非常警報器具及び設備の点検要領 その2・その3

この記事は約7分で読めます。

皆さんこんにちわ。

今回は非常警報器具及び設備の点検要領その2とその3をやっていきます。

その2は非常警報設備(非常放送設備)の部分になり、その3は総合点検(器具・設備共用)になります。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

放送設備

起動装置

周囲の状況

起動装置である表示に汚損・不鮮明がなく、操作や点検に障害となる物品がないか確認する。

外形

変形・脱落・腐食等がなく、押しボタンの保護板に損傷等がないか確認する。

押しボタン等

操作部にて音声警報音・火災音信号を発するか確認する。

発信機、非常電話

①連動により火災放送を確認する。

・サイレン警報の場合は火災音信号が鳴動するか確認する。

・音声警報の場合は感知器発報放送を行った後に自動的に火災放送が行われることを確認する。

②非常電話(子機)の操作により操作部(親機)の呼出音が鳴動し、相互通話が明瞭に行えるか確認する。

③2以上の非常電話(子機)の操作により任意の子機の選択が行われ、選択された以外に子機には話中音が流れるか確認する。

 

自動火災報知設備との連動(連動する放送設備に限る)

自火報と連動させて感知器放送及び火災放送が鳴動するか確認する。

また連動を確認する際、放送設備の連動端子間で短絡して起動信号入力に替えて点検を行うのは、自火報から放送設備間の配線等のチェックを行ったことにはならないので必ず自火報をからの起動信号を送出させて行う。

(1)サイレン警報の場合は火災信号を受信した場合、自動的に放送設備が起動し、火災音信号または音響装置が鳴動するか確認する。

(2)音声警報の場合は火災信号を受信した場合、自動的に放送設備が起動し、感知器発報放送を行い、感知器発報放送後、次のいずれかの信号を受信した場合に自動的に火災放送を行うこと。

    1. 発信機・非常電話からの信号
    2. 火災信号を感知器ごとに区分できる自火報にあっては、第一報の感知器以外の感知器が作動した旨の信号
    3. 非常起動スイッチ・火災放送スイッチが起動が起動した旨の信号
    4. 放送設備で設定された時間が経過した旨の信号

(3)出火階表示灯が点灯するか確認する。

(4)出火階表示灯は火災信号が復旧するまで点灯しているか確認する。

(5)自火報・放送設備相互に機能障害がないか確認する。

 

増幅器等

周囲の状況

周囲に使用・点検に必要な空間が確保されているか、また操作部・遠隔操作器のいずれか1つが常時人がいる場所に設置されているか確認する。

外形

変形・破損・腐食・脱落等がないか確認する。

表示

スイッチ等の名称に汚損・不鮮明な部分がないか、認定標章等がはがれていないか確認する。

電圧計

変形・損傷等がないか確認する。

電圧計に指示値が所定の範囲内(緑色の範囲内など)か確認する。

電圧計がない機種は交流電源灯(主電源灯)が点灯しているか確認する。

スイッチ類

端子の緩み・発熱がなく、開閉位置及び機能が正常か確認する。

保護板

変形・破損・脱落等がないか確認する。最近の放送設備には保護板を使用しない機種がほとんどである。

ヒューズ類

指定された種類・容量のものが使用されているか、また溶断・破損などがないか確認する。

継電器

脱落・端子の緩み・接点の損傷・ほこりの付着がなく、確実に作動するか確認する。

ほこりが付着している場合は清掃する。ほこりが湿気を含むと短絡して故障する恐れがある。

計器類

電圧計・出力計をスイッチ等の操作及び放送することにより指針の作動が円滑か確認する。

表示灯

変形・破損・脱落・球切れなどがなく、スイッチ等を操作して正常に点灯するか確認する。

結線接続

端子の緩み・断線・コネクターの緩み等がないか確認する。

接地

腐食・断線等がないか、また接地工事の種別(D種など)を設置届等で確認する。

回路選択

階別選択スイッチを報知区域ごとに操作し、また一斉放送スイッチを操作して選択された回路及び関連する階別作動表示灯並びに火災灯が正常に点灯するか確認する。

2以上の操作部等(2以上の操作部・遠隔操作器を設けている放送設備に限る)

操作部・遠隔操作器を相互に作動させて、報知区域並びに操作部・遠隔操作器の表示が適正であるか、相互の機能が正常か確認する。

遠隔操作器の連動(遠隔操作器を設けている放送設備に限る)

操作部及び遠隔操作器のいずれかの操作スイッチを操作して、継電器・モニタースピーカー・出力計等が正常に作動するか確認する。

    • 遠隔操作器の起動操作により一斉放送が鳴動するか確認する。
    • 遠隔操作器の回路選択スイッチの操作により任意の階に放送ができるか確認する。
    • 遠隔操作器のモニタースピーカーで放送内容の確認ができるか確認する。

