不活性ガス消火設備の点検要領 その1

皆さんこんにちは。

前回の記事で不活性ガス消火の概要をお話させて頂きましたが、今回の記事では点検要領(点検票のその1)をお話させて頂きます。

以前にも点検票に沿ってお話させていただきましたが、ボリュームが意外にあるので少しずつ行こうと思います。

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点検にあたって

  1. 閉止弁がついているものは、点検開始時に閉止弁を「閉」にして、点検終了時に「開」にする。
  2. 設備の誤作動による誤放射を避けるために、機器に強い衝撃を与えないようにする。
  3. ソレノイド(電気式容器弁開放装置)や操作銅管などの機器を取り外す場合には、点検終了時に接続部の緩みや脱落、封印などを良く確認する。意外に閉め忘れがあります。
  4. またソレノイド(電気式容器弁開放装置)を外す時は、制御盤の電源を断にしてから容器弁に付いている操作銅管を外してからソレノイドを外す。

点検票 その1

消火剤貯蔵容器等

消火剤貯蔵容器

消火剤貯蔵容器(二酸化炭素の高圧式)の例

周囲の状況

目視やJIS規格品の棒状温度計を使って以下を確認します。

  • 防護区画以外の場所で、防護区画を通らないで出入り出来る場所にあるか。
  • 湿度が著しく高くなく、周囲の温度が40℃以下であるか。(低圧式のものを除く)
  • 直射日光や雨水などの影響を受けない場所であるか。
  • 消火剤貯蔵容器の設置場所には照明や明かり取り窓などがあり、制御盤などの周囲に障害物がなく整理整頓されて、操作や点検が円滑に行えるスペースがあるか。

外形

  • 貯蔵容器、取り付け枠、各種計器などに変形、破損、著しい腐食、塗膜剥離、錆などがないか確認します。
  • 本体容器は取り付け枠や架台に堅固に固定されているか確認します。
  • 消火剤貯蔵容器は規定の本数が設置されていて、容器番号が維持台帳(設置届など)の番号と合っているか確認します。

表示及び標識

消火剤貯蔵容器の設置場所には「二酸化炭素貯蔵容器置場」などの表示があり、変形、破損、脱落、色褪せなどがないか確認します。

高圧ガス保安法により高圧ガス貯蔵所(高圧ガス300㎥=液化ガス3000kg)や、高圧ガス製造所(低圧式のもの)に該当する場合には、保安法に定められた標識などが適正に設けられているか確認します。


高圧式(常温で貯蔵するものに限る。)

消火剤量

液面計(レベルメーター)による測定例

換算表の例

以下の方法で確認します。

消火剤貯蔵容器(ボンベ)は重量物なので転倒などに注意し手荒に扱わない様にすること。

(1)秤を用いる方法

    1. 容器弁に連結されている容器弁開放装置、連結管、操作銅管、容器固定金具を取り外して計量します。
    2. 測定値(ボンベの総重量)から容器弁の重さとボンベの空重量を差し引いた数値が消火剤の重さになります。

(2)液面計(レベルメーター)を用いる方法

    1. レベルメーターの電源を入れる前に各接続部がきちんと接続されているか確認し、電源を入れます。
    2. 電源を入れたら基準となる指度を確認しておく。
    3. レベルメーターのプロープ(測定部分)をボンベに挟み込むように挿入する。
    4. プロープをボンベに沿ってゆっくり上下させ、指度の触れが大きくなる部分の高さ位置をボンベの底面から測定する。
    5. 測定高さから消火剤量を換算するには専用の換算表を用いる。

(3)容器内圧力による方法

貯蔵容器の周囲温度を測定してから、以下の方法で測定した数値を温度換算表などを用いて消火剤量を確認します。

    1. 容器弁に圧力計や指示圧力計が付いている場合はその値を確認します。
    2. 容器弁に検圧口が付いている場合は検圧治具を用いて圧力を測定する。

上記の結果から設計図書等と照らし合わせて、消火剤量が10%以内であるか確認し、二酸化炭素の充てん比が1.5以上1.9以下であるかも確認します。

またこの測定結果は点検票や別紙に容器番号や製造年、充填量などを記載しておきましょう。

測定に使用する秤やレベルメーターなどは定期的に校正を受け、点検に支障のない様にしておきましょう。


容器弁

容器弁の例

外形

  1. 変形、破損、著しい腐食などがないか確認する。
  2. 「不活性ガス消火設備の容器弁、安全装置及び破壊板の基準」(昭和51年消防庁告示第9号)に定める基準に適合するものであること。又は総務大臣若しくは消防庁長官が登録した登録認定機関の認定を受け、当該基準に適合するものである場合、その旨の認定マークが貼付されているか確認する。

