自動火災報知設備の点検要領 その2

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皆さんこんにちは。

今回は自動火災報知設備の点検要領のその2(2枚目の部分)について解説していきます。

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感知器

外形

感知器の外形に破損・変形・腐食・脱落などがないか確認します。

天井面の低い部分に設置されている差動式スポット型感知器はよく感熱部がへこんでいることがあるのでよく確認しましょう。

警戒状況

未警戒部分

部屋等に感知器を設置後、用途変更・間仕切り変更などによる未警戒(感知器未設置や個数不足)がないか確認します。

感知区域

感知区域の面積及び感知器取り付け面の高さに応じた感知器の種別及び個数が規定を満たしているか確認します。

例えば間仕切りが無くなって部屋が広くなった、感知器を定温特種から定温1種に変更したなど。

熱感知器の警戒面積を確認したい方は下記の記事を参照してください。

熱感知器以外の警戒面積を確認したい方は下記の記事を参照してください。

適応性

感知器設置場所に適応している感知器か確認する。

煙感知器・煙複合式感知器などは設置できない場所(適応性)があるので注意し、また、非火災報や感知の遅れる恐れのある場所に適応した感知器か確認します。

例えばホテル旅館などの客室(就寝使用)は蓄積機能を持つ煙感知器でないと適応しないなどの制限があります。

感知器の適応性を調べたい方は下記の記事を参照してください。

機能障害

感知器に塗装などがされていないか、光電式分離型感知器や炎感知器に直射日光などが入っていないか、模様替えなどで感知器への熱気流や煙の流動を妨げるものがないか確認します。

熱気流や煙の流動を妨げる例として感知器のすぐ近くにエアコン等の設置があり、吹き出し口からの風で正常に感知できなくなるので、エアコン等の吹き出し口から感知器が1.5m以上離れていないと機能障害にあたります。

熱感知器

(感知器に対する自動試験機能を有するものを除く。)

スポット型

定温式スポット型感知器(防爆型)の例

定温式スポット型感知器(防爆型)の例

差動式、定温式(再用型) 及び熱アナログ式所定の加熱試験器により作動を確認します。(定温式(非再用型)もありますが最近はあまり見かけないので省略します。)

警戒区域の表示が警戒区域図と相違ないこと。

引火性ガスの滞留する場所、変電所など高圧充電部付近にある感知器は、差動スポット試験器・回路試験器の押しボタン等の試験器で点検を行う。

分布型・空気管式

差動式分布型感知器(空気管式)の例

空気注入用試験器(テストポンプ)を用いて

  1. 検出器の試験孔に指定量の空気をセットしたテストポンプを接続し
  2. 指定の量の空気を注入して作動(発報)したらコックを正常位置に戻し
  3. 作動→発報→発報終了までの時間を計測して規定の秒数か確認します。

検出器のメーカー・機種・空気管長により空気注入量が違うので間違えないようにする。

また測定時間が前回と大幅に違う、または不作動の場合は空気管接続部の締め付けを確認し、接点水高試験・流通試験を行う。

熱電対式、熱半導体式

差動式分布型感知器(熱電対式)検出器の例

分布型で熱電対式や熱半導体式を使ってるのはあまり見かけませんが説明します。

熱電対検出器に専用の試験器(メーターリレー試験器)を接続して規定の電圧(mV)を徐々にかけて規定値で作動するか確認します。

また熱電対回路の製造メーカーの指定合成抵抗値以下か確認するとともに作動した警戒区域表示が適正か確認します。

感知線型

省略します。

煙感知器

(感知器に対する自動試験機能を有するものを除く。)

スポット型

指定の煙感知器用加煙試験器を使って感知器作動試験を行い感知器が作動するか確認をするとともに警戒区域表示が適正か確認します。

感知器に作動表示灯(確認灯)がついているものは確認灯が点灯するか確認します。

また試験の際は試験用ガスが感知器周囲の気流に影響されないように試験します。

分離型

指定の減光フィルターを使って試験し、設定してある減光値で感知器が作動するか確認します。

炎感知器

(感知器に対する自動試験機能を有するものを除く。)

指定の炎感知器用試験器(赤外線式や紫外線式)を用いて試験し、作動するか確認するとともに時警戒区域表示が適正かも確認する。

多信号感知器及び複合式感知器

(感知器に対する自動試験機能を有するものを除く。)

