屋外消火栓の点検要領

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皆さんこんにちは。

突然ですが前回の記事で50記事目になりました。これも皆様のおかげです。いつもありがとうございます。ちょっと話がそれましたが今回は屋外消火栓の点検要領をお話させていただきます。

 

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水源

貯水槽

貯水槽に変形・破損・漏水・腐食などがないか確認する。

貯水槽の種類には地下貯水槽、地上タンク貯水槽、貯水池、河川などがあります。

水量

水位計や検尺棒などで水位を測定し規定の水量があるか確認する。

他の設備と水源を兼用している場合は規定量があるか算定する。

水源が河川や湖などの自然水利の場合、四季を通して規定量が確保されているか確認する。

規定水量があるかの確認をする場合下記の記事を参照してください。

消火水槽の有効水量
この記事では消火水槽の有効水量についてお話しています。各設備における必要な水量、水槽の有効水量測定方法(消防用設備等専用と他設備兼用)水中ポンプを用いる場合、複数の消火設備を用いる場合の水量判定について詳しく解説しています。

 

水状

目視、バケツなどで採水し、浮遊物・沈殿物・腐敗がないか確認する。

給水装置

目視、排水弁の操作により確認する。変形・破損・腐食等がなく減水状態で給水し、満水状態で給水停止するか確認する。

また排水量が非常に多い・排水弁がないものは次の方法で確認する。

水位電極を用いるもの(FMバルブ、電動弁など)は、電極の配線を外して(試験スイッチ等を操作して)水量不足状態を擬似的に作りだして給水装置を作動させ、

その後、電極を戻して(試験スイッチ等を操作して)給水完了状態を擬似的に作りだして給水装置を復旧させて確認する。

ボールタップを用いるものはボールタップを水中に埋没させ擬似的に減水状態を作りだして給水するか、その後ボールタップを戻して満水状態にして給水が停止するか確認する。

給水装置や電極棒の操作・点検方法について確認したい方は下記の記事を参照してください。

消防用設備に使われるいろいろな給水装置
この記事では給水装置や電極棒方式の水位検知についてお話していて、給水装置の概要と種類(ボールタップ方式、FMバルブ方式、電動弁方式)と、電極棒方式における水位検知方法と点検方法(警報送出や付属ポンプ制御など)について詳しく解説しています。

 

水位計

目視、水量を操作して確認する。変形・破損などがないか、水位の指示値が適正か確認する。

マンホール等を開けて検尺棒等で水位を測定し、その後排水弁を開けて排水し、水位計の指示値が変化するか、指示値が適正か確認する。

この水位計には消火水槽の満水や減水を検知するフロートや電極棒なども含まれる。

圧力計(圧力水槽方式に限る。)

目視、次の操作により確認する。

変形・破損などがなく、圧力計のゲージコック又はバルブ等を閉めて圧力計を取り外し、ゼロ点を確認した後、圧力計を取り付けゲージコックまたはバルブ等をゆっくり開けて指針の作動状況および圧力の指示値を確認する。圧力計のゼロ点の位置、指針の作動が円滑か、圧力の指示値が適正か確認する。

バルブ類

目視、開閉操作にて確認する。変形・破損・漏れ等がなく、開閉位置が適正で容易に開閉操作ができ、「常時開」「常時閉」の表示がされ、表示通りの状態になっていること。

 

