皆さんこんにちわ。
前回の警戒区域、感知区域、感知面積編に続きまして今回は感知器の設置基準について
- スポット型感知器の共通の設置基準
- 感知器の設置が免除できるケース
- 特殊な条件における感知器の選定
- 熱、煙、炎スポット感知器それぞれの設置基準
これらについて解説していますが今回も重要な所や覚えたい所はやアンダーラインを引いていますので参考にしてください。
感知器の設置基準(共通の設置基準)
天井または壁の屋内に面する部分、および天井裏の部分に火災が有効に感知できるように設けなければならない
という決まりがありますので以下の基準に従わなければなりません。
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天井面(感知器取付面)からの距離
熱感知器→0.3m以内 煙感知器→0.6m以内 - 壁・はりからの距離…0.6m以上離すこと(煙感知器に限る)
- 吸気口がある場合…吸気口付近に設置すること(煙感知器に限る)
- 狭い部屋の場合(ホテルの客室等)…入口付近に設置すること(煙感知器に限る)
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空気吹出口からの距離…端から1.5m以上離すこと
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感知器の機能に異常を生じない傾斜角度
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差動式分布型感知器の検出器→5°以内
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熱及び煙スポット型感知器 →45°以内
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光電式分離型及び炎感知器 →90°以内
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※空気吹出口…エアコンやファンコイルなどの風の吹出口
※吸気口…換気扇など
上図の様に熱スポットと煙スポットで設置位置の基準が異なるので注意が必要ですが特に
- 煙感知器は壁や「はり」から0.6m以上離す(熱感知器にはない条件)
- 感知器取付面(天井面)から感知器までの距離も熱感知器と煙感知器で異なる
- 煙感知器は吸気口の近くに設置する
これらは間違えやすいので気を付けましょう。
感知器の設置が免除できるケース
感知器はある一定の条件がそろうと感知器の設置を免除できます。
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天井面(感知器取付面)の高さが20m以上の部分(炎感知器を除く)
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外部の気流の流通で火災発生を有効に感知できない場所(炎感知器を除く)
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耐火構造建築物の天井裏
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非耐火構造建築物の天井裏の高さが0.5m未満の部分
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閉鎖型スプリンクラー設備や泡消火設備などを技術上の基準に則り設置している部分の有効範囲内(非特定防火対象物に限る)
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便所・浴室等(洗面所・脱衣所は必要)
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不燃材料で造られた押入
※押入の天井や壁(棚を除く)を不燃材料等(耐火ボードなど)で造った場合は押入に感知器を設置しなくても良い
特に便所・浴室等に感知器の設置を省略できるというのは製図問題でも使うので覚えておきましょう。
特殊な条件における感知器設置の適合・不適合
通常感知器を設置する場合は水蒸気が滞留していたり煙やほこりが多量にあったりという部分は少ないと思いますが、そういった特殊な条件の場所に感知器を設置する場合は設置できる感知器に指定があります。
上表のような特殊な条件の場所に設置できる感知器は指定されていますので気を付けましょう。
感知器の設置基準(スポット型の設置基準)
上記では各感知器に共通する設置基準を解説してきましたが今度は各感知器個別に決められている項目について解説していきます。
熱スポット型感知器
差動式スポット型感知器については上記の共通の設置基準を参照してください。
定温式スポット型感知器については上記の共通の設置基準に加えてもう1つの基準があり、設置しようとする場所の正常時における最高周囲温度が感知器の「公称作動温度」より20℃以上低い場所に設けるという決まりになります。
なぜかというと定温式感知器は感知器が作動する温度(公称作動温度)が決められており、例えばボイラー室などで夏場室温が60℃にも達するような場合に公称作動温度60度の感知器を設置してしまうと常に作動してしまうという事態になりかねないので上記の様に最高周囲温度より20℃以上低い場所となっているわけです。
煙スポット型感知器
煙スポット型感知器も上記の共通の設置基準に加えて、廊下や階段などに設置する独特の基準がありますので解説します。
※歩行距離という条件に注意しよう!
- 歩行距離30m(3種は20m)以内毎に1個設置
- 壁面からは歩行距離15m(3種は10m)以内に1個設置
上記の様な基準になっていますが、設置を省略できる場合もあるので覚えておきましょう。
- 階段に接続されていない歩行距離10m以下の廊下や通路
- 廊下や通路から階段までの歩行距離が10m以下
であればその範囲内は設置を免除できる
※令別表第一7項(学校など)と8項(図書館など)の廊下は煙感知器の設置義務はありません
煙スポット型感知器を階段(傾斜路)に設置する場合は以下の基準になります。
- 階段・傾斜路へは垂直距離15m(3種は10m)以下毎に1個以上の感知器を設ける
- 地階の階数が2以上ある時は警戒区域の設定上、地上階と地階が別の警戒区域になる為感知器は別々に設けなければならない。
- 地階の階数が1の場合は警戒区域を地上階に含められるので別個で設けなくてもよい。
煙スポット型感知器をたて穴区画(エレベーター昇降路、リネンシュート、パイプシャフトなど)に設ける場合の設置基準は以下になります
- エレベーター昇降路・パイプシャフトや、これらに類する場所の最上部に感知器を設置する(ただし水平断面積1㎡以上のものに限る)
炎感知器の設置基準
炎感知器は熱感知器や煙感知器とは異なり建物の高所や高速道路などの道路の壁面に設置されている感知器で共通の設置基準として
- 紫外線や赤外線を含む直射日光があたると誤作動するので遮光板などを設置して直射日光が当たらないようにすること
- 障害物などにより有効に火災を感知器できないことがないように設けること
- 監視距離が公称監視距離の範囲内であること(下図参照)
これらの基準があります
また炎感知器には
- 屋内型
- 屋外型
- 道路型
これらでそれぞれ設置基準があります。
- 感知器は「道路型」を使用する
- 道路の側壁又は路端上方に感知器を設ける
- 感知器は道路面から1.0m以上~1.5m以下の範囲内の高さに設ける
- 感知器は「屋内型」若しくは「屋外型」のものを設置すること
- 感知器は壁又は天井などに設置すること
- 20m以上の高所へ設置可能な唯一の感知器である
- 監視空間は「視野角」「監視距離」と床上1.2m以下の空間の3要素で構成される空間
- 床上1.2mを超える空間は火災を監視しないので注意する(下図参照)
まとめ
- スポット型感知器の共通の設置基準
- 感知器の設置が免除できるケース
- 特殊な条件における感知器の選定
- 熱、煙、炎スポット感知器それぞれの設置基準
これらについて解説してきましたが、重要な部分はやアンダーラインをしてありますのでよく覚えておきましょう。
今回は似たような数値(感知器取付面からの感知器取付位置、壁とみなすはりの大きさ、空気吹出口からの距離など)があり混同しやすい部分があるので違いをしっかり理解しておかないと問題に答えるのが難しくなりますので大変ではありますが理解していきましょう。
この記事の中でも特に
- 共通する感知器の設置位置(特に「煙感知器に限る」は混同しやすい)
- 感知器の設置を免除できる部分(非耐火構造建築物の天井裏高さ0.5m未満などの数値)
- 煙感知器の廊下やたて穴区画への設置基準(歩行距離と直線距離と警戒区域)
- 炎感知器の公称監視距離と視野角からできる監視空間(床上1.2m以下)
これらは試験に出題されやすく混同しやすい部分なのでアンダーラインの部分を中心に重要部分を理解学習していきましょう。