防火対象物定期点検報告制度の点検基準

皆さんこんにちは。

前回の記事で防火対象物定期点検報告制度(以下、防火対象物点検)についてのお話をさせて頂いたので、今回はその点検基準と点検の緩和をお話していこうと思います。

防火対象物の点検とはどのようなことを行うのかを確認していきましょう。

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防火対象物点検の概要

概要としては、防火管理者が日々行っている防火管理業務を防火対象物点検資格者がハード面とソフト面からチェックして、防火管理業務がキチンと行われているかを確認して、指摘部分には改善の助言を行うという作業になります。

防火管理業務のハード面とソフト面ですが

ハード面

  • 火気使用設備(機器)が管理されているか
  • 防炎物品が使われているか
  • 避難経路に物品存置がないか

などの実際に現場で確認を行う業務になります。

ソフト面

  • 防火管理者の選任(解任)が適正か
  • 消防計画に変更となる事案がないか
  • 消防訓練が必要回数行われているか

など、主に書類などから確認を行う業務になります。

ちなみに日々の防火管理業務がしっかり行われていれば、防火対象物点検を行っても指摘事項が発生しません。

では、詳しくみていきましょう。

防火対象物点検の点検基準

点検基準には

  1. 防火管理上必要な業務
  2. 消防の用に供する設備
  3. 消防用水などの消火活動上必用な施設の設置及び維持
  4. その他火災の予防上必要な事項

上記に関する基準になっています。(消防法施行規則第4条の2の6)

1,届出

以下の届出が出されているか確認します。

    1. 防火管理者選任(解任)届出
    2. 消防計画作成(変更)届出
    3. 自衛消防組織設置(変更)届出(自衛消防組織の設置を要する防火対象物に限る)

2,防火管理に係る消防計画

防火管理に係る消防計画の以下の事項が適切に行われているか確認します。

    1. 自衛消防の組織の変更
    2. 火災予防上の自主検査
    3. 消防用設備等、特殊消防用設備等の点検及び整備
    4. 避難施設の維持管理及びその案内
    5. 防火上の構造の維持管理
    6. 収容人員の適正化
    7. 防火管理上必要な教育
    8. 消火、通報及び避難訓練の実施
    9. 消火活動、通報連絡及び避難誘導
    10. 消防機関との連絡
    11. 工事中の火気使用や取扱いの管理
    12. その他防火管理に関して必要な事項
    13. 自衛消防組織の設置が必要な防火対象物にあっては以下の事項
      1. 火災の初期段階における消防活動、消防機関への通報、在館者が避難する際の誘導やその他火災の被害軽減のために必要な業務として自衛消防組織が行う業務に係る活動要領に関する事項
      2. 自衛消防組織の要員に対する教育及び訓練に関する事項
      3. その他自衛消防組織の業務に関し必要な事項
    14. 共同して自衛消防組織を置く場合には以下の事項
      1. 自衛消防組織に関する協議会の設置、運営に関する事項
      2. 自衛消防組織の統括管理者の選任に関する事項
      3. 自衛消防組織が業務を行う防火対象物の範囲に関する事項
      4. その他自衛消防組織の運営に関して必要な事項
    15. 防火管理業務の一部委託
    16. 権限の範囲
    17. 地震防災対策強化地域に所在する防火対象物
      1. 自衛消防の組織の編成
      2. 情報等の伝達
      3. 避難誘導
      4. 施設及び設備の点検、整備
      5. 応急対策
      6. 防災訓練
      7. 教育及び広報
    18. 防火管理者
      1. 消火訓練及び避難訓練の実施回数
      2. 消火訓練及び避難訓練を実施する場合の消防機関への通報

3,統括防火管理に係わる届け出

管理権限が分かれている防火対象物の場合は消防長又は消防署長へ以下の届け出がされているか確認します。

    1. 統括防火管理者選任(解任)届出
    2. 全体についての消防計画作成(変更)届出

4,避難上必要な施設及び防火戸の管理

避難経路や避難口、防火戸などの管理について避難の障害となる物品が放置されたり、みだりに存置されていないか確認します。

5,防炎物品の表示

防炎対象物品の使用が必要なものに防炎性能を有する旨の表示があるか確認します。

6,圧縮アセチレンガスなどの貯蔵又は取扱いの届出

圧縮アセチレンガスや液化石油ガスなどの火災予防上、又は消火活動上重大な支障をきたす恐れのある物質を貯蔵、取り扱う場合には、その届出が出されているか確認します。

7,消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置

消防用設備等が防火対象物の規模、用途などに応じて設置されているか確認します。

    • 消火器・簡易消火器具
    • 屋内消火栓設備
    • スプリンクラー設備
    • 水噴霧消火設備(水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン・粉末消火設備)
    • 屋外消火栓設備
    • 動力消防ポンプ設備
    • 自動火災報知設備
    • ガス漏れ火災警報設備
    • 漏電火災警報器
    • 消防機関へ通報する火災報知設備
    • 非常警報器具・非常警報設備
    • 避難器具
    • 誘導灯・誘導標識
    • 消防用水
    • 排煙設備
    • 連結散水設備
    • 非常コンセント設備
    • 無線通信補助設備
    • 必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備(パッケージ型消火設備など)
    • 特殊消防用設備等
    • 政令第32条の適用