※ 点検時の放出事故防止のため、強い衝撃を与えないこと。

安全性

詳しくはこちら→容器弁の安全性に係わる点検について

「消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成26年3月31日付け消防予第138号)」別添2「不活性ガス消火設備等の容器弁等の点検要領」に規定する点検方法に従い、以下の項目を確認します。
① 外観点検
② 構造、形状、寸法点検
③ 耐圧性能点検
④ 気密性能点検
⑤ 表示点検
「消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成26年3月31日付け消防予第138号)」別添2「不活性ガス消火設備等の容器弁等の点検要領」に規定する判定方法による。


安全装置

(容器弁に設けられたものに限る。)

外形

変形、破損、著しい腐食等がないか確認します。

安全性

詳しくはこちら→容器弁の安全性に係わる点検について

「消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成26年3月31日付け消防予第138号)」別添2「不活性ガス消火設備等の容器弁等の点検要領」に規定する点検方法に従い、以下の項目を確認する。
① 外観点検
② 構造、形状、寸法点検
③ 耐圧性能点検
④ 気密性能点検
⑤ 安全装置等作動点検
⑥ 表示点検
「消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成26年3月31日付け消防予第138号)」別添2「不活性ガス消火設備等の容器弁等の点検要領」に規定する判定方法による。


容器弁開放装置

容器弁開放装置の例

外形

  • 変形、破損、脱落、接続部分の緩みなどがないか確認します。
  • ガス圧式のものは操作銅管との接続部分の緩みや脱落などがないか確認します。
  • 手動開放機能を有する開放装置は操作部分に著しい錆がないか確認します。
  • 容器弁開放装置が容器弁本体に確実に取り付けられているか確認します。
  • 安全ピン、ロックピンなどが装着されていて封印が施されているか確認します。

電気式の容器弁開放装置

  1. 容器弁に装着されている容器弁開放装置を取り外して、破開針やカッターを目視により変形、破損などがないか確認します。
  2. 手動式の起動装置などを操作して電気的作動が円滑に作動するか確認します。
  3. 安全ピンやロックピンを取り外し手動で操作して開放装置の作動を行い円滑に、かつ確実に行えるか確認します。
  4. 端子部分のカバーを外し、ドライバーなどで端子の緩みや線の損傷や断線などがないか確認します。
  5. 作動確認後は通電の遮断や復旧操作を行って、正常に復旧できるか確認します。

また、手動式起動装置を操作する場合は、全ての電気式容器弁開放装置を取り外してから行うことと、開放装置の復旧操作は、制御盤等を復旧した後に行うようにします。

ガス圧式の容器弁開放装置

  1. 容器弁に装着されている容器弁開放装置を取り外して、破開針やピストンロッド、カッターを目視により変形、破損などがないか確認します。
  2. 手動操作の機能があるものは、安全ピンやロックピンを取り外し手動で操作して開放装置の作動を行い円滑に、かつ確実に行えるか確認し、また復元スプリングなどの状態も確認します。
  3. ガス圧のみで作動するものは、ガス圧をかけて破開針やカッターが作動するか、また復旧するか確認します。

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低圧式(二酸化炭素を低温で貯蔵するものに限る。)

消火剤量

液面計により消火剤が規定量以上貯蔵されているか確認します。

液面計及び圧力計

    1. 計器を目視により確認します。
    2. 一時的に仕切弁を閉じて液面計や圧力計を取り外し、マノメータや試験用ガスを使用して作動及び指示値を確認します。

上記操作等で以下を確認します。

    1. 変形、破損、漏れなどがないか確認します。
    2. 指示値が適正か確認します。
    3. 液面計や圧力計の指示値が比較計測機器を合致するか確認します。
    4. 外した液面計や圧力計を取り付けて仕切弁を忘れずに「開」にする。

圧力警報装置及び安全装置等

    1. 目視で確認します。
    2. 接点付き圧力計や圧力スイッチ、安全弁(バネ式のもの)などは一時的に仕切り弁などを閉鎖して、取り外して試験用ガスを使用して作動確認を行います。

