皆さんこんにちわ。
突然ですが、皆さんがご家庭や外出先で良く見かける赤い色をした「消火器」ですが、これっていろんな種類や大きさがあって、家庭用と業務用で分かれているって事をご存じでしたか?
この記事ではとても身近な「消火器」についてと、加圧式と蓄圧式の違いや放出プロセスについても詳しく解説しています。
消火器って?
消火器は読んで字のごとく「火を消すための器具」になり、万が一の火災の時にすぐさま取り出して初期消火が行えるとても頼りになるものです。
ちなみに火災初期段階において消火器がなくてバケツの水等で消火した場合と、消火器で初期消火した場合では消火にかかる時間がとても開きがあり、初期消火に消火器が有効であるというのは実証されています。
それにただ火を消すにしても、水で消す、粉末で消す、泡で消す、ガスで消す、と消火のやり方は色々ありますし、大きさも家庭用のかわいい消火器から危険物施設向けのとても大きな消火器まで多種多様です。
ではこの種類や大きさについて解説しましょう。
消火器の種類と大きさ
消火器には下記のような種類があり、可燃物の種類やその規模により設置するべき消火器を変えて対応しています。
加圧式と蓄圧式
消火器本体に入っている消火薬剤を放射するのに圧力を用いますが、圧力のかけ方により「加圧式」と「蓄圧式」というのに分かれます。
「加圧式」は消火器の中に小型のガスボンベを入れておいて、使用時にこのボンベに穴を開けてそのボンベ圧力により消火薬剤を放射します。
「蓄圧式」は消火器本体の中にガス(主に窒素)をあらかじめ封入しておき、そのガスと一緒に消火薬剤を放射します。
加圧式はガスボンベに穴を開けたときに一気に圧力が高くなりますので消火器本体が劣化してると破裂する場合がありますが、蓄圧式はあらかじめ安全な圧力でガスを封入していますので加圧式のように破裂する心配は皆無ですので、最近流通している消火器は「蓄圧式」が主流になっています。
加圧式消火器の解説
では上記で紹介した加圧式消火器はどのようなプロセスで消火薬剤を放出するのかを図を用いて解説いたします。
上記図の①の状態はまだ使用前の状態を表していて、消火器本体内部は大気圧で、ガスボンベと、そのガスボンベのガスを導く導入管、消火薬剤をホースやノズルへ導くサイホン管と、サイホン管内に消火薬剤が入らない様にしている粉上がり防止封板などから構成されています。
上記図の②に状態は消火器のレバーを握ってガスボンベに穴が開き、そのガスがガス導入管を通って消火薬剤に噴出している状態です。これにより消火器本体内部は急激に圧力が上がっていき、その圧力はサイホン管へと逃げていきます。ちなみにガスボンベ内に封入されている圧力はおよそ5.7Mpa(約58kg/㎠)になります。
上記図の③の状態はガスボンベの圧力が消火器本体内部へと充満し、消火薬剤がその圧力により粉上がり防止封板を破ってサイホン管を通りホースとノズルを経由して放出している状態です。
上記の様に加圧式はガスボンベの圧力が消火器本体容器内に急激にかかるため、本体容器に不具合(錆やへこみ、経年劣化など)がある場合に本体容器破裂の恐れが少なからず有るということになります。
蓄圧式消火器の解説
上記図①は使用前の蓄圧式消火器を表したもので、あらかじめ消火器本体容器内にガスを封入(圧力0.98Mpa前後)しておき、その圧力を放出弁(バルブ)で押さえている状態になっています。
上記図②では消火器レバーを操作して放出弁(バルブ)を開放した状態です。これにより封入されている圧力と薬剤が放出されます。
上記図③では封入されていた薬剤がホースとノズルを経由して放出されている状態になります。
これらのように蓄圧式消火器はあらかじめガスを封入してあり、加圧式のように内部圧力が急激に上がるということはありませんのでほぼ破裂の恐れのない消火器になっています。
消火器の種類
粉末消火器
ピンク色の粉状の薬剤で熱により粉末が溶けて飴状になり火災を覆いつくす様にして火災を抑制して消火する。現在流通している消火器の90%以上がこの粉末消火器になり、薬剤の成分は「リン酸アンモニウム」という成分で、いろんな火災(油火災や電気火災)に対応している優れもの。ただし鎮火後は一面ピンク色の粉まみれになり復旧が大変。
水消火器
消火薬剤が純水ベースで、火災を冷却することにより消火する。主にクリーンルームやサーバールームといった火災鎮火後の二次汚染を嫌う所に設置され、精密機器等に薬剤がかかっても乾燥後に不純物(添加物)を残さないものが主流。ちなみに純水は不導体(電気を通さない)だそうです。