8,消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置の届出、検査

消防用設備等又は特殊消防用設備等を設置した場合には、必要な届出がされていて、消防長又は消防署長の検査を受けているか確認します。(消防法第17条の3の2)

9,法又は法に基づく命令に規定する事項に関し、市町村長が定める基準

その他法又は法に基づく命令に規定する事項で、市町村長が定める基準に適合しているか確認します。(消防法第9条9条の417条第2項(機能を除く)の規定に基づき定められた基準)。

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点検基準の適用の緩和

以下に記載する防火対象物又はその部分について、防火対象物点検の点検基準の適用が緩和される対象物及び部分になります。(消防法施行規則第4条の2の6)

  1. 同一敷地内に2以上の防火対象物があり、消防法施行令第2条の規定により1の防火対象物とみなされるそれぞれの防火対象物のうち、政令別表第一の1〜4項、5項・イ、6項、9項・イに掲げる防火対象物の用途で使用されている部分が存しないもの。(下図(1)参照)
  2. 開口部のない耐火構造の床又は壁で区画されている場合(令8区画)で、その区画された部分が政令別表第一の1〜4項、5項・イ、6項、9項・イに掲げる防火対象物の用途として使用されていない場合におけるこの区画された部分。(下図(2)参照)

点検基準の適用が緩和される対象の例

※上記a、bの防火対象物又はその部分については、「防火対象物点検の点検基準」に示す点検基準項目のうち以下の項目については適用しない。

  1. 避難上必要な施設及び防火戸の管理
  2. 防炎物品に表示
  3. 圧縮アセチレンガス等を貯蔵・取り扱う届出
  4. 消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置
  5. 消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置届出及び検査
  6. 法又は法に基づく命令に規定する事項に関し市町村長が定める基準

まとめ

最後までご覧頂きありがとうございます。

今会の記事では防火対象物点検の点検基準と点検の緩和についてお話させていただきました。

点検基準に関して、よくある項目として、防火管理者が異動や退職になって未選任状態や、自衛消防の組織の構成人員が異動や退職になり人員の不足、防火対象物の間仕切り変更等による消防用設備等の未設置などがあります。

また、火気使用設備などの点検でよく見落としがちなのが、厨房などにある排気ダクトのグリス除去装置(グリストラップ)の清掃状況の確認及び、ダクト内や天蓋のグリス清掃状況の確認です。

某焼き肉店でこの排気ダクト内の油脂(グリス)に着火して火災が発生したという事例がありますので、このグリス等の清掃状況の確認は重要です。

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※消防法第9条

火を使用する設備及び器具等に関する規制のこと。

「かまど・風呂場など火を使用する設備又は、その使用に際し火災の発生のおそれのある設備の位置・構造及び管理、こんろやこたつその他の火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具の取扱いその他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例でこれを定める」

※消防法第9条の4

指定数量未満の危険物の貯蔵・取扱いの基準のこと。

「指定数量未満の危険物(少量危険物のこと)や指定可燃物の貯蔵・取扱い(取り扱う位置やその構造及び設備)についての技術上の基準を市町村条例にて定める」

※消防法第17条第2項

消防法とは別に市町村条例(火災予防条例等)で規定(規制)を設けることができる規定。

例として、豪雪地域において、避難器具の設置場所は、降下空間や避難空地が積雪により避難の支障にならない部分に設けなければならないなど。

「市町村は、その地方の気候や風土の特殊性により、消防法第17条の消防用設備等の技術上の基準に関する政令又はこれに基づく命令の規定のみによっては防火の目的を十分に達成し難いと認める時は、条例で同項の消防用設備等の技術上の基準に関して、これらの政令又はこれに基づく命令の規定と異なる規定を設けることができる」

※消防法施行令第2条

同一敷地内における2以上の防火対象物について。

「同一敷地内に管理権限を有する者が同一の者である政令別表第一に掲げる防火対象物が2以上ある場合には、それらの防火対象物は消防法第8条第1項(防火管理者を選任して防火管理業務を行わせなければならない条項)の規定の適用については、1の防火対象物とみなす。」

※消防法施行令第32条

消防用設備等について、消防用設備等の基準による適用を要しない規定のこと。

「消防用設備等について、消防長又は消防署長が防火対象物の位置・構造・設備の状況から判断して、この節の規定による消防用設備等の基準によらなくても、火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による火街を最小限に止めることができると認められるときにおいては適用しない」