屋内消火栓設備の技術基準 その2

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皆さんこんにちわ。

今回は屋内消火栓設備を防火対象物又はその部分に設置するにあたり非常に細かい決まり事があり、それを「(設置上の)技術基準」と呼んでおり、これらの

  • 配線
  • 非常電源
  • 総合操作盤の設置を要する防火対象物
  • 屋内消火栓の設置を免除できる場合

上記について解説していきます。

これからお話する基準は代表的な基準になりますので、詳細は各市町村の火災予防条例や技術基準を参照していただきますようお願いいたします。

屋内消火栓設備の「設置基準」を確認したい方は下記の記事を参照してください。

 

屋内消火栓の「技術基準」

  • 加圧送水装置(設置場所等)
  • 屋内消火栓(起動装置・水源等)
  • 配管

を確認したい方は下記の記事を参照してください。

 

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配線

配線は、電気工作物に係る法令の規定によるほか、他の回路による障害を受けることのないような措置を講じるとともに、次のA.からC.までに定めるところによること。
  1. 六百ボルト二種ビニル絶縁電線又はこれと同等以上の耐熱性を有する電線を使用すること。
  2. 電線は、耐火構造とした主要構造部に埋設することその他これと同等以上の耐熱効果のある方法により保護すること(耐火保護工事)。ただし、MIケーブル又は消防庁長官が定める基準に適合する電線(耐火電線)を使用する場合は、この限りでない。
  3. 開閉器、過電流保護器その他の配線機器は、耐熱効果のある方法で保護すること。
操作回路又は屋内消火栓の上部に取り付ける赤色の灯火の回路の配線は、電気工作物に係る法令の規定によるほか、次のA.及びB.に定めるところによること。
  1. 六百ボルト二種ビニル絶縁電線又はこれと同等以上の耐熱性を有する電線を使用すること。
  2. 金属管工事、可とう電線管工事、金属ダクト工事又はケーブル工事(不燃性のダクトに布設するものに限る。)により設けること(耐熱保護工事)。ただし、消防庁長官が定める基準に適合する電線(耐熱電線)を使用する場合は、この限りでない。

 

非常電源

屋内消火栓設備の非常電源は、非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備(法第十七条の二の五第二項第四号※2に規定する特定防火対象物で、延べ面積が1000㎡メートル以上のもの(第十三条第一項第二号に規定する小規模特定用途複合防火対象物を除く。)にあつては、自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備)によるものとし、下記に定めるところによること。

非常電源専用受電設備

非常電源専用受電設備は、次のA.からG.までに定めるところによること。
  1. 点検に便利で、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設けること。
  2. 他の電気回路の開閉器又は遮断器によつて遮断されないこと。
  3. 開閉器には屋内消火栓設備用である旨を表示すること。
  4. 高圧又は特別高圧で受電する非常電源専用受電設備にあつては、不燃材料※1で造られた壁、柱、床及び天井(天井のない場合にあつては、屋根)で区画され、かつ、窓及び出入口に防火戸(建築基準法第二条第九号の二ロに規定する防火設備であるものに限る。以下同じ。)を設けた専用の室に設けること。ただし、次のa.又はb.に該当する場合は、この限りでない。
    1. 消防庁長官が定める基準に適合するキュービクル式非常電源専用受電設備で不燃材料で区画された変電設備室、発電設備室、機械室、ポンプ室その他これらに類する室又は屋外若しくは建築物の屋上に設ける場合
    2. 屋外又は主要構造部を耐火構造とした建築物の屋上に設ける場合において、隣接する建築物若しくは工作物(以下「建築物等」という。)から3メートル以上の距離を有するとき又は当該受電設備から3メートル未満の範囲の隣接する建築物等の部分が不燃材料で造られ、かつ、当該建築物等の開口部に防火戸が設けられているとき
  5. 低圧で受電する非常電源専用受電設備の配電盤又は分電盤は、消防庁長官が定める基準に適合する第一種配電盤又は第一種分電盤を用いること。ただし、次のa.又はb.に掲げる場所に設ける場合には、第一種配電盤又は第一種分電盤以外の配電盤又は分電盤を、次のc.に掲げる場所に設ける場合には、消防庁長官が定める基準に適合する第二種配電盤又は第二種分電盤を用いることができる。
    1. 不燃材料※1で造られた壁、柱、床及び天井(天井のない場合にあつては、屋根)で区画され、かつ、窓及び出入口に防火戸を設けた専用の室
    2. 屋外又は主要構造部を耐火構造とした建築物の屋上(隣接する建築物等から3メートル以上の距離を有する場合又は当該受電設備から3メートル未満の範囲の隣接する建築物等の部分が不燃材料で造られ、かつ、当該建築物等の開口部に防火戸が設けられている場合に限る。)
    3. 不燃材料で区画された変電設備室、機械室(火災の発生のおそれのある設備又は機器が設置されているものを除く。)、ポンプ室その他これらに類する室
  6. キュービクル式非常電源専用受電設備は、当該受電設備の前面に1メートル以上の幅の空地を有し、かつ、他のキュービクル式以外の自家発電設備若しくはキュービクル式以外の蓄電池設備又は建築物等(当該受電設備を屋外に設ける場合に限る。)から1メートル以上離れているものであること。
  7. 非常電源専用受電設備(キュービクル式のものを除く。)は、操作面の前面に一メートル(操作面が相互に面する場合にあつては、1.2メートル)以上の幅の空地を有すること。

