消防法における火災発見時の規定について

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皆さんこんにちは。

ちょっと調べたいことがあり消防設備六法を見ていたら、こんなことまで消防法で定められているんだーと思ったので記事にしてみます。記事タイトル通り火災を発見した場合についての消防法の規定をお話しさせていただきます。

 

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もしも火災を発見したら

消防法第24条に火災を発見した場合の措置が記載されているので紹介します。

消防法第24条

①火災を発見した者は、遅滞なくこれを消防署又は市町村長の指定した場所に通報しなければならない。

②すべての人は、前項の通報が最も迅速に到達するように協力しなければならない。

と記載されています。

皆さんもご承知の通り、火事を発見したら速やかに119番通報しなければならないと規定されています。

②では、すべての人は〜中略〜協力しなければならないとなっていますので、その場に居合わせた人は迅速に通報できるように協力しなければなりません。野次馬をしている場合ではありません(笑)

ちなみに①の「火災を発見した者」とは、火災を発見したすべての者が該当になります。第一発見者だけではありませんので、火災を目撃しちゃったら「火災を発見した者」になってしまいます。

また、この通報をする際に虚偽の通報を行った場合は罰則の対象になり、罰金30万円以下叉は勾留という罰則になりますので虚偽通報をしてはいけません。

 

応急消火義務等

火災が発生した場合にその発見者や周囲の人はどのような行動をとれば良いのでしょうか?それについても規定があります。

消防法第25条

① 火災が発生したときは、当該消防対象物の関係者その他総務省令で定める者は、消防隊が火災の現場に到着するまで消火若しくは延焼の防止又は人命の救助を行わなければならない。

② 前項の場合においては、火災の現場附近に在る者は、前項に掲げる者の行う消火若しくは延焼の防止又は人命の救助に協力しなければならない。

③火災の現場においては、消防吏員又は消防団員は、当該消防対象物の関係者その他総務省令で定める者に対して、当該消防対象物の構造、救助を要する者の存否その他消火若しくは延焼の防止又は人命の救助のため必要な事項につき情報の提供を求めることができる。

消防対象物ってなに?って方は下記の記事を参照してください。

消防設備士の試験対策 共通法令 前編
この記事では消防設備士の共通法令(前編)の試験対策について解説していて、用語解説、火災予防に関する一般事項(立入検査や防火管理者業務など)、危険物規制、消防用設備等の設置と維持管理などについて詳しく解説しています。

 

ちなみに①の「消防隊が到着するまでの間、消火若しくは延焼の防止又は人命の救助を行わなければならない者」(応急消火義務者という)の規定には、傷病や障害、その他の事由により消火や延焼の防止や人命救助が出来ない者を除いた以下の者が該当になります。

  • 火災を発生させた者。
  • 火災の発生に直接関係がある者。
  • 火災が発生した消防対象物の居住者又は勤務者。

つまり火災を発生させた者(放火等含む)は消火や延焼の防止などの義務がありますので、それを行わないで立ち去るのは消防法違反になるということになります。

②の協力義務者には、その火災現場周辺に居合わせた者が該当になりますので、上記応急消火義務者に協力しなければなりません。またこの協力義務者が「協力」することにより死亡したり、負傷したり、疾病にかかったり、障害を負った場合には損失補償を受けることができます。

また、③の「情報の提供を求めることができる者」の規定には、応急消火義務者及び延焼のおそれのある対象物の関係者・居住者・勤務者が該当になります。

罰則について、①と②の消火・延焼の防止又は人命救助に従事する者の行為を妨害した者には懲役2年以下・罰金100万円以下、③の情報提供をせず、又は虚偽の情報を提供した者には懲役6ヶ月以下、罰金50万円以下の罰則があります。

 

消防車の優先通行等

一般的に消防車や救急車などが緊急通行している時、一般車は進路を譲らないといけませんが、これについても消防法に規定がありますので紹介します。

消防法第26条

①消防車が火災の現場に赴く(おもむく)ときは、車馬及び歩行者はこれに道路を譲らなければならない。

②消防車の優先通行については、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第四十条、第四十一条の二第一項及び第二項並びに第七十五条の六第二項の定めるところによる。

③消防車は、火災の現場に出動するとき及び訓練のため特に必要がある場合において一般に公告したときに限り、サイレンを用いることができる。

④消防車は、消防署等に引き返す途中その他の場合には、鐘又は警笛を用い、一般交通規則に従わなければならない。

※上記「消防車」は、道路交通法でいう「緊急自動車」に限らず、消防の用に供するあらゆる車両を指す。

私達が自動車運転免許証を取得するべく教習所に通ったときに勉強した道路交通法にも緊急自動車に進路を譲るということを習いましたが、消防法にも同様の規定があります。「車馬及び歩行者」ですので、車と馬と歩行者ということになります。

また、上記道路を譲るという規定を故意に妨害した場合(消防車の通過を故意に妨害した者)にはもちろん罰則があり、懲役2年、罰金100万円以下という重い罰則がありますので、消防車などの緊急車両には素直に進路を譲りましょう。

 

消防隊の緊急時における通行場所

消防隊は緊急時に通行することができる道路(通路)についても規定がありました。

消防法第27条

①消防隊は、火災の現場に到着するために緊急の必要があるときは、一般通行の用に供しない道路若しくは公共の用に供しない空地及び水面を通行することができる。

※消防隊とは、消防器具を装備した消防吏員又は消防団員の一隊のことをいう。

上記「一般通行の用に供しない道路」とは、車両等の通行が禁止されている道路や、私有道路のことを指し、「公共の用に供しない空地」とは、個人の所有で空地となっている場所のことをいう。

つまり、消防隊は緊急の必要があるときは、一般車両が通行出来ない道路や空地、水面を通れるということになります。でも水面ってことは川とか水路とか田んぼも通って良いということなのでしょうか?そう解釈することもできそうですが…。

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。たまたま調べたいことがあって消防設備六法を開いたときに目に入ったのが今回の記事内容になります。子供のころから火事は119番消防署と教わりましたが、その大元が消防法だったとは知りませんでした。

また火災現場に居合わせた人には応急消火義務者への協力義務があるという規定も知りませんでした(私だけでしょうか?)。日本人は協力精神にあふれている方ばかりなので、消防法の規定云々ではなく協力してくれる方が大勢いらっしゃると思います。もちろん規定もあるので万が一火災現場に居合わせたら協力してあげてください。