消防設備士乙種6類の試験対策 消火器の点検・整備等

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皆さんこんにちは。

今回の消火器の点検・整備は、前回の「消火器の機能・構造」と合わせて9問出題され、そのうち半分が消火器の点検・整備から出題されています。特に消火器の内部点検においての分解手順、薬剤の充てん手順や方法、注意事項は次回の実技(鑑別)の問題としても多く出題されているので良く覚えておきましょう。

また以前に記載した記事も参考にしていただけるとわかりやすいかもしれません。

自分で行う消火器点検実務(一般の人向け)
この記事では消防設備士とかではない一般の方でも消火器具の点検を行える様に図や写真を用いてわかりやすくかみ砕いて解説しています。あと不要消火器はリサイクルに出さないといけませんがそれについても解説しています。
消火器具の機能点検の手順、ロットの作成方法
この記事は、消火器の機能点検について各種類ごとの(加圧式消火器や蓄圧式消火器など)点検手順や、各機種(粉末や強化液など)ごとの試料作製方法、確認試料(確認ロット)の作成方法、試料の抜き取り方法を詳しく解説しています。

 

消火器の点検方法や注意事項

消防用設備等の点検とは、消防用設備等が消防法第17条の基準に適合しているかどうかを確認するということで、点検や報告は消防法第17条3の3や消防法施行規則第31条の6により定められていて、点検の内容(点検要領)は消防庁告示により定められている。

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消防用設備等の点検の内容や方法、期間について

上記、消防用設備等の点検は機器点検と総合点検に区分されている。

 

機器点検

下記の事項について、消防用設備等の種類に応じて確認することです。

  1. 消防用設備等の機能について、外観や簡易な操作により判別できる事項。
  2. 消防用設備等の機器の適正な配置や損傷の有無、その他主に外観から判別できる事項。
  3. 消防用設備等の付帯されている非常電源(自家発電設備など)や動力消防ポンプの正常な作動の確認。

 

総合点検

消防用設備等の一部、又は全部を作動させたり、消防用設備等を使用することにより確認する点検になる。

 

点検の期間

機器点検は配線の部分を除くすべての消防用設備等について6ヶ月ごとに行い、総合点検は機器点検では十分に機能を確認する事が出来ない消火栓、スプリンクラー、自動火災報知設備などの設備と非常電源や配線、総合操作盤などについて1年ごとに行う。

ちなみに消火器は総合点検の部分はないので機器点検のみである。

 

消火器の点検内容、方法や点検期間など

外観から判別できる事項の点検(以降「外形の確認」)

  1. 設置状況…場所、間隔、適応性、耐震措置など
  2. 表示、標識…損傷、脱落など
  3. 消火器の外形…変形、破損、腐食の有無など

これらを設置消火器全数において6ヶ月ごとに行う。本体容器の著しい腐食や、機能上支障がある消火器については廃棄になる。

 

消火器の内部及び機能の点検(以降「内部及び機能の確認」)

外観、又は簡単な分解、操作により判別できる事項や本体容器の内面、消火薬剤、各部品の機能、放射能力などの確認。

消火器の外形の確認により消火器の各部品(本体容器、キャップ、ホース、封印、指示圧力計、使用済み表示装置など)に異常が確認されて、内部及び機能の確認が必要と判断された消火器はその都度行う。

また定期的に内部及び機能の確認を行うものとして、外形の確認において異常が無くても、一定期間経過した消火器は内部及び機能の確認を行わなければならない。

 

一定期間経過した消火器とは…

二酸化炭素消火器とハロゲン化物消火器を除く消火器のうち、

  1. 化学泡消火器は1年を経過したもの
  2. 加圧式消火器は製造年から3年を経過したもの
  3. 蓄圧式消火器は製造年から5年を経過したもの

また上記の中でも、製造年から3年経過した加圧式粉末消火器と、製造年から5年を経過した蓄圧式消火器は、内部及び機能の確認を抜き取り方式により行うことができる。ちなみに二酸化炭素消火器とハロゲン化物消火器は外形の確認のみである。

この内部及び機能の確認の他に、耐圧性能試験というものがあり、

製造年から10年を経過した消火器や、外形の確認で本体容器に腐食などがあった場合耐圧性能試験を行わなければならない。この試験を行った場合には、以後3年以内ごとに行う必要がある。ただし二酸化炭素消火器とハロゲン化物消火器は除く。

 

