消防用設備等の専門的なお話

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皆さんこんにちわ。

この記事では皆さんが知っているようで知らないかもしれない意外な話をさせていただいています。

もし下記の事項をすべて知っている方がいればその方は相当勉強されていると思います。

 

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消火器具のお話

私たちも普段仕事で点検している消火器具ですが、消防設備六法とか見ていると「あー、そうなんだー。」ってことが結構あるので紹介したいと思います。

消火器本体の赤色塗装について

消火器本体の塗装の色は赤色と決まっています。
いきなりですが問題です。消火器本体の何%以上が赤色でなければならないでしょうか?

正解は25%以上です。これは「消火器の技術上の規格を定める省令」の第37条(塗装)の部分に記載があって

消火器の外面は、その二十五パーセント以上を赤色仕上げとしなければならない。

とされています。

消火器は国家検定品なのでありこの外面25%以上の状態で検定に合格していますので、外面の赤色が25%を下回るとこの検定から外れてしまうので不良になります。

塗装場などに設置されている消火器で外面が赤色以外で塗装されてしまっている消火器や、屋外設置消火器で格納BOXなどに入っていない状態で紫外線等で赤色が色あせて朱色やピンク色等になってしまう消火器は注意が必要です。

 

消火器の標識について

消火器の設置場所の直近の見えやすい場所に標識を設ける決まりがありますが、また問題です(笑)

この標識には大きさや色合いなどの決まりがある・・・○か×か?

正解は(決まりがある)です。

これは消防設備六法「消防法施行規則」の第九条(消火器具に関する基準の細目)の四項に関連の記載があって

消火器具を設置した箇所には、消火器にあっては「消火器」と ~中略~ 表示した標識を見やすい箇所に設けること
(解説)地→赤、文字→白、長辺二十四センチメートル以上、短辺八センチメートル以上

となっています。

この他でも各市町村の火災予防条例で標識の規格を告示していて、その告示を総括すると上記規格となっているので決まりがあるといえます。

よくおしゃれな防火対象物で消火器標識が上記の規格に満たない(地が白、文字が赤など)ものや、手作り標識で大きさが規格より小さいなどはよくあるので点検等でよく確認しておく必要があります。

また上記標識に代えて設置できるピクトグラムというものもありますので下記の記事で詳しく説明しています。

 

自動火災報知設備のお話

受信機の予備電源について

みなさんは自火報受信機に内蔵している予備電源をどのように点検してどのように不良判定していますか?当ブログでは「予備電源の端子電圧値が定格電圧の85%未満では不良」と記載していますが、それはなぜでしょう?

正解は「受信機が予備電源定格電圧の85%未満だと受信機の機能に異常を生じる恐れがある」からです。

これは「受信機に係る技術上に規格を定める省令」の第十四条(電源電圧変動試験)において

受信機は、次の各号に掲げる電源の電圧が当該各号に定める範囲内で変動した場合、機能に異常を生じないものでなければならない
一、主電源 定格電圧の九十パーセント以上百十パーセント以下
二、予備電源 定格電圧の八十五パーセント以上百十パーセント以下

と定められており、予備電源定格電圧の85%以上なら異常を生じない作りになっているので85%未満では不良になります。

また自火報に使用される音響装置(部品)においても予備電源定格電圧の85%で音響を発すること、となっています。

 

自火報P型発信機について

また問題です(笑)

P型発信機の外面は赤色をしていますが、この赤色が色あせた、もしくは赤色以外になった場合(塗装などにより赤色以外になっているなど)当該発信機は不良となるか?結構よくある話ですが・・・

正解は「不良になる」です。これも「火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令」の第三十二条八項で

外箱の色は、赤色であること

と決まっています。

発信機も国家検定品の為、赤色以外になると検定を外れてしまうので不良となります。

よく発信機内蔵の総合盤の外箱を塗装した際に、一緒に発信機も塗装してしまい赤色以外となってしまうことがあるので注意しましょう。

 

自火報T型発信機について

先日、消防設備士の再講習に行ったときに、講師をしていた消防設備安全センターの方が話していたことで、よく目にするP型発信機(PはプッシュのP)の他に、送受話器みたいな形のT型発信機(TはTELEPHONEのT)というものがあるのですが、これは法令上残っているもので実際にはもう生産も販売もされていない発信機だとおっしゃっていました。

さらにT型発信機は非常警報器具及び設備に用いられる「非常電話」とは全く違うものだということもおっしゃっていました。(用いられる設備がそもそも違いますし、発信機は国家検定品で非常電話は認定品)

これらはテキストのどこにも記載されていないことであり、安全センターの偉い方が教えてくれないと知らないことなので、再講習ではウトウトしないでしっかり聞きましょう。

 

非常警報器具及び設備のお話

非常電源について

非常警報設備(放送設備)の非常電源の例

上記自火報で予備電源(内蔵型)のお話をしましたが、今度は非常警報器具・設備の非常電源(蓄電池設備)のお話です。

では早速問題です(笑)

自火報予備電源の端子電圧値が85%未満になると不良と記載しましたが、では非常警報器具と設備(非常用放送設備)の非常電源(蓄電池設備)は何%まで不良にならないでしょうか?

・・・正解は「90%未満」です。定格24Vなら21.6V未満で不良となります。これも「非常警報設備の基準」の第三の一(一)に記載があり(放送設備は第四の一(一)に記載)

非常ベル及び自動式サイレンの構造及び性能は、次に定めるところによる。
(一)電源電圧が次に掲げる範囲の変動をした場合、機能に異常を生じないものであること。
イ、交流電源にあっては、定格電圧の九十パーセントから百十パーセントまで
ロ、蓄電池設備にあっては、端子電圧が定格電圧の九十パーセントから百十パーセントまで

となっています。
ちなみに自火報は「~前略~ 非常電源を予備電源に代えることができる」となっているので、受信機内蔵バッテリーはほぼ予備電源ですが、非常警報器具及び設備は予備電源に代えることができる・・・とは記載されていないので非常電源=専用受電or自家発電or蓄電池or燃料電池となり、増幅器内蔵バッテリーは蓄電池設備となります。誘導灯も非常電源なので一緒です。

 

まとめ

最後までご覧頂きありがとうございます。

いろいろ記載してきましたが、消防用設備等の点検要領を見ているだけではわからない(記載されていない)部分もあるので、そのちょっと先の部分までやってみました。

他にも蓄圧式の業務用消火器にはなぜ使用済みの表示装置がなくても良いのか?なども消防設備六法等を読まないとわからない部分があると思いますので、消防用設備点検でご飯食べてる方はたまには六法などを読んでみるとおもしろい発見があるかもしれません。

消火ポンプのよくある話を下記の記事で紹介していますので参考にしてください。

 

また自動火災報知設備のよくある話もありますので下記の記事から確認していただけます。