皆さんこんにちは。
今回は消防用設備等の維持台帳についてお話させていただきます。
消防用設備に関する書類を編冊すれば良い感じがしますが、編冊するべき書類は法令で定義されていますので詳しく解説します。
また防火管理維持台帳と良く似ていますが法令的に全く違うものになりますのでこれも解説していきます。
維持台帳の必要性
どのような設備でも維持管理は必要で、例えば身近な乗用車でも維持管理は必要です。
乗用車は定期的に点検や車検が必要であり、その経過はメンテナンスノートとよばれる台帳に記録されて、いつ、どのような整備や点検が行われたかを明確にしています。
それは消防用設備等においても同じで、「非常時に間違いなく作動しなければならない」という必要性を担保するのに点検や整備を行い、その経過を記録、保存しなければなりません。
この記録を保存しておかなければいつ点検をしたのか、どこを整備したのかわからなくなり、上記の必要性を担保できなくなります。
これらのことから維持台帳(ファイル)を作成して編冊・保存する必要があります。
根拠となる法令について
消防用設備等の維持台帳については消防法施行規則第31条の6第3項に記載があり
防火対象物の関係者は、前二項の規定により点検を行った結果を、維持台帳(第三十一条の三第一項及び第三十三条の十八の届出に係る書類の写し、第三十一条の三第四項の検査済証、次項の報告書の写し、消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事、整備等の経過一覧表その他消防用設備等又は特殊消防用設備等の維持管理に必要な書類を編冊したものをいう。)に記録するとともに、次の各号に掲げる防火対象物の区分に従い、当該各号に定める期間ごとに消防長又は消防署長に報告しなければならない。ただし、特殊消防用設備等にあっては、第三十一条の三の二第六号の設備等設置維持計画に定める点検の結果についての報告の期間ごとに報告するものとする。一 令別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物 一年に一回二 令別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ、(十七)項及び(十八)項までに掲げる防火対象物 三年に一回
となっていますが法令文章は難しいので解説します。
要するに防火対象物の関係者は消防用設備等(特殊消防用設備等を含む、以下同じ)を点検したら所轄の消防長(署長)に定期的に報告するとともに維持台帳というファイルを作って書類を編冊して保存してねということになっています。
この維持台帳には点検報告書の他にも編冊するように記載がありますのでこれも解説していきます。
編冊する書類について
綴じこむ書類には下記のものが該当します。
- 消防用設備等点検結果報告書
- 消防用設備等設置届出書
- 消防用設備等試験結果報告書及び添付書類(図面や写真など)
- 工事整備対象設備等着工届出書及び工事の設計に関わる図書(計算書や仕様書など)
- 消防検査に際して発行される検査済証
- 修理・整備の経過一覧表
- 消防の立入検査に基づく結果通知書
- その他必要な書類
これらを維持台帳に綴じこんで保管しましょう。
修理・整備の経過一覧表は、消防設備安全センターのホームページに「消防用設備等修理・整備経過記録表」という書式がありますので活用しましょう。
防火管理維持台帳との違いについて
これは法令に記載がありますので確認しましょう。
消防法施行規則の第四条の二の四第二項に
法第八条の二の二第一項の防火対象物の管理について権原を有する者は、前項の規定により点検を行った結果を防火管理維持台帳(次の各号に掲げるものを編冊したものをいう。)に記録するとともに、これを保存しなければならない。
という法令があり、この条文に「防火管理維持台帳」という言葉が出てきます。
ここで重要なのは冒頭の「法第八条の二の二第一項の防火対象物の管理」という部分で、これは防火対象物点検を行わなければならない防火対象物を指しています。
要するに防火対象物点検に該当する所は「防火管理維持台帳」となり、防火対象物点検に関わる書類や消防用設備等に関わる書類を編冊して、防火対象物点検に該当しない所は「消防用設備等の維持台帳」になります。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回は「消防用設備等の維持台帳」についてお話させていただき、「防火管理維持台帳」との違いについてもお話させていただきました。
簡単に言えば
- 防火対象物点検に該当する建物なら「防火管理維持台帳」
- 防火対象物点検に該当しなければ「消防用設備等の維持台帳」
となります。
ですが大事なのは消防用設備等をきちんと維持管理(点検や整備)して、書類などをしっかり保管することにありますので、上記の呼び名に関してはあまり大差はありません(笑)。
どの様な名前のファイルでも良いので書類はキチンと保管していただければ問題ありません。
そうすれば突然の消防立入に際してもファイルを提示するだけなので、書類がないとか見つからないと指摘される心配もありません。