自分で行う消火器点検の書類作成(一般の人向け)

この記事は約10分で読めます。

皆さんこんにちは。

今回は前回の「点検実務編」に続いて「書類記入編」として説明していきます。一項目づつ説明していくので長文になりますがお付き合いの程よろしくお願いします。

 

スポンサーリンク
スポンサーリンク

書類の記入の仕方

それでは書類の記入をしていきましょう。必要な書類は下記の(一財)日本消防設備安全センターのホームページからPDFかWordファイルでダウンロードできます。

 

点検書類の報告

消防用設備の点検は年に2回、消防本部への点検結果の報告は年に1回(特定防火対象物の場合)です。なので年2回行う点検のうち、どちらかを消防へ報告します。

特定防火対象物と非特定防火対象物の違いを確認したい方は下記の記事を参照してください。

屋内消火栓など機器点検と総合点検で分かれている設備なら総合点検の時の点検書類で報告しますが、消火器は機器点検しかないのでどちらか(年2回の点検を前期と後期にわけて、毎年前期を報告するといった流れを作るとわかりやすい)を報告します。

 

消防用設備等点検結果報告書

書類の一枚目です。ここに必要事項を記入していきます。

点検結果報告書 記入例

上から

  • 届出者の住所、氏名 (法人の場合は代表者)、電話番号
  • 防火対象物の住所(店舗の住所)
  • 防火対象物の名称(店舗の名前)
  • 防火対象物の用途(飲食店・小売店など)
  • 防火対象物の規模・延べ面積(わかる範囲での記入でOK)
  • 消防用設備等の種類等(消火器具とか)

一番下の受付欄・経過欄・備考は記入しないでください。

 

消防用設備等点検結果総括表

二枚目は総括表になります。設置されている設備の点検良否が一目でわかるようになってます。

総括表記入例

記入は上から

  • 防火対象物の名称(店舗の名称)
  • 防火管理者(防火管理者が必要な店舗は記入)
  • 防火対象物の所在地(店舗の住所)
  • 点検実施責任者(点検をした人)
  • 点検種別(消火器具は機器点検しかないので機器点検に○)
  • 点検年月日(点検した日付を記入)
  • 設備名(設置されている設備を記入)
  • 点検結果(判定の良か不良に○、不良があれば不良内容に記入)
  • 措置内容(不良に対して行ったこと)
  • 立合者(点検に立ち会った人、店舗の関係者ならだれでも良い)

を記入していきます。

点検結果の良否はこのあと記入する「消火器具点検結果報告書」を先に記入し、仕上げてから良否の記入をした方が良いです。先に総括表の良否を書いて、そのあと消火器具点検票書いてたら「あの不良を書くの忘れた」なんてことあります。筆者はよくあります(笑)

 

消防用設備等点検者一覧表

点検者一覧表記入例

3枚目は点検者一覧表になります。

点検者が消防用設備点検業務を業としている会社に在籍している場合には社名を記入しましょう。

また消防設備士や消防設備点検資格者の資格を所有している場合にはその情報を記入しましょう。

 

消火器具点検票 その1

消火器具点検票その1 記入例

これも上から記入していきます。

  • 名称(店舗の名称)
  • 防火管理者(必要な場合)
  • 所在(店舗の住所)
  • 立合者(点検に立ち会った店舗の関係者、だれでも良い)
  • 点検種別(機器点検のみ)
  • 点検年月日
  • 点検者(点検した人の氏名)
  • 点検者所属会社(無記入で)

ここから消火器を点検した結果を記入していきます。

 

設置状況

設置場所

  • 「消火器の前に物品が無く、すぐに取り出せるか」
  • 「消火器の設置高さが床から1.5m以内か」
  • 「過度な湿気・薬品(洗剤など)にさらされていないか」
  • 「設置場所の温度が-10~40度の範囲内か(適正使用温度は消火器により違う)」

以上の不良がなければ良です。今回の記入例では「消火器前に物品があった」という不良があったので「物品を移動した」という措置をして不良を良にしてあります。


設置間隔

消火器→消火器の距離、建物の端→消火器までの距離が歩行距離で20m以内か確認します。

前回の記事にある図(小規模物販店の消火器設置例・水平距離と歩行距離の違い)も参照にしてください。この間隔が20m以下なら良です。もし歩行距離が足らない場合は消火器の設置位置の変更、消火器の増設などが必要です。


適応性

この適応性とは、消火器がどんな火災に適応しているかの確認です。

火災には「普通火災」「油火災」「電気火災」の三種類があり、この各火災に消火器が適応しているかの良否になります。

今現在販売されている消火器は上記三種類の火災に対応しているので、適応性は良です。消火器のラベルに適応火災の種類が書いてありますので確認してみてください。

また設置消火器が業務用消火器かも確認してください。住宅用消火器は設置できません。

適応火災の表示例


耐震措置

消火器が転倒すると消火薬剤が出てしまう消火器は、倒れない様な措置をしなければなりませんが、粉末消火器は転倒しても薬剤が出ないのでこの欄は斜線になります。

 

表示・標識

  • 消火器のすぐ近くの見やすい位置に消火器の標識が設置されているか
  • その標識に割れ・欠け・色あせがないか、大きさや色合いは規定(横8cm・縦24cm)(赤地に白文字)通りか
  • 消火器本体容器に貼ってあるラベル(表示)が読めない・かすれているなどがないか
  • 消火器本体容器に貼ってある検定合格票がはがれていないか、文字が読めるか