異常な状態とは

消火器の点検において重要なのは、どのような状態が異常であるかということが判断できるかという所だと思いますが、その異常な状態というものを説明していきます。

 

(1)キャップの変形、破損、緩み

ガス加圧式の粉末消火器の場合には、キャップの変形、破損、緩みがあると、湿気を帯びた外気が消火器本体容器内に侵入して、粉末消火薬剤を変質、固化させる場合があります。この場合は、キャップの増し締めや交換をしただけでは消火薬剤の異常の有無が分からないので、必ず内部及び機能の確認を行い消火薬剤にも異常がないかを確認する。

 

(2)安全栓の脱落、安全栓の封の破損

安全栓の封が破損していたり、安全栓が脱落していた場合は、いたずらなどで安全栓だけを外されたのか、それとも実際に使用したのか分からないので必ず内部及び機能の確認を行って、消火薬剤の量、加圧用ガス容器の異常の有無を確認します。
ただし、当該消火器に使用済み表示装置が設置されていて、それが脱落していない場合には安全栓のみが外されたと判断して安全栓の復旧・取付と封印の貼付けを行えば内部及び機能の確認を行わなくても良い

 

(3)ホースの著しい損傷、老化や取付ねじの緩み、ノズル栓の脱落

開放式のガス加圧式の粉末消火器(開閉バルブの無いタイプ)は、外気が異常部分から侵入してサイホン管を通って消火器内部まで入り込み、粉末消火薬剤を変質・固化させる場合がある。この場合にもホースの交換やノズル栓の取付、取付ねじの締め直しだけではなくて、内部及び機能の確認を行い、粉末消火薬剤の異常の有無を確認すること。

 

(4)指示圧力計の指針の指度不良

指示圧力計の指針が下限以下の場合には、消火器を使用したか、圧力の漏れが考えられる。消火器の総質量を量って規定値であるかを確認し規定値であれば圧力漏れである。

指示圧力計が上限を超えているの場合には、指示圧力計の不良か蓄圧ガスの入れ過ぎが考えられるので、標準圧力計を使用して圧力値の測定を行う。
・消火器の指示圧力計と標準圧力計の圧力値が同じ場合には蓄圧ガスの入れ過ぎである。
・標準圧力計の指示圧力値が緑色範囲内の場合は、消火器の指示圧力計の不良になる。

標準圧力計による指示圧力計の精度確認方式

  1. 消火器のホースを外す。
  2. 消火器のホース取付部に標準圧力計の継手金具を取付ける。
  3. 継手金具に標準圧力計を取付ける。
  4. 安全栓を外しレバーを握る。
  5. 指示圧力計と標準圧力計の指針を比較する。

 

(5)安全弁の封の破損、ネジの緩み

高圧ガス容器に取り付けられた安全弁(二酸化炭素消火器やハロゲン化物消火器、大型の加圧用ガス容器など)の場合には、本体容器内のガスが漏出している恐れがあるので、総質量を測定して充てんガス量を確認する。

化学泡消火器に取り付けられた安全弁の場合には、消火薬剤が反応して内圧が異常になり安全弁の封が破損した恐れがあるので、消火薬剤の異常の有無を確認する

 

消火器の内部及び機能に関する点検

(1)抜き取り方式による点検試料の作成方法

※2010年製造のものは、2014年から3年を超えている(経過している)と判断する。製造年は計算に入れない

粉末消火器(加圧式)
(製造年から3年を経過したもの)

  • 放射能力を除く項目…※抜き取り数
  • 放射能力…抜き取り数の50%以上

粉末消火器(蓄圧式)
(製造年から5年を経過したもの)

  • 放射能力を除く項目…※抜き取り数
  • 放射能力…抜き取り数の50%以上

化学泡消火器(加圧式)
(設置後1年を経過したもの)

  • 放射能力を除く項目…全数
  • 放射能力…全数の10%以上

機械泡消火器(加圧式)
(製造年から3年を経過したもの)

  • 放射能力を除く項目…全数
  • 放射能力…全数の10%

機械泡消火器(蓄圧式)
(製造年から5年を経過したもの)

  • 放射能力を除く項目…※抜き取り数
  • 放射能力…抜き取り数の50%以上

強化液消火器(加圧式)
(製造年から3年を経過したもの)

  • 放射能力を除く項目…全数
  • 放射能力…全数の10%以上

強化液消火器(蓄圧式)
(製造年から5年を経過したもの)

