特殊消防用設備等とは?

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皆さんこんにちは。

今回は消防用設備等のなかでもさらにマイナーな特殊消防用設備等についてお話させていただきます。

いったい特殊消防用設備等とはどのような設備なのでしょうか?

 

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特殊消防用設備等の定義

昔は、新たに開発された消防用設備等またはこれに類する設備・機器は、令第32条の規定というものにより消防長や消防署長が、特殊な消防用設備等を用いることによって技術上の基準に基づき設置する消防用設備等と同等以上の効果があると認める場合に限りその設置が認められてきました。(消防長や消防署長が新しく開発されたこの設備は従前からある設備よりも効果が高いので、従前からある設備に代わって設置していいよ。って認められて特殊消防用設備等になっていました。)

ですが最近では

  1. 超高層建築物、大空間を有する建築物、巨大複合建築物の大規模・特殊な防火対象物が増えてきた。
  2. 新技術を用いた消防防災に係る設備等の開発と実用化についての要請がある。
  3. 建築基準法における性能規定化の動きから、新たに開発された機器や技術的工夫について消防用設備等に係る消防法令の性能規定化のニーズがある。

以上が社会的にも、消防設備に携わる者からの要望が増えています。

また国においてもこれらの社会的要請をふまえ、技術的基準を定め規制する法令の性能規定化を図る目的で、総務省消防庁において平成15年6月に消防用設備等に係る技術上の基準に性能規定を導入することを柱とした法の改正が行われ、平成16年6月1日から施行された。

なにが変わったかというと、それまでは消防法第17条には第1項と第2項しかなかったが、改正により第3項が追加され、この第3項が特殊消防用設備等について明記されています。

消防法第17条第3項

第1項の防火対象物の関係者が、同項の政令若しくはこれに基づく命令または前項の規定に基づく条例で定める技術上の基準に従って設置し、及び維持しなければならない消防用設備等に代えて、特殊の消防用設備等その他の設備等(以下「特殊消防用設備等」という。)であって、当該消防用設備等と同等以上の性能を有し、かつ、当該関係者が総務省令で定めるところにより作成する特殊消防用設備等の設置及び維持に関する計画(以下「設備等設置維持計画」という。)に従って設置し、及び維持するものとして、総務大臣の認定を受けたものを用いる場合には、当該消防用設備等(それに代えて当該認定を受けた特殊消防用設備等が用いられるものに限る。)については、前2項の規定は、適用しない。

 

この第3条が制定される以前は、消防長・消防署長が認定して特殊消防用設備等になっていましたが、上記改正により総務省令で定められている設置維持計画を作成し、それに基づいて設置された設備が従前の設備よりも同等以上の性能があり、総務大臣の認定を受ければ特殊消防用設備等として運用できるということになりました。

 

特殊消防用設備等の位置づけ

私たちが普段見聞きする消防用設備等と、特殊消防用設備等はどんな位置づけなのでしょうか?下図にまとめてみました。

図でみると3パターンあります。Aルート・Bルート・Cルートです。

  • Aルートは通常用いられる消防用設備等になり、例えば消火器・屋内消火栓などがそうです。俗に言う従前からある設備になります。
  • Bルートが消防の用に供する設備等になり、例えば屋内消火栓の代替のパッケージ型消火設備や、スプリンクラー設備の代替のパッケージ型自動消火設備などがそうです。
  • Cルートが特殊消防用設備等になります。

 

今現在認定されている特殊消防用設備

平成29年版消防白書では、平成29年3月31日現在で合計64件の認定があるとされています。その内訳は

  • 加圧防煙システム…25件
  • ドデカフルオロ-2-メチルペンタン-3-オン(FK-5-1-12)を消火剤とする消火設備…3件
  • 複数の総合操作盤を用いた総合消防防災システム…7件
  • 火災温度上昇速度を監視する機能を付加した防災システム…4件
  • インバーター制御ポンプを使用するスプリンクラー設備…1件
  • 空調設備と配管を兼用するスプリンクラー設備…1件
  • 閉鎖型水噴霧ヘッドを使用した消火設備…5件
  • 大空間自然給排煙設備…3件
  • 放射時間を延長した窒素ガス消火設備…5件

以上になります。

例えば加圧防煙システムは25件ありますが、これらは防火対象物ごとに認定を受けて特殊消防用設備等として設置されています。

名前は同じ加圧防煙システムですが防火対象物ごとに(基本は同じですが)システムに違いがあります。

これらは防火対象物ごとに認定を受けているので全国で64の防火対象物にしか特殊消防用設備等がないということです。

また特殊消防用設備等ごとに点検を行うことが出来る人間が決まっていて、設置維持計画に記載されている人でしか点検等を行うことが出来ません。

その設備に精通した者以外が点検等を行うとその機能が損なわれる恐れがある為であり、それだけ設備的に特殊だということです。

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

私は甲種特類の消防設備士免状を所持していますが、上記したように全国に64しか特殊消防用設備等がありません。

しかも設置維持計画で任命された人間でしか点検等が出来ないので、所持していてもあまり意味がありません。

ですが特類の試験を受けるにあたり各類の勉強と火災予防概論などの勉強をしたことにより雑学に近いですがまた知識は増えました。

でもデメリットがあり、特類の再講習を受験するのに大都市にいかないと再講習をやっていないという事実です。

私も再講習を受けに始発電車で大都市へ行き受講してきました。甲種特類を受験して合格するのはメリットもありデメリットもあるということです。

※参考「一般財団法人日本消防設備安全センター 消防設備士講習用テキスト 特殊消防用設備等」より

 

 

 

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※消防法施行令第32条

消防用設備等において消防長又は消防署長が、防火対象物の位置・構造又は設備の状況から判断して、この節の規定によらなくても、火災の発生又は延焼の恐れが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最小限度にとめることができると認めるときにおいては適用しない。

要するに通常は消火器具や消火栓などを関係法令にのっとり設置・維持しなければならないが、消防長や消防署長がこの防火対象物は火災の発生や延焼リスクが極めて少ないから消火器具や消火栓を設けなくても良いよ(適用しないよ)という規定。