皆さんこんにちは。
今回は煙の危険性(煙の成分や人体への影響など)、煙の流動性、非常時の人間の心理状態などについて説明・解説していきたいと思います。
なぜ煙は危険なの?
建物火災に限らず、物が燃えると煙がでますが、煙=不純物が燃えているからです。
みなさんバーベキューなどで炭を燃やしたことがあると思いますが、炭は燃えてもあまり煙が出ませんよね?、それは純粋に炭だけが燃えているからです。
炭に水分、油などの不純物が付着していると煙がでますが、この不純物の種類によっては煙が危険になります。
一般的にすべての火災で一酸化炭素と二酸化炭素が発生します。石油化学系の可燃物ではシアン化水素、亜硫酸ガスといった有毒ガスが発生します。
これらの中でも一番危険なのが一酸化炭素で、体内へ酸素を運ぶ血液中のヘモグロビンに酸素の数百倍の速さで結合して酸素不足を起こすため、頭痛やめまいを起こし中毒が進めば死に至ります。
煙の流動の仕方
煙は火元室内から換気口・天井面・天井裏を通って隣室・廊下へと横方向へ広がっていきます。
この時点で煙は人の移動速度よりも遅く、人は煙より速く移動できます。
しかし、階段・エレベーター・ダクトスペースなどの縦穴部分に煙が入ると、とんでもない速さで縦方向に進んでいきます。
人間は階段での上下歩行速度は毎秒0.5mといわれているので、煙はその数倍の速さで拡散していきます。
防火戸などによって防火区画が形成されていれば一定時間は煙・炎を食い止めることができますが、防火区画が形成されなかった場合は階段などが煙突になって煙が拡散・充満してしまい避難困難・上階へ延焼してしまいます。
火災時の心理と行動
人間は、火災などに直面し、生命の危険にさらされるような状況におかれると、その不安や恐怖により普段は理性的に判断している行動や思考ができなくなります。
本能や感情に基づいて行動がとられるようになり危険から逃避しようと衝動的な行動になりがちです。
そしてこの行動が火災による被害以上の被害を発生させる原因になってしまいます。
火災時の心理
個々の不安や恐怖の感じ方はそれぞれですが、個人的特性である理性的判断がなくなると、没個性化・同質化し、不安と恐怖を共有した群集となります。
群集の心理には以下のような特徴があります。
- 共通した不安・恐怖によって偶然的・一時的に人があつまる。
- 個人には役割分担がない
- 感情的な雰囲気に支配されやすい
- 暗示にかかりやすい
- 個々が集団化しやすい
こうした心理が働き、煙の流動・停電・不適切な情報などによってパニックを引き起こし、普段の行動が取れなくなります。
火災時の行動特性
突然襲ってくる火災による不安・恐怖・煙・熱などに対する苦痛に対して、人間は以下のような行動をとりやすくなります。
日常動線志向性
日頃から使い慣れた通路を利用して避難しようとする行動
帰巣性
入ってきた経路を逆戻りしようとする行動
向光性
明るい方向へ避難しようとする行動
危険回避性
煙や炎が見えない方向へ避難しようとする行動
追従性
他の避難者や大勢の人の後に追従し避難しようとする行動
その他
判断力の低下から体が硬直したり動けなくなってしまう
まとめ
最後までご覧頂きありがとうございます。
このように人間は不安・恐怖などにより普段では考えつかないような行動をとってしまうことがあります。
万が一火災等の災害にあってしまった場合はとにかく落ちついて行動するのが大事です。
また避難する際も体制を低くして煙を吸わないような避難を心がけたいものです。
参考「財団法人 日本防火協会 防火管理者講習テキスト」より