皆さんこんにちは。
前回からハロゲン化物消火設備の点検要領をお話させて頂いたいますが、今回の記事では点検票のその2の部分の解説になります。
前回の記事は下記のリンクからご覧いただけます。
点検票その2では
- 起動用ガス容器等
- 選択弁
- 操作管・逆止弁
- 起動装置
- 警報装置
- 制御盤
の内容になります。
点検票その2
起動用ガス容器等
起動用ガス容器
外形
-
- 変形、破損、著しい腐食、塗膜剥離などがなくて、収納箱と容器がしっかり固定されているか確認します。
- 容器収納箱に設けられているものは、扉の開閉が容易に出来るか確認します。
表示
-
- 破損、脱落、汚損などがないか確認します。
- 収納箱の表面に、当該防護区画名、又は防護対象物名及び取り扱い方法を明記した説明板が適正に設けられているか確認します。
ガス量
以下の手順により確認します。
-
- 容器弁に付いている容器弁開放装置や操作管などを取り外して、容器収納箱から取り出します。
- 適切な計測幅や精度を持つ秤(ばね秤や秤量計)を使用して起動用ガス容器の重さを量ります。
- 容器に付いている銘板や刻印などにより適正重量を確認します。
上記方法により二酸化炭素の量が、計測重量と記載重量の差が充填量の10%以内であるか、二酸化炭素の充填比が1.5以上であるか確認します。
また、計測重量などの結果は点検票や別紙に記録しておく。
容器弁
外形
-
- 変形、破損、著しい腐食などがないか確認します。
- 消防庁長官が定める基準に適合するもの、又は総務大臣若しくは消防庁長官が登録した登録認定機関の認定を受け、当該基準に適合する認定合格証が貼付されているか確認する。
※ 点検時の放出事故防止のため、強い衝撃を与えないこと。
安全性
詳しくは下記の記事を参照してください。
「消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成26年3月31日付け消防予第138号)」別添2「不活性ガス消火設備等の容器弁等の点検要領」に規定する点検方法に従い、以下の項目を確認します。
① 外観点検
② 構造、形状、寸法点検
③ 耐圧性能点検
④ 気密性能点検
⑤ 表示点検
「消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成26年3月31日付け消防予第138号)」別添2「不活性ガス消火設備等の容器弁等の点検要領」に規定する判定方法による。
安全装置(容器弁に設けられたものに限る。)
外形
変形、破損、著しい腐食等がないか確認します。
安全性
詳しくは下記の記事を参照してください。
「消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成26年3月31日付け消防予第138号)」別添2「不活性ガス消火設備等の容器弁等の点検要領」に規定する点検方法に従い、以下の項目を確認する。
① 外観点検
② 構造、形状、寸法点検
③ 耐圧性能点検
④ 気密性能点検
⑤ 安全装置等作動点検
⑥ 表示点検
「消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成26年3月31日付け消防予第138号)」別添2「不活性ガス消火設備等の容器弁等の点検要領」に規定する判定方法による。
容器弁開放装置
外形
目視等により以下を確認します。
-
- 変形、破損、脱落、接続部分の緩みなどがないか確認します。
- ガス圧式のものは操作銅管との接続部分の緩みや脱落などがないか確認します。
- 手動開放機能を有する開放装置は操作部分に著しい錆がないか確認します。
- 容器弁開放装置が容器弁本体に確実に取り付けられているか確認します。
- 安全ピン、ロックピンなどが装着されていて封印が施されているか確認します。
電気式の容器弁開放装置
-
- 容器弁に装着されている容器弁開放装置を取り外して、破開針やカッターを目視により変形、破損などがないか確認します。
- 所定の電圧にて円滑に作動して、かつ手動操作が確実に行えるか確認します。
- 端子部分のカバーを外し、ドライバーなどで端子の緩みや線の損傷や断線などがないか確認します。
- 作動確認後は通電の遮断や復旧操作を行って、正常に復旧できるか確認します。
また、手動式起動装置を操作する場合は、全ての電気式容器弁開放装置を取り外してから行うことと、開放装置の復旧操作は、制御盤等を復旧した後に行うようにします。
手動式の容器弁開放装置
容器弁開放装置を取り外し、目視や手動操作などにより以下を確認します。(ハンドルなどにより直接手動開放する方式の弁を除く)
-
- 破開針やピストンロッド、カッターを目視により変形、破損などがないか確認します。
- 手動操作部の安全ピンや封印がすばやく外せるか確認します。
- 確実に作動するか確認します。
選択弁
本体
外形
-
- 変形、破損、著しい腐食、接続部の緩みなどがないか目視やスパナで確認します。
- 防護区画以外の場所に設置されているか確認します。
表示
-
- 破損、脱落、汚損などがないか確認します。
- 直近に選択弁である旨、及び当該防護区画名又は防護対象物名とその取り扱い方法を記した標識や説明板などが適正に設置されているか確認します。
機能
目視や手動操作などにより開閉機能が正常であるか確認します。
