受信機交換における注意点について

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皆さんこんにちは。

先日筆者がP型2級の受信機を交換した後、電源投入した際に発生した謎のヒューズ断の原因についてお話しようと思います

言われてみればそうですね(笑)の原因を解説していきます。

 

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経緯について

受信機交換後

先日、某立体駐車場(3階建ての屋上付)の自動火災報知設備の受信機(P型2級)を交換した時に発生した事象で、受信機交換後に絶縁測定を行い、電源は絶縁無限、ベルや表示灯などは3MΩだったので電源投入して異常がないことを確認しました。

その数日後に再度工事に入った時に気が付いたのですが、表示灯のヒューズが断線して表示灯が消灯していたので、再度絶縁測定を行いましたが表示灯回路は5MΩで、表示灯の線の線間絶縁も無限でした。

さっぱり原因がわからなかったですがヒューズ交換して電源投入してもすぐにはヒューズ断にならなかったのでまた様子を見ることにしました。

そのまた数日後に工事に入ったらまた表示灯のヒューズが断線していて、「おー、まじかー」と筆者を困らせる事象が発生しましたが原因はひょんな事でした。

この記事を読んでいるそこのあなた、この文章だけで原因がわかったら拍手をさしあげます。

 

原因究明開始

このままでは消防検査に通らないので原因を探しました。

まず怪しいのは絶縁不良ですが、上記しましたが絶縁はそんなに悪くない(線間絶縁も無限)のでこの説は当てはまらないと考えました。

次に地絡を拾っているという説で、最近梅雨時期というのもあって雨が降り、そして雷が鳴ることがしばしばありました。ですが万が一地絡を拾っていたとしても表示灯のヒューズだけがたびたび断線するのもなかなかないのでは?とも考えます。

例えば地絡拾って電源のヒューズが断線するとか、煙感知器が発報しっぱなしになるとかの症状があっても良いのではと思うのでこの説も可能性的には低いかと思います。

後は表示灯に使用している球(ナツメ球やLED)が故障寸前でちょっとした加減によりヒューズが断線するという説ですが、これは球をすべてゆすったりコンコンしたりして確認してあるのでこの説も微妙です。

いろいろ仮説立てて確認しましたが、パートナーの一言で原因がさらっと解明してしまい思わず筆者は噴き出してしまいました(笑)

 

原因とは?

で、気になる原因は「過電流」でした。

どういう事?ですが、これは交換前の受信機が1980年製で、表示灯回路のヒューズは1Aでしたが、交換後の受信機の表示灯回路ヒューズは0.3Aでした。

要するに最近の受信機は表示灯にLEDを使用する想定で受信機の変圧器容量を決めているので、表示灯に昔のナツメ球を多用すると電流が流れすぎてヒューズが断線するという原因でした。

しかも今回の防火対象物は立体駐車場ということで、粉末消火設備(移動式)の表示灯も自火報受信機から取っていたので、通常用いられる表示灯の数量よりも多くなっているのもヒューズ断線の原因になっていました。

原因が分かったのでナツメ球をすべてLED(24V9mA)に交換して様子を見ましたが今のところヒューズ断線はありません。

ちなみに既存で使用されていたナツメ球の容量は30V5Wと30V2Wでしたのでかなりの電気を使用していたことになります。(30V5W≒0.17A)(30V2W=0.07A)

昔のヒューズの定格の例

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回は自火報受信機を交換した際にありがちな事象について解説しましたが、紹介した表示灯回路のヒューズに限らずベルや防排煙においてもありえる事象で、ベル鳴らすと3秒後にヒューズが切れるとか、防火シャッター起動する度にヒューズが切れるなども発生する恐れがあります。

昔に比べて受信機もコンパクト&省電力になり受信機交換してからヒューズ断線が多発するというのもうなずけますので、もしこのような事象が発生した場合は「過電流」を疑うのもありかと思います。

ベルも昔は1個で30mAでしたが、現行の製品は8mAになり消費電力も1/3になっていますので、昔の製品は電気を消費するということが良くわかりました。

以上の点を踏まえて受信機交換の際には、周辺機器(表示灯、ベルなど)の消費電力も確認しておきましょう。