危険物施設の詳細と所要単位

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皆さんこんにちは。

以前の記事で、危険物の種類危険物施設などをお話させていただきましたが、今回は消火設備を設置するべき製造所等の詳細と所要単位のお話になります。

ちなみに危険物施設における警報設備に関しては下記の記事を参照してください。

自動火災報知設備の設置基準 その1
この記事では自動火災報知設備の設置基準について、自火報が必要な危険物施設や防火対象物・自火報を省略できない部分、警戒区域の設定方法(警戒区域の設定例・範囲・番号の取り方)などについて詳しく解説しています。

 

また、これから紹介する内容は危険物の規制に関する法令等の内容ですが、各市町村の火災予防条例などと差異がある場合があります。あらかじめご了承ください。

危険物の種類について詳しくは下記の記事を参照してください。

危険物とその種類について
この記事では、皆さんの身近にも存在する「危険物」というキーワードについて解説しています。危険物の定義(何が危険物なのか?)、危険物と少量危険物に違い、危険物の種類と品名について詳しく解説しています。

 

また、危険物施設について詳しくは下記の記事を参照してください。

危険物施設とは
この記事では危険物を取り扱う施設について解説しています。危険物施設の種類(製造所・貯蔵所・取扱所)とそれらの細分(屋内貯蔵所・屋内タンク貯蔵所など)について詳しく解説しています。

 

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製造所等の詳細について

危政令では、製造所等はその規模、貯蔵または取り扱う危険物の種類及び最大数量などで区分されていて、その区分に応じて設置するべき消火設備を定めています

また、この製造所等も以下の様に区分されています。

  • 著しく消火困難な製造所等
  • 消火困難な製造所等
  • その他の製造所等

ではこれらの製造所等の詳細をみていきましょう。

 

著しく消火困難な製造所等

製造所・一般取扱所

    • 延べ面積1000㎡以上のもの。
    • 指定数量の倍数が100倍以上。(危険物規則第72条第一項に規則する危険物(火薬類に該当するもの。)や、高引火点危険物のみを100℃未満の温度で取り扱うものを除く。)
    • 高さ6m以上の部分において、危険物を取り扱う設備を有するもの。(高引火点危険物のみを100℃未満の温度で取り扱うものを除く。)
    • 一般取扱所の用途に使用する部分以外の部分を有する建築物に設ける一般取扱所(他の部分と開口部のない耐火構造の床や壁で区画されたものを除く。)(高引火点危険物のみを100℃未満の温度で取り扱うものを除く。)

屋内貯蔵所

    • 指定数量の倍数が150以上。(危険物規則第72条第一項に規則する危険物(火薬類に該当するもの。)や、高引火点危険物のみを貯蔵するものを除く。)
    • 延べ面積が150㎡を超えるもの。(150㎡以内ごとに不燃材料で造られた開口部のない隔壁で区画されたものを除く。)(第二類又は第四類の危険物(引火性固体及び引火点が70℃未満の第四類の危険物を除く。)のみを貯蔵し取り扱うものを除く。)
    • 軒高が6m以上の平屋建てのもの。
    • 屋内貯蔵所の用途に使用する部分以外の部分を有する建築物に設けられたもの(危政令第10条第3項の屋内貯蔵所)(他の部分と開口部のない耐火構造の床や壁で区画されたものを除く。)(第二類又は第四類の危険物(引火性固体及び引火点が70℃未満の第四類の危険物を除く。)のみを貯蔵し取り扱うものを除く。)

屋外タンク貯蔵所

    • 危険物の液表面積が40㎡以上のもの。(第六類の危険物及び、高引火点危険物のみを100℃未満の温度で貯蔵し、取り扱うものを除く。)
    • 高さが6m以上のもの。(第六類の危険物及び、高引火点危険物のみを100℃未満の温度で貯蔵し、取り扱うものを除く。)
    • 地中タンク、海中タンクに係わる屋外タンク貯蔵所。
    • 固体の危険物を貯蔵し、又は取り扱うものにあっては指定数量の倍数が100以上のもの。

屋内タンク貯蔵所

    • 危険物の液表面積が40㎡以上のもの。(第六類の危険物及び、高引火点危険物のみを100℃未満の温度で貯蔵し、取り扱うものを除く。)
    • 高さが6m以上のもの。(第六類の危険物及び、高引火点危険物のみを100℃未満の温度で貯蔵し、取り扱うものを除く。)
    • タンク専用室を平屋建以外の建築物に設けるもので引火点が40℃以上70℃未満の危険物に係わるもの。(タンク専用室以外の部分と開口部のない耐火構造の床や壁で区画されたものを除く。)

屋外貯蔵所

    • 塊状の硫黄等のみを囲いの内側で貯蔵し、又は取り扱うものにあってはその囲いの内部面積が100㎡以上のもの。(2以上の囲いを設ける場合には、それぞれの囲いの内部面積を合算した面積とする。)
    • 第二類の引火性固体(引火点が21℃未満のものに限る。)又は第四類の第一石油類若しくはアルコール類を貯蔵し、取り扱う屋外貯蔵所(危政令第16条第4項の屋外貯蔵所)で、指定数量の倍数が100以上のもの。

