皆さんこんにちわ。
先日、認定電気工事従事者講習を受けてきたのですが、その時にふと「消防用設備等の工事や改修で電源工事などをするけど、電気工事士法などに照らし合わせるとどうなんだろう?」と思ったので調べてみました。
工事・整備からの除外部分
まずはおさらいで、消防用設備等の工事・整備を行う際に業務独占から除外される部分を確認しましょう。
①電源、配管、水源の部分を除外
- 屋内消火栓設備
- スプリンクラー設備
- 水噴霧消火設備
- 屋外消火栓設備
②電源の部分を除外
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泡消火設備
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不活性ガス消火設備
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ハロゲン化物消火設備
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粉末消火設備
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自動火災報知設備
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ガス漏れ火災警報設備
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消防機関へ通報する火災報知設備
上記のように、除外されている部分が存在しますので、除外されている部分については消防設備士でなくても従事できます。
ただ、電源の部分のように、別途資格の必要な場合があります。(電気工事士資格が必要など)
電源工事の区分
では、電源工事の区分はどのようになっているのでしょうか?
電気工事士には第1種と第2種がありますが、どのように区分されているのかを説明します。
簡単に区分すれば、第2種電気工事士は「一般用電気工作物」の電気工事を行うことができ、第1種電気工事士は「一般用電気工作物」と「自家用電気工作物(500w未満の需要設備等)」の電気工事を行うことができます。
ではこの「一般用電気工作物」と「自家用電気工作物」はどのような区分なのでしょうか?
一般用電気工作物
低圧(主に100vや200v)で受電する電気設備で、一般住宅や小規模の店舗や工場が該当します。
その他に小出力発電設備(出力50kw未満の太陽光発電設備や出力10kw未満の内燃力発電設備など)も該当します。
見分け方は、電柱からの受電が直接建築物(または分電盤)に入っている建物になり、よく言うキュービクル(変電設備)がありません。
自家用電気工作物
高圧(6600v)や特別高圧(7000v以上のもの)で受電する電気設備で、大規模な工場やビルなどが該当します。
その他に、上記の小出力発電設備以外の発電設備(出力50kw以上の太陽光発電設備など)が該当します。
見分け方は、高圧で受電していますので、受電点(責任分界点)にPAS(高圧気中開閉器)などがあり、建物に変電設備(キュービクルや変電室)があります。
上記のように区分されていますので、第2種電気工事士では変電設備のある「自家用電気工作物」では工事ができませんので、「自家用電気工作物」の低圧回路部分(600v以下の電路)においても工事ができません。
混同されがちですが、「自家用電気工作物」において第2種電気工事士は低圧回路におけるスイッチやコンセント(配線器具)の結線や交換すらできません。
ここは重要なので色をつけてみました。
ちなみに上記の「自家用電気工作物における低圧回路部分の工事」には第2種電気工事士+認定電気工事従事者の資格があれば工事可能です。
これを踏まえて、消防用設備等における電気工事についてお話します。
消防用設備等における電気工事
ではよくある事例を用いて解説します。
ちなみに下記の「第1種電気工事士」の表記には「第2種電気工事士+認定電気工事従事者」の資格を有する者も含まれます。
①自動火災報知設備の受信機を新設する工事
「自家用電気工作物」における受信機新設工事を行う場合に
- 受信機本体を壁などに設置したり内部配線(100v以外)の結線ができるのは「消防設備士」
- 受信機から総合盤などへ感知器線や幹線を電線管に納めて通線ができるのは「だれでもできる」
- 感知器や総合盤内の結線接続ができるのは「消防設備士」
- 受信機に電源線(100v)を端子に接続できるのは「第1種電気工事士」