以上の不良がなければ良です。

 

消火器の外形

本体容器

消火器の本体容器にヘコミ・さびなどの異常がないか、また本体容器の赤色が容器の25%以上か確認します。

特に底の部分はサビやすいのでよく見ましょう。ヘコミはだれが見てもへこんでるなこれ。というヘコミはNGです。これらの異常がなければ良です。


安全栓の封

安全栓の封に切れ・はがれ・風化がなければ良です。風化とは安全栓の封(シール)を触るとポロポロ剥がれ落ちるような状態のことです。


安全栓

安全栓に曲がり・欠け・割れ・抜けているといった不良がなければ良です。


使用済みの表示装置

店舗等に設置してある消火器に使用済みの表示装置が付いている場合に判定します。

前回記事中で例として使っている消火器の様にこの使用済み表示装置が付いていない消火器もあるので、付いている・付いていないを確認してください。

もし付いていたら、その使用済み表示装置に割れ・欠け・取れているなどの不良がなければ良です。


押し金具・レバー等

レバー(上下共)に曲がり・ヘコミ・サビ・割れの不良がなければ良です。押し金具はこのタイプの消火器には付いていません。


キャップ

キャップに割れ・欠け・腐食・緩みが無くて、充填済みの封印シールがはがれたりしていなければ良です。


ホース

ホースに割れ・切れ・ゴムの劣化・ホース接続部の緩み・ホース内の詰まりがないか確認して、異常なければ良です。


ノズル・ホーン・ノズル栓

ノズルに欠け・割れなどが無いか、ノズル栓に切れ・割れ、ノズルから外れていないかの不良がなければ良です。ホーンはこのタイプの消火器には付いていません。


指示圧力計

指示圧力計自体に割れ・欠け・曲がりが無くて、圧力に指示値が緑色の範囲内を指していれば良です。


圧力調整器より以下

圧力調整器・安全弁・保持装置・車輪・ガス導入管はこのタイプの消火器にはついていないので全て斜線になります。

 

消火器具点検票 その2

その2の部分は内部及び機能の点検を記入する部分ですが、内部及び機能の点検は行っていないので、この部分は全て斜線になります。

消火器具点検票その2 記入例

 

備考欄

記入例では今回点検から内部及び機能点検の対象になる消火器が1本あり、その消火器を破棄して新品を設置したのでそれを備考欄に記入してあります。

またそれ以外の蓄圧式粉末消火器は5年経過していないので内部および機能点検を省略した旨も記入してあります。

その他に特別に記入したい事があれば備考欄に記入します。

 

使用器具欄

備考欄下の使用器具欄には、点検で使用した器具があれば記入します。

今回の記入例では外観でわかる点検しかしていないので、特に使用した器具はないので記入してありません。

内部及び機能の点検を行うと秤やキャップスパナなどの工具を使うので、そういう場合は記入します。

 

器種名記入欄

使用器具欄の下には設置してある消火器の器種(粉末加圧式とか粉末蓄圧式とか)を記入し、その設置本数・点検本数・点検合格本数・修理が必要な本数・破棄数を記入します。

今回の記入例では粉末消火器(蓄圧式)が点検時に四本設置してあって、そのうち一本が内部及び機能点検を行わなければならなくなったので破棄して、その代わりに新品を1本入れました。

なので点検数は4本で、内部及び機能点検対象消火器を1本破棄したので破棄数が1本、修理が必要な消火器はないので0本、最終的に点検合格数は3本になります。

もし内部及び機能点検に該当しない・不良等で破棄がなければ、設置数と点検本数と合格数は同じ数になり、要修理数・破棄数は0になります。

 

消火器一覧表

消火器一覧表の例

建物に設置されている消火器の詳細を一覧にしたものです。

法令上必要な書類ではありませんが、消防本部もこういう一覧表をほしがるところが多いし、作成しておけば日常管理・点検時にどこに消火器を設置しておいたかなどが一目でわかるので是非作成しましょう。

私が仕事で作成・添付している一覧表は「設置場所」「設置階」「器種」「加圧・蓄圧」「薬剤量」「型式番号」「製造年」「製造番号」を一本一本調べて記入してあります。上記の例を参考に作成してみてください。

 

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。

今回は2記事にわけて一般の人にもわかりやすく消火器の点検方法と書類の記入例などを説明してきました。

我々としては、防火対象物の人自らがこういった点検をして報告までしてしまうと正直仕事が減るので微妙なところではありますが、私も自ら車を整備・修理してディーラーサービスマンの仕事を減らしているので人のことはとやかく言えません(笑)。

今回の記事で少しでも多くの人に消防用設備というものをを知っていただき、理解していただくのもこのブログの目指す道なのでみなさん是非点検報告チャレンジしてみてください。

また記事中に「防火対象物」「防火管理者」「防火管理者が必要な建物」などの用語が出てきてイマイチなんだこれ?という方がいるとおもうので、これらを説明した記事があるので時間のある方はそちらものぞいてみてください。下記リンクから移動できます。

防火対象物って何?って方は下記の記事を参照してください。

 

防火管理者って何?又は防火管理者が必要な建物って?って方は下記の記事を参照してください。