皆さんこんにちわ。
今回は消防設備士4類の試験対策(法令編)を解説していきます。
重要な部分や覚えて頂きたい部分にはアンダーラインを引いておきますので参考にしてください。
法令には「共通法令」と「類別法令」がありますが、共通法令は以前の記事で解説していますのでそちらを参照してください↓
消防設備士4類の類別法令では主に
- 自動火災報知設備
- ガス漏れ火災警報設備
の設置基準(防火対象物の規模及び階層などにより設置の可否)から出題されますので、まずは自動火災報知設備の設置義務のある防火対象物から解説していきます。
また他の消防設備士免状を取得している状態において共通法令の試験免除を行うと、甲種は7問、乙種は4問となり各分野40%以上の正解の部分が非常に狭き門となってしまうので、仮に乙種であれば4問中2問以上正解しないと、この40%に達せず不合格となってしまいますので試験免除も注意が必要になります。
仮に法令免除をしないで乙種の試験を受けた場合に
- 共通法令が6問中5問正解
- 類別法令が4問中0問正解
といった場合でも法令の科目正解数は出題数の50%になり、40%以上という要件をクリアできるので、当メディアとしては共通法令は免除しないことをお勧めしています。
自動火災報知設備の設置義務がある防火対象物について

自動火災報知設備の設置基準
上記の表の様な決まりで自動火災報知設備の設置が必要かどうかを決定しています。
この表を丸暗記していただいても良いのですが、わかりずらいので簡単にまとめてみます。
防火対象物の規模による場合
- ★カラオケボックス等(2項・ニ)
- ★旅館・ホテルなど(5項・イ)
- ★病院・診療所で入院施設や宿泊施設があるもの(6項・イ(1)~(3))
- ★特別養護老人ホームなど(6項・ロ)
- ★老人デイサービスなど(6項・ハ)で入居・宿泊を伴うもの
- 格納庫(13項・ロ)
- 重要文化財等(17項)
- 原則として延べ面積300㎡以上の場合に設置
- ただし蒸気・熱気浴場(9項・イ)だけは200㎡以上
- 複合用途防火対象物(16項・イ)は延べ面積300㎡以上で設置が必要になるが、上記★の用途が存在する場合はその用途部分はすべて設置が必要
- 原則として延べ面積500㎡以上の場合に必要
- ただし神社・教会(11項)と事務所等(15項)は1000㎡以上
- 複合用途防火対象物(16項・ロ)の場合はそれぞれの用途における床面積の合計が規定の面積になる場合にその用途部分だけ設置が必要になる
16項・イは用途によっては延べ面積に関わらず設置になる場合があるので注意しましょう。
階数による場合
上記は延べ面積により設置が必要な場合の取扱いでしたが、特定の階数によっても設置が必要になる場合がありますので確認しましょう。
以下の防火対象物(又はその用途)の場合はその階の床面積が100㎡以上の場合にその階全体に設置が必要になります。
- キャバレー・ナイトクラブ等(2項・イ)
- 遊技場・ダンスホール等(2項・ロ)
- 性風俗関連店舗等(2項・ハ)
- 待合・料理店(3項・イ)
- 飲食店(3項・ロ)
上記以外の防火対象物(又はその用途)においては当該階の床面積が300㎡以上の場合に設置が必要になります。
11階以上の階がある場合は当該階全てに自動火災報知設備の設置が必要になります。
その他の要件で必要な場合
防火対象物が「特定一階段等防火対象物」に該当する場合は、延べ面積や階層に関わらず自動火災報知設備の設置が必要になります。
特定一階段防火対象物について詳しくは下記の記事を参考にしてください。
地階、又は2階以上の階に駐車場がある場合は当該駐車場の床面積が200㎡以上になると設置が必要となりますが、駐車している全ての車両が同時に屋外に出ることができる構造の場合を除きます。
ちなみに1階に駐車場がある場合には当該駐車場の床面積が500㎡以上になると設置が必要になります(1階にある場合は13項・イとして運用される為)。
防火対象物の屋上に道路として使用される部分が600㎡以上あれば自動火災報知設備の設置が必要になりますが、例として東京銀座にある屋上に一般自動車道路(東京高速道路という)などが通っていると考えていただければ良いと思います。