  • 放射能力を除く項目…※抜き取り数
  • 放射能力…抜き取り数の50%以上

水消火器(加圧式)
(製造年から3年を経過したもの)

  • 放射能力を除く項目…全数
  • 放射能力…全数の10%以上

水消火器(蓄圧式)
(製造年から5年を経過したもの)

  • 放射能力を除く項目…※抜き取り数
  • 放射能力…抜き取り数の50%以上

全器種

  • 外形点検で欠陥があり、内部及び機能の確認を要する場合は当該消火器全数。

 

(2)確認試料(確認ロット)の作成要領

「※抜き取り数」とある器種は下記の方法で確認試料(確認ロット)を作る。

  1. 器種(消火器の種類別)、種別(大型、小型の別)、加圧方式(加圧式か蓄圧式か)の同一のものを1ロットとする。(メーカー別、型別に分けなくて良い
  2. 製造年から8年を超える加圧式粉末消火器は別のロットとする。
  3. 製造年から10年を超える蓄圧式の消火器は別のロットとする。

 

(3)試料の抜き取り

  1. 製造年から3年を超え、8年以下の加圧式の粉末消火器と、製造年から5年を超え、10年以下の蓄圧式消火器はいずれも5年でロットの全数の確認が終了するようにおおむね均等に製造年の古いものから抜き取り、内部及び機能点検を行う。
  2. 製造年から8年を超える加圧式の粉末消火器と、製造年から10年を超える蓄圧式消火器2.5年でロット全数の確認が終了するようおおむね均等に製造年の古いものから抜き取り、内部及び機能点検を行う。

 

(4)抜き取り方式の場合の判定

①欠陥がなかった場合。

そのロットは良とする。

②欠陥があった場合。

  1. 消火薬剤の固化や、本体容器の内面の塗膜剥離などがある場合には、欠陥試料と同じメーカー、同じ質量、同じ製造年のもの全数について欠陥項目部分の確認を行う。ただし、内面の塗膜剥離などが明らかに外部からの衝撃によるものと判断できる場合にはこの限りではない。
  2. 上記a以外の欠陥の場合には、欠陥のあった試料のみ整備すればよい。

 

(5)内部及び機能の確認時の注意事項

  1. 点検の為に消火器を所定の位置から移動したままにする場合には、代替の消火器を置いておくこと。
  2. キャップの開閉には専用のキャップスパナを使用し、ハンマーで叩いたり、タガネなどで開けようとしないこと。
  3. キャップやプラグなどを開ける時は容器内の残圧が無いかを確認し、残圧を完全に排出してから開ける。
  4. 合成樹脂製の容器や部品の清掃にはベンジンやシンナーなどの有機溶剤は使用してはいけない。
  5. 粉末消火器は水分が禁物なので、消火器本体容器内部や部品の清掃や整備には十分注意すること。
  6. 二酸化炭素消火器、ハロゲン化物消火器、加圧用ガス容器のガス再充てんは専門業者に依頼すること。
  7. 廃棄消火器や廃棄消火薬剤は、廃棄物処理の許可を受けた業者や広域認定を受けた業者に処理依頼をする。

 

消火器の内部及び機能の手順

(1)蓄圧式消火器の確認手順

  1. 消火薬剤量を質量(重さ)で表示してあるものは、消火器の総質量を秤で量って消火薬剤量が規定量あるか確認する。
  2. 指示圧力計の指度(指してる位置)が緑色の範囲内であるか確認する。
  3. 排圧栓のあるものは排圧栓を開いて、排圧栓のないものは消火器を逆さまにしてレバーを除々に握りバルブを開いて容器内の圧力を完全に排出する。
  4. このときに指示圧力計の指針が円滑に0に戻るかも確認する。
  5. 本体容器をクランプ台などに固定する。
  6. キャップ又はバルブ本体を容器からを取り外す。
  7. 本体容器をクランプ台から外す。
  8. 消火薬剤を他の容器(ビニール袋など)に移す。
    1. この時に使用済み消火薬剤は破棄する。
    2. 水系の消火薬剤はポリバケツなどに静かに移す。機械泡消火薬剤は特に泡立ちやすいので注意する。
    3. 粉末系の消火薬剤はポリ袋に移し、湿気が入らないように口を輪ゴムなどで密封する。
  9. 清掃する。
    1. 粉末消火器は水分が厳禁なので、乾燥した圧縮空気や窒素ガスで本体容器内・キャップ・ホース・ノズル・サイホン管等をエアーブローして清掃する。この時に、サイホン管内部に圧縮空気などをエアブローしながらレバーを握り、サイホン管→バルブ→ホース→ノズルへと圧縮空気が通過できるようにしてエアブローする。そしてサイホン管やバルブ、ホース内部に薬剤の付着や詰まりがないか確認する。
    2. 水系の消火器は、本体容器の内外を水洗いし洗浄する。サイホン管、ホース、ノズル内部に水を通しながらレバーを握りバルブ部分も水洗いしながら詰まりが無いかなどを確認する。
  10. 各部品についての確認を行う。(本体容器内に塗膜はく離がないかなど)

