限値より7.5%以上低い濃度
  • それぞれ0.1%刻みで設定できる

となっています。

 

まとめ

最後までご覧頂きありがとうございます。

今回は煙感知器の規格ということで

  • イオン化式スポット型感知器
  • 光電式スポット型感知器
  • 光電式分離型感知器
  • 煙複合式感知器
  • 煙アナログ式スポット型感知器

これらの感知器について解説させていただきましたが、この記事で特に覚えておきたい部分として

  • イオン化式スポット型感知器と光電式スポット型感知器の定義と作動原理
  • イオン化式スポット型感知器の煙感知方式(内部イオン室と外部イオン室)
  • 光電式スポット型感知器の煙感知方式(暗箱と発光素子と受光素子と遮光板)
  • 光電式分離型感知器の定義と作動原理
  • 光電式分離型感知器の煙感知方式(送光部と受光部)
  • 各感知器に使用されている部品の名称及び役割
  • 煙複合式スポット型感知器と多信号感知器の定義
  • 煙アナログ式スポット型感知器の定義と公称感知濃度範囲について

記事中にアンダーライン赤文字の部分はできるだけ覚えておきましょう。

時間が取れない方は重要度の高いものを優先して覚えていきましょう。

熱感知器(差動式・定温式その他)の規格について確認したい方は下記のリンクより確認できます。