消火器具の点検要領 その1

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皆さんこんにちは。

今回は消防法17条3の3で定義されている「消防用設備等の点検」の「消火器具」についてお話させて頂きます。

また一般の人向けに消火器の点検方法を具体的に説明した記事もありますので下記のリンクからご覧下さい。

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消火器具の点検

消防法で定める点検を行った場合は各設備の点検票に点検結果を記入して消防署に報告します。

では「消火器具」の点検票に沿って説明していきます。

消火器の種類

ハロゲン化物消火器の例

消火器には種類があります。ここではA~Fまであり、

  • Aが粉末消火器
  • Bが泡消火器
  • Cが強化液消火器
  • Dが二酸化炭素消火器
  • Eがハロゲン化物消火器
  • Fが水消火器

になります。今流通している消火器の90%以上が粉末消火器です。なので記入もAの欄に記入が多くなると思います。

設置状況

では記入欄について説明します。設置状況の欄には以下があります。

設置場所

消火器が設置してある場所について以下を確認します。

  • 消火器の前に物品がないか。
  • 容易に取り出せるか。
  • 設置高さが床から1.5m以内か。
  • 消火器の適正使用温度範囲内か。
  • 薬品・湿気などにさらされていないか。

設置間隔

設置が必要な場所、又は防火対象物の各部分から歩行距離20m以内(大型消火器は30m以内)となるように設置されているかを確認します。。

水平距離ではなく歩行距離で、実際に歩いた距離を指し、障害物を迂回したらその距離も含まれます。

また、下図にある物品等は床に固定されたもの(家具や棚、生産用の機械など)や動かすのが容易ではないもの(重量物や大型の家具など)を指し、誰でも動かすのが容易なもの(空の段ボールや椅子など)はこの歩行距離の迂回算定には含まれません

水平距離と歩行距離

適応性

消火器の対応している火災の適応性は良いかを確認します。。

最近の消火器は全ての火災(普通火災・油火災・電気火災)に適応しているので大丈夫だと思いますが、これは一般防火対象物への適応性であって、危険物施設への適応性は別になります。

耐震措置

これは消火器が転倒して薬剤が噴出しないように措置することです。

これは化学泡消火器などの反応式の消火器において措置しなければなりませんので、それ以外の消火器(粉末消火器など)はあてはまりません。

表示・標識

消火器標識の例

標識

消火器が設置してある場所の直近の目立つところに赤地白文字の消火器って書いてある標識を設置しなければなりません。

材質に決まりはないのでカラー印刷したコピー用紙でもかまいませんが、大きさと色合いは決まっています。横8cm以上、縦24cm以上の標識でなおかつ、文字が白色・地が赤色でなければなりません。

よく手作りの標識を見かけますが、大きさが規定以下の標識が多いので注意が必要です。

また標識の文字の不鮮明・赤色の色あせ・破損などがないかも確認します。

上記標識に代えてピクトグラムを使用できる場合がありますので下記の記事を参照してください。

表示

消火器に記載のある以下の事柄を確認します。

  • 消火器本体に表示されている記載が読み取れるか。
  • 国家検定証・銘板がなくなっていないか。
  • 型式失効の消火器ではないか。

を確認します。

ちなみに型式失効とは、各消火器は国家検定品で検定合格時に型式を付与されますが、その型式が古くなり、現行の規格と合わなくなってくる、または消防法が改正などされるとその型式を取り消し(失効)します。それが型式失効です。