 

(2)ガス加圧式粉末消火器の確認手順

  1. 消火薬剤量を質量(重さ)で表示してあるものは、消火器の総質量を秤で量って消火薬剤量が規定量あるか確認する。
  2. 安全栓は誤作動防止の為に確実にセットしておく。
  3. 本体容器をクランプ台に固定する。
  4. 排圧栓のあるものは排圧栓を開いて、排圧栓のないものはキャップをゆっくりあけて減圧孔から容器内の圧力を完全に排出する。このときに減圧孔から残圧が噴出した場合は噴出が止まってから再度緩める。
  5. キャップを外し、加圧用ガス容器の支持具や加圧用ガス容器を取り出す。
  6. 本体容器をクランプ台から外す。
  7. 消火薬剤を他の容器に移す。粉末はビニール袋などへ移し湿気などが入らないように口を密閉する。
  8. ボンベスパナやプライヤーなどで加圧用ガス容器を取り外す。
  9. 粉上がり防止封板を外す。
  10. 清掃する。
    1. 粉末消火器は水分が厳禁なので、乾燥した圧縮空気や窒素ガスで本体容器内・キャップ・ホース・ノズル・サイホン管等をエアーブローして清掃する。この時に、サイホン管内部に圧縮空気などをエアブローしながらレバーを握り、サイホン管→バルブ→ホース→ノズルへと圧縮空気が通過できるようにしてエアブローする。そしてサイホン管やバルブ、ホース内部に薬剤の付着や詰まりがないか確認する。(開閉バルブ付きの加圧式粉末消火器もある為)
  11. 加圧用ガス容器の確認
    1. 加圧用ガス容器の変形、破損がなく、封板に損傷がないか確認する。
    2. 封板式の容器及び容器弁付きの二酸化炭素のものは秤で総質量を測定して、充てんガス量の許容範囲内であるか確認する。
    3. 容器弁付きの窒素ガスは内圧を測定して「温度ー圧力線図」の規定範囲内にあるか確認する。
  12. 各部品についての確認を行う。(本体容器内に塗膜はく離がないかなど)

 

(3)化学泡消火器の確認手順

  1. 本体容器内に残圧がないか確認する。
  2. 木製のてこ棒などを使用してキャップを開ける。金属製のキャップスパナなどを使用すると、化学泡消火器のキャップは樹脂製なので傷をつける恐れがある為。
  3. 内筒を取り出す
  4. 消火薬剤量が液面表示と同一レベルであるかを確認する。液面表示よりもかなり相違がある場合には消火薬剤を詰め替える。
  5. 消火薬剤を別の容器に移す。
  6. 本体くださいの内外及び部品を水洗い洗浄する。
  7. 各部分について確認をする。

 