 

自家発電設備

自家発電設備は、上記非常電源専用受電設備のA.~D.及びF.の規定の例によるほか、次のA.からD.までに定めるところによること。

  1. 容量は、屋内消火栓設備を有効に30分間以上作動できるものであること。
  2. 常用電源が停電したときは、自動的に常用電源から非常電源に切り替えられるものであること。
  3. キュービクル式以外の自家発電設備にあつては、次のa.からc.までに定めるところによること。
    1. 自家発電装置(発電機と原動機とを連結したものをいう。以下同じ。)の周囲には、0.6メートル以上の幅の空地を有するものであること。
    2. 燃料タンクと原動機との間隔は、予熱する方式の原動機にあつては2メートル以上、その他の方式の原動機にあつては0.6メートル以上とすること。ただし、燃料タンクと原動機との間に不燃材料で造つた防火上有効な遮へい物を設けた場合は、この限りでない。
    3. 運転制御装置、保護装置、励磁装置その他これらに類する装置を収納する操作盤(自家発電装置に組み込まれたものを除く。)は、鋼板製の箱に収納するとともに、当該箱の前面に1メートル以上の幅の空地を有すること。
  4. 消防庁長官が定める基準に適合するものであること。

 

蓄電池設備

蓄電池設備は、上記非常電源専用受電設備のA.~D.及びF.の規定の例によるほか、次のA.からE.までに定めるところによること。

  1. 容量は、屋内消火栓設備を有効に30分間以上作動できるものであること。
  2. 常用電源が停電したときは、自動的に常用電源から非常電源に切り替えられるものであること。
  3. 直交変換装置を有しない蓄電池設備にあつては、常用電源が停電した後、常用電源が復旧したときは、自動的に非常電源から常用電源に切り替えられるものであること。
  4. キュービクル式以外の蓄電池設備にあつては、次のa.からe.までに定めるところによること。
    1. 蓄電池設備は、設置する室の壁から0.1メートル以上離れているものであること。
    2. 蓄電池設備を同一の室に二以上設ける場合には、蓄電池設備の相互の間は、0.6メートル(架台等を設けることによりそれらの高さが1.6メートルを超える場合にあつては、1.0メートル)以上離れていること。
    3. 蓄電池設備は、水が浸入し、又は浸透するおそれのない場所に設けること。
    4. 蓄電池設備を設置する室には屋外に通ずる有効な換気設備を設けること。
    5. 充電装置と蓄電池とを同一の室に設ける場合は、充電装置を鋼製の箱に収納するとともに、当該箱の前面に1メートル以上の幅の空地を有すること。
  5. 消防庁長官が定める基準に適合するものであること。

 

燃料電池設備

燃料電池設備は、上記非常電源専用受電設備のA.~D.及びF.の規定の例によるほか、次のA.からD.までに定めるところによること。

  1. 容量は、屋内消火栓設備を有効に30分間以上作動できるものであること。
  2. 常用電源が停電したときは、自動的に常用電源から非常電源に切り替えられるものであること。
  3. キュービクル式のものであること。
  4. 消防庁長官が定める基準に適合するものであること。