今現在だと2010年製造以前のものはだいたい型式失効になっています。

国家検定証の例

表示(銘版)の例

消火器の外形

本体容器

消火器本体容器にへこみ・さびなどの異常がないか確認します。

また消火器本体の赤色が容器の25%以上かも確認します。よく塗装場などに置かれている消火器は塗料の残骸で容器が真っ黒だったりしますので気をつけましょう。

安全栓の封

本体上部についているレバーの天辺に黄色のリング(安全栓)がついていますが、その安全栓には封印がしてあります。

その封印が切れてる・はがれてる・劣化しているなどの異常がないか確認します。

安全栓

レバーの天辺についている黄色のリング(安全栓)が抜けて落っこちていないか・変形していないかを確認します。

安全栓などの例

使用済みの表示装置

上記写真の黄色いOKのマークです。レバーをにぎったときに(使用時に)表示装置が脱落してレバーがにぎられたよって言うのを教えてくれます。

この表示装置が変形・破損・脱落していないか確認します。

最近の蓄圧式消火器にはこの「使用済みの表示装置」が装着されていないものもあります。

押し金具・レバー等

レバーが変形していないか、腐食していないかを確認します。押し金具は大型消火器などに使われています。文字通り押す金具です。

指示圧力計などの例

押し金具の例

キャップ

本体容器のフタです。キャップに変形・腐食・ゆるみがないか確認します。

またキャップにも封印(充填済み封印)がしてある場合があるので、封印が切れていないかなども確認します。

ホース

  • ホースの根元金具が緩んでいないか。
  • ホースが切れたりヒビ割れていないか。
  • 締結部(ホースと金具のカシメ部分)にゆるみはないか
  • ホース内部に詰まりはないか

を確認します。

ノズル・ホーン・ノズル栓

ホース先端のノズルと呼ばれる部分が変形、破損などしていないかを確認します。

ホーンとは二酸化炭素消火器などのガス系消火器に使われている独特のラッパみたいな形状のノズルのことです。

このホーンも変形・破損していないか確認します。

ノズル栓はノズルのフタがついているものです。ノズル内に異物が侵入しないようにしてあるのでこの栓が外れていないか、破損、変形していないか確認します。

ノズル栓の例

指示圧力計

指示圧力が緑色の範囲内にあるか、圧力計自体の変形・破損がないか確認します。。

また一部のメーカーには圧力計カバーが付いている機種がありますが、そのカバーが脱落・破損している場合も不良になるのでよく確認します。

圧力調整器

消火器各部の例

大型消火器などで消火器本体とは別で加圧用ガスボンベ(窒素ガスなど)が付いている機種(主に車載式の消火器)に付いている場合があります。

その圧力調整器に破損・変形・腐食、ガス漏れなどがないかを確認します。

安全弁

消火器本体もしくは容器弁付きの加圧用ガスボンベに付いている、ボンベや本体容器の内圧が一定以上の圧力になった場合に圧力を逃がす弁のことです。

ガス系消火器(二酸化炭素・ハロゲン化物)や車載式消火器の加圧用ボンベなどに付いています。

外形に変形・破損・腐食がないか確認します。

保持装置

自動車用消火器を除く手下げ式の消火器(手で持って持ち運べる消火器)は消火器を安定させた状態にしなければならないので保持装置(ホルダーみたいなもの)が必要になります。

しかし例外があって垂直方向に支持なく置くことができるタイプの消火器は不要(今現在、ほとんどが垂直方向に置けるタイプ)なので、この保持装置は一般的な消火器ほぼ不要と言っていいでしょう。

車輪(車載式の消火器に限る)

車載式消火器の例

車載式の消火器、文字通り車(車輪)に積んである消火器です。

めったに見ませんが危険物施設(ガソリンスタンドなど)に置いてあります。

消火器本体・もしくは消火器本体が積載されている架台に付いている車輪に変形・破損がなく円滑に回転するか確認します。

円滑に回転しない場合は注油等しておきます。

ガス導入管(車載式消火器に限る)

ガス導入管の例

本体容器とは別に加圧用ボンベを積載しているタイプの消火器は、ボンベと本体容器が銅管などでつながっています。

その銅管の変形・破損などがなく、しっかり締まっているか確認する。

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回は消火器具の点検方法を点検票に沿って解説してみましたが、消火器の設置場所や外観からわかる部分の点検要領になります。

消火器の外観部分の不良の判断の一つとして、新品消火器と比較して見ることです。新品消火器はへこんでいたり割れていたりしないので、新品と比較すれば良か不良の判断の一つの目安になると思います。

また点検要領の記されている本(点検実務必携という本)には「消火器本体の赤色が25%以上であること」とは書かれていません。

これは「消火器の技術上の規格を定める省令」という消防法の一部分に記されています。

消火器の型式認定に係る部分なのですが、この規格を満たして初めて国家検定合格なので、一つでも規格を外してしまうと型式を認定できなくなるのです。

その為、消火器本体の赤色が25%未満になる→上記省令の規格から外れる→国家検定品ではなくなる→国家検定品じゃないと設置できない→不良。といった流れになります。

消火器標識に関しても同じで、大きさや色まで点検実務必携には書かれていませんが、規格が決まっているので注意が必要です。