- 電源線を電線管に納めて通線できるのは「第1種電気工事士」
- 分電盤などに専用ブレーカーを設置してそのブレーカーに電源線を接続できるのは「第1種電気工事士」
になります
防火対象物が「一般用電気工作物」であれば端子への接続や、電線管の通線、専用ブレーカーの設置や接続が「第2種電気工事士」で可能になります。
ちなみに分電盤などのブレーカーの入り切りには低圧電気取扱業務特別教育が必要になりますので、まだ受講していない方は受講しておきましょう。
②誘導灯の新設工事
「自家用電気工作物」における誘導灯の新設工事を行う場合に
- 誘導灯へ接続する電源線を電線管(Eパイプなど)に通線する作業ができるのは「第1種電気工事士」
- 誘導灯本体を天井や壁などに固定する工事ができるのは「第1種電気工事士」
- 誘導灯本体へ電源線を接続する工事ができるのは「第1種電気工事士」
- 分電盤などに専用ブレーカーを設置してそのブレーカーに電源線を接続できるのは「第1種電気工事士」
になります。
防火対象物が「一般用電気工作物」であれば、上記の工事は「第2種電気工事士」で行えます。
ただし、工事完了後に「誘導灯及び誘導標識試験結果報告書」を作成して届出を行いますが、この試験を行うのは「消防設備士」であり、試験の良否を判定するのも「消防設備士」でありますので、誘導灯の工事に関しては、「消防設備士甲種4類」+「第1種電気工事士」(一般用電気工作物なら第2種電気工事士)の両方を有していたほうが良いということになります。
③屋内消火栓設備の電源工事
「自家用電気工作物」における屋内消火栓設備の電源工事を行う場合に
- 変電設備(キュービクルなど)から消火栓制御盤まで耐火電線を電線管に納めて通線する工事ができるのは「第1種電気工事士」
- 変電室などから架空電線などにより他の建物への電線路(架空電線路や地中埋設電線路)を施工できるのは「第1種電気工事士(認定電気工事従事者は不可)」
- 制御盤内の端子へ電源線を接続できるのは「第1種電気工事士」
- 消火栓起動リレーから消火栓箱の赤色表示灯へ耐熱電線を電線管に納めて通線できるのは「だれでもできる」(24v回路であるため)
になります。
もちろん防火対象物が「一般用電気工作物」であれば上記の工事は「第2種電気工事士」で施工できます。(電線路に関わる工事を除く)
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回は消防用設備等における電気工事についてお話させていただきました。
今回の解説した内容は「第二種電気工事士」を受験する際に勉強した事ですが、普段気にしない事でもあるので忘れがちな内容になります。
それではまとめですが
- 電気工事士には第1種と第2種がある
- 第2種電気工事士は「一般用電気工作物」における電気工事ができる
- 第1種電気工事士は「自家用電気工作物」と「一般電気工作物」における電気工事ができる。
- 「一般用電気工作物」は低圧(主に100vや200v)で受電している建築物で、変電設備(キュービクルなど)は無い。
- 「自家用電気工作物」は高圧(6600v)や特別高圧(7000v以上)で受電している建築物で、変電設備(キュービクルや変電設備室など)が存在する。
- 第2種電気工事士は「自家用電気工作物」における電気工事(低圧回路部分でも)ができない。ただし、低圧回路部分においては「認定電気工事従事者」の資格もあれば従事できる。(簡易電気工事)(電線路に関わる工事には従事できない)
- 消防用設備等の電気工事は、当該防火対象物がこの「一般用電気工作物」や「自家用電気工作物」により工事に従事できる電気工事士資格(第1種・第2種)が変わる。
以上になります。
今回の記事でお伝えしたいことは、現実問題として、「自家用電気工作物」の電気工事(低圧回路部分)を「第2種電気工事士(認定電気工事従事者資格なし)」が行っているというのがあるかと思いますが、実際に工事を行っていても誰かが資格を確認するわけでもないので平然と工事をしています。
ですが、万が一電気事故(感電や波及事故)が発生した場合に、工事を施工したのはどこのだれで、資格はあったのかなかったのかをこと細かく調べられて、無資格工事が発覚したならば建設業許可の取り消しや電気工事業登録の抹消などの行政処分や、波及事故や人身事故に関する損害賠償請求もあるかもしれません。
これらを踏まえて無資格工事が少しでもなくなればと今回記事を作成しました。
消防用設備等の工事、電気工事の無資格工事、ダメ!ゼッタイ!