消防設備士乙種6類の試験対策 類別法令編

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皆さんこんにちは。

今回は消防設備士6類の試験対策として類別法令を説明していきます。

共通法令を確認したい場合は下記の記事を参考にしてください。

 

消防関係法令(類別)

6類の法令は全10問ありますが、そのうち類別は4問出題され特に

  • 消火器の設置基準
  • 能力単位と本数
  • 緩和規定
  • 消火器具の設置・維持

の部分は特に重要なのでしっかり覚えましょう。

 

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消火器の設置が必要な防火対象物

消火器の設置が必要な防火対象物は、用途と延べ面積(床面積)で決まります。基本的には以下の4つのいずれかになります。

  • 延べ面積に関係なく設置しなければならない防火対象物
  • 延べ面積が150㎡以上の防火対象物
  • 延べ面積が300㎡以上の防火対象物
  • 延べ面積が上記面積未満の地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50㎡以上の防火対象物

以下の表にまとめたので参考にしてください。

消火器具の設置基準

 

特定の部分に消火器の設置が必要な部分(付加設置)

防火対象物内の付帯設備の有無により消火器の設置が必要になりますがこれを付加設置といい、防火対象物に下記の付帯設備(施設)がある場合には上記の設置とは別で設置が必要になります。

  1. 電気設備室
  2. 多量の火気使用室
  3. 少量危険物の貯蔵所や取扱所
  4. 指定数量以上の特殊可燃物の貯蔵所や取扱所

少量危険物とは、消防法で定められている危険物の危険性を考慮して決められた数量(指定数量)の1/5の量以上を貯蔵・取扱うものをいい、身近な危険物である灯油に例えると

灯油は危険物第4類の第2石油類(非水溶性液体)という分類になり、この第2石油類(非水溶性液体)の指定数量は1000㍑なので、灯油を200㍑以上1000㍑未満の量を貯蔵、取扱う場合は少量危険物になります。

また、政令別表第2という表に危険物に対応する消火器具の区分が載っていますが、この表にはどの消火器具(消火薬剤や放射方式)がどの危険物に適応しているかわかる表になっており、この表のなかで、覚えておきたいのが、

  • 「乾燥砂」と「膨張ひる石・膨張真珠石」は建築物・その他の工作物・電気設備には適応しないが、ほぼ全ての危険物に適応している。
  • りん酸塩類等の消火器(ABC粉末消火器)は危険物第3類と第5類には適応しない。
  • 棒状の水(強化液)を放出する消火器は電気設備には適応しない。

になります。上記3つは覚えておきましょう。

 

付加設置消火器の必要な能力単位と本数

少量危険物

少量危険物の量を指定数量で割った数以上であり計算すると能力単位は1になるので危険物の種類ごとにその消火に適応する消火器具の能力単位が1以上の消火器具を1本設置すれば良いことになります。

指定可燃物

貯蔵・取扱う数量を数量の50倍で割った数以上の能力単位が必要になり、指定可燃物の種類ごとにその消火に適応する消火器具を設置します。

例えば綿花(数量200kg)を8000kg貯蔵しようとした場合には40倍になるので1単位以上の消火器具を設置しますが、綿花を10010kg貯蔵しようとした場合には50倍を超えるので2単位以上の消火器具を設置しなければなりません。

また、500倍以上の指定数量を貯蔵・取扱う場合は大型消火器を設置しなければなりません。

鍛造所・ボイラー室などの多量火気使用場所

当該場所の床面積を25㎡で割った数の能力単位以上の消火器を、建築物その他の工作物の消火に適応する消火器具を設置します。

例えば床面積が51㎡のボイラー室なら3単位以上の消火器具が必要です。

変圧器・配電盤やその他の電気設備

電気設備のある場所の床面積100㎡以下ごとに1本能力単位ではなく消火器の本数という点に注意する)、かつ電気設備の消火に適応する消火器具を設置します。

例えば床面積が150㎡なら2本の消火器の設置が必要になります。

第4類危険物と指定可燃物の指定数量

 

消火器の能力単位の算定

消火器の能力単位算定面積は、以下の3種類あるので覚えておきましょう。

  1. 延べ面積にかかわらず設置義務があるところは50㎡(100㎡)
  2. 延べ面積150㎡以上で設置義務があるところは100㎡(200㎡)
  3. 延べ面積300㎡以上で設置義務があるところは200㎡(400㎡)

(  )内の数値は、主要構造部を耐火構造とし、かつ内装を難燃材料(不燃材料、準不燃材料、難燃材料)で仕上げた場合において、能力単位算定面積を2倍にすることができる。(倍読み規定)

ただし、令別表第一の3項及び6項イ(病院など)、6項ロ(グループホームなど)は延べ面積にかかわらず設置義務があるが、能力単位算定面積は100㎡(200㎡)であるので注意しよう。

 

能力単位の算定計算の例

例えば延べ面積4750㎡の工場(主要構造部は鉄骨造)に消火器を設置する場合、工場は令別表第一の12項イなので150㎡以上の延べ面積で消火器具の設置義務が発生し、能力単位の算定面積は100㎡(200㎡)になりますが、主要構造部は耐火構造以外なので100㎡で計算します。

