皆さんこんにちは。
まだまだ暑い日が続きますね。皆様も熱中症に気をつけてください。私はとにかく水分をこまめに摂取するように心がけています。
しかも冷たいものをがぶ飲みではなく、なるべく常温に近いものをゆっくりとゆっくりと飲むようにしています。あと麦茶は熱中症予防に良い飲み物らしいです。
今回も引き続き消火器の試験対策で、消火器の規格などを説明していきます。
消火器の規格
今回の記事では、消火器と消火薬剤の技術上の基準を定める省令について説名していきます。
この消火器・消火薬剤の規格の部分から6問出題されて、そのうち3問は正解しないと不合格になってしまうので、前回の法令関係と同じくしっかり覚えていきましょう。
用語の意味
(1)消火器
水やその他の消火薬剤を圧力の力で放射して消火を行う器具で人間が操作するもの(固定した状態で使用するものや、エアゾール式簡易消火具を除く。)
(2)住宅用消火器
住宅における使用に限り適した構造・性能を有する消火器。
(3)交換式消火器
本体容器や付属のキャップ、バルブ、指示圧力計などを一体として交換できる消火器で、収納容器に結合させることにより人間が操作して消火を行うもの。
(4)加圧式の消火器
加圧用ガス容器の作動、化学反応や手動ポンプの操作により生じる圧力により消火薬剤を放射するもの。(化学反応式とは、本体容器の中にA剤とB剤の2種類の薬剤を隔離して充填しておいて、消火器の使用時にこの2つの薬剤を混合し化学反応を起こさせて発生する二酸化炭素のガス圧力で消火薬剤を放射するもの。)(手動ポンプ方式の消火器は今現在では製造されていない。)
(5)蓄圧式の消火器
消火器の本体容器の中に圧縮された空気・窒素ガスなどを充填しておいて、その圧力で消火薬剤を放射するもの。
火災の種類
火災の種類は3種類あります。
(1)A火災
B火災以外の火災をいう。木材、紙、繊維など主に固形物が燃える一般的な火災のことをいい、「普通火災」とも言う。
(2)B火災
消防法別表第1(危険物の1~6類の表)の第4類の危険物ならびに政令別表第4(指定可燃物)の可燃性個体類、可燃性液体類にかかるものの火災のことをいう。油脂類の火災のことで「油火災」ともいう。
(3)C火災
通電されている配電盤や変圧器、その他これらに類する電気機器、電気設備からの火災で、「電気火災」ともいう。
能力単位
能力単位は、消火器の消火能力を示す数値で実際に火災模型を消火して(模型にはA火災用、B火災用がある。)消火した模型の数値によりA火災、B火災の能力単位が算出されて付与され、端数はつかない。C火災は電気火災に適応することをCで表しているので数値は付かない。住宅用消火器を除いた消火器の能力単位は1以上になる。
大型消火器の能力単位と薬剤量
大型消火器は、能力単位と消火薬剤の充てん量が規定されている。能力単位と薬剤量の両方が規定値になって初めて大型消火器になる。
(1)能力単位
- A火災に適応するもの…10単位以上
- B火災に適応するもの…20単位以上
(2)消火薬剤の充てん量
- 粉末消火器…20kg以上
- 化学泡消火器…80㍑以上
- 機械泡消火器…20㍑以上
- 強化液消火器…60㍑以上
- 二酸化炭素消火器…50kg以上
- ハロゲン化物消火器…30kg以上
- 水消火器…80㍑以上
能力単位の測定
(1)A火災
A火災に対する能力単位の測定は、第1消火試験で行う。
(a)消火試験は、第1模型、又は第2模型を使用して行う。第2模型は2個以上使用できない。
(b)第1模型を完全に消火するとA-2が、第2模型を完全に消火するとA-1の能力単位が付与される。
(2)B火災
B火災に対する能力単位の測定は、第2消火試験及び第3消火試験にて行う。B火災に使用される模型は16種類ある。
(a)第2消火試験では、模型番号1以上ものを1個使用して消火を行う。
(b)第3消火試験では、第2消火試験で消火した模型番号の数値の1/2以下のものを2~5個使用して、番号の大きい数値の順に順次点火して消火を行う。
(c)能力単位の数値の算定
第2消火試験と第3消火試験で消火した能力単位を合計して、その平均値が能力単位となる。
能力単位 = (x+y)÷2
※x→第2消火試験で消火した模型の番号
※y→第3消火試験で消火した模型の番号の数値の合計
消火器の操作の構造
消火器は
- 保持装置から取り外す動作
- 背負う動作
- 安全栓をはずす動作
を除き、動作数を以下のように規定している。
