いろいろなバルブについて

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みなさんこんにちは

今回は消火設備などに使われているバルブと呼ばれている仕切弁や逆止弁などには色々な種類があり、材質や形状、その方法や種類は様々なのでこれらを紹介していこうと思います。

 

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バルブとは

身近なバルブでいうと、台所やお風呂にある蛇口(単水栓や混合水栓など)がこのバルブに該当し、蛇口をひねって開けると水が出てきて蛇口を閉めると水が止まるという機構を持っており、バルブとは液体や気体を通したり止めたり絞ったり量を調整する通路を開閉できる機構を持つ機器の総称を言います。

現在では水道事業やガス事業が発展し日本にもバルブ製造工場ができて、材質や種類が増えその用途も拡大されてきましたが、これら身近なバルブの起源は、紀元前1000年頃の古代エジプトの遺跡から発掘された木製のコックと推定されるものまでさかのぼり、日本で初めて金属製のバルブが使われるようになったのは1863年にボイラーと一緒に輸入されたのが最初だそうです。

 

バルブの種類

バルブの種類はいっぱいあるので、ここでは基本的なものを解説していこうと思います。

 

仕切弁(ゲートバルブ)

仕切弁の例

仕切弁は流路に対してゲートと呼ばれる仕切りを用いて流体をコントロールするバルブで、上記写真を見てもらうとわかるようにバルブが開いているときはその仕切り(ゲート)は見えませんが、閉めると仕切りが徐々に下がってきて、最終的には完全に閉まります。

メリットとして、流体をしっかり止めることができる事や、流路が真っ直ぐなので圧力損失が少ないことがあげられますが、デメリットとして中間開度での使用は仕切りに流体がぶつかることによるチャタリングと呼ばれる微細振動が起きるので、バルブ開度は中間で使用せず基本的に全開又は全閉で使用します。

消防用設備では、ポンプの周辺(流量試験配管や呼水槽配管など)及び付属機器類(アラーム弁や一斉開放弁など)でよく使われています。

 

玉形弁(グローブバルブ)

玉形弁の例

これは本体が丸くなっている(球をラテン語で表現するとglobe)ので「玉形弁」や「グローブ弁」と言い、上記の写真を見てもわかるように、流路にフタをするように弁体を配置して流体を流したり止めたりします。

メリットとして流体をきっちり止めることに秀でるので「ストップバルブ」とも呼ばれて流体の流量を調整するのも優れていますが、ハンドルを何回も回さないといけないのでバルブの急な開け閉めができないのと、弁体が流路に対してフタをする形になっており流体の通過経路がまっすぐではないので圧力損失(流体の勢いが弱くなること)が大きいというデメリットがあります。

消防用設備においては屋内(屋外)消火栓の消火栓開閉弁によく用いられています。

 

バタフライ弁(蝶形弁)

バタフライ弁の例

バタフライ弁は流路のなかに円盤状の弁体が入っていて、この円盤を90度回すことにより流体のコントロールを行うバルブで、この円盤が蝶の羽のように見えることから、「蝶の羽のよう」ということでバタフライと呼ばれるようになり、バタフライバルブやバタ弁とも呼ばれます。

このバタフライ弁のメリットは仕切弁などに比べて小型・軽量かつ省スペースであるので、機械室やボイラー室などの配管などが混在している部分への設置においてとても重宝されていますし、円盤状の弁体を動かすのにレバーを動かしたりハンドルを回すことによる回転力により開閉を行うので、開け閉めを迅速に行うことができる操作性が良いという点があります。

ただデメリットとして一般的なバタフライ弁は弁シートがゴム素材などの為に高温・高圧の流体には向かないというのがあります。

消防用設備では、ポンプ吐出部のメインバルブや大口径の一斉開放弁によく使われています。

 

ボール弁(ボールバルブ)

上記の玉形弁や仕切弁はフタやゲート状の弁体で流体を流したり止めたりしていましたが、ボールバルブは穴の開いたボール状の弁体の向きを変えることにより流体をコントロールし、このボールは90度動かせば全開から全閉ができます。

メリットとしてボール状の弁体が大きくないのでバルブ本体をコンパクトにできるという特徴や、迅速な開け閉めをすることができます(ウォーターハンマーに要注意!)が、デメリットとしてバルブの一部に樹脂を使用しているので高温の流体には向いていませんし、仕切弁と一緒で中間開度での使用には向いていません。

