消火器の具体的な点検方法 点検実務編(一般の人向け)

みなさんこんにちは。

前回の「民泊の消防用設備について」の時に勉強会をしたというお話をしましたが、その勉強会で「小規模飲食店等における点検報告の促進方法」という議題を聞きまして、そこでは、「現状、建物関係者が自ら消火器の点検報告を行おうとした場合に課題がある」とのことで

  • 「点検基準や点検要領が読みにくい・わかりずらい」
  • 「具体的にどのような状態が悪い(不良になるか)のかがわからない」
  • 「点検結果報告書の記入の仕方がわからない」

などの課題がでてました。

確かに点検要領を見てても「著しい腐食」とか、どれくらいのサビなのか人によってイメージは違うので、文面だけではわかりずらい部分もあります。そこで消火器の点検要領をもっと噛み砕いてわかりやすく説明してみたいと思います。

今回は一般的に設置されるだろう蓄圧式の粉末消火器をとりあげて、なおかつ、小規模飲食店等の設置本数(2・3本)での書類記入例までやっていこうと思います。また記事内の図や写真はクリック(タップ)してもらうと拡大出来ますのでよろしくお願いします。

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消火器を設置している場所

消火器の設置が必要な部分

下図を見てください。これはよくあるコンビニ(小規模物販店)を例にした消火器配置図です。

小規模物販店(コンビニ)の消火器設置例

ここでは3本の消火器が建物用に設置、1本が火気使用(フライを揚げる機械用)で設置してあります。

消火器は建物を防護するものと、厨房などでの火気使用や変電所、危険物などに設置するもの(付加設置消火器という)、それぞれ別で設置しなくてはなりません。

例えば事務所等の湯沸室にあるLPガスや都市ガスにつなぐ一口コンロなども火気使用として消火器を設置しなくてはなりません。(※所轄消防本部による)

小規模な施設では変電所(変電設備)などは設置されていないとおもいますが、最近のコンビニは屋根に太陽光発電を設置していて、その電気を売電するのに屋外に変電設備(通称キュービクル)を設けている場合があるので、この場合はこの変電設備へ消火器の設置が必要となる可能性があります。(※所轄消防本部による)

消火器と建物の相互距離

消火器→消火器、建物の一部分(建物の端)→消火器までの距離が歩行距離で20m以内でなければなりません。

水平距離と歩行距離の違い

図のように実際に通れない(歩いていけない)棚や物品(机・山積みの段ボールなど)がある場合には、それを迂回していかなければ通れないので、その迂回した距離(移動した距離)が歩行距離となります。よく水平距離で20mと勘違いしますが、歩行距離で20mです。←ここ重要です。

消火器が設置してある周辺

すいませんがまた下図を見てください。

消火器設置例と標識の色あせの例

図のように設置してある消火器のすぐ近く(直近)の見やすい位置に消火器の標識が貼られています。この標識が割れてる・欠けている・文字が読めない・赤色が色あせている(赤色→朱色やピンク色)などの異常がないか見てください。

またこの標識も決まりがあって、大きさは縦24cm、横8cm以上、色は「文字が白色」で「地は赤色」という決まりがあります。材質は特に指定がないので、カラーコピーしてラミネートすればOKですが、ホームセンターなどで標識と置き台が一緒になった通称設置台を購入できます。この設置台なら消火器を置きたい場所に設置台を置いて、そこに消火器を置けばそれだけで済んでしまうし、標識に使用方法も書いてあるので見栄えも良いでしょう。

消火器設置台の例

もちろん、設置してある消火器の周りに物品等があったりしてはいけません。消火器を取り出すのに物品を動かさないと取れないのはNGです。基本は「すぐに消火器を取り出せる」です。

あと、消火器を設置する高さですが、これは床から高さ1.5m以内に置かなければなりません。

大体は床に直置きすると思うので大丈夫だとは思いますが、厨房などの水を使う所では設置台などを使用していただき、なるべく床に直置きしないでください。消火器の底がサビてしまいます。


