皆さんこんにちは!
この記事では点検業者のなりすましは除いて、実際にクライアントと点検契約を結んでいる業者の中でも悪質な業者の可能性が高い特徴を紹介していくので、もしご自分が所有・管理する建物の設備を点検している業者に違和感を感じた時の参考にしていただければ幸いです。
また悪質な業者に対する筆者の魂の叫びはまとめ(この記事の一番最後)に綴っておきますので業界関係者はぜひ見ていってください!
消防用設備の立ち位置について
いきなりの「悪質な業者」という見出しに驚かれた方もいらっしゃるかと思いますが、実際に私たち業界関係者のみならずお客様も迷惑を被っているので記事の執筆に踏み切りました。
消防用設備(消火器や自動消火設備・屋内消火栓等)は消防法第1条にも記載があるように私たちの生命・身体・財産を火災から保護する、火災等の災害の被害を軽減する目的で設置されている非常に大切な設備であり強い公共性(広く社会一般の利害にかかわる性質。また、その度合い)を持っています
消防法第一条
この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。
この強い公共性を持っている消防用設備に関する業務(工事・整備・点検)は非常に役割が重いので、「消防設備士」という国家資格を保持している者しか業務に従事してはいけないとされています(独占業務)(点検業務だけなら消防設備点検資格者でも可)
ただし火災などの有事の時に消火や避難誘導、119番通報の際に消防用設備(消火器や消火栓など)を使うのは建物の関係者であり、この場合には資格の有無は関係ありません。
詳しい事は割愛しますが、基本的には消防用設備に関する業務を行う=有資格者ですが資格を持っていればOKではなく業務に必要な知識、技術を兼ね備えてなければなりません←こことても重要
この適正な知識・技術を持たない者が点検や工事等を行えば、もともと正常な状態にあった消防用設備を壊してしまう恐れもあるということを知ってもらいたいのです。
消防用設備は非常に高価で有事の際にしか使用しない設備であるからこそ日常的なメンテナンスをしっかり行う必要があり、メンテナンスすることで設備寿命を延ばしていくことでコストを削減できます。
私たちが日々使用する自動車も同じで定期的に信頼できるサービスマンにメンテナンスをしてもらうことによって長きにわたって使用することができるので、消防用設備も信頼できる有資格者にメンテナンスしてもらうことで有事の際にその性能をフルに発揮することができます。
悪質な業者の可能性が高い特徴
上記の記事を読んでいただいて消防用設備の重要性とメンテナンスの大切さなどをご理解いただけたところで筆者が考える特徴を以下に記載していきますので参考にしていただければと思います。
特徴①とにかく料金が安い
何事にも「相場」というものがあり、消防用設備の点検業務にも相場があります。
これは点検を行う建物の規模・構造や設置されている設備の種類や特異性など総合的に加味して決められるものですが、悪質な業者はこの価格が相場を逸脱したとにかく安い傾向にあり、それは
①とにかく点検契約を結び売上にしたい
②安価にすることでクライアントが飛びついてくる
③適当な作業でも点検報告書を○にすればクライアントは問題視しない
こんな事が考えられますし、クライアント側から価格を安くしろと要求することもクライアント自身の首を絞める行為なので自重することをお勧めします。
まさに「安かろう悪かろう」ですね。
特徴②とにかく作業時間が早い
通常点検業務は複数人で建物に設置されている全ての消防用設備を点検要領というマニュアルに沿って行われるので時間がかかりますが、悪質な業者は点検業務が適当or点検すらしないので業務にかかる時間がとにかく早いです、薄利多売なのでしょうね。
聞いた話だと某点検業者は「点検に来ました」とクライアントに挨拶したらそのまま車に戻って1時間待機した後に、さも業務が完了したような顔で「点検おわりました」と報告するそうなので我々業界関係者からしたら身震いしてしまいます。
このような業者に対する対策として「点検業務に同行して写真を撮影すること」で、通常消防用設備の点検には建物の関係者が立ち会うのが通例になっており業者が立会いを拒否することはできませんので、気になる業者がいる場合には点検業務に立ち会って写真撮影等で証拠を残しておくことができます。
でもこれって立会い者に消防用設備の知識がないとできないのでは?と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、重要なのは「立会いして写真撮影します」と意思表示をすることであり、普段真っ当に業務を行っている業者であれば快く承諾しますので、ここで難色を示す業者は要注意となります。(私個人的には関係者に立ち会ってもらう方が楽ですし関係者の学びにもなります)
特徴③点検者が全員無資格者
消防用設備の点検に関しては一定の要件に合致する建物(防火対象物という)に関しては無資格者でも点検を行って問題ありませんが、せっかくクライアントがお金を払って点検を依頼をするのであれば有資格者に点検してもらいたいですし、我々業界関係者からしてもお客様から報酬をいただいて作業を行うのに点検業務を行う作業者全員が無資格なのに点検を行わせる業者はどうかなと思います。
