消防設備士4類の試験対策 受信機の基本と共通の構造

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皆さんこんにちわ。

前回の感知器の規格編に続きまして今回は受信機について

  • 受信機の基本
  • 受信機の種類と分類
  • P型とR型の違いについて
  • 受信機に共通する構造・機能
  • 受信機に共通する「部品」の構造・機能(音響装置・表示灯・予備電源)

これらについて解説していきますが今回も重要な所や覚えたい所はアンダーラインを引いていますので参考にしてください。

 

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受信機の基本

受信機の役割

受信機とは上記のイラストでもわかるように自動火災報知設備のかなめであり、感知器や発信機からの火災信号を受信することによりその信号を警報信号へと変換し廊下などにある非常ベルを鳴動させて在監者に火災発生を報知して避難や初期消火を促す為のもので、以下の基本的な要素があります。

  1. 感知器や発信機から火災信号を受信することにより受信機周辺の関係者へ主音響装置(受信機に内蔵されているブザー等)と火災灯、地区表示灯を作動させて知らせる
  2. 地区音響装置(いわゆる非常ベルの事で廊下等に設置されている)を鳴動させて在館者へ火災発生を報知する
  3. 火災信号を他機器へ移報することにより他機器(消火栓ポンプ、非常放送設備、防火シャッターなど)を作動させる
  4. 停電でも監視・報知できる様に予備電源(いわゆるバッテリー)を内蔵して一定時間監視・報知をすることができる

ちなみに受信機の定義は

火災信号、火災表示信号、火災情報信号、ガス漏れ信号、又は設備作動信号を受信し、火災の発生若しくはガス漏れの発生又は消火設備等の作動を防火対象物の関係者又は消防機関に報知するものをいう。

となっており、火災信号等を受信して火災の発生等を防火対象物の関係者に報知するものとなっています。

上記の受信機の基本的な役割を覚えておかないとこれからの内容が頭に入ってこないので重要な部分になります。

 

受信機の種類と分類

受信機の種類

受信機と言っても色々な種類があり、上図の様な分類になっていて火災報知を行う受信機はP型とR型に分類されP型は

  • 1級
  • 2級
  • 3級

がありR型は

  • R型
  • R型アナログ式

があります。

ガス漏れの監視を行う受信機はG型と呼ばれガス漏れだけを監視・報知しますが、それに火災報知機の機能を併せ持った受信機がGP型とGR型になります。

 

受信機の分類について

受信機の分類の例

受信機は上記の種類に加えて

  • 非蓄積式
  • 蓄積式
  • 2信号式

これらの分類もありますのでそれぞれの機能の違いや秒数を覚えておきましょう。

 

非蓄積式
この受信機は感知器等からの火災信号を受信した場合5秒以内に火災表示を行う受信機になりますので、ちょっとした温度変化などで火災作動をしてしまういわゆる「非火災報(誤報ともいう)」が多い受信機の為、感知器に蓄積式感知器を使用して非火災報を低減する措置をしていましたが、現在ではほとんどの受信機が蓄積式になっているのであまりみかけなくなった受信機になります。
蓄積式
この受信機は感知器からの火災信号を受信した場合にある一定の時間継続して火災信号を受信しないと火災作動を行わないタイプで、例えるならタイマー機能が付いていると考えていただければ良いと思います。
この蓄積時間の設定として「5秒を超えて60秒以内の範囲内」と決まられていますのでその範囲内で設定されています。
ちなみに発信機からの火災信号に対してはこの蓄積機能は働かない(すなわち5秒以内に火災表示)ようになっていて、これは人間が火災を発見して発信機を押すというプロセスに誤作動はないという事になっているからです。
2信号式

この受信機は前にも解説した2信号式感知器を接続できる受信機で、感知器からの火災信号を「第1報(注意警報)」と「第2報(火災警報)」の2つ受け取ることにより非火災報を低減している受信機ですが全て非蓄積式で現在ではみかけません。

  1. 2信号式感知器から第1報・第2報の火災信号を受信する
  2. 2つの感知器から第1報・第2報の火災信号を受信する

これらの場合に2信号式受信機は機能し、発信機からの火災信号は「第2報」として扱われ5秒以内に火災表示を行います。

 

P型とR型の違いについて

上記でもお話したように火災受信機にはP型とR型がありますが、どのような違いがあるのでしょうか?