上記操作等で以下を確認します。

    1. 警報用の接点付き圧力計や圧力スイッチなどに変形、破損、脱落などがないか確認します。
    2. 安全装置や破壊板などに破損や詰まりなどがないか確認します。
    3. 警報装置などが作動圧力の範囲内で作動して警報機能が正常か確認します。
    4. 安全弁は耐圧試験圧力の0.64倍から0.8倍までの圧力で作動するか確認します。
    5. ※上記仕切り弁などの閉鎖には高圧ガス作業主任者立合いのもと行うのが望ましい。
    6. ※点検終了時には必ず閉鎖した仕切り弁などを「開」にしておくこと。

自動冷凍機

    1. 目視で確認します。
    2. 冷凍機の始動・停止機能は上記警報装置や安全弁などの点検方法により接点付き圧力計などを作動させて確認します。
    3. 冷媒管などは石鹸水などを用いて確認します。
    4. 冷媒管などにリキッドアイ(サイトグラス)が設けられているものは、リキッドアイの白い泡の発生状態を確認します。

上記の操作等により以下を確認します。

    1. 本体、各種配管に変形、破損、著しい腐食、亀裂、塗膜剥離や油漏れなどがないか確認します。
    2. 冷凍機は架台などにしっかり固定されているか確認します。
    3. 安全弁などの仕切り弁等が「開」の位置にあるか確認します。
    4. 作動温度が適正か確認します。
    5. 冷凍機の運転状況が正常か確認します。
    6. 冷凍機運転中にリキッドアイに白い泡が1~2分以上継続して見えないか確認します。

放出弁

    1. 目視やスパナ等により、変形、破損や接続部の緩みなどがないか確認します。
    2. 一次側の仕切り弁を閉鎖した後に、試験用ガスを用いて開閉機能が正常か確認します。
    3. 試験用ガスを用いて操作管接続部から加圧してガス漏れがないか確認します。

放出弁開放装置

外形

変形、破損、脱落などがないか確認します。

電気式の放出弁開放装置

    1. 放出弁に装着されている放出弁開放装置を取り外して、破開針やカッターを目視により変形、破損などがないか確認します。
    2. 手動式の起動装置などを操作して電気的作動が円滑に作動するか確認します。
    3. 安全ピンやロックピンを取り外し手動で操作して開放装置の作動を行い、円滑にかつ確実に行えるか確認します。
    4. 端子部分のカバーを外し、ドライバーなどで端子の緩みや線の損傷や断線などがないか確認します。
    5. 作動確認後は通電の遮断や復旧操作を行って、正常に復旧できるか確認します。

また、手動式起動装置を操作する場合は、全ての電気式容器弁開放装置を取り外してから行うこと。

ガス圧式の放出弁開放装置

    1. 放出弁に装着されている放出弁開放装置を取り外して、破開針やピストンロッド、カッターを目視により変形、破損などがないか確認します。
    2. 手動操作の機能があるものは、安全ピンやロックピンを取り外し手動で操作して開放装置の作動を行い、円滑にかつ確実に行えるか確認し、また復元スプリングなどの状態も確認します。
    3. ガス圧のみで作動するものは、手で引っ張ったりして破開針やカッターが作動するか、また復旧するか確認します。

バルブ類

    1. 変形、破損、著しい腐食などがないか確認します。
    2. 開閉位置が正常で、開閉操作が容易に出来るか確認します。


連結管及び集合管

連結管等の例

  1. 目視により変形、発生、著しい腐食などがないか確認します。
  2. スパナ等により接続部の緩みなどがないか、また確実に接続されているか確認します。

起動用ガス容器等

起動用ガス容器

起動用ガス容器の例

外形

    1. 変形、破損、著しい腐食、塗膜剥離などがなくて、収納箱と容器がしっかり固定されているか確認します。
    2. 容器収納箱に設けられているものは、扉の開閉が容易に出来るか確認します。

表示

    1. 破損、脱落、汚損などがないか確認します。
    2. 収納箱の表面に、当該防護区画名、又は防護対象物名及び取り扱い方法を明記した説明板が適正に設けられているか確認します。

ガス量

以下の手順により確認します。

    1. 容器弁に付いている容器弁開放装置や操作管などを取り外して、容器収納箱から取り出します。
    2. 適切な計測幅や精度を持つ秤(ばね秤や秤量計)を使用して起動用ガス容器の重さを量ります。
    3. 容器に付いている銘板や刻印などにより適正重量を確認します。