 

総合操作盤の設置を要する防火対象物

高層の建築物、大規模な建築物その他の防火対象物のうち、次のA.からC.までに掲げるものに設置される屋内消火栓設備には、当該設備の監視、操作等を行うことができ、かつ、消防庁長官が定める基準に適合する総合操作盤※3を、消防庁長官が定めるところにより当該設備を設置している防火対象物の防災センター※4、中央管理室※5、守衛室その他これらに類する場所(常時人がいる場所に限る。「防災センター等」という。)に設けること。
  1. 令別表第一(1)項から(16)項までに掲げる防火対象物で、次のいずれかに該当するもの
    1. 延べ面積が50000㎡以上の防火対象物
    2. 地階を除く階数が15以上で、かつ、延べ面積が30000㎡以上の防火対象物
  2. 延べ面積が1000㎡以上の地下街
  3. 次に掲げる防火対象物(A.又はB.に該当するものを除く。)のうち、消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するもの
    1. 地階を除く階数が11以上で、かつ、延べ面積が10000㎡以上の防火対象物
    2. 地階を除く階数が5以上で、かつ、延べ面積が20000㎡以上の特定防火対象物
    3. 地階の床面積の合計が5000㎡以上の防火対象物

 

屋内消火栓の設置を免除できる場合について

屋内消火栓の設置を要する防火対象物又はその部分に

  • スプリンクラー設備
  • 水噴霧消火設備
  • 泡消火設備
  • 不活性ガス消火設備
  • ハロゲン化物消火設備
  • 粉末消火設備
  • 屋外消火栓設備
  • 動力消防ポンプ設備

を消防法施行令第12条、第13条、第14条、第15条、第16六条、第17条、第18条、第19条若しくは第20条に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置したときは、同項の規定にかかわらず、当該設備の有効範囲内の部分(屋外消火栓設備及び動力消防ポンプ設備にあつては、1階及び2階の部分に限る。)について屋内消火栓設備を設置しないことができる。

また屋内消火栓の代替としてパッケージ型消火設備を平成16年総務省令第92号及び平成16年5月31日消防庁告示第12号に従い設置した場合は屋内消火栓の設置を免除できる。

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回は屋内消火栓の技術基準の配線、非常電源、総合操作盤の設置を要する防火対象物、屋内消火栓の設置を免除できる場合についてお話してきましたが、

  • 配線では耐火保護工事(又は耐火配線)、耐熱保護工事(又は耐熱配線)を必要とする
  • 非常電源では防火対象物により設置できない非常電源がある
  • 総合操作盤は延べ面積50000㎡以上などとかなりの大きな建物の場合は必要になる
  • 屋内消火栓の設置免除については屋内消火栓に代わる消火設備がなければ免除できない

となります。

今回お話した基準は代表的なものになり、各市町村によりもっと厳しい基準がありますので施工する場合には予め各市町村の火災予防条例等を確認していただきたいと思います。

 

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※1…建築基準法第二条第九号に規定する不燃材料をいい、鉄筋コンクリートやレンガ、コンクリートブロックや鉄骨に耐火被覆などを指す。

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※2…前三号に掲げるもののほか、第十七条第一項の消防用設備等の技術上の基準に関する政令若しくはこれに基づく命令又は同条第二項の規定に基づく条例の規定の施行又は適用の際、現に存する百貨店、旅館、病院、地下街、複合用途防火対象物(政令で定めるものに限る。)その他同条第一項の防火対象物で多数の者が出入するものとして政令で定めるもの(以下「特定防火対象物」という。)における消防用設備等又は現に新築、増築、改築、移転、修繕若しくは模様替えの工事中の特定防火対象物に係る消防用設備等

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※3…消防用設備等又は特殊消防用設備等の監視、操作等を行うために必要な機能を有する設備をいう。

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※4…総合操作盤その他これに類する設備により、防火対象物の消防用設備等又は特殊消防用設備等その他これらに類する防災のための設備を管理する場所をいう。

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※5…建築基準法施行令第二十条の二第二号に規定する中央管理室をいう。

 

※この記事は消防法施行令第十一条(屋内消火栓設備に関する基準)、消防法施行規則第十一条(屋内消火栓設備に関する基準)及び第十二条(屋内消火栓設備に関する基準の細目)を参考に執筆しています。