強化液消火器
消火薬剤のベースである界面活性剤に色々な添加剤(浸潤材等)を加えて消火能力を上げた水系の消火器で、薬剤を霧状に噴霧できる消火器は電気火災にも使える。昔は強アルカリ性の薬剤だったが、現在は中性の薬剤が主に流通している。
泡消火器
泡消火器には薬剤を混ぜ合わせた化学反応を利用して泡を放射する「化学泡消火器」と、消火薬剤を専用の発泡ノズルを通過させることにより機械的に泡を放射する「機械泡消火器」の2種類があり、特に油火災には非常に威力を発揮するので危険物施設(灯油タンクなど)に良く用いられるが、泡は伝導性があるので電気火災には使用できない(感電してしまう為)
二酸化炭素消火器
消火薬剤に二酸化炭素を用いて、二酸化炭素の窒息効果により消火を行うが、密室や地下室などで使用すると人間も窒息してしまうので使用厳禁である。ガスにより消火し二次災害が少ないのでサーバールームや電気室、美術館などで良く使われる。消火器本体が緑色をしているので消火器の中ではぱっと見でわかる消火器でもありますが、普通火災には対応していない(油火災と電気火災にのみ対応)
ハロゲン化物消火器
ハロゲン化物と呼ばれる物質を消火薬剤に使用して主に抑制効果により消火する。ハロゲン化物には種類があるが主に設置されているのはハロン1301というもので、消火能力は二酸化炭素よりも強力だがオゾン層を破壊するので現在ではハロゲン化物消火器は製造されていないが、消火設備としてなら現在でも設置が可能である。
消火器の大きさについて
消火器の大きさは中に入っている消火薬剤の量により小さかったり大きくなったりします。小さいものでは家庭用の消火器で消火薬剤が1kgくらい(500ミリリットルのペットボトルくらいの大きさ)から、大きなものだと子供の背丈くらいある車輪を装備したドラム缶くらいの大きさの消火器もあり石油コンビナートみたいな危険物施設に設置されたりします。
よく商業施設や学校などで見かける2リットルのペットボトルくらいの大きさの粉末消火器は消火薬剤が3kg入っています。俗に言う粉末消火器の10型と呼ばれる大きさで一番多く流通している大きさの消火器になります。
家庭用消火器と業務用消火器
消火器には家庭用消火器と業務用消火器があるのをご存じでしょうか?これは平成23年に総務省令が改正になってから変わり、それまでは家庭用などの区分がなかったのを区別することによりそれぞれ特徴を持たせることになりました。
家庭用は使用期限が5年で中身の詰め替えができない構造になっていますが、色等に制限がありませんのでおしゃれな消火器が多い(白を基調としたものやキャラクターを描いたもの)ですが、一方業務用は使用期限が10年で中身の詰め替えができますが色は赤と決まっていますので無骨なイメージは拭えません(最近ではワインレッドでおしゃれなものもあります)。
ちなみに一般家庭以外に設置する消火器は業務用と決まっていますので家庭用を設置することはできませんが、逆に一般家庭に業務用を設置するのは問題ありません。
消火器はリサイクルしよう
最近は3R(リユース、リデュース、リサイクル)が当たり前ですが消火器もリサイクル制度が出来てリサイクルするのが当たり前になっています。
ではなぜ消火器もリサイクルするようになったのかというと、以前に不要な消火器を解体しようとして破裂する事故が頻出したのが一つの要因で、消火器を一元してリサイクルすることによって、こういった解体廃棄に伴う破裂事故を防ごうということです。
リサイクルする消火器の鉄は鉄、プラスチックは再生プラスチック、消火薬剤は再生薬剤として生まれ変わってまた新しい消火器として製造されるのです。万が一消火器を廃棄する場合には専門の業者(消防設備業者)にご一報くださいね。不法投棄ダメ!ゼッタイ!
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回は身近にある消火器についてご紹介いたしましたが奥が深いですね。消火器は初期消火においてまさに「最強」であり、その種類(加圧式や消火薬剤の種類)や大きさもいろいろあることがわかりました。
もしご家庭に消火器がありましたらたまには取り出して清掃してあげてください。もしかしたら期限が切れていたり本体容器は破損しているかもしれません。もし期限が切れて買い替える場合は必ずリサイクルしてください。最近は消火器を購入すると古い消火器を引き取ってくれるホームセンター等もありますので購入時に確認してくださいね。