能力単位 = 延べ面積 ÷ 能力単位算定面積

で計算するので、能力単位は4750㎡÷100㎡となり、47.5 ≒ 48単位が必要です。

一般的に幅広く設置されている消火器はABC粉末消火器の10型(薬剤量3kg)になりますが、この消火器の能力単位は3単位になります。

この3単位の消火器を上記工場に設置する場合は、工場に必要な能力単位48単位を、消火器の能力単位3単位で割れば必要な本数が出ます。

48÷3 = 16 なので3単位の消火器が16本必要です。

また、必要な能力単位48単位を2単位の消火器で設置する場合は、48÷2 = 24 となり24本の消火器が必要になります。

 

消火器具の設置個数の減少「緩和規定」

以下の場合には設置個数(能力単位)を緩和させることができる。

  1. 適応性が同一の大型消火器を設置した場合は、その有効範囲内の部分の基本設置と付加設置の消火器の能力単位の数値の合計数を1/2まで減少することができる
  2. 屋内消火栓設備又はスプリンクラー設備を消防法令に定める基準により設置した場合は、その有効範囲内の部分の基本設置と付加設置の消火器の能力単位の数値の合計数を1/3まで減少することができるが、11階以上の階には適用されない。
  3. 消火設備★を設置した場合(適応性が同一の場合)には、その有効範囲内の部分の基本設置と付加設置の消火器の能力単位の数値の合計数を1/3まで減少することができるが、11階以上の階には適用されない。
  4. 消火設備★を設置した場合(適用性が同一の場合)には、その有効範囲内の部分には大型消火器を設置しないことができる。

★→水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備のいずれか。

上記緩和規定は消火器の設置個数又は能力単位を減少できるが、消火器の配置の距離(歩行距離20m)は緩和されないので注意する。

 

設置の制限

消火器具も種類によっては設置を制限する場合があるので注意が必要になります。

①簡易消火用具

能力単位2単位以上を必要とする対象物に対して簡易消火用具と消火器を併用する場合は、簡易消火用具の能力単位の合計が、消火器の能力単位の合計数の1/2を超えてはいけない。(必要能力単位が1の場合は簡易消火用具だけでもよい)

ただし、アルカリ金属製の過酸化物、鉄粉、マグネシウムや禁水性物品などに対して、乾燥砂・膨張ひる石・膨張真珠岩を設置する場合を除く。

 

②二酸化炭素消火器・ハロゲン化物消火器

二酸化炭素消火器やハロゲン化物消火器(ハロン1301消火器を除く)は、地下街、準地下街や、換気について有効な開口部の面積が床面積の1/30以下で、かつその床面積が20㎡以下の地階、無窓階、居室には設置してはならない

 

簡易消火用具の能力単位

簡易消火器具の種類 数量 能力単位
水バケツ 8ℓ以上の消火専用バケツ3個 1.0単位
水槽 容量80ℓ以上の水槽1個と8ℓ以上の消火専用バケツ3個 1.5単位
容量190ℓ以上の水槽1個と8ℓ以上の消火専用バケツ6個 2.5単位
乾燥砂 スコップを有する50ℓ以上のもの1塊 0.5単位
膨張ひる石・膨張真珠岩 スコップを有する160ℓ以上のもの1塊 1.0単位

 

消火器具の配置

消火器具は、防火対象物の各部分からそれぞれの消火器具に至る歩行距離が20m以下ごとに、かつ各階に設置する。

大型消火器は、各対象物から歩行距離が30m以下となるように、適応するものを各階に設置する。

 

消火器具の設置と維持

①設置高さ

消火器具は床面からの高さが1.5m以下の場所に設置する。(消火器具の最も高い部分が1.5m以下。)

 

②維持

  1. 消火器具は消火薬剤が凍結、変質、噴出するおそれのないところに設置する。
    ただし、これらの保護を行った場合はこの限りではない。
  2. 転倒により消火薬剤が漏出するおそれのある消火器は、地震などによる震動により転倒するのを防止する措置を講ずる。(操作方法がレバーを握る、押し金具を叩くなどのものは転倒により薬剤の漏出がないので転倒防止措置の必要はない。)(転倒防止措置が必要な消火器は化学泡消火器だけである。)

 

③表示

消火器具を設置場所した場所には見やすい所に規定の標識を設けなければならず、この標識は地色を赤色、文字を白色、長辺24cm以上、短辺8cm以上と規定されており、また消火器具ごとに文字が決まっている。

  • 消火器なら「消火器」
  • 水バケツなら「消火バケツ」
  • 水槽なら「消火水槽」
  • 乾燥砂なら「消火砂」
  • 膨張ひる石や膨張真珠岩なら「消火ひる石」

となり、すべての標識の頭に「消火」の文字が入る。

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回の類別法令ですが、特に

  • 消火器の設置基準面積
  • 付加設置が必要な部分
  • 防火対象物の能力単位の算定と消火器の必要本数
  • 緩和規定
  • 消火器の配置と維持

は重要です。(この記事の内容ほぼ全部になりますが(笑))

この色の部分やこのラインの語句・数値を覚えれば大丈夫だと思います。

また参考になるかはわかりませんが、消火器の設置基準の記事があるので興味のある方は下記の記事を参照してください。

これで消防法令の共通と類別の説明が終了しました。試験では消防法令は10問(共通6問、類別4問)出題され、最低でも4問は正解しないと不合格になってしまいます。(各科目ごと40%以上の正解率、かつ全体で60%以上の正解率+実技試験で60%以上の正解率)共通法令にせよ、類別法令にせよ、仕事で消防設備士を取得しようとしている方はおぼえておいて損はない科目になりますのでがんばっていきましょう。