給油取扱所

    • 一方開放型上階付き屋内給油取扱所
    • 顧客自ら給油等をさせる給油取扱所(セルフスタンド)(一方開放型上階付き屋内給油取扱所に該当するものを除く。)

移送取扱所

    • すべて

 

消火困難な製造所等

製造所・一般取扱所

    • 延べ面積600㎡以上
    • 指定数量の倍数が10以上(危険物規則第72条第一項に規則する危険物(火薬類に該当するもの。)や、高引火点危険物のみを100℃未満の温度で取り扱うものを除く。)
    • 著しく消火困難なもの以外で以下のもの(高引火点危険物のみを100℃未満の温度で取り扱うものを除く。)
      • 吹付塗装作業等の一般取扱所(危規則第28条の55第2項)
      • 洗浄作業の一般取扱所(危規則第28条の55の2第2項、3項)
      • 焼入れ作業等の一般取扱所(危規則第28条の56第2項、第3項)
      • ボイラー等で危険物を消費する一般取扱所(危規則第28条の57第2項、第3項、第4項)
      • 油圧装置等を設置する一般取扱所(危規則第28条の60第2項、第3項、第4項)
      • 切削装置等を設置する一般取扱所(危規則第28条の60の2第2項、第3項)
      • 熱媒体油循環装置を設置する一般取扱所(危規則第28条の60の3第2項)

屋内貯蔵所

    • 平家建以外のもの
    • 特定屋内貯蔵所
    • 指定数量の倍数が10以上(危険物規則第72条第一項に規則する危険物(火薬類に該当するもの。)や、高引火点危険物のみを100℃未満の温度で取り扱うものを除く。)
    • 延べ面積が150㎡を超えるもの
    • 建築物の一部に設けるもの(指定数量の倍数が20以下に限る)で、著しく消火困難なもの以外のもの。

屋外・屋内タンク貯蔵所

    • 著しく消火困難なもの以外のもの。(高引火点危険物及び第六類危険物を除く)

屋外貯蔵所

    • 囲いの内部面積5㎡以上100㎡未満(2以上の囲いは合算)(塊状の硫黄等を貯蔵するもの)
    • 指定数量の倍数が10以上100未満(第二類の引火点固体(引火点が21℃未満のものに限る)又は第四類の第一石油類若しくはアルコール類に限る)
    • 指定数量の倍数が100以上(高引火点危険物のみを貯蔵したり取り扱うものを除く)

給油取扱所

    • 屋内給油取扱所(著しく消火困難なもの以外のもの)
    • メタノールを取り扱う給油取扱所(屋内給油取扱所に該当するものを除く)

販売取扱所

    • 第二種販売取扱所

 

その他の製造所等

製造所・一般取扱所

    • 上記の著しく消火困難な製造所等及び消火困難な製造所等以外のもの

屋内貯蔵所

    • 上記の著しく消火困難な製造所等及び消火困難な製造所等以外のもの

地下タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所

    • 全部

屋外貯蔵所

    • 囲い内部面積5㎡未満(塊状の硫黄等を貯蔵したり取り扱うもの)
    • 上記の著しく消火困難な製造所等及び消火困難な製造所等以外のもの(塊状の硫黄等を貯蔵したり取り扱うものを除く)

給油取扱所

    • 上記の著しく消火困難な製造所等及び消火困難な製造所等以外のもの

第一種販売取扱所

    • 全部

 

所要単位の算定基準

この所要単位とは、危険物施設において消火設備(第四種・第五種)をどのくらい配置(設置)すれば良いかの基準になります。

算出方法は、所要単位/能力単位=本数(小数点以下切り上げ)です。

例として、1000㎡の外壁が耐火構造の製造所があったとして、所要単位は1000㎡/100㎡で10所要単位になり、Aの能力単位が3能力単位の消火器を設けるとしたら、10/3で≒4になるので4本の消火器が必要になります。

ちなみに上記の例は製造所でしたが、危険物の場合は消火器の能力単位はAではなく、Bの能力単位で算出します。

 

製造所又は取扱所の建築物

    • 外壁が耐火構造の場合、100㎡ごとに1所要単位
    • 外壁が耐火構造以外の場合、50㎡ごとに1所要単位

貯蔵所の建築物

    • ☆外壁が耐火構造の場合、150㎡ごとに1所要単位
    • ☆外壁が耐火構造以外の場合、75㎡ごとに1所要単位

製造所等の屋外の工作物

    • 外壁を耐火構造とし、なおかつ工作物の水平最大面積を建築物とみなし、上記の☆の計算方法で算出する。

危険物

    • 指定数量の10倍ごとに1所要単位

電気設備

    • 電気設備のある場所の面積の100㎡ごとに消火設備を1個以上設ける。

 

まとめ

最後までご覧頂きありがとうございます。

今回の危険物シリーズは、筆者が消防用設備点検で消火器の点検をしていた際に、危険物地下タンクへの設置消火器が1本しかなかった場所があり、「1本じゃ足らないんだよなー?」と思い調べたのがきっかけでした。

よくある消火器の付加設置で火気使用や電気設備はあっても、危険物施設への設置基準はあまり見かけなかったので記事にしてみました。

特に給油取扱所、地下タンク、屋外(屋内)貯蔵所は良く見かける危険物施設になるので、所要単位の算出と消火設備(第四種や第五種)の設置基準を覚えておいて損は無いと思います。