多信号感知器とは煙感知器の2種と3種が一つの感知器になっているもの複合式感知器とは熱感知器と煙感知器が一つの感知器になっているもの等をいいます。

試験は多信号感知器は加煙試験器を用いて試験を行い、2種と3種で別々に信号を送出して警戒区域表示が適正か確認します。

複合式は加熱試験・加煙試験を行いそれぞれ信号を送出するか確認します。

遠隔試験機能を有する感知器

指定外部試験機・受信機や中継器の操作によって感知器が作動するか確認し、警戒区域表示が適正か確認する。

発信機

周囲の状況

発信機周辺に操作及び点検に支障のある物品等がないこと。発信機前には物品を置かない様にしましょう。

外形

発信機に変形・破損・腐食・押しボタンの保護板の損傷(割れ等)がないか確認します。

また発信機の色が赤以外(色あせてピンク色になっているなど)の色になっている場合は、発信機の規格から外れてしまうので不良になります。

 表示

押しボタン等の名称など(「強く押す」など)に汚損、不鮮明がないか確認するとともに銘板等がはがれていないか確認します。

押しボタン及び送受話器

押しボタン(P型発信機)や受話器(T型発信機)を操作して主・地区音響の鳴動、放送設備の起動が正常か確認するとともに発信機確認灯(通称、発信機灯)が点灯するものは点灯するか確認します。

ちなみに「T型発信機」は現在製造されておらず法令上にしか存在しない物になり、「非常警報器具及び設備」の非常放送設備の一部である「非常電話」はこの送受話器には含まれませんので注意しましょう。

表示灯

発信機の直近にある赤色の表示灯が変形・破損・脱落・球切れ等なく正常に点灯しているか確認するとともに表示灯取り付け面から15度以上の角度で10m離れた位置から表示灯が識別できるか確認します。

音響装置

外形

変形、破損、腐食などがないか確認する。

取付状態

脱落・緩みなどがなく、音響効果を妨げるものがないか確認する。

音圧等

主音響と地区音響装置が正常に鳴動すること。また 音圧、音色及び音声警報が他の機械等の音等と区別して聞き取れるか確認します。

主音響の音圧は85dB以上です。(音響装置から1m離れた位置でA特性で測定する。)

鳴動

一斉鳴動

全館の地区音響が一斉に鳴動すること。

区分鳴動

地階を除く階数が5 以上で延べ面積が3,000 ㎡を超える防火対象物に設けた地区音響装置は次に示す区分鳴動ができるとともに、一定の時間が経過した場合又は新たな火災信号を受信した場合には自動的に全館一斉に鳴動報すること。

ただし、全館に火災が発生した場所を音声により報知することができるものにあっては、この限りではありません。

  • ※出火階が2階以上・・・出火階とその直上階
  • ※出火階が1階・・・地階全部と1階と2階
  • ※出火階が地階・・・出火階と直上階とその他の地階

相互鳴動

2以上ある受信機のいずれからでも地区音響装置を鳴動させることができるかを確認する。

再鳴動

再鳴動機能付きの受信機は、地区音響一時停止から一定時間後に再度地区音響が鳴動する機能が正常であるか確認する。

蓄積機能

(蓄積機能を持つ自火報のうち、蓄積機能に対する自動試験機能を有しない自火報に限る)

感知器を作動させる、火災試験を行う、受信機の蓄積時間試験等の試験を行い蓄積時間が適正か確認する。

また蓄積状態の時に発信機を作動させ即時火災表示になるか確認する。

アナログ式のものは注意表示までの時間が適正か、また注意表示中に発信機を作動させて即火災表示になるか確認する。

受信機の警戒区域数が50以下の場合は熱・煙・炎感知器を各一個づつ蓄積機能の確認を行い、51以上の場合は熱・煙・炎感知器を各2個づつ確認する。

二信号機能

(二信号機能を有する自火報のうち、二信号機能に対する自動試験機能を有しない自火報に限る)

いづれかの1回線で感知器を試験器を用いて作動させ、第一信号及び第二信号による火災表示を確認する。また第一・第二信号にかかわらず発信機を作動させた場合の火災表示を確認する。

  • 第一信号で主音響の鳴動、地区表示装置の点灯が正常か確認する。
  • 第二信号で主音響・地区音響の鳴動、火災灯・地区表示装置が正常に点灯するか確認する。
  • 発信機作動で主音響・地区音響の鳴動、火災灯・地区表示装置が正常に点灯するか確認する。

まとめ

最後までご覧頂きありがとうございます。

今回の記事で意外に見落としやすい点検項目として機能障害があります。特に感知器のすぐ横にエアコンなどの吹き出し口があるなどです。

筆者の昔の恩師はエアコンの吹き出し口が感知器のすぐ横にあると、「非火災報を起こさなければ大丈夫」と言っていましたが、それは日常管理の部分のことで、点検ということでは機能障害に該当する部分です。

前回の記事でも言いましたが、本当に十人十色です。自分で良い悪いの判断が出来るようになりたいものです。

良い情報は取得して、良くない情報は精査して切り捨てるという取捨選択を行い、本当に正しい知識と技術を身に着けたいものですね。