上記方法により二酸化炭素の量が、計測重量と記載重量の差が充填量の10%以内であるか、二酸化炭素の充填比が1.5以上であるか確認します。

また、計測重量などの結果は点検票や別紙に記録しておく。


容器弁

外形

    1. 変形、破損、著しい腐食などがないか確認します。
    2. 「不活性ガス消火設備の容器弁、安全装置及び破壊板の基準」(昭和51年消防庁告示第9号)に定める基準に適合するものであること。又は総務大臣若しくは消防庁長官が登録した登録認定機関の認定を受け、当該基準に適合するものである場合、その旨の認定マークが貼付されているか確認する。

※ 点検時の放出事故防止のため、強い衝撃を与えないこと。

安全性

詳しくはこちら→容器弁の安全性に係わる点検について

「消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成26年3月31日付け消防予第138号)」別添2「不活性ガス消火設備等の容器弁等の点検要領」に規定する点検方法に従い、以下の項目を確認します。
① 外観点検
② 構造、形状、寸法点検
③ 耐圧性能点検
④ 気密性能点検
⑤ 表示点検
「消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成26年3月31日付け消防予第138号)」別添2「不活性ガス消火設備等の容器弁等の点検要領」に規定する判定方法による。


安全装置

(容器弁に設けられたものに限る。)

外形

変形、破損、著しい腐食等がないか確認します。

安全性

詳しくはこちら→容器弁の安全性に係わる点検について

「消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成26年3月31日付け消防予第138号)」別添2「不活性ガス消火設備等の容器弁等の点検要領」に規定する点検方法に従い、以下の項目を確認する。
① 外観点検
② 構造、形状、寸法点検
③ 耐圧性能点検
④ 気密性能点検
⑤ 安全装置等作動点検
⑥ 表示点検
「消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成26年3月31日付け消防予第138号)」別添2「不活性ガス消火設備等の容器弁等の点検要領」に規定する判定方法による。


容器弁開放装置

外形

    1. 容器弁に装着されている容器弁開放装置を取り外して、破開針やカッターを目視により確認します。
    2. 手動式の起動装置などを操作して電気的作動が円滑に作動するか確認します。
    3. 安全ピンやロックピンを取り外し手動で操作して開放装置の作動を行い円滑に、かつ確実に行えるか確認します。
    4. 端子部分のカバーを外し、ドライバーなどで端子の緩みや線の損傷や断線などがないか確認します。
    5. 作動確認後は通電の遮断や復旧操作を行って、正常に復旧できるか確認します。

以上の操作等により以下を確認します。

    • 変形、破損、脱落、接続部分の緩みなどがないか確認します。
    • ガス圧式のものは操作銅管との接続部分の緩みや脱落などがないか確認します。
    • 手動開放機能を有する開放装置は操作部分に著しい錆がないか確認します。
    • 容器弁開放装置が容器弁本体に確実に取り付けられているか確認します。
    • 安全ピン、ロックピンなどが装着されていて封印が施されているか確認します。

電気式の容器弁開放装置

    1. 容器弁に装着されている容器弁開放装置を取り外して、破開針やカッターを目視により変形、破損などがないか確認します。
    2. 所定の電圧にて円滑に作動して、かつ手動操作が確実に行えるか確認します。
    3. 端子部分のカバーを外し、ドライバーなどで端子の緩みや線の損傷や断線などがないか確認します。
    4. 作動確認後は通電の遮断や復旧操作を行って、正常に復旧できるか確認します。

また、手動式起動装置を操作する場合は、全ての電気式容器弁開放装置を取り外してから行うことと、開放装置の復旧操作は、制御盤等を復旧した後に行うようにします。

手動式の容器弁開放装置

容器弁開放装置を取り外し、目視や手動操作などにより以下を確認します。(ハンドルなどにより直接手動開放する方式の弁を除く)

    1. 破開針やピストンロッド、カッターを目視により変形、破損などがないか確認します。
    2. 手動操作部の安全ピンや封印がすばやく外せるか確認します。
    3. 確実に作動するか確認します。

まとめ

最後までご覧頂きありがとうございます。

今回から不活性ガス消火設備の点検要領を記載させて頂いていますが、なにせ細かいです。

消火剤貯蔵容器(ボンベ)も高圧式と低圧式があり、容器弁なども安全性の項目が最近追加されて、点検、記入する部分が多くなりました。

ですが容器弁などの安全性については、設置から25年(30年)を経過しなければ該当なしになりますので特に気にする部分ではありません…と言いたい所ですが、実際問題、25年(30年)を経過しているボンベもありますので点検時にはボンベの製造年くらいは確認しておきたいものです。