消防設備士4類の試験対策 定温式・その他熱感知器の規格編

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皆さんこんにちわ

前回の消防設備士4類の試験対策 感知器の規格(差動式感知器)に続いて今回は

  • 定温式感知器
  • 複合式感知器
  • 熱アナログ式感知器

これらについて解説していきます。

今回も重要な所や覚えたい所は重要度や赤文字アンダーラインを引いていますので参考にしてください。

 

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定温式スポット型感知器

では差動式に続いて定温式ですが、この感知器は字のごとく「温度がある一定の温度以上になったら作動する」という意味で、定義文は

一局所の周囲温度が一定の温度以上になった時に火災信号を発信するもの

となっていますので定義文も覚えておきましょう。

定温式感知器の動作原理には

  1. バイメタルを用いるもの
  2. 金属の膨張率の差を利用するもの
  3. 温度検知素子(サーミスタ)を用いるもの
  4. 電線のような感知線型

があり、1.から3.はスポット型であるのに対し、4.は電線の形をしているのでスポット型ではありません。

それでは各感知器を解説していきます。

 

バイメタルを利用したもの

これはバイメタルと呼ばれる膨張率の異なる2枚の金属を張り合わせたもので、温度上昇によりたわむ(ひっくり返る)性質があるのでそれを利用して接点を閉じて火災信号を送出する仕組みの感知器になります。

身近なものでは電気ケトルでお湯が沸くと「パチッ」とスイッチが切れるものがありますが、あれもバイメタルの反転を利用してスイッチを切っています。

バイメタルを利用した感知器の例

バイメタルを利用した感知器の例

バイメタルを利用した定温式感知器の構成例及び作動原理のイメージ

作動原理としては上図の様に火災による感知器周囲の熱を受熱板が集めてそれをバイメタルへと導き、バイメタルがある一定以上の温度になったらバイメタルが反転して接点を押し上げ閉じて火災信号を送出する仕組みになっていますので、定義通り「ある一定の温度以上になった」ら作動するスイッチみたいなものです。

この定温式の定義である「周囲温度がある一定の温度以上」と、差動式の定義である「周囲の温度の上昇率が一定の率以上」はよく出題されますので覚えておきましょう。

ここでも感知器の構成部品の名前と役割

  • バイメタル(膨張率の異なる2枚の金属を張り合わせたもので温度上昇により反転する)
  • 受熱板(火災による感知器周囲の熱をバイメタルへ導くもの)
  • 接点

これらも良く出ますので覚えておきましょう。

 

金属の熱膨張率の差を利用したもの

この感知器は膨張率の異なる金属(高膨張金属と低膨張金属)を組み合わせて作られていて、下図のように外側の筒に高膨張金属を、筒内の内部金属板(ストラットという薄い板)へ低膨張金属を用いて、それぞれの膨張率の差によって接点を閉じる仕組みになっています。

火災による急激な温度上昇を受けると、外筒が大きく膨張し同じくしてストラットも膨張を始めますが、外筒の方が膨張が大きくストラットの圧縮力が弱まり引っ張られて絶縁物にある接点が近づいて閉じて火災信号を送出します。

金属の膨張率の差を利用した感知器の例(防爆型)

金属の膨張率の差を利用した感知器の構成イメージ

このタイプの感知器は円筒形で密閉構造にしやすいので高温型(~150℃)や防爆型(可燃性ガスが充満しやすい場所でも使用できるもの)に良く用いられています。

 

温度検知素子(サーミスタなど)を利用したもの

この感知器は差動式スポット型感知器のサーミスタを使用したものとほぼ同じもので、内部の検出回路が違うだけで外観は変わりませんが、製造メーカーにより差動式と定温式を見分ける為のマークが付いているのでそれで判別することができます。

下図の様にサーミスタが温度変化を受けた時の温度が設定された温度と比較して大きければ火災と判断して検出回路が働いてスイッチング回路を作動させ火災信号を受信機へ送るという構造になっていています

温度検知素子を利用した感知器の例

温度検知素子を利用した感知器の例

温度検知素子を利用した定温式感知器の構成イメージ

差動式と定温式で違う部分は上図の「温度検出回路」の部分で、差動式はこの部分が「温度上昇率検知回路」になっており間違えやすい部分なので気を付けましょう。

 

感知線型

この感知器は電線の様な外観をしているもので、下図のように絶縁被覆で覆われたピアノ線をねじり合わせた様な構造をしており火災における熱でこの絶縁被覆(可溶絶縁物)が溶解してピアノ線相互が短絡して火災信号を送出する仕組みになっています。

定温式感知線型の構成イメージ

この感知器は溶解して火災信号を送るので一度作動したもの(溶解したもの)は再度使用できない(非再用式)ので取り換える必要がありあまり使われていません。

 

複合式スポット型感知器

複合式というのは2つの感知器の機能を併せ持ったものを言い、主に「熱×熱」と「熱×煙」の複合があり

ここでは

  • 熱(差動式)と熱(定温式)を組み合わせて2以上の火災信号を出す感知器(熱複合式)
  • 熱(差動式)と熱(定温式)を組み合わせて1の火災信号を出す感知器(補償式)
  • 熱(差動式又は定温式)と煙(イオン化式又は光電式)の組み合わせ(熱煙複合式)

これら3つのものについてそれぞれ解説していきます。

 