消火器の各階への設置

消火器は必ず各階に1本はなければなりません。

もし建物が2階立てなら最低でも1階に1本、2階に1本の合計2本は必要です。

ロフト部分はハシゴや階段が常設されていて、いつでも人が上れる状態なら階として算入します(※所轄消防本部による。)逆にハシゴや階段がないロフトは棚として考えて良いと思います。(棚への消火器の設置は不要)

消火器本体の外観点検

今度は実際に消火器の外観からわかる部分を点検していきましょう。(この記事内で例として使用している消火器はH社製の消火器を使用しています。他メーカーの消火器も構成部品は変わりません。)

でもその前に…(安全栓が抜けている場合)

安全栓が抜けた状態の例

点検を始める前に消火器が上図のような状態になっていないか必ず確認してください。

黄色いリング(安全栓)が抜けて、レバーのつっかえ棒が倒れている状態です。この状態で上レバーが下に押されると(レバーを握ると)消火薬剤が放出してしまいます

このままでは薬剤放出の危険があるので、つっかえ棒を起こして上レバーが押し込まれないようにテープなどで固定します(下図参照)。そしてこのような場合には整備が必要になりますので、有資格者に整備をお願いするか、破棄してください。破棄する場合は消火器をリサイクルに出してください(後述します)。

つっかえ棒の戻し方の例

本体容器

まずは消火器を雑巾などで清掃してください。消火器を移動する時や持ち上げる時はホースの付け根か、下レバーか、本体容器を持ってください。

間違っても黄色いリング(安全栓)は持たないでください、抜けてしまいます。

消火器の持ち方の例

清掃が出来たら本体容器にヘコミやキズ、サビがないか見てください。特に本体容器の底、ここが一番サビやすいです。このサビもほんのちょっとなら大丈夫です。触ったらボロボロとサビが取れる様な状態のサビはダメです。

ヘコミなどを確認したら、消火器に貼ってあるラベルと検定合格票を見てください。このラベルの文字が擦りキズでかすれてる、色あせて見えない状態はダメです。あと貼ってある検定合格票も剥がれて無くなっていたり、かすれていてはダメです。

消火器のラベル・検定合格票の例

各構成部品

本体容器を点検出来たら次は構成部品を点検します。構成部品には「安全栓」「安全栓の封」「レバー」「キャップ」「ホース」「ノズル・ノズル栓」「指示圧力計」などがありますのでひとつづつ見ていきましょう。

消火器の構成部品の例


安全栓の封

黄色いリング(安全栓)の付け根に「封」とか「封印」と書かれたシールがあります。これが「安全栓の封」です。

これが切れている・剥がれている・風化していないか確認します。もしこの封に上記の様な異常があれば不良なので、整備or破棄になります。

間違ってもセロテープ貼ってOKにしないでください。この安全栓の封を張り替える(整備する)には消防設備士乙種6類の資格が必要です。

安全栓の封 不良の例


安全栓

消火器の上レバーに付いている黄色いリングが「安全栓」です。

この安全栓がレバー下のつっかえ棒を固定しているおかげで、レバーをうごかなくし、薬剤の放出を防いでいます。この安全栓に曲がり・欠け・割れ・抜けてるなどの不良がないか確認します。

安全栓抜けの例


レバー

このレバーに変形(曲がり・へこみ)・サビ・割れがないか確認します。

厨房など湿気のある場所においてある消火器はこのレバーがサビてしまう場合がありますが、ほんのちょっとのサビなら問題ありません。塗装が浮いてしまっている様なサビはだめです。

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キャップ

キャップに割れ、腐食、緩みがないか確認します。緩みは手でキャップを反時計周りに回してみて回らなければ大丈夫です。また「充填封印」のシールが切れたりはがれたりしていなければ大丈夫です。