また、屋上及び1階以外の階に道路として使用される部分が400㎡以上あればこちらも自動火災報知設備の設置が必要になりますが、例えば有名なのは大阪市福島区にある「TKPゲートタワービル」で、このビルの5階~7階部分は阪神高速道路が通っているのでかなり珍しい構造ですがこのような場合がこれに当てはまるかもしれません。
防火対象物の内部に通信機器室(サーバー室や電算室など)が床面積500㎡以上ある場合は自動火災報知設備の設置が必要になります。
指定可燃物を数量の500倍以上貯蔵や取り扱う場合には自動火災報知設備の設置が必要になりますが、危険物の指定数量と混同しがちなので注意しましょう。
指定可燃物の品目については下記の表を参照してください。
品名 | 数量 | 具体的なものの例 | |
綿花類 | 200kg | 製糸工程前の原毛や羽毛など | |
木毛及びかんなくず | 400kg | ヤシの繊維、製材過程で発生するかんなくず | |
ぼろ及び紙くず | 1000kg | 使用していない衣類や古新聞・古雑誌など | |
糸類 | 1000kg | 綿糸・麻糸・化学繊維の糸・毛糸など | |
わら類 | 1000kg | 乾燥したわらやい草など | |
再生資源燃料 | 1000kg | 廃棄物固形化燃料(RDFやRPF)など | |
可燃性固体類 | 3000kg | 石油アスファルトやクレゾールなど | |
石炭・木炭類 | 10000kg | 練炭や豆炭やコークスなど | |
可燃性液体類 | 2㎥ | 潤滑油やグリスなど | |
木材加工品及び木くず | 10㎥ | 家具や建築廃材など | |
合成樹脂類 | 発泡させたもの | 20㎥ | 発泡ウレタンや発泡スチロール、断熱材など |
その他のもの | 3000kg | ゴムタイヤや天然ゴム、合成ゴムなど |
ですので例えば令別表第一の12項イ(工場)で延べ面積が500㎡未満で自火報の設置が不要な防火対象物に100トンの綿花を貯蔵及び取扱いをすれば、指定可燃物を500倍貯蔵等することになるので自火報の設置が必要になる…ということになります。(現実にはなかなか無いだろう想定ですが)
自動火災報知設備を省略できる場合について
自動火災報知設備にも設置を省略できる場合についての要件がありますので解説します。
以下の消火設備を技術上の基準に従って設置した場合にはその有効範囲内において自動火災報知設備を設置しないことができる。(※いずれも閉鎖型スプリンクラーヘッドを備えているものに限る)
- スプリンクラー設備
- 水噴霧消火設備
- 泡消火設備
ただし以下の条件の場合には上記消火設備の有効範囲内でも省略することができない。
- 特定防火対象物
- 地階・無窓階・11階以上の階
- 煙感知器に設置義務のある階
ガス漏れ火災警報設備の設置義務がある防火対象物について
では今度はガス漏れ火災警報設備の設置基準について解説していきますが、自動火災報知設備と比べれば覚える内容は少なく覚えやすいかと思いますので解説していきます。
設置を要する場合
- 特定防火対象物の地階で床面積が1000㎡以上のもの
- 複合用途防火対象物(16項・イ)の地階で床面積が1000㎡以上、かつ、特定用途に使用する部分の床面積が合計500㎡以上のもの
- 延べ面積が1000㎡以上の地下街(16の2項)
- 延べ面積が1000㎡以上の準地下街(16の3項)で、特定用途に使用される部分に床面積の合計が500㎡以上のもの
- 防火対象物やその他の工作物の内部に温泉採取の為の設備が設置されているもので総務省令で定めるもの(収容人員が0人のものを除く)(面積は関係ない)
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回は消防設備士の4類の試験対策(類別法令)の解説をさせていただきましたが、基本的な分類(延べ面積に関わらず・特定防火対象物なら300㎡、非特定防火対象物なら500㎡)を覚えたあとに、特定の用途(9項・イは200㎡、11項と15項は1000㎡)を覚えれば面積に関わる設置基準はマスターできますので、あとは階数による基準とその他の基準をマスターすれば問題ないと思います。
ガス漏れは基本的に「特定防火対象物の地階、地下街で1000㎡」となっているのでこれを覚えればオッケーです。
法令と実技はけっこう鬼門なのでしっかり対策していきましょう。
※1…燃料用ガスはいわゆる都市ガスを指定しており、液化石油ガス(LPガス)はこの燃料用ガスには含まれていない。(消防法施行規則第24条の2の2第1項)