P型受信機とR型受信機の違いのイメージ

P型受信機

P型受信機は感知器や発信機からの火災信号が「共通の信号」となっており、各回路で共通の配線を用いているのでそれぞれの火災信号を警戒区域ごとに地区表示灯を用いて区別してあげる必要がある為配線数が多く、かつ複雑になってしまいます。

ただR型と比べて機器が非常に安価である為、中小規模防火対象物へよく設置されます。

警戒区域とは「火災の発生した区域を別の区域を区別することができる最小単位の区域」の事で、簡単に言うと火災発生場所を特定するために防火対象物を一定の大きさで区分けしたもので、例えば「1階」とか「2階」などで区別し警戒区域として設定します。

 

R型受信機

R型受信機はP型と違って感知器や発信機からの火災信号を中継器を用いることによりデジタル化して「固有の信号」として受信することで液晶画面で火災表示信号(火災情報信号)として表示することができるので地区表示灯は不要になり中継器から受信機間の配線が少なくて済み、かつアナログ式感知器を用いる場合はアドレス(いわゆる住所みたいなもの)を設定することにより作動した感知器がアドレスで表示されるので受信機でその作動した感知器を特定することができます。

このように非常に便利かつ高性能ですが非常に高価である為、中大規模防火対象物へよく設置されます。

 

受信機に共通する構造及び機能

受信機にも感知器などと同様に決められた構造や機能がありますので解説していきます。

  1. 定格電圧60Vを超える受信機等(感知器・発信機も含む)の金属製外箱には接地端子を設けること
    • 「接地端子」と言っているのであり、接地が必要ということではありません注意!
  2. 外箱は不燃性、又は難燃性であること(感知器や発信機も同様)
  3. 受信機の電源電圧が以下の範囲で変動した場合でもその機能に異常を生じないこと
    主電源 定格電圧の90%以上110%以下
    予備電源 定格電圧の85%以上110%以下
  4. 主電源を監視する装置を受信機の前面に設けること(緑色の電源表示灯など)
  5. 受信機の試験装置は受信機の前面において容易に操作できること
  6. 蓄積時間を調整する装置を設けるものは受信機の内部に設けること
  7. 復旧スイッチまたは音響装置の鳴動を停止するスイッチは専用のものとすること
  8. 水滴が侵入しにくい構造であること
  9. スイッチが定位置にないとき、音響装置またはスイッチ注意灯が作動すること

これら受信機の構造・機能に関しては良く出題される部分なのでアンダーラインの部分も含めて覚えておきましょう。

 

受信機に共通して用いられる部品の構造及び機能

受信機に使用される部品についてもそれぞれ決められた役割がありますので解説していきます。

音響装置

受信機に接続(又は内蔵)されている音響装置にも決まりがあり「主音響装置」と「地区音響装置」のそれぞれで数値がことなります。

①主音響装置

受信機に内蔵されている音響装置の事を指し、受信機周囲にいる防火対象物の関係者に火災発生を知らせる音響装置で、「受信機から1m離れた位置で音圧(A特性)が85dB以上(P型3級は70dB以上)」と決められています。

②地区音響装置

ベルやブザー・スピーカーなどの事で防火対象物の廊下などに機器収容箱の中に発信機と一緒に収容されているものが多く、「地区音響装置から1m離れた位置で音圧(A特性)が90dB以上(音声により警報を発するものになっては92dB以上)」となっています。

 