これに関しての対策としては点検に来た点検者に消防設備士または消防設備点検資格者の免状を提示してもらうことで、点検などの業務に従事する時には免状を携帯しなければならないという決まりがあり、提示できないという事は免状携帯義務違反or無資格ということがその場でわかりますのでおすすめです。
ポイントは免状を点検当日に点検者本人に提示させることであり、事前に作業者名簿等に免状のコピーを添付させての確認は免状の偽造をしている可能性があることをご承知おきください、画像加工はいくらでもできてしまいます。
特徴④消火設備の不良がほぼ無い
消火設備(消火栓、スプリンクラーなど)の点検はかなりの知識と技術と経験を要する設備であり、素人がそうそう点検できるような設備ではありませんので、悪質な業者は消火設備を適正に点検をやらないorそもそも点検しない(触らない)ので不良を上げずらい(上げられない)のです。
逆に消火器や自動火災報知設備、誘導灯などは上記消火設備に比べればそこまで知識技術を要しないものもありますので、簡単な操作で不良を判断することができますから点検報告書の指摘事項に消火設備が1つもない場合はこれに該当する可能性があります。
私が知っているだけでもこの傾向が強いのでちょっとでも思う所がある方は点検報告書を見てみる事をおすすめします。
ちなみにこの場合、「消火設備に不良が無い」のではなく「点検されていないから不良があるかどうかすらわからない状態」であることに留意が必要になります。
特徴⑤改修見積りが高額&満足な説明ができない
特徴①で点検料金が安価であり利益が上がりにくいので改修工事で利益を上げようということで改修工事等の見積りが相場から見て高額になりがちですが、クライアントが他業者にいわゆる相見積もりを取ろうとしても見積書の内容の記載があいまいで他業者が見積もりしずらいようにしてあることが多いです。
これに関してクライアントが業者に詳細を聞いてもクライアントが設備や法律に詳しくない事を逆手に取り専門用語を使ったりウソをついたりしてクライアントを欺き、クライアントが求めているわかりやすい満足な説明をしません。
本来であればクライアントにもわかりやすく真実を説明をしなければなりませんが、こういった業者はこういった義務を履行しませんので、少しでも違和感を覚えたら悪質な業者の可能性があります。
特徴⑥点検完了ラベル貼るだけ点検
消防用設備の点検を行う業者は適正な知識・技術を保有し適正な点検器具を保有していなければなりませんので、これを明確化する為に各都道府県の消防設備協会が適正な消防用設備の点検・維持管理を図る目的で「消防用設備等の点検済表示制度」という制度を設けています。
この制度において点検等を行う業者が適正であるかを厳しく審査し、審査に合格した業者を「消防用設備等点検済表示登録会員」として登録し、この登録会員が実施した消防用設備等の点検の結果、正常であるものについては、その証として規定の点検済票(ラベル)を貼付します
一言でいえば各都道府県の消防設備協会の審査に合格した適正な点検業者であるということがわかる制度であり一般の方が点検業者を選定する際に1つの指針となるものではありますが、逆にこの点検済証制度を悪用して、点検をしていないのにもかかわらず点検済証を貼るいわゆる「シール貼るだけ点検」が存在しているので点検済証が貼られているからと安心できない場合があります。
その為にも必要であれば消防設備点検の際には建物の関係者が点検に立ち会うという事が肝要になります。
特徴⑦点検対象設備(消火器等)が埃まみれ
消防用設備の点検には規定がありその規定は「点検要領」という指針にまとめられていますので、我々業界関係者はこの点検要領を基準に点検を行いますが、例えば消火器具の点検要領の一般的留意事項という部分には「性能に支障がなくともごみ等の汚れははたき、雑巾等で掃除すること」という記載があるので点検者は消火器を1本1本雑巾などで清掃を行いながら点検します。
この他にも自動火災報知設備の受信機や屋内消火栓の格納箱なども、関係者が清掃したくても誤作動を恐れてなかなか触れないので点検者が点検と一緒に清掃を行うのが一般的です。
それに清掃することによってホコリで隠れていた不具合を発見することもあり、清掃は非常に重要な作業であると認識しているので、この清掃を怠る業者はそもそも点検をしていない可能性があります。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
この記事では消防用設備の点検を適正に行わないor点検すらしない悪質な業者についての筆者なりの特徴についてお話させていただきました。
この記事が発端となり少しでも被害を受ける方が少なくなること&悪質な業者がなくなることで既存の適正な業者が活躍できることを切に願っております。
※以下筆者の魂の叫びです↓
筆者もこの消防設備業界に携わって17年目になり、既存建物の消防設備点検(業者切替後)にお伺いして点検を実施することも多々ありますが、その時に良く建物の関係者に言われる事が「この場所は前業者は入ったことない(カギを借りたことはない)よ?なんで入る(借りる)必要があるの?」という一言…
はい、言いたい事は良くわかるのですが、その場所にも消防用設備が設置されているので点検の為に必要なんですよ…
要するに前業者は適正な点検していないという事が判明した瞬間…
そして同じ業界の人間としてやるせない気持ちでいっぱいになる瞬間ですね…
これ以下の魂の叫びの続きは筆者の「note」にてお話しますのでご興味あるかたは以下のURLからどうぞ!(愚痴すぎてメディアにふさわしくない為)