- 手下げ式消火器(化学泡消火器を除く)は1動作。
- 化学泡消火器、据置式消火器、背負式消火器は2動作以内。
- 車載式消火器は3動作以内。
で、容易に、確実に放射を開始できること。
ちなみに
手下げ式消火器
手で下げて使用する消火器。
化学泡消火器
化学反応で生成される泡を放射して消火する消火器。
据置式消火器
床面上に置いた状態でノズルを取り出し、ホースを延ばして使用する消火器。
背負式消火器
背負いひもなどにより背負って使用する消火器。
車載式消火器
運搬に使用する車輪を有する消火器。
消火器の分類
消火器は、携帯、運搬の方式により以下に分けられる。
保持装置、背負いひも、車輪の重量を除く重さが
- 28kg以下は、手下げ式、据置式、背負式。
- 28kgを超え35kg以下は、据置式、背負式、車載式。
- 35kgを超える消火器は、車載式。
に分類される。ちなみに大型消火器はすべて車載式消火器になる。
自動車用消火器
自動車に設置できる消火器は振動に強い構造でなければならない。その為、振動試験(全振幅2mmの上下振動を2000回を、横置きは2時間、縦置きは4時間の試験)を行い合格したものが自動車用消火器となる。また自動車用消火器には以下の種類がある。
- 粉末消火器
- 機械泡消火器
- 霧状放射の強化液消火器
- 二酸化炭素消火器
- ハロゲン化物消火器
放射性能
放射性能は以下の様に規定されている。
- 放射時間は、温度20℃において10秒以上であること。
- 充てんされた消火薬剤の容量(質量)の90%以上の量を放射できる。(化学泡消火器は85%以上)
- 消火に有効な放射距離があること。
使用温度範囲
消火器は下記の温度範囲で使用した時に正常に操作が出来て、消火・放射が有効に行えなければならない。これを使用温度範囲という。
- 化学泡消火器は、+5℃〜+40℃
- それ以外の消火器は、0℃〜+40℃
また、温度が10℃単位で拡大したときでも正常に操作が出来て、消火・放射が有効に行える消火器は拡大した温度範囲とすることができる。
蓄圧式消火器の気密性
蓄圧式の消火器は、消火薬剤を充てんした状態で使用温度範囲の上限の温度に24時間放置してから使用温度範囲の下限の温度に24時間放置することを3回繰り返したあとに、温度20℃の空気中に24時間放置した時に、蓄圧ガスと消火薬剤の漏洩がないこと。
二酸化炭素消火器の充てん比
二酸化炭素消火器の本体容器の内容積は、充てんする液化二酸化炭素の重さ1kgにつき1500c㎥以上の容積でなければならない。(充てん比が1.5になる。)
消火器の外面の色
- 消火器の外面は、25%以上を赤色としなければならない。(住宅用消火器は除外され、赤色以外の住宅用消火器が多い。)
- 高圧ガス容器を使用する消火器は、高圧ガス保安法の規制により
- 二酸化炭素消火器は、緑色で外面の1/2以上塗色。
- ハロン1301消火器は、ねずみ色で外面の1/2以上塗色。
消火器本体容器の表示
(1)住宅用消火器以外の消火器、消火薬剤には見やすい位置に以下の項目を記載しなければならない。
- 水、泡、強化液、二酸化炭素、粉末などの区分。
- 住宅用消火器ではない旨の表示(業務用消火器の表示。)
- 加圧式、蓄圧式の区分。
- 使用方法(手下げ式と据置式は図も併せて表示。)
- 使用温度範囲。
- 使用してはいけない火災の表示(油火災や電気火災。)
- A火災、B火災の能力単位の数値。
- 放射時間。
- 放射距離。
- 製造番号。
- 製造年。
- 製造者名。
- 型式番号(自動車用消火器を除く。)
- 試験圧力値。
- 安全弁の作動圧力値。
- 充てんされた消火薬剤量の容量・質量。
- 総重量(充てんされた消火薬剤を容量で表すものを除く。)
- ホースの有効長さ(据置式に限る。)
- 取扱いの注意事項
- 加圧ガス容器に関する事項(加圧式に限る。)
- 指示圧力計に関する事項(蓄圧式に限る。)
- 設計標準使用期限。
- 使用時の安全な取扱いに関する事項。
- 維持管理上の適切な場所に関する事項。
- 点検に関する事項。
- 廃棄時の連絡先・安全な取扱いに関する事項。
- その他の取扱上の注意に関する事項。
(2)適応火災の表示
消火器本体の見やすい位置に、適応火災表示をしなければならない。また、大きさも決まっている。
- A火災に適応する消火器は、白地に赤色の炎と、黒色の可燃物の絵を表示する。
- B火災に適応する消火器は、黄色地に赤色の炎と、黒色の可燃物の絵を表示する。