熱複合式スポット型感知器

これは感度の良い感知器(差動式)と感度の鈍い感知器(定温式)を組み合わせた感知器で、定義は

差動式スポット型感知器の性能及び定温式スポット型感知器の性能を併せ持つもので2以上の火災信号を発信するものをいう

熱複合式スポット型感知器の構成イメージ

火災が発生した際にまず差動式の機能が先に作動して第一報を受信機へ送出しますが、これは火災の前段階の信号(もしかしたら火事かもよ)で「注意信号」とも言い、受信機の設置されている部屋の人にだけ主音響装置(受信機のブザー等)を鳴らして報知するものでこの段階ではまだ地区音響装置(非常ベル)は鳴っていません。

その後火災が拡大して感度は鈍いけど火災の発生が確実である定温式の機能が作動すると第二報を「火災信号」として受信機へ送出して、館内の地区音響装置(非常ベル)を鳴動させて在館者へ火災発生を知らせるというシステムになっています。

このタイプの感知器は第一報と第二報で別々の信号を送出できるので「2以上の火災信号を発信できる(多信号式)」となっており、どちらの機能(感度の良い機能、感度の鈍い機能)で作動したかまで把握できるもので主に2信号式の受信機の接続して運用されるのですが、現在ではほぼ全ての受信機に「蓄積」という非火災報の低減を目的とした機能が装備されたことや、アナログ式の感知器が多用される事によりみかけなくなった感知器の1つであります。

 

補償式スポット型感知器

この感知器は差動式と定温式両方の機能を持つ感知器の事を指しお互いの長所及び短所を補うタイプの感知器で、上記の熱複合式スポット型感知器と良く似ていますが、定義としては

差動式スポット型感知器の性能及び定温式スポット型感知器の性能を併せ持つもので1の火災信号を発信するものをいう

となっており、赤字の部分が異なります。

補償式スポット型感知器の構成イメージ

通常差動式の感知器は温度の急上昇に反応して作動する感知器であり緩やかな温度変化では作動しませんが、それに定温式の機能をプラスすることにより、差動式では感知できなかった緩やかな温度変化による火災をバイメタルの作動(又は金属の膨張率の差)により感知することができるので、どのような温度上昇でも火災を感知できるのが補償式感知器です。

ただ差動式で作動しても定温式で作動してもどちらでも共通の1つの火災信号として送出するので、どちらの方式で作動したかまでは特定できません。

熱複合式スポット型感知器は2つの信号を送出することにより非火災報の低減を目的にしているのに対し、補償式スポット型感知器はどんな温度上昇の火災でも感知することができる事を目的にしているので、似たような感知器ですが目的が全く異なる点に注意しましょう

 

熱煙複合式スポット型感知器

この感知器は1つの感知器で熱(差動式又は定温式)と煙(イオン化式又は光電式)の両方を感知することができる感知器の事を指し、熱を感知した信号と煙を感知した信号のそれぞれ別で送出することができる「多信号式感知器」で、定義は

差動式スポット型感知器の性能又は定温式スポット型感知器の性能及びイオン化式スポット型感知器の性能又は光電式スポット型感知器の性能を併せ持つものをいう

現在では能美防災株式会社より販売されている熱煙複合式感知器では定温式(特種、公称作動温度65℃)と光電式(2種又は3種)を組み合わせたものになっており、熱で作動した場合と煙で作動した場合に別々に火災信号を送出することができます。

 

熱アナログ式スポット型感知器

熱アナログ式スポット型感知器の例

アナログ式感知器はアナログ式受信機というものと組み合わせて用いる感知器で、上記で解説した従来からある感知器はそれぞれの感知器に設定された一定の温度(又は温度上昇率)に達した時に作動して火災信号を送出する一種の「スイッチ」みたいなものであるのに対して、アナログ式感知器は温度がある一定の範囲内(各感知器ごとに公称感知温度範囲の範囲内で上限値と下限値を設定できる)になった時に火災情報信号という感知器周囲の温度が今○℃といった細かな情報を感知・送出することができる一歩進んだ感知器の事で、定義としては

一局所の周囲の温度が一定の範囲内の温度になった時に当該温度に対応する火災情報信号を発信するもので、外観が電線状以外のものをいう

となっており

  • 公称感知温度範囲の上限値は60℃~165℃
  • 公称感知温度範囲の下限値は10℃~上限値-10℃
  • それぞれ1℃刻みで設定できる

 

まとめ

最後までご覧頂きありがとうございます。

今回は消防設備士4類の試験対策として定温式とその他感知器の規格について

  • 定温式スポット型感知器の種類と概要
  • 定温式感知線型の概要
  • 複合式スポット型感知器の種類と概要
  • 熱アナログ式スポット型感知器の概要

これらについて解説させていただきました。

この記事で覚えておきたい所は

  • 定温式スポット型感知器の定義と作動原理
  • 定温式スポット型感知器の熱感知方式(バイメタル・金属の膨張差・温度検知素子)
  • 定温式感知線型の概要と作動原理
  • 各感知器に使用されている部品の名称及び役割
  • 熱複合式スポット型感知器の定義と作動原理
  • 補償式スポット型感知器のの定義と作動原理
  • 熱煙複合式スポット型感知器の定義と現行品の紹介
  • 熱アナログ式スポット型感知器の定義と公称感知温度範囲について

アンダーラインが引いてある所や赤文字の部分は要注意です。

差動式感知器と煙感知器の規格について確認したい方は下記のリンクより確認できます。