加圧送水装置

ポンプ方式

電動機の制御装置

周囲の状況

使用上または点検上の障害となる物品等がないこと。

基本的に消火栓ポンプ室は不燃専用室になっているのでポンプ室内に物品を置いたりしてはいけない。

外形

変形・破損・腐食等がないこと。

表示

銘板などの表示に不鮮明・脱落などがなく、適正になされていること。

電圧計・電流計

変形・破損等がなく指針の位置が適正であること。

電圧計等がない機種は電源表示灯が点灯しているか確認する。

開閉器・スイッチ類

変形・破損・脱落・端子の緩みなどがなく、開閉位置及び機能が正常であるか確認する。

ヒューズ類

破損・溶断などがなく、指定された種類及び容量のものが使われているか確認する。

継電器

脱落・端子の緩み・接点の焼損・ほこりの付着などがなく、確実に作動するか確認する。俗に言うリレーのことです。

リレーにほこりなどが付着している場合は清掃します。ほこりが湿気を含み回路短絡して故障する可能性があります。

表示灯

正常に点灯するか確認する。

結線接続

破損・脱落・断線・端子の緩みなどがないか確認する。

接地

断線・腐食などがないか確認する。

予備品等

ヒューズ・回路図・取説などが用意してあるか確認する。


起動装置

直接操作部

周囲の状況

使用上・点検上の障害となる物品等がないか確認する。

直接操作部とはポンプの制御盤等で直接ポンプを起動する部分になります。

外形

変形・破損・腐食等がないか確認する。

ほとんどが押しボタンですが、たまにコマンドスイッチのものがあります。

表示

不鮮明・汚損などがなく適正であるか確認する。

機能

押しボタン等を操作して、加圧送水装置が確実に起動するか、始動表示灯が点灯もしくは点滅するか確認する。

遠隔操作部

周囲の状況

使用上・点検上の障害となる物品等がなく、消火栓箱の表面・内部・直近に設置されているか確認する。

外形

変形・破損などがないこと。

表示

汚損・不鮮明な部分がなくて、適正であるか確認する。

機能

加圧送水装置が確実に起動し、始動表示灯が点灯または点滅するか確認する。

押しボタンなどが自火報と兼用の場合があり、ベルなどが鳴動する恐れがあるので必要な処置をしてから確認する。

起動用水圧開閉装置

圧力スイッチ

変形、損傷、端子の緩み等がなく、設定圧力値が設計図書のとおりであるか確認する。

起動用圧力タンク

変形、破損、漏水、腐食等がなく、圧力計の指示値が適正であり、バルブ類の開閉位置が正常で、開閉操作が容易にできるか確認する。

機能

設定圧力値を確認の上、排水弁を徐々に開きタンク内圧力を下げ、設定圧力値で加圧送水装置が起動するか確認する。作動圧力値が設定圧力値通りであるか確認する。


電動機

外形

変形・破損・腐食等がないか確認する。

回転軸

手で回して円滑に回るか確認する。回らない場合は加圧送水装置の電源を遮断して原因を追及する。

軸受部

潤滑油に著しい汚れ、変質等がなく、規定量入っているか確認する。

軸継手

緩みなどがなく、接合状態が確実か確認する。

機能

電動機の著しい発熱、異常な振動、不規則又は不連続な雑音等がなく、回転方向が正常であるか確認する。

※運転による機能の点検を行うとき以外は、必ず電源を遮断して行うこと

 


ポンプ

外形

変形・破損・腐食等がないか確認する。

回転軸

手で回して円滑に回るか確認する。回らない場合は加圧送水装置の電源を遮断して原因を追及する。

軸受部

潤滑油に著しい汚れ、変形等がなく、規定量入っているか確認する。

グランド部

著しい漏水がないこと。ポンプ運転時には適量の水が出てくるか確認する。

グランドパッキンの調整方法を確認したい場合は下記の記事を参照してください。

グランドパッキンの調整及び交換について
この記事では消火栓ポンプ等に使われているグランドパッキンの調整方法(漏水が多い場合と少ない場合でそれぞれ解説)及び交換方法(取外し方とパッキンの挿入方法まで)について動画も用いて詳しく解説しています。

 

連成計及び圧力計

指針がゼロ点の位置を指すか、指針が円滑に作動するかを以下の操作で確認する。

ゲージコック又はバルブ等を閉じて水を抜き、指針の位置を確認する。

ゲージコック又はバルブ等を開き、ポンプを運転することにより確認する。

性能

ポンプ吐出側に設けられている止水弁(メインバルブ)を閉じたのち、ポンプを起動させ、性能試験用配管のテスト弁を開放して、規定の流量を流して流量計及び圧力計を確認する。

