皆さんこんにちは。
以前の記事で、製造所等の詳細についてお話させていただきましたが、今回はこれらの施設における消火設備はどのように設置されているのかをお話させていただきます。
ちなみに危険物施設における警報設備に関しては下記の記事を参照してください。
また、これから紹介する内容は危険物の規制に関する法令等の内容ですが、各市町村の火災予防条例などと異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
製造所等の詳細について詳しくは下記の記事を参照してください。
危険物に設置する消火設備の種類について
危険物に対する消火設備の基準は「危険物の規制に関する政令(危政令)」の第20条に規定があり、この中で消火設備は第一種〜第五種の5種類に分けられています。
第一種
- 屋内消火栓設備又は屋外消火栓設備
第ニ種
- スプリンクラー設備
第三種
- 水蒸気消火設備又は水噴霧消火設備
- 泡消火設備
- 不活性ガス消火設備
- ハロゲン化物消火設備
- 粉末消火設備
第四種
- 大型消火器
第五種
- 小型消火器や簡易消火器具(水バケツや乾燥砂など)
危険物に対する消火設備の適応について
各消火設備にはそれぞれ特徴があり、それが危険物の各類ごとの物質に適応しているかどうかは、危政令の別表第五という表にそれぞれの適応が示されていますので紹介します。
例えば、屋内消火栓などは水を放射して消火しますので、電気設備や禁水性物質、第四類の危険物には適応しません。
設置するべき消火設備
そして、以前の記事で紹介した製造所等ごとに設置するべき消火設備が決まっていますので、製造所等を確認したい方は下記のリンクから確認いただけます。
・著しく消火困難な製造所等
第一種・第二種・第三種のうちいずれか一つ+第四種・第五種
・消火困難な製造所等
第四種・第五種
・その他の製造所等
第五種
設置する消火設備の詳細
著しく消火困難な製造所等
製造所及び一般取扱所
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- 第一種、第ニ種又は第三種の消火設備。ただし火災のときに煙が充満するおそれのある場所などに設ける場合は、第二種若しくは第三種(移動式を除く)の消火設備に限る。
屋内貯蔵所
a,軒高が6m以上の平家建のもの又は令10条第3項の屋内貯蔵所
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- 第二種又は第三種(移動式を除く)の消火設備。
b,その他の屋内貯蔵所
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- 第一種の屋内消火栓、第二種、第三種の移動式の泡消火設備(泡消火栓を屋外に設けるものに限る。)又は第三種(移動式を除く)の消火設備。
屋外タンク貯蔵所
a,地中タンクや海中タンクに係るもの以外のもの
硫黄等のみを貯蔵したり取り扱うもの
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- 第三種の水蒸気消火設備又は水噴霧消火設備
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引火点が70℃以上の第四類の危険物だけを貯蔵したり取り扱うもの
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- 第三種の水蒸気消火設備又は固定式の泡消火設備
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その他のもの
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- 第三種の固定式の泡消火設備
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b,地中タンクに係るもの
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- 第三種の固定式の泡消火設備及び不活性ガス消火設備(移動式を除く)、ハロゲン化物消火設備(移動式を除く)。
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c,海中タンクに係るもの
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- 第三種の固定式の泡消火設備及び水噴霧消火設備、不活性ガス消火設備(移動式を除く)、ハロゲン化物消火設備(移動式を除く)。
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屋内タンク貯蔵所
a,硫黄等のみを貯蔵したり取り扱うもの
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- 第三種の水蒸気消火設備又は水噴霧消火設備
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b,引火点が70℃以上の第四類の危険物だけを貯蔵したり取り扱うもの
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- 第三種の水噴霧消火設備、固定式の泡消火設備、不活性ガス消火設備(移動式を除く)、ハロゲン化物消火設備(移動式を除く)、粉末消火設備(移動式を除く)
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c,その他のもの
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- 第三種の固定式の泡消火設備、不活性ガス消火設備(移動式を除く)、ハロゲン化物消火設備(移動式を除く)、粉末消火設備(移動式を除く)
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屋外貯蔵所及び移送取扱所
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- 第一種、第ニ種又は第三種の消火設備。ただし火災のときに煙が充満するおそれのある場所などに設ける場合は、第二種若しくは第三種(移動式を除く)の消火設備に限る。
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給油取扱所
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- 第三種の固定式の泡消火設備
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上記の付加要素