開放装置
外形
-
- 変形、破損、脱落などがなくて、選択弁に確実に取り付けられているか確認します。
- 手動操作部分にカバーやロックピンなどが装着されて封印が施されているか確認します。
電気式の開放装置
-
- 端子部分のカバーなどを外して端末処理や結線接続などを見て、端子の緩みやリード線の断線や損傷、カバーの脱落などがないか確認します。
- 当該選択弁に対応する起動装置を操作して、開放装置を電気信号及び手動操作のいずれからも確実に作動するか確認します。
- 各選択弁の開放装置を手動で操作して、弁の「開」状態を示す機構があるものは押さえレバーなどのロックが外れるか確認します。
- ※点検に際し、貯蔵容器などの電気式開放装置と連動しているものは、点検前に必ず開放装置を容器弁から取り外しておくようにする。
ガス圧式の開放装置
-
- 開放装置起動の圧力に適した試験用ガスを使用して、開放装置の操作管接続部から加圧して開放装置が作動するか確認します。
- 加圧したガスを抜いたときに選択弁のスプリングの作動や押さえレバーなどを操作して開放装置の復旧の状態を確認します。
上記操作を行い以下を確認します。
-
- ピストンロッドなどの変形、破損などがなくて確実に作動するか確認します。
- 弁の「開」の状態を示す機構(確認ピン)のあるものは、突き出しているか確認します。
- 押さえレバーなどのロックが外れているか確認します。
- ※作動試験に際して加圧する前に、操作管が貯蔵容器開放装置に接続されているものは、その開放装置を容器弁からはずしておくこと。
操作管及び逆止弁
外形
-
- 変形、破損、著しい腐食、接続部の緩みなどがなくて、確実に接続されているかスパナなどで確認します。
- 逆止弁の取り付け位置、方向、接続経路が適正か目視で確認します。
機能
操作管から逆止弁を取り外して、試験用ガスを使用して逆止弁の機能が正常か確認します。
起動装置
手動式起動装置
周囲の状況
-
- 操作箱の周囲に点検や操作の障害となる物品がないか確認します。
- 当該防護区画内を見通すことができる防護区画の出入口付近に設置されているか、また起動装置を操作した者が容易に退避できる場所に設置されているか確認します。
操作箱
目視および扉の開閉などにより以下を確認します。
-
- 変形、破損、脱落などがないか確認します。
- 確実に固定されていて、扉の開閉が容易に出来るか確認します。
- 赤色の塗装の剥離、汚損などがないか確認します。
- 警報装置のスイッチとインターロックする全面の扉には封印が施されているか確認します。
表示
-
- 破損、脱落、汚損などがないか確認します。
- 起動装置の直近の見やすい位置に「手動式起動装置」の表示が適正になされているか確認します。
- 起動装置の本体、又はその直近に防護区画名又は防護対象物名と、取扱方法や保安上の注意事項の表示が適正になされているか確認します。
電源表示灯
正常点灯していて、その表示が防護区画名若しくは防護対象物名又は白色表示となっているか確認します。
音響警報起動用スイッチ
目視や扉の開閉により以下を確認します。
放出用スイッチ及び非常停止スイッチ
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- 貯蔵容器や起動用ガス容器用の容器弁開放装置を容器弁から取り外した後に、操作箱の扉を開き目視により変形、破損、端子の緩み、脱落などがないか確認します。
- 操作箱の放出用スイッチを操作して、遅延装置が作動している時間内に非常停止スイッチ又は非常停止装置操作して非常停止が確実に行えるか確認します。
- 再度操作箱の放出用スイッチを操作して、遅延装置が作動した後に電気式容器弁開放装置が確実に作動するか確認します。
表示灯
スイッチなどの操作により表示灯に著しい劣化などがなくて正常に点灯or点滅するか確認します。
保護カバー
有機ガラスなどによる保護措置に変形、破損、脱落などがないか目視にて確認します。
自動式起動装置
火災感知装置
自動火災報知設備の点検要領に準じて確認します。
また、点検時には、受信機又は制御盤の自動・手動切替装置を必ず「手動」に切り替えること。
自動火災報知設備の点検要領については下記の記事を参照してください。
自動・手動切替装置
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- 目視により変形、脱落、破損などがないか、自動・手動の取扱方法の表示に汚損、不鮮明な部分が無くて適正に表示されているか確認します。
- 貯蔵容器や起動用ガス容器の容器弁開放装置を容器弁から全て取り外して以下を確認します。
- 「自動」の場合、切替装置を「自動」側に切り替えて感知器や受信機内の感知器回路の端子を短絡させて行う。
- 「手動」の場合、切替装置を「手動」側に切り替えて感知器や受信機内の感知器回路の端子を短絡させて行う。
- 防護区画や防護対象物ごとに前a及び前bによる機能の確認を行う。
上記a、b、cの操作により以下を確認します。
-
- 切替位置及び切替機能が正常か確認します。
- 点検の防護区画や防護対象物の系統に誤りが無くて以下の機能が正常か確認します。
- 「自動」の場合
- 警報装置の作動
- 火災表示灯の点灯
- 遅延装置の作動
