飛沫防止用シートの防炎性について考える

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皆さんこんにちは。

今回はご自宅や商業施設などで多く使用されている飛沫防止用シートの防炎性について考えていきたいと思います。

 

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概要として

昨今、コロナウィルスにより私たちの生活は大きく変化し、例えば「3密(密集・密閉・密接)を避ける」や、ソーシャルディステンス(対人距離の確保)といったキーワードにより、コロナウィルスの感染防止を心がけて生活をするようになりました。

この感染防止措置の1つとして多く普及しているのが今回考察していきたい「飛沫防止用シート」で、これは人と人が会話等する場合に飛沫からのコロナウィルス感染を防止する観点から設置されており、会議室の机の上やスーパーのレジなど多くの場所に設置されています。

感染防止措置としての有効性は非常に大きいとは思いますが、火災に対するリスクは少なくはないと私は思っていますので、その理由をこれからお話していきます。

 

シートの可燃性について

上記でもお話したように多くの場所でこのシートが使用されていますが、このシートが原因で実際に火災が発生しています。

2020年5月に大阪府の某商業施設のたばこ売り場にて購入客がライターを試しに点火したところ、その火が飛沫防止用として設置していた透明のシート(縦約1m・横約2m)に着火して燃え広がったとのことですが、幸いけが人はいなかったようです。

この火災ではこのシートの他に可燃物が近くになかったこともあり大きな火災にはなりませんでしたが、万が一周囲に可燃物(消毒用に置いたアルコールやチラシなどの紙類)があれば火災は拡大していたかもしれません。

もちろん可燃物がなくて安全な場所でライターの着火試験をするべきだったとは思いますが、それより今回燃えてしまったシートが防炎品のシート(難燃材や不燃材)だったら今回のような火災にはならなかったのではないかと思います。

では防炎品のシートと非防炎品のシートがどれだけ燃えやすい(燃えにくい)のかを見ていきましょう。

 

防炎品と非防炎品の違いについて

防炎品と非防炎品を実際に燃やして比較検証している動画を「公益財団法人 日本防炎協会」様が運営しているYOUTUBEチャンネル「防災チャンネル」から引用させていただいています。

この動画では防炎品のビニールシートと、非防炎品のビニールシートをそれぞれ着火してその燃え広がり方を比較検証しています。

動画をご覧になればわかりますが、

  • 防炎品のシートは着火しても燃焼を継続できずにすぐに鎮火します。
  • 非防炎品のシートは着火してしまうとシートの厚みにもよりますが急激に燃え広がります。

このことからも非防炎品のシートは着火してしまうと危険だということが一目瞭然であり、防炎品は全然燃えようとせずに焦げるだけで済みました。

消防法にはカーテンやのれん・じゅうたんなどの物品が一定の規模の建物(防火対象物という)になると「防炎物品」として規制のかかり、これらの物品は防炎品を使用しなければなりませんが、もし今回のような火災が頻発すればこの飛沫防止用のシートも防炎品を使用しなさいと法令が改正されるかもしれません。

防炎規制について詳しくは下記の記事を参照してください

 

さいごに

最後までご覧いただきありがとうございました。

今回はいたるところで使用されている「飛沫防止用シートの防炎性」について考えてみました。

上記でも解説したように防炎品と非防炎品の違いは一目瞭然でしたので、私的には飛沫防止用のシートはぜひ防炎性を使用していただきたいと思いますが、調べてみると非防炎品のシートの値段を基準にすると防炎品のシートはその価格の3~5割増にもなってしまいコストを考えるとなかなか進まないかと思います。

ですが防災ブログの管理者である筆者としては「万が一への投資」と考えて頂いて、火災予防が火災をいかに発生させないかという観点から防炎品を使用していただくことを推奨していきたいと思います。

これから冬場になり静電気が発生しやすくなりますが、それをふまえると

  1. アルコールで手指消毒
  2. そのアルコールが飛沫防止用シートに付着
  3. 付着したアルコールが気化して可燃性ガスが発生
  4. 静電気がその気化したガスに引火
  5. 引火した火がシートを燃やす
  6. シートが燃え広がり火災発生

アルコールは大変気化しやすく上記のような危険もゼロではありませんので、飛沫防止用シートを新設・取替をする際には防炎品を使用していただきたいと思います。