このとき、異常な振動・不規則又は不連続な雑音等がなく、吐出量及び吐出圧力が所定の値であるか確認する。


呼水装置

呼水槽

変形・破損・漏水・腐食等がなく、水量が規定量以上あるか確認する。

バルブ類

変形・破損・漏れなどがなく、開閉位置が正常で、開閉が容易に出来、「常時開」「常時閉」の表示が適正であるか確認する。

自動給水装置

変形・破損・腐食等がなく、呼水槽の水量の2分の1に減水するまでに給水が始まるか確認する。ボールタップ・FMバルブ、電動弁などがある。

減水警報装置

変形・破損・腐食等がなく、給水弁と閉じ、排水弁を開けて水位を下げておおむね2分の1の水量までに警報を発するか確認する。フロート式、電極棒方式などがある。

電極棒方式の点検方法について確認したい場合は下記の記事を参照してください。

消防用設備に使われるいろいろな給水装置
この記事では給水装置や電極棒方式の水位検知についてお話していて、給水装置の概要と種類(ボールタップ方式、FMバルブ方式、電動弁方式)と、電極棒方式における水位検知方法と点検方法(警報送出や付属ポンプ制御など)について詳しく解説しています。

 

フート弁

吸水管を引き上げる、若しくは試験用ワイヤー(鎖など)を引っ張り、下記を確認する。ワイヤー等の試験器具がない場合はポンプの呼水漏斗のコックを開いて下記を確認する。

    • 吸水に障害となる異物の付着や詰まりがないこと。
    • 呼水漏斗から連続的に溢水すること。
    • フート弁の逆止効果が正常であること。

性能試験装置

変形・破損・腐食等がなく、定格負荷運転時の状態が維持されているか確認する。

高架水槽方式

高架水槽直近及び最遠の消火栓開閉弁等における静水頭圧を確認する。

変形・破損・腐食・漏水等がなく、所定の圧力が確保されているか確認する。

圧力水槽方式

排気弁を開放して確認する。

※排気弁を開放する時は高圧力による危害防止の為、バルブの開放はゆっくり行うこと。

  • 変形・破損・腐食・漏水等がないか。
  • 所定の圧力が確保されているか。
  • 圧力の自然低下防止装置の起動及び停止が確実に行われ、所定の圧力が確保されること。

 

減圧のための処置

変形・破損・腐食・漏れ等がないか確認する。

 

配管等

管・管継手

変形・破損・漏れ等がなく、他のものの支えつりなどに利用されていないか確認する。

支持金具・つり金具

脱落・緩み・曲がり等がないこと

バルブ類

変形・破損・漏れ等がなく、開閉位置が適正で開閉操作が容易に出来るか確認する。

ろ過装置

ろ過網等の変形・破損・漏れ・異物の堆積等がないか確認する。

このろ過装置にはY型ストレーナやフート弁付属のろ過網も含まれる。

逃し配管

変形・破損・腐食・漏れ等がなく、逃がし水量が適正であるか確認する。

※設置時と比べて著しい差がないこと。

 

屋外消火栓箱等

屋外消火栓箱

周囲の状況

使用上・点検上の障害となる物品がないか、屋外消火栓から規定の範囲内(歩行距離で5m以内)にあるか確認する。

外形

変形・破損等がなく、扉の開閉が容易に出来るか確認する。

表示

ホース格納箱である旨の表示に汚損・不鮮明等がなく適正であるか確認する。

ホース及びノズル

外形

ホース及びノズルが必要本数あり、正常に収納されているか、収納状態でのホース及びノズルに変形、損傷、腐食等がないか、接続部の着脱が容易にできるか確認する。

ホースの耐圧性能

(ホースの製造年の末日から10年を経過した日以降に点検を行う場合に限る。ただし、ホースの耐圧性能に関する点検を行ってから3年を経過していない場合を除く。)

ホースの端末部に充水し、耐圧試験機等により所定の水圧を5分間かけて確認する。

    1. 加圧する前に結合金具等の接続状態が適正であることを十分に確認すること。
    2. 空気の残留がないことを確認してから加圧すること。
    3. 所定の水力は、ホースの種類に応じて定められた使用圧(0.9Mpa)とすること。
    4. 危険防止対策を講じた後、急激な昇圧を避け、圧力計で確認しながら徐々に加圧すること。
    5. 変形、損傷等がなく、ホース及び金具との接続部から著しい漏水等がないこと。
    6. ※著しい漏水は、噴水状の漏水又は継続する滴下が生じる状態を目安にすること。

屋外消火栓

周囲の状況

使用上・点検上の障害となる物品がないか確認する。

外形

変形・破損・腐食等がなく、地下式消火栓は格納ピットのフタ等の開閉が確実に出来るか確認する。

標識

消火栓である旨の標識が適正に設けられているか確認する。

消火栓開閉弁

開閉操作が容易にでき、規定の設置位置(高さ1.5m以下又は地盤面下の深さ0.6m以上)か確認する。

始動表示灯

変形・破損・脱落・球切れ等がなく、正常に点灯または点滅するか確認する。

 

