令8区画とは?

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皆さんこんにちは。

もうGWですね。皆さんはどこかへお出かけの予定がありますか?私はありませんが(笑)。

今回はよく令8区画という単語が出てきますが、これは何の区画のことを指しているのでしょうか?解説していきたいと思います。

 

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消防用設備等の設置単位の例外

これまでの記事でも説明がありましたが、消防用設備等を設置・維持するものは、政令別表第1に掲げる防火対象物です。その場合の設置単位は棟が単位であり、その用途・面積・階層・収容人数などで消防用設備等を設置する基準が決まっています。

政令別表第一については下記の記事を参照してください。

防火対象物とは
この記事では消防用設備には欠かせない防火対象物(政令別表第一の用途一覧)についてや、特定防火対象物と非特定防火対象物の違いなどについて詳細に説明・解説しています。また3項イとロの違いについて、6項における細分化についても記載しています

 

ですがその棟の中でいくつかの部分に分かれていて、すべてを1棟とすることが不合理である場合があるときは、記事タイトルの令8区画で防火対象物を区画した場合はそれぞれ別の防火対象物とみなして消防用設備等の設置の基準を適用することができるのです。

令8区画の例

例えば上図のような防火対象物があった場合に、「開口部のない耐火構造の床・壁」で区画した部分を境に、それぞれ別の防火対象物として扱うことができます。

この「開口部のない耐火構造の床・壁」が今回の記事の令8区画になります。

 

令8区画とは?

防火対象物の部分が相互に耐火構造の床・壁などで区画されている場合には、消防用設備等の設置については各々を別の防火対象物として取り扱う規定のことです。

元の法規は消防法施行令第8条になり、この8条が区画の条文になっているので一般的に令8区画と言われるようになっています。

消防法施行令第8条

防火対象物が開口部のない耐火構造(建築基準法第2条第7号に規定する耐火構造をいう、以下同じ。)の床又は壁で区画されているときは、その区画された部分は、この節の規定の運用については、それぞれ別の防火対象物とみなす。

※ここでいうのはこの節の規定の運用である。従って「消防用設備等の設置及び維持の技術上の基準の運用については」ということであり、防火管理や防炎規制などに関してはこの令第8条は適用されない。

条文で言う「開口部」とは、建築物の床・壁に採光、換気、通風、出入りなどのために設けられた窓、出入口などの部分をいい、出入口の開口部には例え特定防火設備である防火戸が設けられていても開口部があることを免れるものではないということです。

 

令8区画の構造について

  1. 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造やこれらと同等の堅牢かつ容易に変更出来ない耐火構造である。
  2. 通常の火災時の加熱に2時間以上耐える性能を有する。
  3. 令8区画の耐火構造の床・壁の両端又は上端はその防火対象物の外壁面又は屋根面から50cm以上突き出していること。ただし、令8区画を設けた部分の外壁又は屋根が当該令8区画を含む幅3.6m以上にわたり耐火構造であり、かつ、当該耐火構造の部分が次のいづれかを満たす場合にはこの限りではない。
    1. 開口部が設けられていないこと。
    2. 開口部を設ける場合には防火戸が設けられていて、かつ、その開口部相互が令8区画を介して90cm以上離れていること。

 

令8区画を貫通する配管及び貫通部について

基本的に令8区画を配管などが貫通することは原則として認められていない。

しかし、必要不可欠な配管であってその区画を貫通する配管などについて、開口部のない耐火構造の床・壁による区画と同等とみなすことができる場合にはこの限りではない。

この場合において令8区画を貫通する配管等について確認すべき事項は以下である。

  1. 配管の用途は原則として給排水管(付属する通気管を含む)であること。
  2. 使用できる管の種類は、鋼管、鋳鉄管、繊維強化モルタル等で外装被覆した塩ビ管。外装被覆のない塩ビ管は使えない。
  3. 1の配管は呼び径200mm以下のものであること。
  4. 配管を貫通させるために令8区画に設ける穴が直径300mm以下となる工法であること。なお、当該貫通部の形状が矩形となるものにあっては、直径300mmの円に相当する面積以下であること。
  5. 配管を貫通させるために令8区画に設ける穴の相互の離隔距離は、当該貫通するために設ける穴の直径の大きい方の距離(その直径が200mm以下の場合には200mm)以上であること。
  6. 配管と貫通部は一体で通常の火災時の加熱に2時間以上耐える性能を有するものであること。
  7. 貫通部はモルタルなどの不燃材料で完全に埋め戻すなど、十分な気密性を有するように施工すること。
  8. 熱伝導により配管の表面に可燃物が接触した場合に発火するおそれのある場合には、当該可燃物が配管の表面に接触しないような措置を講ずる。

※開口部のない耐火構造の床・壁で区画されている階に階単位の規制を適用可能する場合には、区画された部文の床面積を1の階の床面積とみなして該当する消防用設備等を設置する。

 

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

令8区画は消防法施行令第8条のことを指し、開口部のない耐火構造の床・壁で区画したら別の防火対象物とみなすことができるという条文になります。令8区画とは通称のことなんですね。

例えば鉄筋コンクリート造の建物2階建てがあったとして、1階と2階の間に開口部(配管の貫通もなし)がない建物だったら、その建物は令8区画を用いて1階と2階は別の防火対象物とすることができるということです。実際には階段があったり、配管が貫通していたりするので令8区画にはなりませんけど。

また令第8条のような防火対象物へ例外をもちいる条文には令第9条ってうのもあります。こちらは「令別表第1の16項(複合用途防火対象物)を各項ごとに1の防火対象物とみなし当該部分が独立棟の防火対象物である場合と同様に規制することとする」というものです。

詳しくは下記の記事から確認いただけます。

令第9条の例外とは
この記事では消防法施行令第9条(複合用途防火対象物に消防用設備等を設置する場合、建物を1つの防火対象物とみなすのか又はそれぞれの用途ごとに防火対象物とみなすのか?)及び令第9条の2(防火対象物の地階が地下街と一体になっている場合の運用)について詳しく解説しています。