消火器の充てん(復元)の手順

(1)蓄圧式消火器の充てん手順

  1. メーカー指定の消火薬剤を規定量、本体容器に入れる。この時に口金のパッキン座、ネジ部分に付着した粉末消火薬剤は窒素ガスや乾燥させた圧縮空気でエアブローし除去する。
  2. 事前にバルブとバルブパッキンを全て新しいものに交換し整備したバルブ本体を口金に挿入し、指示圧力計が正面を向くように保持しながらサイホン管を挿入し、キャップを手締めできるところまで締める。手締め出来たら本体容器をクランプ台に固定してキャップスパナで十分に締める。
    粉末消火薬剤の場合は、充てんした薬剤がフワフワと流動している間に素早くサイホン管を差し込み、キャップが手締めできるところまで締める。薬剤充てん後に時間が経過して薬剤が沈降して締め固まるとサイホン管を差し込むのが困難になるので、締め固まった場合にはサイホン管を無理に差し込まないで、口金部分を手で覆って本体容器を逆さまにして締め固まった薬剤をほぐしてから再度サイホン管を差し込む。
  3. 充てんする消火器の温度ー圧力線図により充てん時の気温に適応する圧力値を決めて、水系の消火器では加圧した圧縮ガスを吸収する性質があるので、適正圧力値に0.1Mpaを加えた圧力値を充てん圧力値として窒素ガスか乾燥させた圧縮空気を充てんする。
    粉末消火器の場合、消火薬剤が放射する時に粉末消火薬剤と圧縮ガスが混同した状態で放射される為、圧縮空気で充てんすると圧縮空気内の酸素が火災の燃焼を促進させることになるので、粉末消火器の圧力源には圧縮空気を使用することは出来ないので窒素ガスを使用すること。
  4. 安全栓をセットして封印を施す。
  5. 気密試験を行う。例えば加圧充てんした消火器を水槽内に入れて、圧縮ガスの漏れが無いかを確認する。

 

(2)ガス加圧式粉末消火器の充てん手順

  1. 各部品に異常(変形や損傷など)がないか確認しておく。
  2. ノズル栓をはめる。
  3. メーカー指定の粉上がり防止封板を取付ける。
  4. 安全栓をセットして封印を施す。
  5. 加圧用ガス容器を確実に取付ける。
  6. 本体容器内に異物や水分の残留が無いかを確認してから、メーカー指定の消火薬剤を規定量、容器からあふれないようにゆっくりと充てんしていく。
  7. 口金のパッキン座やネジ部分に付着した粉末消火薬剤は窒素ガスや乾燥させた圧縮空気でエアブローして除去する。
  8. 充てんされた消火薬剤がフワフワと流動している間に素早くサイホン管やガス導入管などの内部部品を差し込み、キャップが手締めできるところまで締める。手締め出来たらクランプ台に本体容器を固定してキャップスパナで十分に締める。
    薬剤充てん後に時間が経過して薬剤が沈降して締め固まるとサイホン管などを差し込むのが困難になるので、締め固まった場合にはサイホン管などを無理に差し込まないで、口金部分を手で覆って本体容器を逆さまにして締め固まった薬剤をほぐしてから再度サイホン管などを差し込む。
  9. 雑巾などで外面に付着した消火薬剤を拭き取りきれいにする。
  10. 使用済み表示装置の必要な機種は、メーカー指定のものを使用する。
  11. キャップと本体容器の間に充てん封印を施す。

 

(3)化学泡消火器の充てん手順

  1. 外筒、内筒の内面外面とキャップを良く水洗いし、特にろ過網、ホース、ノズルは通水して良く水洗いしておく。
  2. 外筒液面表示の8割くらいまで水を入れて、これをポリバケツなどに移してそこにA剤を少しずつ入れながら撹拌して十分に溶かす。水に薬剤を入れて溶かすということである。
  3. 外筒にA剤水溶液を泡立てないように静かに入れる。
  4. 液面表示まで水を入れる。
  5. 内筒のおよそ半分の水を別のポリバケツに入れてB剤を少しずつ入れながら撹拌して十分に溶かす。A剤と同じく水に薬剤を入れて溶かす。
  6. 内筒にB剤水溶液を入れる。
  7. 液面表示まで水を入れる。
  8. 内筒蓋をセットする。
  9. 内筒外面を水で流して付着している消火薬剤を洗い流す。
  10. 内筒を外筒内に静かに挿入する。
  11. キャップを手締めしたあとにてこ棒で確実に締める。
  12. 本体容器外面を水洗いなどしてきれいにしておく。
  13. 充てん年月日を明記した点検表を貼付して、整備・維持台帳にも記載しておく。

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回は消火器の点検(外形、内部及び機能)についてお話させていただきました。実際に点検作業されている方にはこんなの知ってるよという内容になりますが、試験対策なので点検要領よりもかなり詳しくなっています。

実際に消火器の内部及び機能の点検手順についても、以前記載した記事よりも手順が細かくなっているし、復元の手順もありますので、点検されている方も一回は目を通しても無駄ではないと思います。

今回の記事でも重要な部分はこの色で記載してあるので覚えておきましょう。このあとにでてくる実技試験(鑑別等)にもでてくること間違いなしの内容になります。

この試験対策シリーズもあと実技試験と応用力学で終わりになりますのでもう少しお付き合いください。