耐震措置

貯水槽・配管・加圧送水装置等の据付支持等を目視・スパナ等により確認する。

  • 可とう式管継手等に漏れ・変形・破損・腐食等がないか確認する。
  • アンカーボルト・ナット等に変形・破損・緩み・脱落・腐食等がないか確認する。
  • 壁又は床部分の貫通部分の間隔、充填部については施工時の状態が維持されているか確認する。

 

総合点検

ポンプ方式

起動性能等

非常電源に切り替えた状態で、直接操作部の起動装置又は遠隔起動装置の操作により機能を確認する。

※病院等で非常電源に切り替えて点検することが短時間であっても困難な場合は、常用電源で点検することができるものとする。この場合、点検表備考欄に常用電源で使用の旨を記入する。

加圧送水装置

加圧送水装置が確実に起動するか確認する。

表示・警報等

表示・警報等が適正に行われるか確認する。

電動機の運転電流

電動機の運転電流値が許容範囲内であるか確認する。

運転状況

運転中に不規則若しくは不連続な雑音・異常な振動又は発熱がないか確認する。


放水圧力

任意の消火栓により確認する。

  1. 棒状放水の測定は、放水時のノズル先端から口径の二分の一離れた位置で、ピトー管先端の中心線と放水流が一致する位置にピトー管先端が来るようにして圧力計の指示値を測定する。
  2. ピトー管で測定出来ないもの、又は噴霧ノズルの放水の測定にあってはホース結合金具とノズルの間に圧力計を取り付けた管路媒介金具を結合して放水し、放水時の圧力を測定する。なお棒状・噴霧併用のノズルの場合は棒状放水状態で測定する。
  3. 放水圧力が0.25Mpa~0.6Mpa以下であるか確認する。
  4. ホース等から著しい漏水がないか確認する。

放水量

放水量は次の計算式により算出する。
放水量(L/min)=ノズル径×ノズル径×0.653×√(放水圧力×10)

例・・・ノズル径19mmで放水圧力が0.32Mpaの場合

→19×19×0.653×√3.2=421.69L/minとなる。

この放水量が350L/min以上であるか確認する。


減圧のための措置

加圧送水装置の直近及び最遠の消火栓の開放操作により確認する。

屋外消火栓の放水圧力が0.25Mpa~0.6Mpa以下であるか確認する。

高架水槽方式・圧力水槽方式

放水圧力

  1. 棒状放水の測定は、放水時のノズル先端から口径の二分の一離れた位置で、ピトー管先端の中心線と放水流が一致する位置にピトー管先端が来るようにして圧力計の指示値を測定する。
  2. ピトー管で測定出来ないもの、又は噴霧ノズルの放水の測定にあってはホース結合金具とノズルの間に圧力計を取り付けた管路媒介金具を結合して放水し、放水時の圧力を測定する。なお棒状・噴霧併用のノズルの場合は棒状放水状態で測定する。
  3. 放水圧力が0.25Mpa~0.6Mpa以下であるか確認する。
  4. ホース等から著しい漏水がないか確認する。

放水量

放水量は次の計算式により算出する。
放水量(L/min)=ノズル径×ノズル径×0.653×√(放水圧力×10)

放水量が350L/min以上であるか確認する。


減圧のための措置

加圧送水装置の直近及び最遠の消火栓の開放操作により確認する。

屋外消火栓の放水圧力が0.25Mpa~0.6Mpa以下であるか確認する。

 

まとめ

最後までご覧頂きありがとうございます。

屋外消火栓の点検要領は屋内消火栓の点検要領と同じ部分がかなりあります。

違う部分は屋外消火栓箱とか放水圧力・量くらいです。ただ、屋外消火栓の発信機(起動装置)は自火報と兼用ではなく、屋外消火栓専用の起動装置の場合が多いです。

自火報受信機で消火栓連動遮断して、屋外消火栓の発信機押したらポンプが回ったなんてよくあり、確認したら専用発信機だったなんて(笑)。

なにはともあれ点検開始前はよく連動等を確認して点検を開始しましょう。