仕切弁よりもコンパクトで開け閉めも楽なので、最近ではゲートバルブに変わってボールバルブが良く用いられるようになりましたが、メンテナンス性はゲート弁のほうが優れており、消防用設備では、スプリンクラー設備の末端試験弁や一斉開放弁の操作管によく使われています。

ウォーターハンマーについて詳しくは下記の記事を参照してください。

 

逆止弁(チェックバルブ)

これまで紹介したバルブは流体を流したり絞ったり止めたりしましたが、この逆止弁は流体の流れを逆流させないで一方通行にするバルブになります。

「ぎゃくしべん」とか「ぎゃくどめべん」とも言いますし、英語では「チェックバルブ」と言いますが、これが訛って「チャッキ弁」や「チャキ弁」と呼ぶ人もいるので呼び方は様々です。

ちなみに筆者は「チャッキ」と呼んでいます(笑)。

チャッキ弁の種類として

  • 弁体がスイングする「スイング式」
  • 弁体がリフトアップする「リフト式」
  • 弁体が蝶のような形をしている「ウェハ形」(フランジレス逆止弁)

があり、一般的に良く用いられるのはスイング式の逆止弁やリフト式逆止弁が多いですが、最近は省スペースなウェハ形が結構見受けられます。

ちなみに「ウェハ」とは「配管フランジに挟み込んで取り付ける構造」のことを言い、ウェハ形は逆止弁本体を配管フランジに挟み込んで取り付けを行います。

この他にもポンプ吐き出し直近に設けるウォーターハンマーを防止できる「スモレンスキチャッキバルブ」(通称スモレン)や、汚水・排水に使用されるボールバルブ型のチャッキバルブといろいろな種類があります。

用途として消火栓などのポンプで、呼水槽から主管への配管にスイング式の逆止弁(40A)が使われていたり、ポンプの吐き出し直近にスモレンスキの逆止弁が良く使われています。

スモレンスキチャッキバルブの例

ウェハ形チャッキバルブの例

逆止弁にはいろいろありますが、取り付け方向に制約のあるものがありますので注意が必要で、

例えばスイング式の逆止弁を下向き(流体が上から下に向かって流れる)に取り付けてはいけないなどの制約がありますので、施工される場合には気を付けましょう。

 

ダイヤフラム弁

弁体にダイヤフラムを用いたバルブもあるので紹介しますが、このバルブは消防用設備等では見かけません。

これは、弁体にゴムやフッ素素材で出来た隔壁・隔膜という意味のダイヤフラムというものを使用していて、このダイヤフラムの膜と膜をくっつけたり離したりして流路を開けたり閉めたりしています。

メリットとしては弁棒やダイヤフラムなどの駆動部分が隔離しており流体と駆動部が接しない為、駆動部分の不純物(潤滑油や鉄粉など)が流体に混ざらないという特徴があり、デリケートな流体を扱う食品や医薬品・半導体分野などの化学プラントで活躍している反面、ダイヤフラムが高温・高圧には不向きな為、使用には条件があるというデメリットもあります。

 

安全弁

安全弁の例

上記で紹介したバルブは流体を流したり止めたり一方通行にするものですが、この安全弁は常時流体を通さずに一定の圧力値以上になった場合にのみ流体を流して圧力を逃がすという特徴があり、配管の保護及び安全性を確保するためのバルブになります。

消防用設備では、スプリンクラー設備の圧力タンクやアラーム弁の2次側配管に付いていて、温度上昇などにより配管内圧力が高くなった場合に圧力を逃がすという使われ方をしています。

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回は消防用設備を点検しているときに良く見かけるバルブについてお話させていただきましたが、普段何気なく見ているバルブですけどそれぞれにメリットとデメリットがあり、用途に応じて使い分けられているということがわかりましたし、実際には上記で紹介したもの以外のバルブもあり、本当に多岐にわたり色々あるんだなぁと思います。

以前は消火栓開閉弁に玉型弁がよく使われている理由がわかりませんでしたが、今回お話させていただいたとおりストップバルブと呼ばれるほど止水性能に優れているからだということがわかり納得しました。

皆様も点検などでバルブを見た際には「このバルブがバタフライ弁か~」とわかるようになっていただければ幸いです。