- 換気装置などの停止
- 容器弁開放装置の作動
- 「手動」の場合
- 警報装置の作動
- 火災表示灯の点灯
- 「自動」の場合
- ※点検は警報装置や制御装置の点検も兼ねて行うこと。
- ※装置を作動させるときは、必ず容器弁開放装置を取り外しておこなうようにする。
自動・手動切替表示灯
著しい劣化などが無く、スイッチなどの操作により正常に点灯するか確認します。
警報装置
外形
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- 変形、破損、脱落などがないか目視にて確認します。
- 警報装置に適した標識が必要な場所に設けられていて、破損、汚損、脱落などがないか目視にて確認します。
- 常時人のいない防火対象物又は局所放出方式以外のものは、音声認識による警報装置であるか確認します。
音響警報
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- 感知器又は手動起動装置の警報操作により正常に鳴動し、警報系統に間違いがないか確認します。
- 警報装置より約1m離れた位置で音圧が90dB以上あるか確認します。(A特性の騒音計)
音声警報
上記音響警報と同じ要領で2回以上行うことにより以下を確認します。
-
- 正常に鳴動して、音圧はスピーカーより約1m離た位置で92dB以上あるか確認します。
- 警報系統に間違いがないか確認します。
- 起動したときに、まずサイレン音などの注意音が発せられ、次に退避を呼びかける音声内容であるか確認します。
制御盤
周囲の状況
火災による被害を受けるおそれの少ない場所に設置されて、周囲に点検・使用上の障害となる物品などがないか確認します。
外形
目視により、変形、破損、著しい腐食などがないか確認します。
表示
スイッチなどの名称等に汚損、不鮮明などがなく適正であるか目視で確認します。
電圧計
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- 変形、破損などがないか確認します。
- 指示値が所定の範囲内にあるか確認します。
- 電圧計がないものは、電源表示灯が点灯しているか確認します。
開閉器及びスイッチ類
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- 変形、破損、脱落、端子の緩みや発熱などがないか確認します。
- 開閉位置やその機能が正常か確認します。
ヒューズ類
-
- 破損、溶断などがないか確認します。
- 所定の種類、容量のものが使用されているか確認します。
継電器
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- 脱落、端子の緩み、接点の焼損、ほこりの付着などがないか確認します。
- スイッチなどを操作して確実に作動するか確認します。
表示灯
-
- 著しい劣化などがなく、スイッチなどを操作して正常に点灯するか確認します。
- 閉止弁が「開」である状態の表示がされているか確認します。
結線接続
断線、端子の緩み、脱落、破損などがないか確認します。
接地
著しい腐食、断線などがないか、目視及び回路計などで確認します。
遅延装置
遅延装置の作動時限は手動式起動装置の点検方法により行い、放出起動用押しボタンを操作後に、容器弁開放装置の作動までの時間を測定して、作動時限が20秒以上(ハロン1211及び2402を放射する消火設備の場合)であり、設計時の設定値の範囲内であるか確認します。
※装置を作動させる場合は必ず容器弁開放装置を取り外して確認します。
自動・手動切替機能
放出制御機能
-
- 手動式起動装置や制御盤に設けられている入出力端子を使用して、電源線と放出信号回路を短絡させる。
- 手動式起動装置や制御盤の各用途の信号線(音響、放出起動、非常停止など)及び電源線をそれぞれ地絡させる。
上記操作により以下を確認します。
-
- 放出用起動回路が作動しないか確認します。
- 短絡試験では、起動回路短絡などの異常の表示灯などが表示されるか確認します。
- 地絡試験では、起動回路短絡などの異常の表示灯などが表示されるか確認します。
※装置を作動させる場合は必ず容器弁開放装置を取り外して確認します。
制御盤用音響警報装置
上記の放出制御機能の点検と同じ方法で行い、音響警報が確実に鳴動するか確認します。
予備品等
ヒューズや電球の予備、回路図や取扱説明書などが備えてあるか確認します。
まとめ
最後までご覧頂きありがとうございます。
今回はハロゲン化物消火設備の点検要領その2ということでお話させていただきました。
使用している機器(選択弁など)は基本的には不活性ガス消火設備と共通するものになります。
二酸化炭素ボンベとハロン1301ボンベは消火剤が液化ガスになっていますので、レベルメーターで液面を測定できますが、窒素ガスボンベやアルゴナイト、イナージェンは液化ガスではないので、レベルメーターでの液面測定はできません。
また二酸化炭素ボンベは、周囲温度が高い場合(気温25℃を超える場合)は液面が高くなりすぎてこちらもレベルメーターでは測定出来なくなるので注意が必要です。
ちなみにハロン1301ボンベは気温が高くても液面測定できるのでこちらも併せて覚えておくと良いでしょう。