- C火災に敵王する消火器は、青地に黄色の電気の閃光の絵を表示する。
表示の大きさは、充てんする消火薬剤の容量(質量)が
- 2㍑又は3kg以下のもの→半径1cm以上。
- 2㍑又は3kgを超えるもの→半径1.5cm以上。
消火器の部品の規格
プラグ、キャップ、口金
キャップやプラグ、口金には、充てんや点検などの目的でキャップ又はプラグを外す工程において本体容器内の圧力を完全に減圧できる減圧孔や減圧溝を設けなければならない。
この減圧孔の名称や使用目的などが試験によく出題されているので覚えておきましょう。
ホース
- 消火器にはホースを取り付けなければならない。ただし例外があり、以下のものはホースを取り付けなくてもよい。
- 住宅用消火器。
- 粉末消火器で、消火薬剤の量が1kg以下のもの。
- ハロゲン化物消火器で、消火薬剤の量が4kg未満のもの。
- ホースの耐圧は本体容器と同じ圧力に耐えて、漏れ・破損や変形を起こさないこと。
- ホースの長さは消火薬剤を有効に放射できる長さであること。長さの制限はない。ただし、据置式消火器はホースの長さが10m以上でなければならない。
- 使用温度範囲内で耐久性を有し、円滑に操作が出来るものであること。
ノズル
- 消火器には、開閉式・切替式のノズルを設けることができない。
ただし例外があり、据置式消火器、背負式消火器には開閉式のノズルを取り付けることができ、車載式消火器には開閉式又は切替式のノズルを取り付けることができる。- 開閉式ノズルとは、消火薬剤の放射および放射を中断ができるもの。
- 切替式ノズルとは、棒状放射又は霧状放射などを切り替えられるもの。
- 開閉式・切替式ノズルは、開閉や切替の操作が円滑に行えて、放射時に消火薬剤の漏れなどの障害を起こさないこと。
- ノズルの表面は円滑に仕上げられていること。
ろ過網
以下の消火器にはろ過網を設けなければならない。
ろ過網とは、ノズルやホース内が消火薬剤などで詰まらない様にするためのものである。
- 化学泡消火器。
- 手動ポンプにより作動する消火器。
- ガラス瓶を使用する酸アルカリ消火器や強化液消火器。
ただし、今現在で該当する消火器は化学泡消火器のみで、上記2,や3,は大昔に製造中止になっている。
ちなみに、ろ過網の大きさなどの規定は以下になります。
- ろ過網の目の最大径はノズルの最小径の3/4以下でなければならない。
- ろ過網の目の部分の面積は、ノズルの開口部の最小断面積の30倍以上でなければならない。
安全栓
(1)不使用時の作動(放射)を防止するために安全栓を設けなければならない。ただし、手動ポンプ式消火器や転倒させて使用する消火器には不要である。
(2)安全栓は1動作で容易に引き抜くことができて、その引き抜きに支障のない封印がされてなければならない。
(3)手さげ式消火器の安全栓は以下による。(押し金具をたたくもの、転倒させて使用する消火器を除く)
- 内径が2cm以上のリング部分、軸部分、軸受け部分から構成されている。
- リング部分の塗色は黄色である。
- 上方向に引き抜くように装着されている。(消火器を水平面に置いて、垂直軸から30°以内の範囲)
- 材質はステンレス鋼や、これと同等の耐食性、耐候性を有するものを使用する。
この安全栓も問題によく出題されるので、安全栓の名称や使用目的を答えられるように覚えておきましょう。
使用済み表示装置
手さげ式消火器には、使用(放射)した場合に自動的に作動して、その消火器が使用済みであることが判別できる装着を設けなければならない。ただし、例外として以下の消火器には設けなくても良い。
- 指示圧力計のある蓄圧式消火器
- バルブを有しない消火器
- 手動ポンプにより作動する消火器(現在では製造されていない。)
ちなみに
- 指示圧力計のある蓄圧式消火器は、使用した場合に指示圧力計の指針が下がり外観から使用したことがわかるので、使用済み表示装置を設けなくても良い。
- バルブを有しない消火器は、使用した場合に消火薬剤が全量放射され、使用したかは消火器を持ってみれば重さで判別できるので使用済み表示装置を設けなくても良い。これらには、化学泡消火器又はガス加圧式の粉末消火器で薬剤充てん量が3kg以下のものがある
また、手さげ式消火器で使用済み表示装置を設けなければならない消火器には
(1)指示圧力計のない蓄圧式消火器→二酸化炭素消火器、ハロン1301消火器
(2)バルブを有する消火器→開閉バルブ式加圧式粉末消火器