非常用放送切替

一般放送状態にしておき、非常用放送を起動して非常用放送に切り替わるか、また手動により復旧しない限り非常用放送が継続するか確認する。

(地震動予報等に係る放送であって、放送に要する時間が短時間であり、かつ、火災の発生を有効に報知することを妨げないものを除く)

地震動予報等に係る放送切替(地震動予報に係る放送を行う放送設備に限る)

地震動予報等に係る放送を行っている間に、起動装置若しくは操作部を操作した場合又は自火報等からの起動信号を受信した場合には地震動予報等に係る放送が終了した後、直ちに、かつ、自動的に火災放送等を行うか確認する。

 


回路短絡

警報音放送状態で回路を短絡させて確認する。

短絡した回路にあっては短絡保護回路が作動して当該回線を遮断し、かつ短絡した旨の表示がされるとともに、他の回路には異常がなく放送されていることを確認する。

スピーカー回路を短絡させる場合には交換用ヒューズ等を用意しておくこと。

「自動点検機能」の「スピーカー回線短絡異常」では点検実施に置き換えられないので注意する。

事前に取説等で試験方法を確認しておく。

音声警報音(音声警報音を発する放送設備に限る)

起動装置を操作して感知器発報放送、火災報放送及び非火災報放送の音声警報音に著しい歪み・音圧低下がないか確認する。

火災音信号(火災音信号を発する放送設備に限る)

起動装置を操作して火災音信号に著しい歪み・音圧低下がないか確認する。

マイクロホン(音声警報音を発する放送設備に限る)

操作部等において音声警報音を鳴動させた状態でマイクロホンによる放送を行い、マイクロホンによる放送の起動と同時に音声警報音が停止し、マイクロホンによる放送が終了したと同時に音声警報音が鳴動開始するか確認する。

予備品等

ヒューズ・球・回路図・取説などが備えてあるか確認する。

 

スピーカー

外形

変形・破損・腐食等がないか確認する。

取付状態

脱落・緩み等がなく音響効果を妨げるものがないか確認する。

音圧等

操作部・遠隔操作器を操作して、音圧・音色が正常で他の機械と区別して聞き分けられるか確認する。

鳴動

一斉鳴動方式

起動装置の操作により全館の音響装置が一斉に鳴動するか確認する。

区分鳴動方式

地階を除く階数が5以上で述べ面積3000㎡を超える防火対象物に設ける音響装置は区分鳴動方式にすることが出来る。一定時間経過または新たな火災信号を受信した場合は自動的に全館一斉鳴動すること。

※出火階が2階以上・・・出火階とその直上階

※出火階が1階・・・地階全部と1階と2階

※出火階が地階・・・出火階と直上階とその他の地階

相互鳴動

2以上ある操作部等のいずれからでも音響装置を鳴動させることができる。

再鳴動

再鳴動機能付きの操作部等はその機能が正常であるか確認する。

音量調整器

非常放送状態で音量調整器(アッテネータ等)を操作して、音量調整器の調整位置にかかわらず非常用放送が有効に行われるか(非常放送の音量が絞られたりしないか)確認する。

表示灯

変形・破損・脱落・球切れ等がなく、正常に点灯しているか、また取付面と15°以上の角度となる方向に沿って10m離れた所から容易に識別できるか確認する。

この表示灯は自火報連動の場合など、自火報発信機を起動装置にしている場合に発信機直近の赤色の表示灯を指しています。なので、自火報連動ではない放送設備(非常電話も設置なし)などはこの欄に該当する表示灯はないので斜線になります。

 

警鐘及びゴング等

周囲の状況

使用・点検上の障害となる物品がないか確認する。

外形

変形・破損等がないか確認する。

機能

器具を操作して鳴動させ、有効に報知できるか確認する。

 

総合点検

音響装置・スピーカーの音圧

  • ボックス等に収納されているものはその状態で測定すること。
  • 音響装置・スピーカーの取り付けられた位置の中心から1mの位置で騒音計(A特性)で測定する。
  • ベル及びサイレンの音圧が90dB以上であるか確認する。
  • スピーカーの音圧は、L級で92dB以上、M級で87dB以上、S級で84dB以上であるか、また、音声警報音を発しないスピーカーは90dB以上であるか確認する。
  • 音声警報音を発する放送設備のスピーカーの音圧は第2シグナルで測定すること。

 

総合作動

非常電源に切り替えた状態で、任意の起動装置、操作部の非常放送スイッチを操作し又、自火報からの起動信号を受信し、火災表示及び音響装置並びにスピーカーの鳴動が正常か確認する。

※非常電源に切り替える場合は、分電盤等の専用開閉器(ブレーカー)または操作部等の電源スイッチを切にして行う。

 

みなさんお疲れ様でした。次回は非常警報器具及び設備の点検票記入例をやっていきます。