屋外キュービクルへの消火器設置義務について

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皆さんこんにちわ。

今回はよくある「屋外キュービクル」への消火器設置義務について、キュービクルを「防火対象物」とみなすのか「付加設置対象物」とみなすのかなどの判定により解説していきます。

(市区町村の火災予防条例によっては設置を義務づけている場合がありますので、所轄の消防に確認を行いましょう)。

屋外設置キュービクルの例

 

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基本的なおさらい

まず、消防用設備等の設置義務についてですが、これは消防法第17条に

第十七条 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの関係者は、政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設(以下「消防用設備等」という。)について消火、避難その他の消防の活動のために必要とされる性能を有するように、政令で定める技術上の基準に従つて、設置し、及び維持しなければならない。

と定められています。

これは防火対象物の関係者は政令で定めている消防用設備等を技術上の基準に従って設置して維持管理しなさいというふうになっています。

そして政令で定める~の部分は消防法施行令や消防法施行規則の記載を表しています。

消防法施行令では第6条から第36条にわたって設置や維持に関する技術上の基準や、消防用設備等の設置を義務づけている防火対象物の細目が記載されています。

今回は消火器のお話なので、消防法施行令第10条に「消火器具に関する基準」として、消火器の設置が必要な防火対象物の規模(延べ面積や地階・無窓階など)及び少量危険物や指定可燃物への設置、ガス系消火器の地階・無窓階への設置禁止、消火設備がある場合の消火器設置個数の減少の規定が記載されています。

そして消防法施行規則の第6条から第11条に消火器を設置する基準の細目に関する記載があり、消火器の設置高さや歩行距離、付加設置が必要な設備やその部分などが事細かに決まられています。

このような流れで消防用設備等を設置・維持しなければならない防火対象物や消防用設備等の種類が決まっていきます。

 

法令を読み解いていく

では消火器具の設置が必要な防火対象物ですが、これは下記の表を参照してください。

消火器具の設置基準の表

上記表により防火対象物(又はその部分)への設置が必要か否かを判定します。

そして上記表にはありませんが、これ以外に「付加設置」というものがあり、火気使用設備(ボイラーなど)や少量危険物、電気設備などに設置するものになります。

これは当該防火対象物(又はその部分)に上記の「付加設置」が必要な部分があった場合に、その設備等に対して消火器を設置するというものになります。

ですので、防火対象物(又はその部分)への設置義務が生じない場合には、付加設置も設置を生じません。

例えば電気設備への付加設置に関する条文は消防法施行規則第6条第4項に

第一項の防火対象物又はその部分に変圧器、配電盤その他これらに類する電気設備があるときは、前三項の規定によるほか、令別表第二において電気設備の消火に適応するものとされる消火器を、当該電気設備がある場所の床面積百平方メートル以下ごとに一個設けなければならない。

上記の条文があり、この文中に「防火対象物又はその部分に~」と記載がありますので、このことからも、防火対象物(又はその部分)以外の所に付加設置対象設備等があったとしても消火器を設置しなくても良いとなります。(あくまでも義務設置消火器の付加という取扱い)

 

キュービクルは防火対象物なのか

では、独立した屋外キュービクルが防火対象物とみなされるのかを考えていきたいと思います。

防火対象物に消防用設備等を設置するときに基準となる設置の単位というものがあり、これは敷地を基準にするのではなくて棟(原則として独立した1つの建築物又は、独立した建築物が相互に接続されて一体となったものを言う)を基準に設置を行います。

要するに敷地内に建築物(例として事務所用途)があった場合に、その建築物を令別表第一の基準に従い防火対象物の用途(15項)を定めていきます。

詳しくは下記の記事を参照してください。

消防用設備等の設置の単位
この記事では防火対象物に消防用設備等を設置する場合に、基準となるのは敷地なのか棟なのか、また棟と棟がくっついている場合の取扱いなどについて図を用いて詳しく解説しています。

 

では独立した屋外キュービクルが防火対象物とみなされるのかについてですが、あくまでも変電に供する設備であり棟(建築物)ではないという解釈になるかと思います。

仮に屋外キュービクルを防火対象物とみなして令別表第一により用途選定しても15項になり、延べ面積による義務設置に該当しませんので付加設置も必要ない=消火器設置不要となります。

ただしこの辺の解釈は所轄消防により変わってくると思いますし、市町村の火災予防条例によっても変わるかと思いますので確認をしていただくのが一番良いかと思います。

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回は敷地内に独立してある屋外キュービクルに消火器の設置義務はあるのかについて解説しました。

最終的には消火器の設置義務はないという結論になりましたが、色々聞いてみると「火災予防上必要」との見解から屋外キュービクルへの消火器の設置を指導する場合があるみたいです。

また、大阪市の「電気設備及び火気使用設備に係る消火設備の運用指針」にはしっかりと

令別表第1に掲げる防火対象物と同一の敷地に存する電気設備(急速充電設備を除く。)又は火気使用設備が屋外に設置されている場合であっても、当該設備が令別表第1に掲げる防火対象物に設置されているものとみなして消火設備の設置に係る規定を適用して指導すること。

と記載がありますので所轄消防に確認することをお勧めします。