キャップ腐食、充填封印の例


ホース

本体容器内の消火薬剤を導入するホースです。

このホースに割れ・切れ・ゴムの劣化がないか確認します。ホースを上下左右に曲げてみれば割れや切れがわかります。またホース接続部に緩みがないかも確認します。

消火器のホースとノズルの例


ノズル・ノズル栓

ノズルの例

ホースの先端にこの「ノズル」があります。

このノズルに割れ・欠け・内部に詰まりがないか確認します。詰まりは、ノズルを覗き込んで見れば大丈夫です。

また機種によっては、このノズルに栓(フタ)がついているものもあります。この場合は栓が外れていないか、栓に切れ・割れがないかも確認します。

ノズル栓の例


指示圧力計

指示圧力計の不良例

指示圧力計に割れ・欠け・ヘコミがないか確認して、圧力を示す針(指示針)が圧力計の緑色の部分内を指しているか確認します。

夏場など気温が高い場合には指示針が緑色部分を超えるか超えないか(若しくは超えている)の状態になるかもしれませんが、これは気温が下がれば圧力値も下がりますので不良ではありません。


使用済みの表示装置

使用済みの表示装置の例

記事内で例として使用している消火器にはこの「使用済みの表示装置」(通称OKマーク)は付いていませんが、一部メーカーの消火器にはこの使用済み表示装置が付いています。もし設置してある消火器に使用済み表示装置が付いていたら、割れ・欠け・脱落がないか確認します。

内部及び機能点検

今回は一般の方でも点検出来る外観部分を点検するだけですので、内部及び機能点検は行いません。消防法令での点検では加圧式粉末消火器は製造年より3年を超えたら、畜圧式粉末消火器は製造年より5年を超えたら内部及び機能点検を行わなくてはなりません。ちなみに3年を超えたら…とは、

  • 加圧式粉末消火器が2015年製造としたら、2019年の点検から3年を超えていると判断します。
  • 畜圧式粉末消火器が2015年製造としたら、2021年の点検から5年を超えていると判断します。

になります。

今年は2019年なので設置してある蓄圧式粉末消火器が2013年製造なら今年の点検から内部及び機能点検をしなくてはなりません。

ですが一般の人には中々出来ない点検になりますので、2013年製造消火器を破棄して新品に取り替えましょう。そうすれば内部及び機能点検を行わなくても済みます。

最近ではホームセンターでもインターネットでも消火器を安く購入できますので、業者に点検代行してもらうと考えればそのお金で購入出来ると思います。

また、取り替える場合は事前に所轄消防本部に確認しましょう。消火器を取り替えた書類(設置届)を出してくださいと言われるかもしれません。(私のよく行く消防本部は設置届不要で交換OK)

消火器の破棄(リサイクル)

以前は燃えないゴミや危険物ゴミで処分できましたが、2010年1月1日より各消火器メーカーによる消火器の廃棄方法及びリサイクルの手続き方法や分別保管を統一・一元化し簡単かつ適法に廃棄消火器等を処理する事を目的としたリサイクルシステムが出来ました

このリサイクルシステムは環境大臣の認定を受けています。(通称、消火器リサイクル法)。このリサイクル法が施行されて、消火器は産業廃棄物の指定を受けたので、一般ゴミとしての廃棄が出来ません。

そのため廃棄には専用の消火器リサイクルシールを購入して(広域認定業者で購入出来る)、消火器の廃棄を受け付けている業者(広域認定業者)へ廃棄を依頼しなければなりません。業者によって異なりますが消火器を1本廃棄するのに1000~2000円かかります(消火器リサイクルシール代込み)。

最近ではホームセンターやインターネットで新品消火器を1本購入すると1本タダで不要消火器を引き取ってくれる所もありますので、そういったサービスを活用して不要消火器を廃棄出来ます。

間違っても消火器を解体して古物屋へ…なんて考えはやめてください危険です。素人が不要消火器を解体しようとして爆発し、死者が出ています。そういった事故をふまえて出来た消火器リサイクル法です。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。

今回の記事は冒頭にも記入しましたが、「小規模飲食店等に設置してある消火器を自ら点検して報告するのには課題がある」ということで、一般の人にもわかりやすく説明してみました。

この記事を参考に点検してもらえればうれしいです。結構所轄消防本部の判断によるところが多いので一概にこれでOK!っていうのは言い切れません。

消防本部は点検報告を提出してもらいたいだけなので、点検に関して相談に行ってみるのも良いでしょう。今回の記事は点検実務編なので次回は書類記入編を記入します。