表示灯

一言に表示灯と言っても

  1. 受信機に設置されているランプ(電源表示灯やスイッチ表示灯など)
  2. 発信機の位置を示す為に直近に設置する赤色の表示灯(赤色表示灯ともいう)

上記の種類がありますがここでは1.の表示灯についてのお話になります。

  1. 電球(白熱電球やハロゲン電球など)を2個以上並列に接続すること
    • 直列接続にすると1つの電球が球切れした場合に2個とも点灯しなくなるので不可、放電灯や発光ダイオードであれば1個で良い
  2. 300ルクスの明るさにおいて3m離れ位置で点灯していることがわかること

 

予備電源

予備電源の概要

通常、消防用設備等には非常電源(停電時でも消防用設備等を有効に作動させる為の非常用電源)を付置させなければなりませんが、自動火災報知設備の受信機に関しては非常電源の容量以上の「予備電源」を搭載すれば非常電源を省略できるという決まりがありますのでほぼ全ての受信機が予備電源を内蔵して非常電源の設置を省略しています。

この受信機に内蔵されている予備電源にも決まりがありますので解説していきます。

  1. 密閉型蓄電池であること
  2. 主電源が停止した時(停電した時)は主電源から予備電源に自動的に切り替わり、主電源が復電したら自動的に予備電源から主電源に切り替わる装置を設けること
  3. 口出線は色分けするとともに誤接続防止のための措置を講ずること
    • 予備電源から出ている配線は赤色と青色で色分けされており、接続部はコネクターを用いて誤接続(逆に接続)ができないようになっている

 

☆予備電源の容量について

P型とR型 監視状態を60分継続した後に2回線の火災表示と接続されている全ての地区音響装置を同時に鳴動させることができる消費電力を10分間流せること
G型※1 2回線を1分間作動させ、同時にその他の回線を1分間監視状態※2にすることができること

※1…G型受信機には予備電源の設置義務はありません
※2…いつでも電力を供給することができる状態の事

 

★予備電源が不要な受信機

  • P型2級1回線
  • P型3級
  • G型

上記の受信機には予備電源を設けなくても良いとなっています。

 

非常電源

受信機に予備電源を搭載している場合は非常電源の接続は必要ありませんが、非常電源を接続する場合の決まりも解説しておきます。

  1. 非常電源は受信機の外側に設置・接続を行い「非常電源専用受電設備」又は「蓄電池設備」のいずれかを選択できる
  2. 防火対象物が特定防火対象物で、かつ延べ面積が1000㎡以上場合は「蓄電池設備」しか選択できない
  3. 非常電源の容量は自動火災報知設備を10分間有効に作動させることができる以上の容量が必要になる
  4. 予備電源の容量が非常電源の容量を上回る場合は非常電源を省略することができるので、一般的には予備電源を搭載して非常電源を省略しています

 

まとめ

最後までご覧頂きありがとうございます。

今回は受信機について

  • 受信機の基本
  • 受信機の種類と分類
  • P型とR型の違いについて
  • 受信機に共通する構造・機能
  • 受信機に共通する「部品」の構造・機能(音響装置・表示灯・予備電源・非常電源)

これらについて解説してきましたが、重要な部分はアンダーラインをしてありますのでよく覚えておきましょう。

受信機の基本的な役割を理解しておかないとこれからの内容(P型・R型受信機の構造・機能など)が頭に入ってこなくなるので受信機がどういった立ち位置なのかを確認しておきましょう。

この記事の中でも特に

  • 蓄積式と非蓄積式の違いと秒数規定
  • P型とR型の信号の違い
  • 受信機に共通する構造・機能の赤アンダーラインの部分
  • 受信機の「音響装置」と「予備電源」

これらは試験に出題されやすい部分なのでとても重要で、中でも数値を謳っているもの(A特性で90dB以上とか監視状態を60分継続した後に2回線の火災表示と~など)は特に出題される傾向にあるのでしっかり覚えておきたい所です。