がある。ちなみにハロン1301消火器は、平成6年に製造中止になっている。
安全弁
安全弁は、消火器本体容器内の圧力が異常に上がった場合に、その圧力を逃がす為の装置で、以下の規定がある。
- 本体容器内の圧力を有効に減圧させること。
- みだりに分解や調整ができない構造であること。
- 封板式のものは噴き出し口に封印を施すこと。
- 「安全弁」と表示すること。
安全弁には、封板式、溶栓式、封板溶栓式があり、現在では封板式のみが使用されている。
また、現在で安全弁を使用している消火器は、二酸化炭素消火器と化学泡消火器だけである。
圧力調整器
圧力調整器は、加圧用ガスボンベからの圧力を一定値に調整して消火器本体容器内へ送る部品である。現在では窒素ガス加圧式の大型消火器のみに使用されている。
- みだりに分解や調整ができない構造であること。
- 圧力調整器の圧力計は、調整圧力の範囲を緑色で明示していること。
指示圧力計
蓄圧式消火器には、指示圧力計を設けなければならない(二酸化炭素消火器とハロン1301相を除く)。また以下の規定がある。
- 指針や目盛り板は、耐食性のある金属であること。
- 圧力検出部(ブルドン管)の材質は、以下で表示されている。
- ステンレス鋼製はSUS
- リン青銅製はPB
- 黄銅製はBs
- ベリリウム銅製はBeCu
- 使用圧力の範囲を示す部分は緑色で明示されている。
- 指示圧力計の指示圧力の許容誤差は、使用圧力の範囲の上下10%以内であること。
消火器用消火薬剤の規格
消火薬剤の共通の性状
- 消火薬剤は、著しい毒性や腐食性を有しないもので、著しい毒性のガスや腐食性のガスを発生しないものであること。
- 水溶性の消火薬剤や液状の消火薬剤は、結晶の発生、溶液の分離、浮遊物、沈殿物などの発生や、その他の異常がないものであること。
- 粉末状の消火薬剤は、塊状化、変質やその他の異常がないものであること。
各種消火薬剤
強化液消火薬剤
- アルカリ金属塩類等の水溶液でなければならない。
- アルカリ金属塩類の水溶液の場合は、アルカリ性の反応を呈すること。
- 凝固点がー20℃以下であること。
- 防炎性を有するものであること。
泡消火薬剤
消火薬剤は、防腐処理を施したもので消火器から放射される泡は耐火性を有し、持続するものであること。また、
- 化学泡消火薬剤の泡放出量は、温度20℃の消火薬剤を充てんした消火器を使用した場合において以下であること。
- 手さげ式、背負式消火器にあっては7倍以上。
- 車載式消火器にあっては5.5倍以上。
- 機械泡消火薬剤の泡放出量は、温度20℃の消火薬剤を充てんした消火器を使用した場合において、5倍以上であること。
粉末消火薬剤
粉末消火薬剤は、防湿加工を施したナトリウムやカリウムの重炭酸塩その他の塩類、りん酸塩類、硫酸塩類、その他の防炎性を有する塩類であり、以下の要件を満たすこと。
- 180μm以下の消火に有効な微細粉末であること。
- 水面に均一に散布した時に、1時間以内に沈降しないこと。
- りん酸塩類等(ABC粉末消火薬剤)には、淡紅色の着色を行うこと。
二酸化炭素消火器に充てんする消火薬剤
二酸化炭素消火器に充てんされる消火薬剤は、JIS k1106の2種か3種に適合する液化二酸化炭素でなければならない。が、国家検定対象の消火薬剤ではない。
消火薬剤の性能向上
消火薬剤には、性能を高めたり、性状を改善するために浸潤剤や不凍剤、その他の薬剤を添加したりすることができる。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。今回の記事もかなりボリュームがありますが、それぞれ大事なことが記載されているので内容いっぱいですができるかぎり覚えて頂きたいです。
最近の試験傾向として、泡消火器(化学泡消火器、機械泡消火器)の出題が多いように感じます。
最近は粉末消火器(蓄圧式)が主流で、泡消火器もあまり見かけないので実物を見ての勉強時間というのが難しいと思います。
「百聞は一見にしかず」と言うことわざがありますが、実際に実物を見ながら勉強するのが一番覚えやすいと思います。ただ、あくまでも私個人の意見なのでクレームは受け付けません(笑)
これまで通りこの色で記載されている部分は重要な部分なので良く覚えておきましょう。
この消火器の規格の出題は6問で、その内最低3問は正解しないと不合格になるので狭き門ですのでがんばっていきましょう。