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- 高引火点危険物のみを100℃未満で取り扱う製造所や一般取扱所では、その製造所や一般取扱所の建築物その他の工作物を包含するように設けることで足りる。この場合この危険物について、第四種及び第五種の消火設備を必要量設けること。ただし、この製造所や一般取扱所の第一種、第二種、第三種の消火設備を設けるときは、この消火設備の放射性能力範囲内の部分において第四種の消火設備を設けないことができる。
- 可燃性の蒸気又は可燃性の微粉が停滞するおそれのある建築物又は室においては、第四種及び第五種の消火設備を必要量設ける。
- 第四類の危険物を貯蔵したり取り扱う屋外タンク貯蔵所又は屋内タンク貯蔵所にあっては、第五種の消火設備を2個以上設ける。
- 一方開放型上階付き屋内給油取扱所にあっては、建築物その他の工作物に対して第五種の消火設備を必要量設ける。
- 顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所にあっては、建築物その他の工作物及び危険物を包含するように第四種の消火設備を設け(第三種の消火設備によって包含されるものを除く)、並びに危険物の所要単位の数値の5分の1以上になるように第五種の消火設備を設ける。
- 製造所、屋内タンク貯蔵所、移送取扱所又は一般取扱所の作業工程上、消火設備の放射能力範囲にこの製造所等において貯蔵したり取り扱う危険物の全部を包含することができないときは、この危険物について第四種及び第五種の消火設備を必要量設ける。
消火困難な製造所等
製造所・一般取扱所・屋内貯蔵所・屋外貯蔵所・給油取扱所・第二種販売取扱所
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- 第四種の消火設備を建築物、工作物及び危険物を包含するように設け、さらに第五種の消火設備(能力単位の数値が危険物の所要単位の数値の1/5以上となること。)を設ける。
屋内タンク貯蔵所・屋外タンク貯蔵所
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- 第四種及び第五種の消火設備を1個以上設ける。
※第一種、第二種、第三種の消火設備を設ける場合にはこの消火設備の放射能力範囲内の部分には第四種の消火設備を設けないことができる。
その他の製造所等
地下タンク貯蔵所
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- 第五種の消火設備を2個以上設ける
移動タンク貯蔵所
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- 自動車用消火器(下記の容量のもの)を2個以上設ける
- 霧状の強化液8㍑以上
- 二酸化炭素3.2kg
- ブロモクロロジフルオロメタン2㍑以上
- ブロモトリフルオロメタン2㍑以上
- ジブロモテトラフルオロエタン1㍑以上
- 粉末消火3.5kg以上
- アルキルアルミニウム等を貯蔵したり取り扱うもの
- 上記の自動車用消火器
- 乾燥砂150㍑以上
- 膨張ひる石・膨張真珠岩640㍑以上
- 自動車用消火器(下記の容量のもの)を2個以上設ける
その他の製造所等
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- 第五種の消火設備を能力単位の数値が建築物その他の工作物及び危険物の所要単位の数値に達するように設ける。ただし、第一種から第四種までの消火設備を設ける場合にはこの消火設備の放射能力範囲内の部分について、第五種の消火設備をその能力単位の数値がこの所要単位の1/5以上になるように設けることによって足りる。
消火設備の設置位置等
第一種から第五種の消火設備は以下の様に配置(設置)します。消防用設備での設置基準と似ている部分があります。
第一種
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- 屋内消火栓は製造所等の建築物の階ごとにその階の各部分から1のホースの接続口までの水平距離が25m以下となるように設置する。
- 屋外消火栓は防護対象物の各部分から1のホースの接続口までの水平距離が40m以下となるように設置する。
第二種
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- 防護対象物の各部分から1のヘッドまでの水平距離が1.7m以下となるように設置する。
第三種
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- 各消火設備の放射能力範囲に応じて有効に設置する。
第四種
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- 各階ごとに歩行距離30m以内に1本設置する。
- ただし、第一種、第二種、第三種の消火設備の併置する場合を除く。
第五種
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- 地下タンク、簡易タンク、移動タンク貯蔵所、給油取扱所、販売取扱所は有効に消火できる位置に設置する。
- その他の場合は、各階ごとに歩行距離20m以下ごとに1本設置する。ただし、第一種から第四種の消火設備と併置する場合を除く。
まとめ
最後までご覧頂きありがとうございます。
危険物施設における消火設備のお話はこれで終了になります。
筆者は以前、航空燃料(第四類第二種石油類)を貯蔵する屋外タンク貯蔵所(著しく消火困難な製造所等に該当)の固定式の泡消火設備を点検したことがありますが、その当時は固定式の泡消火設備が設置されているなーくらいにしか思いませんでしたが、今回の記事を書いていて、ちゃんと決められた消火設備が設置されていたんだなーとあらためて感じました。
ちなみに、よくある工場(延べ面積1000㎡以上の一般取扱所、著しく消火困難な製造所等の該当、無窓階非該当)には、危険物への消火設備として第一種から第三種のいづれかの設置が必要ですが、消防用設備として概ね消火器具、屋内(屋外)消火栓が基準通りに設置されていますので、これで第一種と第五種(第四種)の消火設備は設置されているとみなされるので、危険物施設だからといっての別の消火設備を設置しなくても良いというわけです。
前回の記事に所要単位の算出方法も記載してありますので、上記の第四種と第五種の設置本数等の確認には下記のリンクから確認できます。
また、所轄消防によっては、これらの危険物施設(少量危険物も含む)(移動タンク貯蔵所除く)への第五種の消火設備を設置を指導するときに粉末消火器の場合、薬剤量3.5kgのものを設置させる場合がありますので注意しましょう。